多摩センター駅
快晴。空には雲一つなく、風もなく、ポカポカ陽気ですばらしいサイクリング日和です。都心から40分の多摩センター駅はその名の通り多摩ニュータウンの中心的な駅で、京王線、小田急線、多摩モノレール線と3つの鉄道が通る便利なところです。
多摩中央公園付近
その多摩センター駅の南側のデッキ上を進むとパルテノン多摩、そして多摩中央公園となります。今年の紅葉は例年より遅めだといいますが、このあたりはもう紅葉が始まっていました。
多摩ニュータウンは公園がとても多く、ずいぶん昔から開発され始めたため、木々が成長しているので緑がとても豊かに感じられます。
並木道を進む
『このあたりは緑が多くてきれい。いいところですね~』 とビジターのチカさんが並木道をルンルンと行きます。
『いえいえ、こんなもんじゃあありません。今日はもっとディープな多摩の姿をお見せしま~す。』 とサイダー。このディープという言葉の意味を後でしみじみと感じることになろうとは、この時は誰も想像もしていなかったようです。
小山田緑地へ続く道
いくつかの公園を通り抜け、唐木田駅前から大妻女子大の脇を通り、細い道に入るとすぐに小山田緑地の小さな案内標識があります。ここからは砂利道の上りです。
ビジターのミッチーはガシガシとこの坂道を上って行きますが、ほどなく激坂になり押し上げざるを得なくなります。この坂道で滑ってコケた人、一名。
緑地と小さな畑
大きなガスタンクの裏を進み、ちょっとした林の先に視界が開けると、そこにはこんな景色がありました。小さな畑の先はこんもりした森、そのずっと先には丹沢の山々が見えています。すでにのんびりとした昔ながらの多摩丘陵がその姿を見せつつあります。
畑の脇を行く
『トンボ池』という案内標識に従って進むと、そこにも林の脇に小さな畑が。その端の地道をどんどこ進むはビジター初参加のシホちゃん。まだまだこのあたりでは元気なのですが、、
トンボ池
トンボ池は小山田緑地の大久保分園の中にあるひっそりとした池です。トンボ池と言うからにはヤゴでもいるのでしょう。しかしこの時見掛けたトンボは一匹だけだったので、もう時期的にちょっと遅いのかもしれません。このあたりは静かでとても感じの良いところです。
竹林の中を行く
小山田緑地付近の道はとても狭く、複雑に曲がりくねっているのでなかなか思う方向に進めません。ちょっとうろうろしながらやっとそれらしい道を見つけました。
民家の裏山のような竹林を行くはビジターのタカさん。真の体育会系のタカさんは、ガッシガッシといつでもどこでも力強く進んで行きます。
竹林のあとは落ち葉が積もるふかふかな道になり、そして、、
あっ、道がない。。
地道を下る
なんとかその状態から脱し、ゴルフ場の間の道を下って小山田緑地の本園へ向かうと、ここがまた結構な斜度の地道でしかもちょっとぬかるんでいます。
みんな慎重にそろ~りそろ~りと下りますが、ここで滑ってコケた人、一名。
細い舗装路を行く
この地道を下り切ると、細いながらも舗装路になりました。ホッ!
道の脇には小川が流れ、奥は田んぼになっているようです。
アサザ池
この道を進むとすぐにアサザ池に到着。アサザは睡蓮を小さくしたような葉っぱの水草で、夏から秋に掛けて黄色の花を咲かせます。一時は絶滅の危機にあったようですが、各地の保全活動により大分増えたようです。
ここは小山田緑地の梅木窪分園の一角で、本園まで散策路が延びています。
田んぼとカカシ
周辺の小さな田んぼは刈り取られた稲の後にまた芽が出ていて、緑色です。その前にはなつかしいカカシが立っていました。
小山田緑地の林から芝生運動広場を望む
民家が現れるようになると小山田緑地の本園に到着です。この小山田緑地は雑木林や運動広場、水辺などがある広大な公園です。林の先に広い芝生の広場が見えてきました。どうやらここは運動広場のようです。
小山田緑地のみはらし広場
その運動広場を脇目に進むと、小高く盛り上がった先に視界が開けます。みはらし広場です。ここからは丹沢山地の山々がきれいに見えます。視界が良い日にはその向こうに富士山が見えるようですが、この日は残念ながらその姿はありません。
小山田緑地から下る
いくつかのアクシデントでここまで大幅に時間超過してしまったので、奥にある池を巡るのは諦めて、次のポイントへ向かうことにしました。小山田緑地からr155へ下る道は階段もある細~い散策路で、みんな担ぎと押しでえんやこ~ら。
田んぼの中を行く
r155から北へ向かい、朝通った大妻女子大のところへ抜ける道を進みます。さらに枝道に入り細道を行こうとしますが、
ぐしゃぐしゃのダート道
その道は、ここ数日雨が降っていないにもかかわらず、日影の為かどろどろになっていました。山深い感じのいいところですが、この道はさすがに断念せざるを得ませんでした。
丘越え
仕方がないのでr155で丘越えをすることにしました。しかし途中で右折しなければならないところを真っすぐに進んでしまったので、長池公園の南西端に出ちゃった。この道は狭い割に車が多かった。
長池公園の池
長池公園は元の地形を保存しつつ整備された公園で、管理するNPOが自然活動に力を入れていることで知られているようです。水辺もあり緑豊かで気持ちのいい公園です。
長池公園の北側入口付近
その長池公園を通り抜け北側の出入口に達すると、そこにはしゃれた高層住宅が建ち並んでいます。近くには大型ショッピングセンターの集合体ようなものがあり、そこでお昼にしました。
