高麗川の土手を行く
都心から東武東上線で小一時間の坂戸駅から高麗川(こまがわ)に出れば、そこには都会の喧噪を忘れさせてくれるような素敵な土手が延びています。
若宮橋
その土手をしばらく進み、住宅地が終わったところで川に向かう小径に入れば、その先にはこんな橋が現れます。木造の沈下橋、若宮橋です。
『え~、これ渡るんですか? きゃ~こわい~~』 と前回に続いて参加のムっちゃんはブリッ子?
ごろごろ、ガタゴトと音をたてて渡るこの橋は雰囲気抜群ですよ。
葛川沿いを行く
高麗川の次は葛川です。この川は川というより用水路のように見えます。おそらく農業用の目的で引かれたものでしょう。
その葛川沿いの小径は車が通らないので快適です。道脇の田んぼには刈り取られた稲が天日干しされていました。そして土手には真っ赤な彼岸花。
葛川のコスモスと奥武蔵の山並み
コスモスも満開です。
その遥か彼方には奥武蔵の山並みが続いています。今日はこれからあのどこかの山の尾根に上るのです。
毛呂山の畑道
快適な葛川沿いの小径から東武越生線の線路を渡り、JR八高線の線路を目指して走れば、あれれ。。道はこんもりした林の中から砂利道になり、のどかな畑の中を抜けて行きます。
『こんな道もちょっといいかも~』 とかっこいいバイクフライデーに乗る初参加のカンちゃんは、このダートにもめげずガシガシ進みます。
しかしこの地道はほんの少しで、すぐに舗装路になります。
JR八高線毛呂駅
住宅の庭先をかすめ畑の中を突っ切って進めば、いつしかJR八高線の踏切りに出、毛呂駅に到着。この駅は小さな木造の駅舎でかわいらしい。
今日のコースはこの先、街らしい街はないのでここで小休止、準備を整えます。
毛呂から桂木に向かう
毛呂の街を出るとすぐ、行く手に小さな桂木の集落がある山が現れます。これからあの山を越えて大満に抜けるのです。
道端では黄色いコスモスが満開。左手にはきれいな小川の流れが。
穏やかな上り
先の山が見え出すと道は穏やかな上りになります。道脇にはここにも真っ赤な彼岸花。その先は柚子の畑で、この時はちょうどその実を取っているところのようで、いい匂いがしていました。
その柚子の畑が終わる頃、道の勾配は上昇し、ヘアピンを描いて上って行きます。ここはちょっとアヘアヘ。
チューナツ
『今のうねうね上り、きつかったです~ こんな上りははじめて~』
と、なぜか余裕で笑顔のチューナツ。このあと、この新人の怪物ぶりが発揮されることになるとは、この時はまだ誰も予想していなかったのですが。
ケンちゃん
『あがってきましたね~、いい眺めですね~』
とは初参加のケンちゃん。8速で重いギアしかありませんが、まだまだ余裕です。
眺めの良いところに出て平坦になり、もう上りは終わりかと思われしも、その先で道は再び上りに。これにはみんなショック!
桂木のPeak付近
桂木の小さな集落の脇を抜けて道はいい感じで木々の間を上って行きます。小さなカーブを三つほど廻ると道は下り出しました。どうやらここがピークのようです。
『やっと着いた~ きつかったゼーゼー』
と喘ぐサイダーの後ろを、ムっちゃんはぴったりマーク。
蕎麦玄家
桂木のピークで小休止したあとは大満まで豪快な下り。ここは気持ちのいい下りなのですが、あっという間で写真撮るのを忘れた。
この下りが終わる直前にあるそば屋さんで昼食。おろしそば、おいしいです。
大満から龍ガ谷に向かう
午後の部はまず大満から龍ガ谷(たつがや)を経て奥武蔵グリーンラインまで上ります。
地方道61号から西に向かうと、行く手にはいくつもの山が折り重なって見えます。奥武蔵グリーンラインはあの上のどこかを走っているのです。
龍穏寺付近
道はすぐに穏やかな上りになります。徐々に山間が狭くなり、道が急に狭くなると、
龍穏寺
龍穏寺に到着です。このお寺はたいへん由緒あるお寺のようで、針葉樹林の中にある山門はなかなかいい雰囲気です。
龍穏寺からの上り
龍穏寺からも上りは続きます。最初の方の勾配は緩く、みんな並んで進みます。左手には龍ガ谷川のきれいな流れが見えます。
ここでハイカーを追い越しましたが、実はこのあとすぐに抜き返されてしまうことに。ハイカーって速い。いえいえ、私たちが遅いだけか。
針葉樹林を駆け上る
視界がぐっと狭まり道が薄暗い針葉樹林の中に消えて行くと、いよいよ本格的な上りになります。この道が林道梅本線です。少し前まで一部にダート区間がありましたが現在はきれいにアスファルト舗装されています。
ここでいきなりチューナツがダッシュ。あっというまに林の中に消えて行ってしまうのでした。実はこれはチューナツがダッシュしたからではなく、他のメンバーのスピードがガクンと落ちただけなのです。しかしチューナツ、重いバイクなのに、す、すごい!
