033 シュッツ/ムジカーリッシュ・エクセクヴィエン/マウェルスベルガー

アルバムの写真ドイツ・バロックの最初の、というより孤高の巨匠ハインリヒ・シュッツ(1585-1672)を。

バッハのちょうど100年前に生まれたこの人は、ヴェネチアでジョヴァンニ・ガブリエリに学び、ドレスデンで宮廷楽長を務めたようです。 しかし、師の音楽とはまるで違うものがあります。

正直いうと、僕はあまりシュッツを聴きません。 この人の音楽に手をのばそうとするとき、僕は少し息が詰まる感じがする。 強く厳しい、他のどんな音楽にもない崇高なものを感じる。

ムジカーリッシュ・エクセクヴィエン(音楽による葬式)。 これはレクイエム(死者のためのミサ曲)とは違うけれど、死というものに向き合った音楽ということでは近い。 モーツアルトのそれと比較してみるのは意味がないことだとは思うけれど、ここにはモーツァルトのような劇的な死はない。 しかし、はるかに静かな死を感じる。

このレコードについて

ルドルフ・マウェルスベルガーのものを。 この人の演奏をなんと評したらいいのか僕は困ってしまう。 雄弁からは程遠いし、緊張し切った演奏というのとも全然ちがう、まったくその反対だ。 コーラスはけっして『うまい』ほうではないだろう。 ただ自然に、ゆっくりと歩むようなそんな演奏だ。 そんな中からこの人は、本当の音楽をつくり出してしまう。 こんなに、普通に、自然な演奏をする人をぼくは他に知らない。 そして、そこから生み出された音楽の真実をぼくは疑わない。

レーベル:PHILIPS

本題とは関係ないけれど、バッハのマタイ受難曲。 歴史的な名盤としてはリヒターのをあげる人が多いでしょう。 僕もそれはそうだろうと思う。 けれどそれを僕がレコードで聴く時、そのリヒターのではなくて、およそ完成度は低いのだろうけれど、このマウェルスベルガーのものに手が伸びる。

ずいぶん昔に彼らのマタイ受難曲を聴きに行った。 たった一度だからそれだけで評するのは酷だろう。 その時のは、朴訥とした歩むような自然な音楽ではあったけれど、いつしか知らぬ間に感動を生む彼らのあの独特のものにまでは至らず、さほどいいとは言えないものだった。 ぼくはすごく残念だった。 もう再び彼の、彼らの演奏に接することはない。 今はほんの時折気が向いた時に、彼らのレコードを聴くことが出来ることを感謝するだけである。

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uploaded:2004