045 ビクトリア/6声のレクイエム/タリス・スコラーズ

アルバムの写真地中海、スペインが続きました。 ついでにそのスペインのをもう一つ。

トマス・ルイス・デ・ビクトリア(1548?-1611) この人はやっぱり抜かせない。

この人を知らなくても、あの画家のエル・グレコなら多くの人が知っているでしょう。 僕は実はグレコはくだらない画家だとしばらく思っていました。 それは日本で出版されていた一般的な画集を見ての印象でした。 しかし、スペインで出会った本物はぜんぜん違う。 そこにはなんていうか、人を威圧するような強さとはまったく別の、静かに訴えるなにかがある。 僕はとてつもない衝撃を受けた。 そしてただの印刷物でグレコを判断してしまった自分を本当に情けなく思った。 そこには簡単にいえば『死』をみつめたすべてがあった。

どうしてグレコを出したのか自分でも良くはわかりません。 おそらくジャケットのせいでしょう。 このジャケットにあるように世間でもグレコとビクトリアの関連性が語られているのかもしれません。 そして僕もビクトリアにはグレコに非常に近いものを感じるということ。 ちょっと聴いただけではさほどパッとしないのだけれど、その奥になにかありそうだ。 今のところ僕にはここまでしかわからない。

一時期僕は、世の中のレクイエムというものを全部聴いてやろうと思ったことがある。 著明なものはもとより、当時手に入るレクイエム&or『死者のためのミサ曲』というのは、全部聴いた。 だから三善晃のなんかのも当然聴いた。 表題の曲についてはモンセラート修道院のが唯一のものでした。 それからすいぶん経って、ようやく他に聴けるようになったものの一つがこの録音です。

このレコードについて

フィリップ+タリス・スコラーズ。 バロックはともかくその前の音楽を取り上げる人々は、マンロウを失って以来、しばらく不毛の時代が続いたのではないでしょうか。 そこに彗星のように登場したのがこのグループだったと思います。 柔らかで透明でしなやか。

レーベル:Gimell

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uploaded:2004