へろへろそろい踏み
あまりの急勾配に戦闘意欲を早くも失うメンバーが続出。
『押しても乗ってもあんまり速度かわんないしね~』 とはロードバイクで参戦のタカちゃん。ん~ん、確かにね。
ヘアピンを廻る
ゆっくりゆっくり上り、徐々に高度を上げて行きます。針葉樹の間に広葉樹が混じるようになるとそれまで薄暗かった道にも光が届くようになります。
しかし勾配は相変わらずきつい。このヘアピンは12%超え!
どこまでも続く上り
龍穏寺から奥武蔵グリーンラインまでは5.8kmで高度差540m、平均斜度9.3%! とかなりのものです。
救いはダウンがまったくなく、ほぼ一定の勾配なのでリズムを掴みやすいことでしょうか。
野末張見晴台より
前半はまず谷を奥へ進み、それから尾根に上りだします。この前半は静かな森の中という感じで、眺望はまったくありません。後半、尾根に出てからは勾配がやや穏やかになり、空も広くなります。
広葉樹が多くなり周囲が明るくなってきたと思ったら、パッと空が開け、野末張(のすばり)見晴台に辿り着きました。ここからは北に眺望が開け、たくさん山が折り重なっているのが見えます。ここでもあのハイカーさんたちといっしょに。(笑)
尾根を進む
この見晴台に辿り着けば奥武蔵グリーンラインまではあと一息です。しかしこの尾根道、若干勾配が緩くなったとはいえ、この先もずっと上り続けます。あぁしんどい!
樹間から東側の眺望がちらっと覗き、這い上ってきた龍ガ谷の谷が見えればそのすぐ先に、待望の奥武蔵グリーンライン!!
龍穏寺を出て一時間半、へろへろ~と、やっとこさっとこ全員無事になんとか奥武蔵グリーンラインに辿り着きました。時速3.8kmですから、確かに歩いて上っても同じですねぇ~(笑)
奥武蔵グリーンライン
林道梅本線が奥武蔵グリーンラインに出たところは若干道が広がっていますが、それ以外はここまでと大きな変わりはなく、眺望もありません。しかしここからは主稜を走ることになり、きびしい上りはなくなります。
奥武蔵グリーンラインを北西に向かい、まず飯盛峠を目指します。
『やっぱり上りよりフラットがいいよね~』
とロードバイクのタカちゃんが牽き、重いギアを踏んでケンちゃんがそれに続きます。
飯盛峠へ?
道端に『飯盛峠→』の標識が。なんとその矢印は山の中を向いています。山ガールのチューナツだったか、誰かが『いこ、いこ!』と言うので、このハイキング路に突入。
しかしこのルート、特に眺望はなし、そして登って下って奥武蔵グリーンラインに出てしまうのでした。あれれれ。どうやらさきほどの標識はハイカーのためのものだったようです。やってきた道を引き返してやり直しです。
『え~、飯盛峠って、ここからまだまだ上るの~』
と心配そうに聞くのはムっちゃん。
飯盛峠へ
いえいえ、奥武蔵グリーンラインには峠と名の付くところが何カ所もありますが、それらは谷や枝尾根から上ってくる道から見た峠なので、奥武蔵グリーンラインを走ればその場所が峠になるわけではありませんから安心を。
『そんならおいらがいくぜ!』
とここまで影を潜めていたムカエルが牽き、サリーナが続く。
飯盛峠
しかしやっぱりこの先にも上りはあるのでした。(笑)
アセアセと一漕ぎし、なんとか飯盛峠に到着。
『やった~、峠だ~』
と、ここでほっと一息付きます。峠じゃないってばよ。いえ、峠には違いござらぬ。
飯盛峠からぶな峠へ
飯盛峠の次に峠と名が付くのはぶな峠です。
この間にも穏やかながらアップダウンが。つまり奥武蔵グリーンラインには平坦なところがないってことですね。
ぶな峠
ここの『ぶな』は木辺に義、ん~ん、むずかしいね。というわけで読めた人だけ記念撮影?
