下田の稲生沢川の河口を行く
快晴! 花見日和です。
伊豆急行の踊り子号の車窓からは、山側には大きな富士山が見え、海側にはこれまた大きな伊豆大島が見え、河津では川沿いにほぼ満開のピンクの河津桜の並木が見えました。その河津駅でほとんどの乗客が下車し、皆お花見に向かったようです。
私たちは終点の下田駅までやってきました。駅からすぐに川沿いの道に出ると、漁船が並んだ並んだ。
安直楼
港町らしい雰囲気の川沿いを進み、ちょっと街中に入ると鄙びた古っぽい街並の中に、なまこ壁の安直楼(あんちょくろう)があります。
下田はアメリカ海軍ペリー提督率いる黒船の再来で幕府が開港したことは良く知られていますが、この建物はその後米国使節として来日し、初代駐日領事となるタウンゼント・ハリスの侍妾(じしょう )になったお吉が晩年に営んだ小料理屋だそうです。
ペリーロード
安直楼のすぐ南の小川に沿って、ちょっと味のある通りがあります。ペリーロードと呼ばれるこの道の両側には、木造の古い建物や安直楼同様のなまこ壁の建物が並んでいます。
了仙寺
ペリーロードの西の突き当りにあるのは了仙寺。このお寺は、ペリーらのアメリカ使節と徳川幕府との交渉の場となり、日米和親条約付録下田条約が締結された場所とのこと。
この時は立派な真っ赤な梅が満開でした。
下田港付近
下田の歴史的な見どころをさらっと廻ったあとは、海沿いを進みます。稲生沢川が海に注ぐところにはペリー艦隊の来航記念碑があり、ペリーさんの銅像が建っています。
下田港を廻る
東に須崎の半島を眺めながら穏やかな下田港を廻ります。この湾には小島がいくつかあり、海の色は澄んだブルー。景色が良く快適です。
下田海中水族館からの小径
下田海中水族館にやってくると、この水族館は海をそのままプールとして使っているようで、ちょうどイルカショーの時間だったらしく、豪快なイルカのジャンプを見ることができました。
水族館のすぐ先からは遊歩道と表示のある道に入ります。海の際に1m強ほどの細い道が続いています。海面が近くて気持ちいい。
大浜
下田港が開き相模湾になるあたりで海沿いの道は終わりとなり、少しの間国道を行きます。この国道は狭く、車の通りも多いので快適ではありませんが、ここばかりは迂回路がないので仕方ありません。
吉佐美で国道を離れ、大賀茂川沿いを南下し海岸に出ます。突き当りの海岸は地図では大浜とあります。きれいな海に僅かに風紋があるきれいな砂浜が広がっています。海の先にはかすかに伊豆大島が。
田牛へ向かう
大浜からは海岸線を南下して田牛(とうじ)へ向かいます。ここから穏やかな上りとなります。
小さな入江と須崎の半島
トンネルを抜けるとそこにも小さなきれいな浜が現れます。真っ青な海に白い波、先には1月なら見事な水仙が咲く爪木崎がある須崎の半島が見えています。
エメラルドの海
ここにはいくつものトンネルがあり、一つトンネルをくぐるごとに新しい入江が現れます。ここの海はエメラルド色!
サンドスキー場
いくつ目だったか、とあるトンネルの先にはサンドスキー場というのがありました。強い海風が砂を斜面に押し上げるのでしょうか。ここでは子供たちが橇を担いでは滑り、担いでは滑りと楽しそうです。
龍宮窟
サンドスキー場のすぐ先に竜宮公園、龍宮窟の看板があったのでどんなものかちょっと覗いてみました。道から階段をちょっと下りたところはトンネル状になっており、その先にこの景色が。大きな岩壁が波で浸食されたのか、その一部に穴が空き、そこから波がドドッーとなだれ込んできます。この波の入ってくるところの上部は四角くくり貫かれ、空が見えます。
田牛から盥岬へ
龍宮窟からは盥岬(たらいみさき)を目指します。盥岬へは田牛の集落を過ぎ、川を渡ってすぐ山側へ入って行くのですが、この入口が分かりにくく、海岸の道を終点まで行ってしまいました。ちょっと戻ってやり直し。
さて、その田牛から盥岬への道は誰も通らないひっそりとした道で、ちょっと気持ちいい。
盥岬へ続く道の終点付近
ちょっと山っぽいところを通り抜け、海が見えるとほどなく自転車で行ける道はおしまいになります。
三ヶ月の大洞と遠国島
この道の終点から海を眺めると、洞穴の空いた岩と小さな島が見えます。洞穴の空いた岩は三ヶ月の大洞、その前の小さな島は遠国島(おんごくじま)というらしい。
タライ岬歩道の担ぎ
車道の終点から盥岬までは『タライ岬歩道』を行きます。この遊歩道はここから盥岬を経て逢ヶ浜(おうのはま)まで2kmほど続きます。まずは階段の上りで自転車をちょっと担ぎ上げ。
タライ岬歩道を行く
その後はなんとか押して進めるようなところが7割、階段の担ぎが3割といったところ。森ではヤブ椿がたくさん赤い花をつけています。
海岸コースの木道
500mほどで逢ヶ浜方面と盥岬方面への分岐点に到着します。そこに自転車を停めて盥岬へ向かいます。岬へのルートは3つ、海岸コース、健脚コース、らくらくコースとあるので、行きは海岸コースを辿ることにしました。
