初心者のための自転車の基礎1 乗車ポジション

〜 GEO POTTERING 事務局 〜

私たちのクラブには初心者が入ってくること多くあります。 そんな時大抵は自転車は持っているけれど適切な乗車ポジションが分からない、というより、ポジションってなに? というケースがほとんどです。

私たちは短い距離ををのんびり行くこともあれば、ある程度の距離をそこそこのスピードで走ることもあります。 安全であることは基本の基です。 その上で快適に、そこそこの距離をそこそこのスピードで走れる、というのがジオポタ的でしょうか…

ここでは自転車の乗車ポジションを私たちの乗り方に合った視点から考えてみたいと思います。

   ポジションってなに?

小さな子供が身体に見合わない大人用の自転車に乗っていることを想像してみてください。 なにかちょっと変だと思いませんか? 逆の場合はどうでしょう。 安全でしょうか? 快適でしょうか? 効率的でしょうか?

車の運転手なら、ハンドル、アクセル、ブレーキなどが容易に操作でき、ある距離(時間)を乗っても疲れ難いようにシート他のセッティングをするでしょう。 これで決まった運転手と自動車各部の位置関係が乗車ポジションです。 ブレーキに足が届かないようなポジションを採れば大変なことになりますね。

自転車での乗車ポジションとは身体が自転車に接する部分、つまり、ペダル、サドル、ハンドルの位置で決まる自転車と身体各部の位置関係のことです。 これがなぜ重要なのかは車同様、安全性と快適性、加えて自転車ではもう一つ効率という問題があります。 車はアクセルを踏めば進みますが、自転車ではそうはゆきません。

自転車の乗車ポジションは安全性、快適性、効率のバランスの上に成り立つものなのです。
自転車は人の力だけで進む乗り物ですから、その限られた力を最大限に発揮しロスを最小限に抑えるという、『効率』を求めることは重要なことでしょう。 しかしこれのみを追求してゆくと、より速く、より遠く、ということで『快適性』ということから離れることになりますし、『安全性』さえ犠牲にされることになるかもしれません。

   対極にある自転車のポジションの比較

ママ車とロードレーサーの乗車ポジションの比較をしてみます。

ママ車は、買い物などの短距離走行が前提で初心者でも安心して乗れるように、効率よりも安全性、快適性が重視されたものとなっています。 一方のロードレーサーは、より速く、より遠く! という目的から快適性は二の次、走行の効率重視のものとなります。

この二つの例から、ポジションは目的により異なったものとなることが伺えます。

ママ車 ロードレーサー
ママ車のポジション ロードレーサーのポジション
より快適に、より安全に 目的 より速く、より遠く
垂直に近く、楽な姿勢 姿勢 前傾が強く、空気抵抗が少ない
低い 足が地面に容易に着き安全 サドル高さ 高い 効率的なペダリングを重視
気にしない サドル前後位置 効率的なペダリングを重視
膝小僧と拇指球とペダルの関係より決定
近く高く広い 楽な姿勢を重視 ハンドル位置 遠く低く狭い
空気抵抗を受けないことを重視
サドルに大きな荷重
お尻が痛くなりやすい
上半身の荷重が掛る場所 サドルとハンドルに分散
ママ車に比べ手に掛かる割合が大きい
巾広く、柔らかで快適性重視 サドル性状 細く、硬く、力のロスが少ない
垂直に近く、無理がない 頭の向き 斜めなので、首に負担が掛る

   ジオポタ的な乗車ポジションとは

ママ車 ジオポタ ロードレーサー
走行距離 1〜10km/日 30〜80km/日 100〜200km/日
巡行速度 10〜15km/h 15〜25km/h 30〜40km/h
乗車時間 1h以内/日 2〜6h/日 3〜6h/日

ジオポタ的乗車ポジションさて、私たちの自転車の乗り方とはどういったものなのでしょうか? ロードレーサーのようにかっ飛んで長距離を走ることはないけれど、ママ車のようにゆっくりちょっとそこまで、というのでもない。 一日の乗車時間はママ車より長くロードレーサーに近いといえるでしょう。 すべてにおいてママ車とロードレーサーの中間位です。

長時間乗りますから、ママ車のように垂直に近い姿勢だとすぐにお尻が痛くなって困ってしまう。 逆にロードレーサーのように前傾がきつくてもそんなにスピードを出さないわけだから、窮屈なだけであまりメリットがありません。

これらから想像できることは、私たちの乗車ポジションはママ車とロードレーサーの中間くらいが良いのではないかということ。 左図を参照ください。 上の2つの図のちょうど中間位に見えると思います。 これからなぜこのポジションが良いのかを考えてみます。