ぶな峠からのダート道
峠だからここに上ってくる道があるのです。それはこんな素敵なダートの道で、このぶな峠から北に延び日向根へと続いて行きます。
このダート道を進みたい人は若干一名、他はみんな却下ということで奥武蔵グリーンラインをそのまま進むことにします。
ぶな峠から刈場坂峠へ
ぶな峠からもアップダウン、アップダウン。
『お~いサイダー、グリーンラインに上りはないっていったじゃないか!』 と、怒り爆発寸前のサリーナ。
『いえいえ、そんなこといっとらへん。厳しい上りはないっていったんよ。この先の刈場坂峠に茶屋があるからそこで休憩にしましょ。』 と焦るサイダー。
周囲の木々がきれいなモミジになると刈場坂峠です。
刈場坂峠
しかしそこに茶屋はなかった! が~ん。。。
ショックを隠せない皆々はここでへた~っとなってしまうのでした。
刈場坂峠から北を臨む
ごめん。この眺望で許して。
刈場坂峠から大野峠へ
気を取り直して刈場坂峠から大野峠に向かいます。
茶屋で味噌田楽にありつけなかったにもかかわらずまだまだ元気なチューナツ、そして怒りを通り越してあきれ顔のサリーナが行く。
大野峠からの下り
大野峠は今回の最高標高地点で850m。よく上りました。なんとか全員無事にここまで辿り着くことができました。ここからは待望の下りです。気温もずいぶん下がり11度とちょっと寒くなってきたので、上着を着込んで下りに備えます。
バイクフライデーにびしっときめたスタイルのカンちゃんが豪快に下り出します。
剣ガ峰駐車場のパラグライダー
しかしその下りも高篠峠で終わり、白石峠まではちょっとした上り返しがあります。
『え~ぇ、もう下りだけじゃあないのぉ~』 と後ろの方でわめく声が。
白石峠から天文台方面に少し上ったところにある剣ガ峰の駐車場ではパラグライダーの離陸が見られるので、これを見物に向かいます。ということで白石峠からもさらなる上り!
一漕ぎして駐車場に辿り着くと、ちょうど真っ赤なグライダーが一機ス~ッと飛び立って行きました。気持ち良さそ~
ガレたダート
剣ガ峰の駐車場の先からは、七重に抜けられるダートの下りがあるのでちょっと覗いてみました。しかしここはこの前の台風12号の影響でか、ガレガレでとても下りられそうにありません。
止むなく白石峠まで引き返し、地方道172号線で大野に下ることにします。
172号線の下り
この172号線の下りは豪快!
ぐわ~ん、ぐわ~んと大きなカーブを切って下り続けます。右手には都幾川の谷が開け、眺めもすばらしい。でも時々ヘアピンもあるから気をつけてね。
赤木七重線
大野からは七重川に沿って上る林道赤木七重線に入ります。
針葉樹林の中を進むこの道は本当にひっそりしていてすばらしく快適です。が、ここも上り!
『お~い、もうかんべんしてぇ~』 という声が聞こえたような。。
七重から堂平山を臨む
七重川に架かる雰囲気のいい『かみかわはし』を渡り少し行くと空が開け、さっきまでいた白石峠、堂平山方面が臨めるようになります。あの上から一気に下ってきたのですね。
畑とも野原ともつかぬ緑の平原には真っ赤な彼岸花が満開です。
彼岸花
この彼岸花を眺めてから、白石峠から下ってくる林道との合流点の先にある七重の休憩所で一休みしつつ後続を待ちます。しかしなぜか数名はなかなかやってきません。どうしたのかと見に行くと、誰かさんが動けないといいます。最初は上りがきつくてかと思いましたがどうもそうではなさそう。
『目の前がまっくら~~』
ガス欠、ハンガーノックです。今日はちょっとハードなコースで、大野からの最後の上りで一気に低血糖状態になったようです。こうなるともうフラフラで、エネルギーを補給しないことには絶対に動けません。
『サイダーが悪い! 峠の茶屋がなかったから味噌田楽食えなかったじゃないか。』
いや~、ごめんごめん。自分の意識とは関係なくこまめに栄養補給しないと、突然ガックリとハンガーノックになってしまうことがあるのです。ここでみんなが持っている補給食を出し合い、なんとかピンチを脱しました。
七重の休憩所からすぐ先で上りは終わり、今度こそ正真正銘、上りのない下りです。赤木に抜けるこの林道赤木七重線は山の中を行く素敵な道なのですが、暗くなってしまったので写真はなし。慎重に下ってなんとか無事、小川町駅に辿り着くことができました。いや~、大事に至らなくてよかったよ。ホッ。
ちなみにハンガーノック対策の補給物にはドライフルーツがお薦めですよ。
もちろんこの後誰かさんは、駅前の焼肉屋でもりもりと肉をむさぼり食うのでした。(笑)