高崎市内
関西からやってくるジークが伊香保温泉に泊まるというので、どうせだからそのあたりをみんなで走ろうということになりました。伊香保温泉は山の上。渋川から上るだけではちょっと短すぎるので、榛名山に上って榛名湖を廻ってから温泉まで下ろうということに。
ということでまずは榛名山に向かうのです。
サイクリングロードを行く
ここのところ天気予報はめまぐるしく変わり、ほぼ絶望的と思われたこの日、朝の予報では回復基調にあり、うまくすれば雨に合わなくてすむかも、といったところ。車窓は雨に濡れていたものの、高崎駅に着く頃にはその雨も上がっていました。
高崎駅から烏川沿いにやってくると、R17をくぐり抜けたところに烏川緑地運動公園があり、そこからサイクリングロードが延びています。このサイクリングロードはどうやら『烏川・榛名白川サイクリングロード』というらしい。
烏川
烏川は利根川の支流で、高崎で碓氷川と、さらに下流で鏑川、本庄で利根川本流と合流し利根の大きな流れになってゆきます。上流はこんな感じで、のどかな風景が続きます。高崎経済大学の裏を抜け、環状大橋を越えると榛名白川が流れ込みます。この榛名白川沿いにサイクリングロードは入って行きますが、今日はそちらには行かず烏川を遡ります。このあたりでは烏川沿いにもサイクリングロードが続いています。
榛名山へ
空は白い雲で覆われていますがさほど暗くないので雨はしばらく落ちてきそうにありません。しかし前方の榛名山は裾野がかろうじて見えるだけで中腹から上は雲の中です。このままだと榛名山の山頂に辿り着く前に雲の中に突入することになりそうです。
サイクリングロードは中河原橋の少し手前で一旦県道29号に出ますが、どうやら中河原橋で川沿いに戻ると再びサイクリングロードになるようです。しかしここは県道を直進してしまいました。
田植え
榛名山は依然見えないものの空は明るくなりつつあり、近くの小高い山並みが田んぼの向こうに見えています。この山並み、小さいけれどぽこぽこと頂きが連続した姿はどことなく榛名山に似ています。水が張られた田んぼでは田植えの真っ最中です。
烏川沿いを上る
榛名山に向かう本格的な上りはまだ先ですが、この烏川沿いの道も穏やかながらずっと上りです。
『これなら楽勝ねぇ~』 とデラリンが行き、続くケロガメも順調のよう。しかしこのあとケロガメに悲劇が。。
いよいよ上り
1時間半ほど走り下室田に到着しました。ここから榛名山への本格的な上りが始まります。下室田は昔の町役場やバスの営業所がある、このあたりではちょと開けたところなので、ここで小休止して本格的な上りに備えます。
山に向かう
下室田から入った道はいきなり急勾配になり、その後民家がちらほらする中4~5%の勾配で続くようになります。植えられたばかりの稲が田んぼを緑色に飾る中をゆっくり進みます。
民家が途切れがちになり周囲が田んぼや畑から林に変わるといよいよ上りも本格的になってきます。
10%だっ!
