018 ラモー/クラヴサン集/ヴェイロン=ラクロワ
フランスのバロックでクープランとともに絶対に抜かせないもう一人は、ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764)。 バッハやヘンデルより2つ年上のこの人は、オペラにも優れたものがありますが、ここではやはり、クラヴサンを取りましょう。
クープランが2声を中心とした書法だったのに対し、彼のには3声も加わってより高度な技法を見せている。 そしてなにより、ここには『歌』がある。 さらにそれをささえる和声。 これはより今日の音楽というか、古典派やロマン派のそれに近いといったらおかしいだろうか。 いや、僕はむしろフランス印象派に近いものさえ感じる。 バッハやヘンデルがバロックをやっていたころ、この人はとっくに彼方へ行っていたのだ。
このレコードについて
ちょっと懐古趣味的ですがロベール・ヴェイロン=ラクロワが入れたもの。 やわらかで、ちょっとおっとりしていて、はんなりした感じかな。 古き良き時代のフランスの香り。
もっと現代的な演奏もほしいとは思うけど、僕にはやっぱりまだない。 たぶんこれだけはフランス人じゃなければダメだ、と思う。
楽器は1755年のエムシュ。 1969年に補修されたもの。
古い録音だからか、ちょっと微妙なニュアンスが伝わらないのと、低音が不十分で少しキンキン響く感じがあるのが残念だ。
レーベル:ERATO
ロベール・ヴェイロン=ラクロワがクープランを入れたのを、ついでに紹介しておきます。 ドレフュスとはまた違った響きです。 ここで彼は面白いことに、ノイペルトというモダン・クラヴサンを弾いています。 ラモーを弾いた古楽器のエムシュとの違いがはっきりわかるでしょう。
レーベル:ERATO