下田温泉を出る
今日は天草から島原半島に渡り、雲仙岳に上ります。
お天気は午後には晴れるとの予報ですが、 出発準備をしている時点では雨がパラパラと降っていました。しかし出発直後にその雨は止んでくれました。
今日のルート、鬼池港までは海岸道の一本道です。
前方に出島の富岡
走り出してすぐに、彼方にぼんやりと平べったい島のような半島のようなものが見えてきます。あれが出島状の富岡でしょう。
このコース、交通量がちょっと心配だったのですが、まだ朝早めの時間帯だからか、あまり車は通らず快適です。
妙見神社
4kmほど進むと道端に小さな妙見神社が建っています。
この社の後ろの岩場から、細い一筋の水が落ちています。これが妙見の滝だとこの時は思ったのですが、その滝はどうやらもう少し山側に入ったところにあるようです。
銀色の天草灘を横目に進む
昨日は目が覚めるようなエメラルドだった海も、今は僅かな青みを残すものの、銀色に見えます。
前方には高い煙突と四角い箱のようなものが見えています。
苓北発電所
その煙突と四角い箱までやってきて、それが火力発電所であることがわかりました。
東日本大震災による福島第一原子力発電所の炉心溶融、大量の放射性物質放出という大事故で発電所に対する見方も少々変わることになり、ちょっと複雑な思いでこの建物の脇を通ります。
苓北発電所付近から富岡方面を望む
雲が明るくなってきて、海の色にあのエメラルドが少し戻ってきました。そして富岡の出っ張りも徐々に大きくなってきます。
カントリーロードを行く
苓北発電所の北で国道を離れ、カントリーロードに入ります。
この道は民家の間を通り、緑の畑の中を抜けて進みます。後ろには連なる山並みが。
富岡東岸の遊歩道を行く
カントリーロードから富岡の旧道に入り、再び海岸に戻ると、松の小さな防風林の海側に遊歩道が設えられています。 このあたりはちょうど出島の首のあたりです。
辿ってきた海岸線
ここでやってきた方角を振り返れば、青みを取り戻した海の彼方に、低い山がどこまでも続いているのが見えます。昨日今日とあの先端から海岸線を辿り、ここまでやって来たのです。
富岡の先端に向かう
出島の首から頭に入ると、そこからは上り。
ちょっとした竹薮などがあり、少し寂し気な道になります。
四季咲岬の灯台に案内してくれた子供たち
この道を少し進むと、富岡の先っちょにある四季咲岬に到着です。
この岬の車道の終点はちょっとした公園として整備されていますが、大したものはありません。ただひっそりとした空間があるだけです。
そこで遊んでいた近くの子供たちが展望台に案内してくれました。この子供たちはとても礼儀正しく、敬語を使って見知らぬ旅人を導いてくれます。
車道終点から徒歩で一段登ると展望ゾーンがあり、長崎半島方面への眺望が得られます。
うっすらと雲仙岳
そしてさらに奥へ進むと小さな灯台。
そこから北西を望めば、先きにうっすらと雲仙岳が。これからあそこの中腹にある雲仙温泉まで上るのです。
四季咲岬から富岡港へ
始めて目にした雲仙岳を目に焼き付け、私たちを灯台まで案内してくれた子供たちに別れを告げ、四季咲岬を後にします。
四季咲岬からは富岡港へ向かいます。民家の庭先でのどかに泳ぐ鯉のぼりの先に雲仙岳。
山の上に富岡城址公園
ちょっとしたアップダウンをこなし、底部に来たら正面の山の上に富岡城址公園が現れました。これは天草四郎らの一揆軍が攻め落とせなかった富岡城の跡に建てられた、ビジターセンターのようです。
『寄る~?』 と聞くサイダーに、
『いや、いい! 今日は雲仙に上らなくちゃあならないからね。』 と、すかざず答えるケロガメ。ケロガメは雲仙のために足を溜めておきたいのでした。
富岡湾の遊歩道
富岡港でバス移動してきたサリーナが合流。浜辺で楽しそうに遊ぶ子供たちを横目に、海沿いの遊歩道を行きます。
富岡からは通詞島を目指します。
通詞島と雲仙岳
海の中に平たい島が見えてきたと思ったら、それが通詞島でした。島の左端には白い風車、そして島の後ろにはあの雲仙岳がぼんやりと見えています。
ケロガメ、通詞島、愛宕山、雲仙岳
通詞島と雲仙岳の間にお椀を伏せたような山が見えます。
それは地図で見ると愛宕山のようです。あそこからの眺めは良さそうですね。雲仙岳へは、あの愛宕山をぐるっと廻ってから上るようです。
南国っぽい街路樹
先に見える雲仙岳を目掛けて走れば、南国っぽい街路樹が現れ、その先に通詞島へ渡る通詞大橋が見えてきました。
通詞島大橋と愛宕山そして雲仙岳がきれいに並んで見えます。愛宕山の右手に見えるのは鳳上岳でしょう。(TOP写真参照)
エメラルドの海と通詞島
透き通る海の色はエメラルド。黒い浮きがたくさん並んでいるのは真珠貝の養殖場でしょうか。
通詞島を行く
通詞大橋を渡り通詞島に入ります。
この通詞島と本島の間の水道はもの凄い潮の流れで、潮目があちこちでざわめいています。そんなところだからか、この水道にはエンジンをかけながら一カ所に留まり漁をする船があちこちに見られます。