   効率

100km/日 走りましょう! と言われたら初心者のほとんどは、『そんなこと不可能だ!』 と言うでしょう。 100km/日はジオポタで走る最長距離で、簡単だとまでは言いませんが、健康な身体の持ち主なら大抵走れるようになる距離です。 不可能であるのは体力がないからではありません。 効率的に自転車を走らす技術が身に付いていないからです。 そこでまず『効率』について検討してみます。

ある程度の距離を走るには効率的なペダリングが必要になります。 効率的なペダリングとは、より小さな力(ロスが少ない)で車輪を回すことができるペダリングをいいます。 これが出来るようになると疲れずに長い距離を走れるようになります。 自転車という乗り物を活かす基本だとも言えるでしょう。

※ ペダリング:ペダルを操作すること。 直接的にはクランクを回転さすこと

ペダルと足の関係 ---効率的なペダリングへの第一歩

足がペダルを回すことでのみ自転車は進むことができます。 ペダルは足が接触する唯一の部位ですからとても大事なところです。

人が歩くことを想像してみましょう。 まず踵が接地し体重が前方に移り、拇指球(親指の付け根---足の指をそっくりかえすようにしたとき足の裏にもっとも出っ張る骨の部分)が地面を蹴り、直進性を保つように指先が地面をトレースします。 地面を蹴って進む力を与えている最大の場所は、拇指球であることが伺えます。

拇指球とペダル軸芯の関係自転車では足の力がペダルに伝わり、クランクに伝わり、自転車に推進力を与えます。 クランクと繋がっているのはペダルの中心軸です。 したがって、ペダルの中心軸に力を加えれば効率的です。

足の力は拇指球からが効率的に伝わりますからペダル軸心に拇指球を合わせる(※1)と効率的であることがわかります。 『土踏まず』で踏んでいませんか?

足の左右位置は安定度を増す為にペダル巾に足巾(拇指球のあたりの)を重ねると良いのは誰にでも想像出来ることですが、意識しないとずいぶんと片寄った乗せ方になることがありますから、注意するように習慣付けましょう。

スムースなペダリング ---適切な腰の位置が決め手

効率的なペダリングにはスムースなペダリングが必要であり、これはスムースな脚の回転運動から生まれます。

・ クランクをムラ無くスムースに回転さす。
・ ペダルが最上部へ来た時は、足が前向きの力をスムースにペダルに伝えられる。
   (ママ車のポジションの様に)膝が腰の位置くらいまで上がってしまうとこれが出来ないので注意。
・ ペダルが最前部へ来た時(上図の位置)に、足が下向きの力を最大限にペダルに伝えられる。(※2)
・ ペダルが最下部へ来た時は、足が伸びきらず後ろ向きの力をペダルに伝えられる。

ペダルを踏むという言い方がありますが、クランクは円運動ですから、踏むと効率的なのは、2のペダルが最前部へ来た時だけです。 常に円の接線方向への力を意識したペダリングを心掛けましょう。

さてこれらを実現するためには適切な腰の位置の決定が必要であり、それはすなわち、サドルの位置で決まります。 サドル位置が決まると必然的に腰の位置が決まり、脚の各部関節の位置が決まるので、ペダルに加える力の大きさ、方向が決まることになるからです。

サドル位置の決定

次に簡単なサドル位置の決定の仕方を紹介します(自転車雑誌の受け売りですが)。

サドルの高さを決める図A サドルの高さを決める

1  サドルをシートピラー(サドルが固定されているパイプ)の延長上に中心がくるようにセットし、水平に固定する

2  クランク(ペダルが付いている棒状のもの)をシートピラーの延長上(サドルから最も遠い位置であり足が最大限に伸びる位置)にセット

3  サドルに腰掛け、足を伸ばし(膝をまっすぐにし)、ペダルに『かかと』がぎりぎり付くまでシートピラーを上げる(靴は履いていること)。

4  この状態でペダルの中心軸に拇指球を合わせると膝がやや曲がり、ペダルを後方へ蹴る力があることを確認する。

これでほぼ適切なサドルの高さが決まりました。 しかし、多くの初心者は高すぎるように感じ、不安を覚えることがあるようです。 その場合は無理をせず、一旦、不安を感じない高さまでサドルを下げ、徐々に上げてゆくようにしてください。 安全性を犠牲にしてまで効率を求める必要はありませんから。

