エタップ・ド・ツール ’04参戦!

〜 ハラッチ・シモニーニョ 〜

ハラッチ

◆エタップ・ド・ツールとは?

自転車ロードレースで最も有名な、ツール・ド・フランスの1ステージをまるまるレースコースとして採用した市民向けレース。 毎年アルプス、ピレネー、中央山塊などの山岳ステージから選択され、距離は140kmから200kmくらい。 参加人数は8000人くらいで、1月下旬からエントリー受付となるが、乗鞍ばりにすぐに定員になる。

◆2004年の開催日とコースは!?

7月11日に開催。 なんと最近の距離短縮傾向の裏を行き、237km! 2004年のツール中最長距離のステージが選ばれましたっ! 主催者のいやがらせですねこれは! ちなみに本チャンは7月14日のフランス革命記念日に行われ、フランス人のヴィランクが逃げ切りを決めるというドラマティックな展開となりました。 トップ走破タイムは6時間。


★そもそもの動機

2001年にロードレーサーを購入して3年になりますが、初めてのビーナスラインで押して上がる程のレベルだった私も、今はなんとか峠も越えられるようになり、ツーリングでは飽き足らないようになり、レースに出ようかと思ったのが去年のことです。 基本的にマゾ体質なんです(笑)。 昨年申し込んだ乗鞍ヒルクライムは荒天により中止の憂き目に会い、本格参戦したのが今年からです。

自転車以前に旅好き、かつ、スポーツ観戦好きなこともあり、毎年休みにはどこかへ出かけ、最近ではF1グランプリやMLBの観戦を組み合わせて「1粒で2度おいしい」旅をしていました。

そんな03年の秋に、雑誌TarzanにF1ドライバー佐藤琢磨が表紙でエタップの特集が組まれていました。 「海外走るってのも面白そうだな」「これは1粒で3度おいしいことになるな」と、何となく眺めていた、そんな年末。 ふとフランスの地図を本屋で立ち読み。 EURO ATLAS社の地図は、勾配が%表記されているところが多く、ヒルクライム好きの自分に「おぉ〜っ!」とヒットし即購入。 年末のロード仲間との忘年会において「来年エタップ参戦&ツール・ド・フランス観戦に行って来る」と、無謀にも宣言。 最近宣言して後に引けない状況にするのが特技になりつつあります(笑)。

★準備

エタップの公式サイトに募集要項がアップされたのが03年末で、よく読むと、医師による英語orフランス語の診断書が必要とのことでした。 いろいろ調べて察しは付いていましたが、事務所の所属する健保組合では、そのような事は受け付けていないとのことだったので、ネットでそういう病院を探して書いてもらいました。 15000円程かかり結構な出費になりました。 くそ〜、ケンポ組合さんよぉ、そういうサービスがあってもいいじゃんかよ〜。

2月初旬にフランスに郵送で申し込み、3月初旬から徐々に参加登録が完了した者から氏名がサイトにアップされ始め、今か今かと首を長くしていましたが、待てど暮らせど自分の名前が出てきません。 郵送という手続きだし紛失も十分考えられるし、そうこうしているうちに人数も8000番台と定員間近に。 半ばあきらめかけていたところにようやく登録されたのが、ゴールデンウィーク明けにニューヨークから帰国した5月初旬でした(怒)。 この辺はアメリカとヨーロッパの違いを痛感した次第で、アメリカはこういうことはメッチャ迅速。 何事においても3日以上かかったことはないです。

★海外輪行

海外へ自転車を持っていったことがないので、とりあえず本番までに一度予行演習がしたいと考えました。 ちょうどGWに「BIKE NEW YORK」なるイベントがあり、休みも取りやすいため参加を決意。

ダンボールに入れた自転車入れ物はハードケースも考えましたが、フランスでの事を想定すると荷物になるものは避け、最悪捨てられるダンボールを選択。 いつもお世話になっている、なるしまフレンドにて商品梱包用のダンボールを分けてもらいました。 後輪は付けた状態でOKな大きさで、フロントのハンドルとフォークを外す必要がありますが、この大きさで持ち込んでも飛行機代に超過料金はかかりません。 問題点は、普段外すことはまずないであろう、フロント周りを再び組み付けるときに、多少緩んだり、アライメントが狂ったりとトラブルがあることです。 慣れが必要かと思います。

★ダンボール保管問題

自転車を組み上げたら、とたんに邪魔になるのがダンボールです。 一都市滞在であればダンボールごと宿まで持って行く手もありますが、今回のように移動を伴うとそうもいきません。 空港に預かってくれるところがあればベストでしょう。

