023 アルス・スブティリオール/14世紀後期のアヴァン・ギャルド/マンロウ
マショーからオケゲムへ飛んでしまいましたが、実はその間に14世紀末のヨーロッパは混乱の時代を迎えていました。 ペストの流行、アビニョンの幽囚、そして音楽にも大きな影響力を持っていたキリスト教の分列などなど。
しかし音楽の世界はそれらの混乱をよそに、アルス・スブティリオール(繊細な芸術)と呼ばれる非常に複雑なリズムの時代を作り上げます。 ここに中世の音楽は技法的に頂点に達しますが、これが同時に中世の終わりを意味するものとなったのは皮肉といえるのでしょうか。
この時代の音楽は最近まであまり紹介されていませんでした。 最近ようやく、すこしずつですがこれらが紹介されるようになったのはうれしいことです。 ここに繰り広げられる独特のリズムは、もしも現代音楽だといわれてもあまりびっくりしないような、そんな音楽です。
このレコードについて
14 世紀後期のアヴァン・ギャルドと名付けられたデイビット・マンロウ+ロンドン古楽コンソートによる宮廷の愛の2番目のアルバムを取りあげます。 まだこのころの音楽がほとんど紹介されていなかったころ、マンロウの残したこのレコードを僕は本当によく聴いた。 マショーとオケゲムを繋ぐこの頃の音楽のレコードに、アヴァン・ギャルドと名付けたのは誰なのかは知りませんが、まさに的を射た表現だなと感心します。
レーベル:EMI
※ ジャケット写真は『宮廷の愛』と題された3枚組のLPのもの。 この2枚目が『14世紀後期のアヴァン・ギャルド』