またこのあたりは今でも素潜り漁が盛んで、素潜りといえば大抵は海女ですが、ここには男の素潜り漁をする方がたくさんいるとか。天日干しの製塩もされているようで、そうした看板をいくつか見かけました。
通詞島東端から島原半島を望む
島の南岸を進み、東端から坂を上って尾根を通る道に出ました。そこには畑の先に海が広がるすばらしい景色があります。
イルカウォッチングの船
近くの海面にボートがたくさん集まっているところがあります。最初は漁船だと思ったのですが、どうも様子がおかしい。よくよく見れば、それらはイルカウォッチングのための船のようです。通詞島の沖合にはイルカが生息していて、このイルカウォッチングが人気だそうです。
通詞島の風車と畑
イルカウォッチング船をしばらくウォッチングして、尾根道を進みます。
ここには人は誰もおらずのどかの一言。島の西側になるとようやく民家が現れ、その軒先をかすめて海におっこちます。
鬼池港へダッシュ
のどかな通詞島をウォッチングしたあとは、鬼池港へダッシュ。急げば予定より一本早いフェリーに乗れそうだからです。
宝石色の海と雲仙
走るにつれ、雲仙の山々はその位置を変えて行きます。雲仙岳に重なっていた愛宕山はずっと左により、別の山が雲仙岳の前を塞いでいます。
海にはあの宝石、エメラルドが帰ってきたよう。
天草を後に
鬼池港にはフェリーの出港時刻5分前に到着。滑り込むようにして乗り込みました。
これで熊本とも天草ともお別れです。フェリーから見た天草諸島はとても長かった。あの左の端から右の端まで走ったんだとは、自分でもにわかには信じられませんでした。
愛宕山を上る
30分ほどでフェリーは、長崎は島原半島の口之津港に到着します。港のすぐ近くで昼食を済ませ、いざ雲仙岳アタック!
口之津港からはR324一本道。このルートは小浜や島原から上るのに比べ距離は長いものの、その分勾配が緩く上りやすいはず。
しかし先頭サイダーはあらぬ方向へ走り出します。港付近は交通量が多そうなのでR324を避け、愛宕山の中腹を廻ることにしたんだそうな。でもたぶんこれは言い訳で、天草から見た愛宕山が良さそうだったから上ることにしたんじゃあないかって、疑っているんですが。
愛宕山の南を廻る
いきなり100mまでの上りでヘコヘコ。
しかしこの道は素晴らしかった。100mの高みから輝く天草灘を見下ろし、南には先ほどまでいた天草下島、西には長崎半島が見えるのです。
『上った甲斐があった。ここはすばらしい!』 と賞賛のジークとケロガメ。
R324の裏道を行く
愛宕山の周回路はそのまま雲仙への上り道には続かず、一旦下り、山の北でR324に合流します。このあとはすぐにR324に平行する裏道に入ります。
この道は山の裾野を行く細~い道でちょっとワイルド。でも一応舗装されていますよ。
R324を上る
ワイルドロードからR324に出ると、いよいよ雲仙岳への本格的な上りに。
先行するジーク、ゆっくり後を追うケロガメとサリーナ。足元にはよく手入れされたジャガイモ畑。右手は落ち込んでいて、山の合間から島原湾が見え、その先に宇土半島から大矢野島あたりがかすかに見えます。
諏訪池の脇を行く
勾配が穏やかになり一旦踊り場に出てから再び上り。
これまで勾配は5%ほどでしたが、ここから少し勾配がきつくなり8%ほどのところが出てきます。その道もいつしか下りになり、諏訪池の畔に到着。交差点にある自販機で冷たい飲物を買い、一休みです。
諏訪池の側は木立でほとんど視界がありませんが、ここは穏やかな下りで気持ちのいい道です。
上るケロガメ
諏訪池を過ぎると再び上りに。
正面に山が見え出しました。高岩山あたりでしょうか。右手のやや後方には愛宕山の隣の鳳上岳らしい山も。その向こうには島原湾、そして天草が見えています。
ここは長い一定勾配の上りで、かなりヘコヘコです。
夕日の丘から長崎方面を望む
針葉樹の間を抜け、左手が牧草地のように開けると、正面に再び高岩山が現れます。右手の木々が途切れると、そこに『エコパーク論所原』という建物が現れました。ここはキャンプ場や農園を持つ施設のセンターハウスで、カフェがあったのでアイスクリーム休憩です。
道の向かい側には『夕日の丘』があり、長崎方面への展望があります。ここから見る橘湾は銀色に輝いていました。
ここでまったりしてしまったので、ちょっと時間超過です。これ以上ゆったりとはしていられません。ここの標高は460mで、まだ雲仙温泉までの2/3しか上っていないのですから。
雲仙岳現る
『夕日の丘』を走り出すとすぐに道は平らになり、須川から上ってくる道と合流します。しかしまたすぐに上りとなり、いくつかのヘアピンカーブをくねくねと上って行きます。このヘアピンが最後の難所です。
ヘアピンを過ぎるとほどなく、小浜から上ってくるR57に合流。道巾が広がり勾配が穏やかになって、雲仙温泉が近いことを教えてくれます。そしてついに雲仙岳が姿を現します。
雲仙地獄
ここから雲仙温泉はすぐです。雲仙岳が見えなくなると、もくもく湯煙を上げる雲仙温泉に到着。
雲仙地獄から引かれた源泉の露天風呂に浸かり、天草からここまでの汗を流しました。
なになに、今宵は島原名物の具雑煮だって。