サドルを高くした場合の乗車と降車のしかた

サドルの前後位置を決めるB サドルの前後位置を決める

1  サドルに腰掛ける

2  クランクを水平にする

3  前方のペダルの軸心に拇指球がくるようにする (※1より)

4  真横から見てペダルの中心と拇指球と膝小僧のお皿を結ぶ線が垂直になるように腰の位置を調整する (※2より)

5  4 の腰の位置に合せてサドルを前後に調節する(原則サドル中心に座るように)

これで基本的なサドルの高さと前後位置が決まりました。 再度A1から、チェックしなおしてみてください。

(※2) 力点である膝小僧と作用点である拇指球を結ぶ線がクランクを下向きに押すベクトルと一致するのが合理的

ペダルが最上部のときでも、腿のあたりは窮屈ではないですか?
ペダルが最前部のときに、足からペダルに充分な力が加わっていますか?
ペダルが最下部のとき、膝が伸び切らないでややゆとりがあり、ペダルを後方へ蹴ることが出来ますか?
無理のないスムースな足の円運動ができていますか?

以上の作業のために必要なものと作業手順

   安全性と快適性

ハンドルの前後位置と高さ

決め手はなんでしょうか? 安全に容易に操作できることが前提であることは言うまでもありません。
相対的に遠い、近い、高い、低いがあります。

遠く低くなるほどロードレーサーのように前傾がきつくなり空気抵抗を受けにくくなりますが、腹部が圧迫され窮屈になります。 また腕に掛かる体重の比率が増え、手が痛くなりやすい。 前傾がきついと背骨と頭を繋ぐ線が首で折れるので首も痛くなりやすく、疲労すると頭が下がりやすくなり、前方への視線を確保するのが大変になってきます。

逆に近く高くなるほどママ車に近くなり、空気抵抗を受けやすくなりますが、楽な姿勢になります。 ただし、体重がお尻に掛る割り合いが増えるので、お尻が痛くなりやすい。

ハンドルの前後位置と高さは空気抵抗と腕と首とお尻のバランスで決まると言えるでしょう。 私たちはレーサーのようにスピードは出さないので上体の前傾はレーサーより緩くても問題なく、そうしたほうが楽です。 しかしママ車のように垂直では高速の時は空気抵抗が大きいし、お尻が痛くなりやすいので、ママ車よりは前傾であるほうが楽です。 このようなことから

一応の目安としては、

ハンドルの高さは、サドルと同じかやや高め。
前後は、腕を前方に伸ばし身体と90°にし、上体を前傾させ、肘を少し曲げても問題なく届き、窮屈ではないあたり。 一般的にはサドル先端に肘を付けてまっすぐ腕を前方に伸ばし、指先がハンドルにバーに届くあたりから、さらに握りこぶし一つ分を加えたくらいと言われています。

高い、低いの調整はハンドルステムの上下により、また遠い、近いの調整はハンドルステムの交換により行ないます。 折り畳み自転車など一部のものには、これらの調整ができない構造のものもあります。

ハンドルの巾

こちらの決め手も考えてみましょう。
・ 自然で楽な姿勢が取れること
・ 力の伝達効率が良いこと
・ 操作性が良いこと

腕を自然な状態で前方に伸ばしてみます。 肩幅かそれより若干広めが左右の手の間隔であるはずです。 これがもっとも自然な状態で楽な姿勢です。

力の伝達効率はどうでしょうか。 上半身が前傾していれば体重は肩から腕、そして両手に伝わり、常にハンドルを鉛直方向と進行方向に押す力として加わります。 この力に対しては、肩幅と同じ両手の間隔が効率的です。
カーブでは上半身の体重を左右に支える力が必要になります。 これは手を広げようとする力になりますから、腕への負担を考えると肩幅より広い両手の間隔が有効です。 

石ころなどの障害物を避けるような場合には、瞬間的にハンドルを切る操作が必要です。 具体的にはハンドルを回転させる訳ですが、回転に対してはハンドル中心軸から加える力点(手の位置)までの距離が大きいほど小さな力で済みます。

以上のことから、ハンドル巾は肩幅より若干広めが良さそうです。 これは握る部分での巾ですから、フラットバーハンドルではグリップの中央の位置を肩幅+握りこぶし一つ〜二つ分位にします。 標準装備のハンドルバーは大抵長めに出来ているので、グリップ位置を決めた後、不必要な端部は切り落とします。

ハンドルについては高さ、前後位置、巾の包括的なものとして、全体として窮屈でなくややゆとりがある感じ、というのが感覚的なねらい目でしょう。

さて、これでほぼ適切なポジションが決定しました。
ゆったりとした気分でスムースなペダリングができるようになりましたか?

