グラナダからセアット・イビザという小型のスペインの国産車でコスタ・デル・ソルを走り、ピカソの生まれ故郷のマラガにやってきました。ピカソが10歳まで過ごしたというこの街は、コスタ・デル・ソルの中心とでもいうべき都市で、大きな港があります。
海のすぐ近くに小高い丘があり、その上にはヒブラロファロ城があります。ヒブラルファロ城はアルハンブラと同時代の14世紀のアラブの城で、てっぺんはパラドールになっていて、そのテラスからは街が一望にできます。
下には20世紀の始めごろに建てられたネオバロック様式の市庁舎があり、その向こうに港が見えます。
視線を左に移すと円形の闘牛場があり、その向こうには、さっきまで横を走っていた地中海が僅かに見えています。
ヒブラルファロ城の下には11世紀のアラブの城であるアルカサバがあります。
かつてこの二つは通路で繋がっていたそうです。
アルカサバはローマ時代の要塞の上に11世紀に築かれた要塞で、13世紀に改修増築が行われています。
この西は半円形のローマ劇場に接しています。
大通りにはヤシの木が繁り、いかにも南国といったふうです。
ピカソの生家は小さな美術館になっていて、ピカソの作品が何点か展示されていました。川の近くにある民族博物館は17世紀の宿屋を改修した建物で、主に18〜19世紀のこの地方の生活品が展示されています。
マラガの歴史は古代フェニキア人から始まるようで、ローマ、アラブの支配を受けて現在に至っています。
古い歴史ある街だけあり、立派な建物があちこちにあり、その足下では観光用の馬車がパカパカと音をたてています。
イスラム教のメスキータの上に16世紀に建設が始まったマラガのカテドラルはルネッサンス様式。しかし、いまだファサードと南の塔は未完成だそうです。
北側の塔だけなので『ラ・マンキータ(片腕)』の愛称があります。
内部はバロック色が強いようです。
半日ほどマラガをぶらついたあと、30kmほど離れたミハスに向かいました。
ミハスは丘の中腹にある真っ白な街として有名なのですが、私たちがアクセスしたルートでは、遠景からはこの街の姿は掴みにくく、街の中に入らないとその白い姿は現れません。
斜面に築かれたミハスはどこも坂だらけで、段々になった道路の両側に切れ目なく白い民家が続いていて、この白さと言ったら目が痛くなるほどです。
壁には真っ赤な花が壁が続く限り飾られています。
スペインならどこにでもあるバルですが、ここでは日除けの傘を出しています。日なたは恐ろしく暑いのですが、こんな小さな日陰でもそこに入れば驚くほど涼しいのは、湿度がとても低いからです。
ここで私たちは冷たい飲み物をグビッ! 少年も、あ〜喉乾いた〜、とごくり。このあたりではビールでもワインでもたいてい一杯10ペセタ(110円)くらいです。
アンダルシアはこの時期はどこでもフィエスタ(お祭り)が行われます。
ここミハスもその例外ではなく、日よけのために作られたアーケードの下に大勢の人が集まっていました。
その一角でにぎやかな音楽が演奏されているなと思ったら、そこには美女がたくさん。
一人が前に出て踊り出すと周りの人々は手拍子でリズムを刻みます。
前に出る人が変わり、また変わり、こうして延々と踊りが続いていきます。
ひとしきり踊りが終わると、女たちは休憩モードに入り、
今度はハンサムな男が出て来てタップを刻みます。
そこに観客の女性が飛び込んで、場は多いに盛り上がるのでした。
このあたりでは馬は現役の乗り物なのか、馬に乗ってやって来ている人がいました。
一枚、記念の写真を。
アンダルシアの白い家の壁はどこでもとてもきれいに手入れされています。
どういうふうにするんだろうと思っていたら、ここのおばあさんがやっていました。ちょっとした缶に石灰をといだものを入れ、それを刷毛で塗るんですね。
暑い地方では窓は最小限しか設けられません。家の中は風通しさえあれば、かなり涼しいのです。
そんなわけで、日中は玄関扉が開けっ放しになっている家もままあります。ここは家人の足先だけが人の存在を示しています。
壁は基本的に平らですが、ここには小さなアルコーブがありました。高さは20-30cmほどでしょうか。
花を飾るところではなさそうですが、何に使うのでしょう。
アンダルシアは小雨なので玄関庇がない家が多いのですが、ここは珍しく、小さいけれどそれがあります。
その屋根には瓦が載っていて、ちょっとかわいらしい。
アンダルシアのちょっとした町には、たいてい闘牛場があります。ここにももちろんそれはあり、闘牛の看板があちこちに出ています。お祭りに闘牛は欠かせませんし。
マラガでもそうであったようにほとんどの闘牛場は円形ですが、ここのそれはちょっと変わっていて四角形です。闘牛の看板の脇では窓にぶらさがった子供たちが、通りのフィエスタの様子を楽しそうに眺めていました。
ミハスにも普通の生活道路があり、車も入って来られます。この道は街の外周部に近いところで、片側は急激に落ち込んでいますが、そういったところに立つ家も白いです。
白い街をぶらぶら散策してフィエスタを楽しみ、のんびり昼食をとったら、丘の上からアンダルシアの大地を眺め、深い渓谷の上に建つロンダに向かいます。