4~5%が5~6%になり、ときどき8%ほどが現れるようになります。そんな中をえっこらえっこらしていると道端についに10%の標識が。こんなところでは写真を撮るふりをして即休憩。(笑)
山深くの風景
10%はきついけれど、そんなところの周囲の景色はいかにも山深く、その中にぽつんと民家が一軒といった具合でなかなかいい感じです。
もうちょっと
下室田から7kmほどで県道211号と合流するので、とにかくそこを目標にガシガシと漕ぎ続けます。ムカエルが先行し、デラリンはガシガシ、続くサイダーはヨタヨタ。ケロガメはどうやらちょっと遅れ気味のよう。
ヒナゲシ
高度も徐々に上がってきて500mほどになりました。しかし榛名湖は1000mなのでまだまだです。よたよた~と停止した脇には見事なヒナゲシが咲いていました。都市部ではそろそろ咲き終わる頃だと思いますが、やはり山間部ということで、このあたりは少し涼しいのでしょう。
ついに雨
ケロガメはどうも調子が悪いらしく、ヨレヨレ~としながらなんとか合流。ゴルフ場のところで県道211号に入ってから間もなくすると、雲の中に突入したのか視界が悪くなり、ついにパラパラと降ってきました。雨脚が強くなりそうな気配だったのでみんな雨支度を整えて再出発です。ちなみにこのゴルフ場のところの合流点から県道を少し下ると、榛名神社の第一の鳥居があるそうです。
榛名川
雨音にしたら大きすぎるね、と脇を見ればそこには榛名川が流れています。雨に洗われた緑とせせらぎがとてもいい感じでした。
しかし道の勾配はちっとも緩くならず、7~8%が続くようになります。
もうすぐ神社
雨も上がり、もうすこしで神社に到着というころ、遅れたケロガメの姿がいつまでたっても見えてきません。先ほどから少し走っては休憩、休憩してはまた少し走りを繰り返していたのですが。。
上りといえどもちょっとおかしい、ということで見に行くと、道端にへたり込んでいるケロガメでした。急に参加を決めたので時間がなくて朝飯を抜いて出かけてきたらしく、ハンガーノックのよう。おいおい、朝飯、ちゃんと喰ってこなくちゃダメじゃないか!
榛名神社
デラリンの補給食でなんとか走れるようになったケロガメもヨタヨタと上り、神社に向かいます。茅葺きの食事処が見えれば神社まではもうすぐです。
なんとか神社入口の民族資料館前まで辿り着き、バスでやってきたジークと合流しました。まずは腹ごしらえ。すぐ前のそば屋で手打ちのおいしいそばをいただきました。
榛名神社の参道
昼食の後は榛名神社です。ケロガメはここで離脱し、デラリン、ジーク、ムカエル、サイダーの4人で境内に向かいます。鳥居を潜り、随神門を潜るとそこから鬱蒼とした木々の中に石畳の参道が延びています。雨に打たれた石畳は美しく、木々も立派で脇には渓流榛名川が流れています。すばらしい参道です。
矢立杉
参道を奥に進むと三重塔や小さな祠の塞神社などを経て立派な二本の杉の木が立つところに出ました。矢立杉というものだそうで、その昔、武将が戦勝祈願のためこの木を目掛けて弓を射る神事に使われたものだとか。その奥には石段に覆い被さるような2つの巨石が。
瓶子(みすず)の滝
矢立杉の榛名川を挟んだ向かいには瓶子(みすず)の滝がひっそりと落ちています。小さいけれど上品で趣のある滝です。
双龍門
矢立杉から急勾配の石段を上ると奇岩の前に双龍門があります。天井に登り龍と下り龍が描かれていることからこの名が付いたとか。
右手が本殿
さらに上ると正面に神楽殿があり、その脇を抜けると正面に本殿が佇みます。随神門からここまでは1kmほどありずっと上り。奥深いところにひっそりと佇む本殿は狭い平地にいくつかの建物を従えて、崇高な雰囲気です。すばらしい神社、お勧めです。
榛名湖
たっぷり榛名神社を楽しんだ後はどうするか? ここから榛名湖までは3kmで300mの上り。平均10%ほどの勾配になります。時間にゆとりがあればゆっくり押し上げても1時間ほどで上れるでしょうが、この日は時間が押していたので、湖の周辺でゆっくり時間を使うためにバスで移動することにしました。神社から榛名湖まではバスでわずか10分です。車窓から行く道を見ればうねうねとしたつづら折れが続き、道幅も狭く、その上榛名神社と榛名湖という観光名所を繋ぐ道なので交通量もそこそこあります。バスで移動で正解だね~と言っている間に榛名湖に到着です。