『タライ岬歩道』はよく整備されており、海岸コースの前半は木道です。
海岸コースの岩場
その木道が終わると海岸に出ます。ここからはちょっとした岩場を行きます。
おっとっと、ここはちょっと足場が悪いのでおっこちないように気をつけて。
三ヶ月の大洞と遠くに須崎の半島
振り返れば遊歩道の起点にあった三ヶ月の大洞と遠くに須崎の半島が見えます。海の色は深いウルトラマリン。
盥岬にて
ちょっとよたよたしつつも最後の岩を上り盥岬に到着。岬からは180度海が見渡せます。東に須崎の半島、正面に灯台のある神子元島(みこもとしま)、その先に伊豆七島の利島(としま)や新島(にいじま)、西にはこれから行く石廊崎。
盥岬から弓ケ浜を望む
そして近くには逢ヶ浜のエビ穴と弓ケ浜の白い浜が見えます。
ウバメガシのトンネル
盥岬の眺めを堪能したあとはウバメガシのトンネルをくぐり、らくらくコースで自転車の置いてある分岐まで戻ります。
逢ヶ浜のエビ穴
分岐から階段で自転車を担ぎ下ろすと逢ヶ浜です。この浜はごろごろゴロタ石がたくさん。そして海からは雀岩や姑岩といったちょっとした岩が突き出しています。
弓ケ浜
ゴロタ石の海岸を越え、少し走ると今度は穏やかな砂浜の弓ケ浜です。この二つの海岸はほんのちょっとしか離れていないのに、まるで違う表情なのが面白いですね。
日野の菜の花畑と河津桜
弓ケ浜で昼食をとったあとは青野川を遡り、いよいよ本日のメインイベント、下賀茂の河津桜見物です。おっとその前に日野の菜の花畑がありました。
土手上にぽつぽつとピンクの河津桜、そしてその向こうに真黄色の菜の花がまさに満開です。
青野川の土手を行く
菜の花のにおいを嗅ぎ、桜のにおいを嗅ぎ、土手の上をルンルン!
青野川沿いの河津桜
しばらく行くと川の両側にびっしりとピンクの並木が見えてきました。河津桜も満開です。
河津桜の下で
青野川沿いの河津桜の最大の見どころは二条川との分流点付近です。進むにつれて桜の密度が高くなり、ついに桜のトンネルを通っているような状態になります。
青野川沿いの河津桜その二
河津桜では御本家の河津がもっとも有名ですが、そこは人の出もすごく、この時期は自転車ではとても進めないほどです。それに比べここは人の出もそれほどではなく、落ち着いた感じがいいように思います。
走雲峡ライン
最大の目的の河津桜を満喫し、次に向かうは石廊崎です。この日はお天気なので海岸沿いもきれいだと思いますが、まだ走ったことのない走雲峡ラインで山越えをして石廊崎へ向かうことにしました。この道の登り口では白梅が満開でした。
走雲峡ラインその二
走雲峡ラインは下賀茂と石廊崎を結ぶ山の中を通る道ですが、走雲峡なるものは見当たりませんでした。この道は山の中を行くので視界はありませんが、山とはいっても鬱蒼としものではなく、空が広く明るく、車が通らず走りやすい道です。ただしちょっと勾配はきつく8%ほどが続きます。
石廊崎漁港
上り切ったら170mを一気に下って石廊崎漁港に到着です。石廊崎へ向かうにはこの漁港から上るのと、かつてのジャングルパークがあったところから入るのと二通りの方法がありますが、漁港からのアクセスのほうが気持ちがいいように感じます。しかしこの先、遊歩道のようなタイルの舗装を進むと、激坂が待ってはいるのですが。。
石廊崎から西の岩場を見る
漁港が見えなくなり、ちょっと寂し気なところを通り抜けると、ジャングルパークからの少し広い道に出ます。その道を南へ進むと、小さな白い灯台が見え、右手にはゴツゴツした岩場の小さな半島が現れます。
石廊崎
灯台の脇から階段を少し下ると石廊崎の先端に到着。再びあのウルトラマリンのすばらしい深き青が現れます。
石廊崎から盥岬方面を望む
階段の下に一つ神社があり、その先に飛び出した岩の海側にもう一つ小さな社があります。この岩をぐるりと廻って、石廊崎からの眺めを楽しみます。北東を望めば、自転車を押し上げた盥岬、その先には須崎の半島がうっすらと見えます。
あいあい岬
石廊崎のあとは子浦の宿にまっしぐら。この区間は内陸を行くので海はほとんど見えません。石廊崎の西で唯一海が見えるのがあいあい岬で、ここはなかなかの景色です。
県道を行く
石廊崎から差田までは県道です。この道は石廊崎へ行く車くらいしか通らないので、交通量は少なく快適に走れます。ただしちょっとアップダウンが。
妻良港
差田で国道に入るとやや交通量が多くなりますが、走りにくいと感じるほどではありません。子浦へは差田からちょっと北上し、r119で下ることも考えられますが、時間が押していたので国道を使うことにしました。ここからもちょっとだけあへあへし、立岩のトンネルを抜けるとあとは下り。
眼下に妻良港が見え、その先にゆっくりと日が落ちて行きました。
河津桜に海の輝き、そしてアップダウンは伊豆に欠かせないもの。でももう一つ、それはやっぱり海の幸でしょう。金目鯛の刺身と鯵のたたきをつまみに、おいしいお酒。あ~、これぞ伊豆!