ドゴール空港の手荷物預かり所シャルルドゴール空港到着後に近くにいた係員に聞いても「ない」のつれない返事。 そこはあきらめの悪い私のこと。 グルグル探し回って、ついに発見。 値段は大きさ・重さにもよるでしょうが、助かりました。 空港までは行き帰りとも身軽になれますから。 ただ、どこの空港にもあるとは思えないので、どこそこの空港にはあった等の情報を求む次第です。

☆ちなみに7日間で30ユーロでした。

★日程がタイトに・・・

レース参戦とツール観戦はセットで考えていたのですが、そこへ事務所の引っ越しが7月末に決定。 あまり長く休めない「雰囲気」を察し、ツール観戦は断念。 レースのみのタイトなスケジュールを組むことに。 予感がしていたので飛行機と宿は6月まで待っていましたが、それから取るのは苦労しました(涙)。 飛行機はやっと取れたのが南回りクアラ経由。 宿もネット経由は軒並み埋まってまして、ガイド本にあったユースのようなところにFAXを入れたらOKの返事があり、決着。 この時期もっとも嬉しかったのはこの出来事(笑)。

★列車に自転車をそのまま持ち込めるありがたさ

列車に自転車を乗せる列車には必ず自転車用のスペースがあり、そのまま持ち込めます。 メトロなんかではない場合もありますが、だから自転車不可というわけではありません。 日本のように解体が前提だと、心理的な壁になる場合もあるので、この辺はJRをはじめとして、是非そのまま持込を実現していただきたい! もっと旅が自由になるはず。 この辺は、小径車乗りの皆さんはどう感じているんでしょうか?

☆自転車マークのあるところが自転車用スペース

★レース前日

レースの案内板スタート地のリモージュ到着後、スタート地点は確認できましたが、肝心の手続きする場所が分からないでいたところに「Are you from Japan?」の声が後ろから。 振り返ると日本の方で、受付は中心から5Km程離れていることを聞く。 受付があるであろう方向に走っていくと、それらしき人たちが沢山。 あとは付いて行くだけで到着。 人も沢山いたが、レース前日のせいか、それとも市民レースゆえなのか、あまりピリピリした雰囲気はなし。 プロフィールを指しながら「ここが厳しいんだ」という人の話も聞きましたが、こっちの気分はセンチュリーラン(笑)。 パスタパーティがあり、夕食はこれで済ませました。 相席したフランス人と、グッドラック!!と声を掛け合い健闘を誓い合う。 みんなエエ人や。 また、宿でも一泊14ユーロなのに朝食が付いてくる。 あまり金がかからないぞっ。 しかし21時くらいでもまだまだ明るい。 なんか違和感。

ラルプ・デュエズをあしらったジャージがあり、欲しかったが荷物になるので断念。 受付した際に、Tシャツやサコッシュなど、さくさんおみやげをもらっていたので。

★ついに来た! レース当日の朝!

地図

地名・峠など 距離 備考
LIMOGES 0km スタート地点
Le Mont Gargan 45.4km 最初の峠(573m)
Col de Lestards 73.1km 2つめ(856m)
EGLETONS 93.9km 補給所!!
Cote de Soursac 121.0km 4つめ(532m)
Cote de Montplaisir 132.4km 5つめ(588m)
SALERS 158.9km 補給所
Col de Neronne 168.3km 6つめ(1242m)
Col du Pas de Peyrol 180.0km 7つめ(最高点1589m),補給所
Col d'Entremont 195.4km 8つめ(1210m)
MURAT 201.8km 補給所
Plomb du Cantal 211.7km 最後の峠(1392m)
SANT-FLOUR 238.8km ゴール!

高低図☆全行程約240km!う〜ん過酷だっ!

☆距離だけでも過酷なのに、この高低差は何だっ!?

スタート位置図起床は4時半くらいで、5時に朝食を食べに下へ行く。 まだ暗い。 この頃のフランスは涼しく、朝晩は寒いくらいでした。 日本人は珍しいみたいで、受付のおばちゃんに、アイツはどこのどいつだ、みたいな事を宿泊客が聞いているのが聞こえてくる。 メニューが代わり映えしないので、ちょっと変わった物が食べたくなり、手持ちのパワーバーを食べる。 しかし、これが後で仇となることに・・・

☆一番上の青色ゾーンが私のスタート地点。進行方向は下

準備万端のハラッチ荷物をトラックに預け番号の入った札をもらう。 ゴール後に札を渡し、荷物を受け取る仕組みです。 隣で珈琲を振る舞っていたが、「離尿作用があるな」などと考え飲むのを止める。

その後隊列に並ぶ、8000番台の私は後ろの方である。 まだまだ暗い。 続々とレーサーが集まってくる。 前も後ろもそんな人だらけ。

スタートに並ぶ参加者そうこうしているうちに空が白み始め、スタートが迫る。 毎年参加している元F1ドライバーのアラン・プロストがインタビューを受けているのが放送されている。 おーい現物がみたいぞ!