バスを下りると、ちょうど空に青みが射し、薄日が出てきました。静かな湖面には幾叟もボートが浮かび、湖の廻りを榛名山のポッコリした山々が取り巻きます。幻想的で美しい湖です。
榛名湖周遊
榛名湖は湖畔に沿ってぐるっと一周できるようになっているので、時計回りに廻ってみました。大きなボートに何十人もの子供たちが乗っている姿などを眺めながらのんびり進みます。おおむね湖を眺めながら走れますが、榛名富士と湖の間にぽっこりと小高くある山のところはちょっと上りで湖が見えなくなります。
榛名高原
ぐるっと廻ってキャンプ場を過ぎ榛名高原に到着するとちょっとした駐車場があり、すぐ近くには榛名富士へ上るロープウェイ乗場がありました。ここでは馬に乗ってパカパカ遊びもできます。ここで湖畔を眺めつつ小休止です。
ヤセオネ峠へ
榛名高原では薄いオレンジ色のツツジが満開です。開けた草原の向こうには例によってポコポコした山が見えています。ここからは100mほど上ってヤセオネ峠を越えます。斜度は4~5%なのでたいしたことはありませんが、道がまっすぐなので、上りの先まで見えるのがちょっといやですね~。
高根展望台から
ちょとだけえっこらしてヤセオネ峠を越えれば豪快な下りが待っています。すばらしい林の中をグワン、グワ~ンと大きな曲がりをいくつかこなすと高根展望台に到着です。ここからは本日の宿泊地伊香保温泉、その先には渋川の町、すっと先にはいくつもの山並みがあり、赤城山、武尊山、そして明日行く予定の谷川岳までが一望にできます。
伊香保温泉の石段からの眺め
高根展望台ですばらしい眺めを堪能したのちも道は下り続けます。豪快に下って下って、ちょっと広い道に出るとそこが伊香保温泉でした。
伊香保温泉は万葉集にもその名が登場するほど古くからある温泉地で、竹久夢二や徳富蘆花をはじめとする文人らが訪れたことでも有名です。その中心は石段街で、下の関所近くから頂上の伊香保神社まで約300mに渡り続く石段のあるところ。この石段は360段あるそうで、その両側には旅館やみやげ店が立ち並んでいます。小間口観覧所という源泉の流れを見ることができるガラス張りの覗き穴のようなものが途中何カ所かあるのも面白いです。
石段を上って行くと、高根展望台から見えた山々がここからもはっきり見えました。ちなみにここの頂上にある伊香保神社をぐるっと廻ってさらに奥に進んだところには露天風呂がありますが、18時までとのことで入りそびれました。
さて、そんな有名な温泉地の宿はそれなりに高額なところが多くジオポタ向きではありません。しかし運良く8千円台の宿が見つかりました。それも石段街にあるのです。さぞかしひどい宿に違いない、泊まれるだけで十分と思わねば、と覚悟しつつ宿に辿り着きました。
外観は『やっぱりねぇ~』という感じの古びたものですが、両側に提灯がぶら下がりそれなりの雰囲気が。構えにしては玄関は広めで、宿のスタッフもなかなかてきぱきとしていて態度もよろしい。部屋に通されれば十分な広さの部屋で、石段街が見える。お風呂は露天がないのが残念だがまずまずで、伝統的なちょっと茶色っぽい黄金(こがね)の湯です。伊香保では近年、この黄金ではなく透明な白銀(しろがね)という湯も使われるようになりました。
なによりすばらしいのが食事です。このクラスの宿だと冷めた天ぷらってところがザラですが、なんとここは『いろり』のある大広間で、焼きたてのいわなの塩焼き、肉と野菜の鉄板焼き、ほうとうに似た麺が入った『おっきりこみ』という鍋など、あつあつのものが食べられるのです。
ちょっと雨に降られたけれど、サイクリングロード良し、上りの道良し、榛名神社良し、榛名湖良し、榛名山も榛名高原も良し、高根展望台良し、そして伊香保温泉の宿良しと、よし良しづくめの一日でした。