004 J.S.バッハ/フーガ ト短調/ヴァルヒャ

アルバムの写真J.S.バッハ(1685-1750)を取り上げるとき、なにを最初に紹介したらいいのか? これはあまりに過酷な自問でした。 それであれこれ考えるのは止して、僕のバッハとの出会いのこの曲を最初に揚げることにします。

この曲は僕のバロックとの出会いの記念すべき曲です。 当時中学生だった僕は、何を間違えたのかブラスバンドに入ってしまい、少しづつクラッシック音楽に興味を持つようになっていました。 そんなある日、音楽の授業で今にも壊れそうなおんぼろスピーカーからこの曲が流れ出たのです。

衝撃でした。 ベートーヴェンやチャイコフスキーといった、クラッシックのメジャーなところは何となくイメージが出来ていたのですが、僕にとってこの曲はそれらとはまったく違う音楽だったのです。 この曲をきっかけとしてどんどんバッハの世界へとのめり込んでゆくことになりました。

その時の演奏家が誰であったのかは今では知りようもありませんが、いくつか聞いた演奏家から推測すると、マリー・クレール・アランのものだったのではないかなと思う。 彼女の素直な演奏も良いけれど、今一点だけ取り上げるとすれば、もっと硬質で透明な、それでいてリヒターのように熱すぎない、ヴァルヒャのものを選ぶ。

この曲がバッハのフーガの代表作だとはたぶん言えないのでしょう。 有名なトッカータとフーガやプレリュードとフーガといった、名曲、大曲として知られているものが数多くあるわけですから。 ただ僕は、今ではあまりそういったものを良くは聞かない。 一つには再生装置の問題があるかもしれません。 オルガンがうまく再生できるような大した装置を持っていないこと、それに大音量で聴けるだけの居住環境がないこと。 そんなことが重なってか、この曲のような小品を好んで聴いています。

ちなみにこの曲は『小フーガ』と呼ばれています。 同じト短調のフーガでベートーヴェンのものがあるからで、こちらは『大フーガ』と呼ばれています。

このレコードについて

フーガ ト短調 はわずか4分ほどの小品です。 しかしフーガというものを感じるのにはとても良い作品だと思います。

パストラーレ はフーガのような特定の法則に乗ったものではなく、もっと自由な曲で、透明度が高く幻想的な作品。 これも僕は好きだ。

演奏者のヴァルヒャは盲目のオルガンとチェンバロの奏者でドイツ人。 彼の演奏は孤高の極み。
このレコードはバッハのオルガンの作品集で、他にはプレリュードとフーガが4曲納められています。

ここで弾かれているオルガンはストラスブールにある教会に設置されたパイプ・オルガンで、グランド・オルガンとも呼ばれる大型のものです。 オルガンもピアノや他の楽器と同様に楽器ごとに音の特徴があります。 この楽器の製作はジルバーマン。 オルガンが好きになったら、楽器の音の違いを比べるのも楽しみの一つになるでしょう。 ただ、オルガンだけはどんな再生装置をもってしてもそのニュアンスのほんの一部しか伝わらないのではないかとも思います。

レーベル:ARCHIV

※ パイプ・オルガンにはグランド・オルガンのほかに、もっと小型のポータブルなものがあります。 こちらはグランド・オルガンとはまた違った楽しみがあります。 他の機会に紹介できればと思います。

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uploaded:2004