024 J.S.バッハ/管弦楽組曲第2番/コレギウム・アウレウム

アルバムの写真僕が古楽器というものを強く認識した最初のレコードを紹介します。

高校生になったばかりの頃でした。 目覚まし替わりに掛けるラジオのバロックの番組をいつものように聴いていたとき、これが流れました。 その朝、僕はいつものようには朝食を取ることが出来なかった。 この曲が終わるまで、じっとラジオに耳を傾けていたから。

バッハ(1685-1750)の管弦楽のための曲としてはブランデンブルク協奏曲と同じくらいに有名な管弦楽組曲第2番でした。 僕は行きのバスの中で、コレギウム・アウレウムハンス・マルティン・リンデという名前を頭に刻み込んでいました。 そして、フルート・トラヴェルソの名も。

このレコードについて

古雅という言葉がぴったりの演奏。

コレギウム・アウレウムはヴァイオリンのフランツヨーゼフ・マイアーをはじめとする古楽器によるグループです。 当時は古楽器によるグループというのは非常にとまでは言えないけれど、かなり珍しかった時代です。 ハンス・マルティン・リンデはフルート・トラヴェルソ(リコーダーも)の名手で、リヒターなどとも共演している。 マンロウを別にすれば、おそらく相当に初期の古楽器による笛の演奏家と言えるのではないでしょうか。 このころ、いい笛だな、と思う演奏には必ずといっていいくらいに彼の名がありました。 そして、当時は気が付かなかったけれど、チェロにはアンナ・ビルスマの名がある。

コレギウム・アウレウムは当時としてはかなり先進的な試みをしていたグループなんだと思う。 僕の記憶が正しければ、ベートーヴェンの『英雄』交響曲をはじめて古楽器で入れたのがここだったと思う。

このバッハのレコード、今聴くと新しいグループのものとはずいぶん違って響く。 古楽器による演奏といっても彼らのは、最近流行の強いアクセントや鋭い切れ込みといったものからはずいぶん離れた演奏だ。 時にはもっとメリハリのある演奏を聴きたいと思うこともある。 そんな時、僕は適当に新しいグループのを引っぱりだして聴いてみる。 だが結局この演奏に戻ってしまう。 ほとんどこれで満足だ。 他には絶対のお気に入りというのが今のところないな。

レーベル:harmonia mundi


コレギウム・アウレウムハンス・マルティン・リンデの演奏はそれぞれ単独のも含めて、何度か聴いた。 この曲も聴いた。 ほとんどレコードと変わらぬ響きがいつもそこにはあった。 だから僕はいつでも安心して聴くことが出来て、たいてい幸せな気分で帰途に付くことが出来た。 しかし、何度も接するうちに、僕はこのグループの限界も感じていた。

音楽は幸せな気分にするだけじゃあダメなこともある。 ある種の驚きや、圧倒的な『感動』というものが必要な時もある。 これは取り上げる曲にもよるから一概には言えないだろう。 だけれど、そういったものを求めはじめたとき、僕は彼らの演奏会から少し遠ざかったように思う。

コレギウム・アウレウムので僕のお気に入りにヘンデル合奏協奏曲Op.6があります。 もしかしたら取り上げる機会がないかもしれないので、紹介しておきます。 こちらはほとんど他の演奏をほしくならないくらい、ぴったりくる。 僕はこれをテープでしばらく聴いていて、レコードを買い損なったので、残念なことに手元にない。 CDでも再発売されたら是非手元に置きたいものの一つです。

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uploaded:2004