★スタート

で、スタート。 秩序だって淡々と進む。 街から街へ移動していき、その間には田園風景が広がる、の繰り返し。 たまにひまわり畑に出くわしたりすると、あまりの綺麗さに心を奪われる。 街では「アレ!アレ!」の声援が選手を元気づけてくれる。 着ていたジャージに「マイヨアポワ!!」と、反応してくれる人がたくさんいた。 着ていった甲斐があったってもんです。

★ハンガーノック!

峠を2つ越えてあたりから、「お腹空いたなー」と思いながら走っていたが、今までとくに何かになったことはなく、特に心配していませんでしたが、食べ物を何も持っていないのも事実でした。 補給所が数カ所あるのは知っており「どのへんかな」と思いながらしばらく経った。 3つめを越えていよいよ足が回らなくなる。 意識はしっかりしていて、ヘタリ込むこともない程度のものだったが、それでも周りに次々に抜かされる。 ここまでは登りで抜く方だったのでもどかしい。 朝食ったパワーバーが残っていればっ! 後悔先に立たず。 何人かに「頑張れ!」と(多分)声をかけられる。 約100km地点に補給所が見えた時には本当にホッとした。 で、これでもかという位に飲んで食べて休んで、回復。

★日本の方と併走

130km地点で「日本の人?」という声が。 中年の方で昨年も参加したらしい 。昨年のコースはピレネー越えで(うらやましい)、ゴールしたもののビリの方だったのが悔しくて、今年も出場したのだそうだ。 こういうの、いいよなぁ。 見習いたいですね。 いくつになってもサイクリスト、を自分も目指します。
練習した?と聞かれ、ロクに出来てなかったわけですが、とりあえず「ツールド美ヶ原に出たので、それが練習代わりですか?ははっ」などとごまかしておいた。 宿はどうしたのかと聞かれ、着いてから考えると答えると、「私はサンフルールに既に取っているけど、130ユーロ(だったか?)取られるんだよ。 人の足もと見てるよな〜」という返事。 う〜んそうか、宿はどうしよう、と少しの間考えたが、それどころではなかった! 「あと100kmあるぜ〜。どうするよ!?」という嘆きに、頷く事しきりであった。

★NagoyaのGirlfriend?

現地についてから「コンニチハ」と声をかけられる場面が何度かあり、レース中も、最大の難所である勾配17%のペイヨール峠(Col du Pas de Peyrol)にさしかかったところでかけられた。 「どーして日本語がしゃべれるのか?」と聞くと、答えは皆一様に「ナゴヤにガールフレンドがいる」。 なんなんだ!?図ったように返事は同じである。 That's good!などと適当に返事してみたが、それにしても謎である。 ナゴヤに何があるのか・・・。 ひょっとして同一人物!?などと思いは巡ったが、それどころではない峠にさしかかっていたのである。

★ペイヨール峠

ペイヨール峠で、最大の難所に到着。 急勾配が始まる直前に緑色のチョークで「17%」の文字が道路に(写真がないのが残念!)。 英語で「17%もあるのかよ〜勘弁してくれ〜」などと嘆いたら、後ろの人にちょっと受けた。 満足。 そしていよいよその激坂へ。 足がフレッシュならさほどでもないかもしれないが、なんせ170km走って峠をいくつも越えた後で、これである。

さすがにキツイ。 周りは皆、自転車から降りて、ロードのシューズだと歩けないので靴を脱いで押して上がっている。 こういう時にSPDペダルは有利だ。 こんな状況下なので、こいで上がっていても、押して上がる人たちに邪魔されてスピードが出せない。 かといって降りるのもプライドが許さない(笑)のでクランクを回す。 1カ所あるつづら折りまで来て一呼吸いれる。 しかし、峠まで2kmって表示から2km来たのにまだあるよ? こういうのが一番精神に応えるんだよな〜。 と、いうわけで残り1kmをエッチラオッチラこなし、頂上へ到着。 補給所もありしばし休憩。

★最後のキャンタル峠へ

峠で休憩中のハラッチいよいよ最後の峠である。 ここさえこなせばあとは楽チン!(とはならないわけだが・・・)。 頂上まで残り9kmの看板があるが、そんな先の表示を出されると精神的に応えるだけだ。 激坂はなく、だらっとした長い登りが続く。 いくつもの峠を越えた身には結構ツライ。 しかし何とか峠をクリア。 写真を取っていると後ろから「ジャポネ?」と聞くおじさんが。 親切にも峠の写真をバックに写真を撮ってくれた。 ちなみにフランスでは、アジアの人をみると、まずは中国人か?と聞く人が多かった。 やはり多いのでしょうか?それとも?

