036 J.S.バッハ/コーヒー・カンタータ/アルノンクール

アルバムの写真まだ休憩には早いけれど、僕にはどうやらそれが必要だ。 ここはバッハでも聴いて休憩することにしましょう。 前回同様に、『声』があるやつを。

バッハの宗教曲、特に受難曲やロ短調のミサ曲を聴くには覚悟が必要だ。 だからここでは勿論それらはパスだ。 でもカンタータならそれほどでもない。 実はカンタータには、教会カンタータという文字通りに教会の礼拝の時にやられるものと、世俗カンタータと称される日常を歌ったものとがあります。 どうしましょうか。 息抜きに後者を取りましょう。

コーヒー・カンタータ この曲の内容は、当時流行しはじめたコーヒーを取り巻く騒動を扱ったものです。 ちょっと聴けばわかりますが、バッハのオペラと言ってもいいような、そんな曲です。 僕はここ『サイダーの音楽遍歴』ではオペラを取り上げないつもりだから、これもその代わりに。

このレコードについて

ニコラウス・アルノンクール+ヴィーン・コンツェントゥス・ムジクスのもの。 この人は確かこれを2回入れたのじゃあなかったろうか。 これは1967年録音のもの。

正直にいえば僕は、アルノンクールはあまり好きではなかった。 だからこれ以外の彼のレコードはほとんど持っていない。 彼のにはなにかトゲを感じることが多かったから。  だけれど、ここではそんなものは全然感じない。 柔らかで、伸びやかでとってもいい。 ここでトラヴェルソを吹いているのは誰だろう。 僕の持っているのには詳しいメンバーが載っていないからわからないけれど。

もうひとつ、どうせだからここで告白しておく。 僕は『声』、つまり『人という楽器』が実はあまり好きではない。 あのドイツ・リートだって、手元にはわずか一枚しかない。 そしてヴァーグナーやヴェルディのオペラはたったの一枚も持たない。 このへんの『声』というのはとっても強烈で、生の『人という楽器』そのものだ。

そんな僕が『声』を聴くことができるようになったのは、バッハをはじめとする宗教音楽に出会ったからだ。 そこには、『人という楽器』そのもののから一歩引いた別の『声』がある。 そういったものに接するうちに、だんだんと他の『声』の音楽にも近づいていった。

さてと、次は女性の話しである。 冗談半分に『おまえの好みの女(男)は?』なんてことを言うことがあるだろう。 大抵は背がどおだの、顔がどおだのということを答えるらしい。 僕はこういうとき、本当に困ってしまい答えることができない。 しかし、実は僕にも好みがある。 それは『声』だ。 どういうのだ、と聞かれるとこれもまた困ったことになるのだけれど。

そもそも『声』ってのは、声帯が『震える』ことで音を発す。 これをsexyと言わずになんていうのか? いや、僕はそこにsexそのものを感じさえする。 極端にいえば僕は、『声』を聴けばその『女性』がわかる。

このレコードにもどる。
ここには僕のお気に入りの『声』がある。 ソプラノのロートラウト・ハンスマン
僕は彼女のことを、ここでしか知らない。 この人は決して技巧派ではないし、声だって際立って美しいほうでもないだろう。 声のまん中に小さなやわらかな核のようなものがあって、時に話すようにしゃべるように歌う。 ここには近代オペラのとはまるでちがう、別の『声』を感じる。

ついでのついでにいっておくと、僕のもう一人のお気に入りはシンタグ・マムジクム・アムステルダムのリタ・ダムス。

レーベル:TELEFUNKEN

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uploaded:2004