   より快適に

バーエンドグリップ(補助バー)

腕を自然な状態で前方に伸ばした写真腕を自然な状態で前方に伸ばしてみます。 この時手首から先はどのような角度をしていますか? そのまま握るとそれはちょうど自動車のハンドルを11時、13時で握ったような状態で、垂直から上部がやや内向きになっていると思います。 これが自然な状態なわけです。

このまま自転車に乗ってみるとハンドルは?

あれ、この手の向きじゃない…

角のようなものがバーエンドグリップ角のようなものがバーエンドグリップ

多くの自転車に付いているフラットバーハンドルはこれとほぼ90°違えた角度ですから、手首への負荷が大きく、痛くなりやすいのです。 そこでバーエンドグリップという自然な状態に近い握りが可能なパーツがありますから、試しに付けて見て下さい。 ここを握ると自然な状態に近い手の角度が得られる反面、ブレーキレバーは操作できなくなりますから、ブレーキを掛ける必要のない安全な場所でのみ利用してください。 快適性と安全性の取り合いの部分ですね。 これを取り付ける為にはハンドルの端部に片側2cmくらいの余裕が必要となりますから、ハンドル巾を決定する際に考慮しなければなりません。

サドル

ママ車はサドルに掛る荷重が大きいので、巾広く柔らかです。 ボヨンボヨ〜ンというスプリングが付いていることもあり快適性を重視する目的があることが伺えます。 一方のロードレーサーは狭く硬い。 高速で足を回転させてもサドルに擦れないために狭く、またふかふかで体が上下するようだとペダルに伝える力が逃げてしまうので硬めにできています。

サドル選択の第一条件は、ある程度の距離(時間)を乗ってもお尻が痛くならないこと。 とにかく座っていられないくらいにお尻が痛くなったら走るどころではありませんから。

お尻の形状は個人差が大きく、また体重やポジションとの関係もあることから、選択の基準についてはもっとも個人差が大きく標準化し難いパーツの代表と言われており、いくつか試してみる他ありません。 ママ車のフカフカ巾広タイプなら大丈夫かと言えばかならずしもそうとは限りません。 ママ車は長時間乗ることや前傾姿勢を前提としていませんから。

サドル各種もし最初から付いているサドルに問題があるなら、中庸の巾でしっかりしたシェル(プラスチックなどの材料で基礎的なサドルの形状を造るもの)を持ち、基本的には硬め、そして表層にクッション材が入っていて押すと適度に凹むもの、をまず試してみるといいでしょう。

また、お尻は性器というデリケートな部分が近くこの付近のあたり具合によっては、お尻より性器付近が痛くなることがあります。 この傾向は上体の前傾がきつくなるほど現われやすいものですが、それを緩めることにより、また、サドルの前方を少し下げることにより解消されることが多いようです。 製品の中には左右中心に溝を作ったり穴を開けたりしてこういった現象を和らげる目的のものも出ていますから試してみても良いでしょう。

サドル各種裏面写真は私たちのメンバーが実際に使用しているものの例です。(床フローリングの巾は65mm)

左:巾135mm長さ270mm  左右中心に深い溝と穴があるタイプで表層にクッション材が少し入っていて押すと極僅かに凹む。 下の写真で見るとシェル(黒色で複雑な形状をしたもの)は格子状で、レール(シートピラーに取り付ける為の2本の金属のパイプ)も短かく軽量化が計られている。 小型であること、表層のクッションが少ないこと、軽量化が計られていることからややレーシング向きと推測できる。

中:巾155mm長さ275mm  左に比べ、より巾広くより長いプロポーションで、表層のクッション材もより多く凹み量も多い。 上の写真からはしっかりと体重を支えてくれるような印象を受け、左右中心に浅い溝があるのがわかる。 下の写真で見るとシェル(黒色のところ)ががっちりとサドル全体の形状を造っているのが伺える。 レールも左より長くクッション性がより高いことが分かる。

右:巾160mm長さ285mm  今となってはもはや特殊なものとなった一枚革のサドル。 一枚の肉厚の革で造られ一般的なシェルを持たない。 表層のクッション性はほとんどなく、最初はお尻の皮が剥けるとも言われるが、皮がお尻の形に馴染めばこれほど良いものはないと言う人もいる。 レールがもっとも長いのはクッション性確保のためと考えられる。

とにかく3者3様です。 どれが良いとは一口で言えないことは前述しましたが、まずは中央のものに類似したものを試したらどうでしょうか。

2 ギアの選択とクランクの回転数 3 クランクの長さ
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uploaded:2005-02