★ゴールまで:ひとやま?あるじゃんっ!

最後の峠を越えたら平地でラックラクと思いこんでいたのであるが、細かなアップダウンが連続する。 これは結構応えた。 中央山塊をなめたらいけませんね。 平地になったらなったで、ひとりで走ってたりすると、空気抵抗をもろに受けて進むのに四苦八苦。 集団走行が楽だっていうのをこういう時に実感する。 残り15kmから5kmごとにカウントダウンが始まったが、それが峠の1km刻みの表示と同じくらい遠く感じた。

ゴール付近残り1kmからは人だかりが大歓声で迎えてくれた。 ここまでの歓声は経験がなかったので、かなり感動しました。 ゲートもツールとは違うものの、立派なゲートでしたし、手前にカーブが設けられていて、曲がってゴールってのも洒落てて良かったです。 ゴール後にもらったメダルも嬉しかった〜。 しかし時計をみれば17時30分・・・。11時間もかかったのか、と脱力感一杯で、もらった食べ物をほおばりながら、しばし横たわる。

休憩のあと、順位を確認。 4500番台と、参加者全体の半分ちょっと後ろといったところで、参加者の脚力・レベルの高さを実感しました。 トレーニング不足や、これほどのロングランをやった経験がないこと、ハンガーノックに代表されるペース配分の仕方等々、課題は多いことを思い知らされました。 山登りの面白さから、ヒルクライム主体に考えていましたが、ロングランも難しくてやりがいがあるなという感想をもちました。 これからはそっちも考えて練習しよう。

★サンフルールからクレルモンフェランへ

崖下からの風景サンフルールにゴールして、その辺に泊まりたい欲求に駆られるが、途中に会った日本人のサンフルールぼったくり宿泊費情報を聞いていたこともあり、移動を決意し崖下の駅へ向かう。 ☆崖下からの風景

郵便局があり中にいたねーちゃんに道筋を聞いたが、教えられなくて困った様子だったので成果なく外へ出た。 適当に歩きながら、同様に階段を降りる自転車乗りがいたので「駅はどこか?」と聞くも分かってもらえない。 どうもこちらが「スタスィオン?」と(スペイン語なのですか?)言ってたのが悪かったらしく「ガレ」のことだと理解してもらうのに時間がかかった。 あそこに見えるのが駅だ、みたいなことを言われ、ついていくと駅へ到着。

しかしというか、やはりというか、ローカル駅なので列車はめったにやってこない。 クレルモンフェランへ行きたい旨を告げると(しかしI don't know French.と、何度言ったことか・・・)、向こうへ行けと、おばちゃんは出入口方向を指している。 バンが停まっており、それに乗れば行けることを理解するのに結構時間がかかった。 なんかお互いに「車のことか?」てな感じでハンドルを操作するまねをしあったりして滑稽な光景が展開。 脇でみていたカップルも「おっかしいわね〜」とでもいうようなニュアンスで大いにウケておりました。

列車の切符☆切符

舟をこいでいる内にクレルモンフェランに到着し、適当に安宿を探せばすぐに見つかる。 フランスの宿の安さは今回の旅で実感した。 レセプションには英語のできるねーちゃんがおり、かつ「コンバンワ」とか「アサゴハ〜ン」など、日本語も達者で驚いた。

向かいのペントハウスの女の子部屋に入って窓を開ければ、高校生くらいのねーちゃんが2人向かいの窓に座っており、しばし話す。 明日からスペインに行くのだそうだ。 うらやましいね。 で、ようやく落ち着くと、膝・腰・足首・腕など、あらゆる部分が痛い痛い。 立ったり座ったりがものすごくシンドイ状況であり、レースの過酷さを痛感する次第でありました。

ともあれ、楽しい旅でした〜。

★おまけ

クレディアグリコールのキャッシュディスペンサー☆クレディアグリコールのキャッシュディスペンサー。 ツールドフランスのチームをサポートしていることで有名な、日本でいう農協(JA)のようなところ。

PMUのカフェ☆PMUのカフェ。 マイヨ・ヴェールのスポンサーで有名な、日本にある場外馬券場(WINS)が、カフェ形式になって飲食も充実させたようなところ。

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uploaded:2004-09