礼文島から利尻島を望む
8月11日、礼文島の南端にある知床の朝は雨。台風4号の影響でお天気は悪い方へ向かいそうです。宿の車で香深港のフェリーターミナルに送ってもらい、朝一番の船で稚内へ向かいました。昨日一昨日と見えなかったお隣の利尻富士が、この日はうっすらとだけれど見えているのは皮肉なものです。
宗谷丘陵で写真タイム
稚内港で雲行きをチェックするも回復の見込みなし。ケロガメは稚内近くに泊まることにし、サイダーとサリーナは宗谷岬に移動することにしました。宗谷岬へはタクシーを利用するか、駅前から三時間後に出る路線バスを使うしかありません。
思案しながらフェリーターミナルを出ると、そこにたまたま宗谷岬行きのバスが停まっていました。このバスは試験運行中のものだそうで日に二本だけ、空港→駅→フェリーターミナル→駅→宗谷岬→空港というルートで、最終目的地の稚内空港まで一律2000円とちょっとお高い。少し考えた末、このバスを利用することにしました。
宗谷丘陵
客室に自転車を持ち込ませてもらい、11時に出発したバスは宗谷湾を東へ向かいます。稚内空港を過ぎるあたりまでは湾側に建物が多く、海はほとんど見えません。ここは自転車で走ってもそれほど楽しくないかもしれません。空港付近を過ぎ、道が穏やかなカーブを描いて北へ向かう頃になると、建物はなくなり海が見え始めました。
宗谷岬に到着する少し手前でバスは山側へと進路を変えました。宗谷丘陵の中を通る道です。バスはゆっくり進み、運転手さんが観光ガイドを始めました。黒い牛はアンガス牛といって食用のものであること、この一帯の放牧はこの食用の牛が主流だが、近年は乳牛も始められたこと、放牧された牛はこの草原で子供を生み、その生まれた子らは耳票が付けられたのちもこの草原で暮らすことなど。
時には一時停車し、写真タイムを設けてくれます。あっ、あそこの茶色いの、見えますか~、鹿ですよ~ とかも。
宗谷岬平和公園にて
風力発電の風車や牛舎をながめつつ、宗谷岬平和公園に到着。左に『子育て平和の鐘』右に『世界平和の鐘(2号)』。バスはこのあたりで一時間ほど停車するようです。
祈りの塔
この公園で一番目立つのがこちら、サハリン沖で起きた大韓航空機撃墜事件の慰霊碑『祈りの塔』。雨なので下の海岸にある『日本最北端の地碑』の前までバスに乗せてもらい下車しました。
最北の宿
『日本最北端の地碑』のすぐ近くにあるのが本日の宿、その名も『最北の宿』。まだ13時を過ぎたところですが、部屋に入れてもらえました。雨なのでしばしここでだらだら。
日本最北端の地碑
お風呂(一応温泉だ)に浸かり、しばし休憩しているうちに雨は上がったようなので、『日本最北端の地碑』に出向いてみました。観光用のあまり上品でない店が並ぶだけで味気ない広場状の奥にその碑は建っていました。近くには西蝦夷地を測量し、樺太を探索したという間宮林蔵の像が。
彼方にサハリン
海の向こうにはその樺太ことサハリンの影がありました。こうして見るとサハリンはとても近いと感じます。しかしとてつもなく遠いのも事実。宗谷岬は日本最北端に来たという実感は希薄で、このサハリンの印象が強く残るところとなりました。
再び宗谷岬平和公園
一夜明けた8月12日、8日間の道北サイクリングの最終日です。朝は曇り空、しかし台風4号が接近しており、すぐにも雨に転じそうな雲行きです。
雨が降り出す前に空港まで行ってしまおう、ということで予定を変更し、空港へ向かうことにしました。そうは言っても海岸線をまっすぐに行くのはつまらなそうだったので、宗谷丘陵から内陸路を使って行くことにしました。
まずは宗谷岬平和公園まで自転車を担ぎ上げます。右に北海道の酪農の成功を記念した『あけぼの像』、左に宗谷海峡(ラ・ペルーズ海峡)を欧州人として初め通った人物を記念した『ラ・ペルーズ顕彰記念碑』。
霧の宗谷丘陵
呼吸を整えて宗谷岬平和公園を出発。あたりは一面真っ白な霧に包まれています。ここは晴れていれば輝くような美しい緑の草原が見渡せると聞きますが、この日はほとんど何も見えません。残念!
牛くんたち
しかし時折道のすぐ側に放牧されている牛さんたちが、目を楽しませてくれます。牧場の入口にはどこでも、関係者以外進入禁止の表示が。口蹄疫問題は九州のみならず、こんなところにも影響しているのです。
まずは快調に行くサリーナ
道は穏やかなアップダウンはあるものの舗装状況が良く、快適です。しばらく行くと昨日バスで上ってきた道の分岐になりますが、ここはそちらへ行かず、南下を続けます。
ひび割れロードを行く
ところが道端の標識に、先の道道889号線の一部は工事中で通行止めとあります。時間に余裕があればそこまで行ってみる手もあるのですが、この日はいつ雨が降り出してもおかしくない状況なので、安全策を取り、宗谷西漁港や宗谷郵便局のところに出る道に入ることにしました。
道幅が狭くなり、路面にはひび割れが。
ついに砂利道に
ここまでの道は宗谷岬からのハイキングコースに設定されているようで、曲がり角にはその案内標識が建っていました。下り基調の道を進むと二股に分かれ、右手方向がハイキングコースで舗装路の上り、左手方向は砂利道になります。ここはハイキングコースを辿ることにしました。ところがこの道は坂を上り切ったところから砂利道に。最初はまずまずの締まり具合でなんとか走れたものの、そのうち深いガサガサの砂利道となり、押し歩きに。
宗谷西漁港付近
海岸に出る直前で分岐したもう一方の道と合流しましたが、振り返ってその道を見ればなんと舗装路。こちらを選択すべきだったようです。
郵便局のところで海岸に出、どんよりとした鈍色の海を見ながら海岸線を南下し始めます。
快走海岸道
宗谷湾は緩い弧を描いており、空港の先の声問岬、そしてその先の野寒布岬までが見えます。この日はほとんど風がなく、快調に飛ばせば、ずいぶん遠くに見えていた野沙布岬がどんどん近づいてきます。時折すれ違うモーターバイクのライダーはこちらに手を上げて挨拶を送ってきます。これは北海道でのライダーの習慣らしく、ピースサインと呼ばれています。
空港付近
宗谷岬から空港までの道はまだ朝の早めの時間だからか、交通量は思ったより少なく、意外と快適に走ることが出来ました。稚内空港が近づき、左手が山から平原に変わってきたところで、空からはついにポツポツと冷たいものが落ちてきました。左手に現れたメグマ原生花園の標識を無視し、空港へひた走ります。
空港へのアプローチ道
滑走路を脇目に見ながら、ぐるっと回り込むようにして空港へのアプローチ道に入ります。この西側には大沼があり、周囲には湿原が広がりますが、これらも無視して空港へ滑り込むようにして入りました。
サハリンビール
空港に到着するなり、雨がドドーッ。なんとか本降りになる前に到着することができました。それからはどこかに出かけることもできず、飛行機の出発までの5時間、サハリンビールを飲み続けることになるのでした。