011 J.S.バッハ/音楽の捧げもの/ムジカ・アンティカ・ケルン

アルバムの写真バッハ(1685-1750)の合奏の曲で一番好きなのがこれです。 名曲で名演がずらりなのですが、僕が一番良く聴くのはムジカ・アンティカ・ケルンのもの。

この曲はフリードリッヒ大王がバッハにテーマを与え即興演奏をさせたときの、そのテーマをのちにバッハがアレンジして大王に献呈したものとのことです。 いくつかの曲の組み合わせからなりますが、その順番や楽器が特定されていないので、演奏者によって微妙にニュアンスが違うのがおもしろいところ。

このレコードについて

ムジカ・アンティカ・ケルンの演奏はスパッとした切れ味と芯の強い音と独特のアクセントにその特徴があります。 そのアクセントの付け方がこれまた独特のリズム感を生み出します。 おそらくかなり好き嫌いがはっきり別れる演奏だと思いますが、僕はこの曲については、すごく好きです。 古楽器による演奏です。

この演奏は彼らが来日した1982年に聴きました。 前半はヴィヴァルディで、こちらはあのヴィヴァルディ特有の明るく流れるような音楽とはまったく違って、ちょっと面喰らったように記憶しています。 この『音楽の捧げもの』のほうは冒頭のヘンク・バウマンのチェンバロによる3声のリチェルカーレから、緊張した一本の筋の通った好演でした。 レコーディングが1979年でそれから3年、メンバーはヴィオラ・ダ・ガンバが変わっていました。 そのせいでもないと思うけれど、レコードとはほんのちょっとニュアンスが違うところがあったように思います。 もうすこし切れ込みの鋭い感じだったかな。

レーベル:ARCHIV


アルバムの写真2カール・リヒターの言わずとも知れた名盤。 昔はずいぶんと聴きました。 現代のバロックの演奏家に良く見られるような先鋭的な音ではなくて、へんな言い方かもしれませんがもっと腰の据わった、しっかりとした骨太な演奏だと思います。 今でもたまに聴きます、これは。

現代の楽器による演奏。

レーベル:ARCHIV


アルバムの写真3カール・ミュンヒンガーによるもの。 僕がこの曲と出会った記念すべき一枚。 リヒターのをガッチリした演奏というならこちらはゆったりとした流れるような演奏。 すこしロマンティック。 一時代前のクラッシックの演奏家がバロックをやったらこうなるかな、という感じの演奏で、クラッシック系から入る人には聴きやすいと思います。 今ではあまり聴く機会がありませんが、ぼくは今でもこのレコードは手放せないでいます。

これも、現代の楽器による演奏。

レーベル:LONDON


あまり大袈裟なことをいうつもりはありませんが、バッハという作曲家はすでにいろいろな方が言ってるように、包容力がすごく高いと思います。 彼の曲をジャズでやったって、民族音楽として知らぬうちにどこかで取り入れられたって、それはそれで成り立ってしまうようなそんな凄さがあるような気がします。 だからぼくは、彼の曲をいろいろなスタイルの演奏で聴くのが好きだ。 そんな訳でか、バッハの曲はひとつの曲に対して複数の演奏家のものを持つようになってしまう。 今では新しいCDを自ら探し求めるようなこともなくなったけれど、なにかのきっかけで、バッハのすばらしい演奏に出会ったら、その演奏を手元に置きたいと思ったら、またCDなんかを買うのじゃないかなと思う。

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uploaded:2004