写真の長池見附橋は、かつてJR四谷駅前に架かっていた四谷見附橋を移築復元したもので、高欄と橋灯はオリジナルを忠実に復元し新たに制作されたものです。
r158尾根幹線道路
目の前には尾根幹線と呼ばれる広い道路が通っています。ここの並木もいい感じに色づいています。昼食後はこの道を少し下ったところにある別所配水場へ向かいます。
別所配水場
この別所配水場の下から『多摩よこやまの道』が始まります。
尾根を行く『多摩よこやまの道』
スロープを上るといきなり砂利の細道になります。これが『多摩よこやまの道』です。多摩市と町田市の境にある小さな尾根の上をこの道は東へ延びて行きます。
『多摩よこやまの道』脇は一般道
『多摩よこやまの道』のほとんどの箇所は砂利敷で、アップダウンあり、階段あり、出っ張った木の根っこありと、ちょっと自転車で進むには困難が伴います。でもすぐ脇を普通の道が通っているので離脱は簡単にできます。
ぎゃ~、階段だ~。とか、お~滑った~。。とか騒ぎながらなんとか進んで行きます。ここでコケた人、一名。
小野路の山奥へ
全長10kmほどの『多摩よこやまの道』のほぼ真ん中にある一本杉公園からは、一旦『多摩よこやまの道』を離れ、小野路へ向かいます。竹林の坂を下りr156に出たあと、道の南側の山の中へと入って行きます。
林の奥の小さな畑
薄暗い激坂を上るといつしか道は地道に。その道の先に視界が開けると、そこは斜面を切り開いた小さな畑です。このあたりはとても東京とは思えない、のどかな風景が見られます。
しかしまずまず安心して進めるのはこのあたりまでです。ここから先は、本当に先へ進めるのかな~、とちょっと不安になるような雰囲気の道になります。
林の中を進む
畑を過ぎると今度は林の中。落ち葉をカサコソと踏みながらビジターのマコちゃんはクロスバイクで快調に進みます。しかし小径車の後続は遅れ気味に。
林が深くなり小野路城跡の標識に辿り着いたときにはみんなちょっとバテ気味でした。ここでちょっと呼吸を整え、さらに奥へと進みます。この先のちょっとしたガレ場でコケた人、一名。
さてさて、小さな切り通しを抜けやっと舗装路に出た、と安心して下り出したらそれはコースミス。舗装路になる直前をさらなる森の中へと入って行くのです。その入口には乗越八幡跡の標識があります。 そしてこのあたりは図師小野路歴史環境保全地域というものになっているらしく、その表示も。
獣道を行く
『え~ぇ、本当にここ行くの~』 とは誰ともつかない多くの声。
サイダーの指差す先にはあまり使われていない、獣道のような道がかろうじて続いているだけでした。止むなく先導ムカエルが一歩この林の中に踏み込み、その後をよろよろと皆で追います。乗ったり、押したり、引いたり、担いだり、、、
このぬかるみの下り坂でコケた人3名。ここはちょっと自転車向きじゃあなかったですね。でもディープな多摩を感じたでしょ。(笑)
谷戸を行く
森を下った先はこちら。小さな谷戸がいくつもある地帯に下りてきました。元は田んぼだったであろうこれらのうちの一部は畑になっていました。
野津田公園
谷戸を覗いたあとは野津田公園へ。ここのケヤキはいい色に染まっていました。このあと寄るつもりにしていた万松寺付近は時間の関係でパスし、r156の旧小野路宿を通って布田道に入ります。
布田道
布田道は小野路と調布の布田を結ぶ道のようで、かつて近藤勇がここを往復したことで知られています。r156から一歩入ったこの布田道は、表通りからは想像もつかないほどひっそりとしたところです。山間の小さな田畑の中を、狭い布田道が延びて行きます。
妙櫻寺裏の山間を行く
布田道を途中で折れて妙櫻寺方面へ向かうと、ここにも山間に畑が開かれています。このあたりはとにかく静かな、静かな、とっても静かなところです。
再び『多摩よこやまの道』
妙櫻寺からは再び『多摩よこやまの道』を進みます。
『おっとっと、ここは転げ落ちたら大変~』
ここいらで木の根っこに引っ掛かってコケた人、一名。
紅葉と多摩丘陵
尾根を行くのでちょっとした眺めも所々であります。日が沈みかけていてひっそりとした感じの多摩丘陵です。
夕日の中を行く
『もうすぐ終着点で~す。』 の声に、
『ウソツキ!』 とシホちゃん。あちゃ~。。どうも誰かさんに散々騙し続けたらしい。
初めての参加がこんなとんでもない企画だったシホちゃん、このあとも寡黙に前を睨んでえっこらよっこらと進みます。
防人見返りの峠からの眺め
勇ましいかけ声のする国士舘大学の裏手を通り、坂を上ったところには小さな広場がありました。『防人見返りの峠』の標識があるここで日がぐっと落ちてきて、多摩の街には闇が迫ってきました。
丘の上広場から多摩東公園を望む
『防人見返りの峠』のあとも砂利道が続き、もうへとへと~、これ以上は無理~、と思う頃、ようやく『多摩よこやまの道』の終点『丘の上広場』に辿り着きました。夕日がす~っと落ちて行き、道の反対側の多摩東公園の赤く色づいた紅葉がいい感じでした。
多摩の奥深いところまで踏み込んだ今回は、ちょっと初級者には辛かったかもしれませんが、上級者でも完全走破は困難ですから、どのみちかなり押し歩きになります。スピードを出して走ることに燃えている人向きのコースではありませんが、のんびり散歩を楽しめる方にはいいのではないでしょうか。
走り終わって顔を引きつらせていた人、だ~れ?
■参考資料