宇奈月温泉を出る
今日は黒部峡谷の入口の宇奈月から、立山黒部アルペンルートの入口の立山まで。平坦なところはなく、上りか下りだけのコースです。
宇奈月温泉で朝風呂を浴びた後、まずは黒部へ高度差200mほどの下りです。昨日この温泉街までは黒部川の左岸を辿りましたが、走りたかった右岸もどうやら通れそうなので、温泉街の外れでその右岸へ渡ります。
立山連峰の山々を後に
右岸の道は快適な下り。後ろには黒部川左岸に続く立山連峰の山々が飛び去って行きます。
スノーシェルターを潜り抜け、ちょっとレトロな水路橋を見上げつつ小さな橋を渡り、音沢発電所を下に見て進めば、すぐに愛本発電所に到着です。
愛本橋付近から黒部川下流を望む
愛本発電所の先で新緑に覆われた小さな坂を上ると、その先には黒部川扇状地が広がっています。
とても急勾配だという黒部川もここまでくれば、穏やかなゆっくりした流れになります。
カントリーロードを行く
愛本橋で黒部川を離れ、ローカルな富山地方鉄道本線の線路に沿って西へ向かいます。
ここからは1~2%というわずかな下りとなります。
カントリーロードをルンルン行くムカエル、サリーナ、ジーク。
後立山連峰の山々
周囲は畑から水が張られた田んぼ、そして水路脇と快適な道が続きます。
その後方には後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)の山々が。
ん~ん、山の名前が分からないのが残念。。
田んぼと後立山連峰
道が徐々に向きを変えると、後立山連峰は左手の田んぼのにその姿を映すようになります。
立山連峰現る
黒部でR8に出ると本日の第一部が終了。下り基調だった道もおしまいとなり、ほんの少しの間平地を行きます。
ここまで来ると後立山連峰は手前の山に隠れて見えなくなりますが、今度は左前方に立山連峰がその姿を現します。
出発地の宇奈月はあの立山連峰の裾野でもあったわけですが、そこは山に近すぎて立山の頂は見えませんでした。
先に見えるあの一番高い山が立山でしょうか。
布施川を渡るサイダー
布施川、片貝川と越え、角川に辿り着きます。
ここから第二部の始まりで、r33でその上流にある角川ダムを目指します。
さくらんぼ畑の真っ白な花は満開。
只今田植えの準備中
周辺はほとんどが田んぼですが田植えはまだのようで、ここは水が張られ、只今その準備中。
周囲は徐々に山に
北陸自動車道の高架を潜ると、開けていた右手の田んぼが山に押し寄せられ、徐々に視界が狭くなります。
このころにははっきりと道が上りであることが意識させられます。
鹿熊からの上り
鹿熊といういかにも山奥にふさわしい名の集落の外れで、道は急な上りとなりました。
ここをえっちらおっちらと上り、ヘアピンカーブを抜けると角川が下に見えます。
新緑の間に角川ダム
さらに一漕ぎすれば、素晴らしい新緑の間に角川ダムは現れます。
ダムの畔で一休みした後、その後ろの小さなダム湖の周囲をぐるりと廻り、対岸にある白倉トンネルに入ります。
このトンネルを抜けると早月川の筋に出、道はr67宇奈月大沢野線。ちょっと埃っぽいな、と思ったら先には砂利採掘場がありました。
蓑輪のダム
ある地図ではこの先には冬期通行止めマークがあるので、道端の田んぼで農作業中の方に、この先向かう下田から山越えする道が通れるかどうか聞いてみました。 しかし、この先は行ったことなないので良くわからないといいます。確かにこの先には大した集落もないので、自分の田畑でもない限り行くことはないのでしょう。
仕方がないのでとにかく現地に向かうことにします。
道は相変わらず穏やかに上り続け、蓑輪の小さなダムに到着。
蓑輪からさらに早月川を遡る
このダムの先から普通の方が乗った車がやってきます。この先には伊折の集落があるのでそこからやってきたのでしょうか。
周辺に雪はないし、とにかくしばらくはこの先も進めるとわかり、前進を続けます。
なぜか道はここまでより立派な二車線に。
大日岳?
しかし、滑川市から上市町に入るとこの道は急に細くなり、ついにダートに。
脇に再び採石場が現れると道は舗装になり、その先には立山連峰の大日岳と奥大日岳と思われる山が現れます。
折戸への上り
その白い山々を目掛けて行くと、下田で右手の山側から下りてくる道と出合います。地図にはr46とあるこの道はr67宇奈月大沢野線でもあり、凄まじい角度で上って行きます。しかし尾根の向こう側の稲村に抜けるにはこれを使うしかありません。
この道が抜けられるかどうかが今日の第一関門なのです。上り出すとすぐに上から一台の車が下りてきました。すぐ上にある折戸の集落からでなければ、稲村方面からこの車は来たことになります。
通り抜けられる望みが出てきました。
新緑と桜と立山連峰
この上りの途中からは下で見えた山々に加え、さらに奥の峰が現れます。
劔御前あたりでしょうか。
手前の新緑と桜が、白い山々に彩りを加えています。
上市川ダムへ下る
喘ぎつつ通過した折戸の集落は、人が住んでいるのかいないのかわからないほど、ひっそりとしていました。
その少し先で道は本日第二部のピークに達し、小さなトンネルを抜けて下り出します。これでこの道は確実に稲村までは行けることになりました。
快適な下りの途中、稲村で民家の裏を廻るようにして上市川ダムへ下る抜け道に入ります。
上市川ダム湖
下り切ったところに現れた上市川ダムによる湖はちょっと神秘的な色をしていて、いい雰囲気です。
写真には映りませんでしたが、あの山の上には大日岳らしき白い山も。
ごつごつした素掘りのトンネル
上市川ダムが作るダム湖の北岸を廻り、湖の端っこでトンネルに入るとそれは素掘りで、ごつごつした荒々しい地肌が剥き出し。
豪快なノミの跡に見とれながらゆっくりこのトンネルを抜けると、その先には本日の第三部が待っていました。
東種への上り
狭い谷間の中に田畑になったちょっとした空間が開けると、道はその中を東種の集落へと上って行きます。
この段々田んぼの隅っこで足を痛めたカモシカくんを発見。
自然の中で生きるって、大変なんですね。
東種の集落
後ろ足を引きずりながらヨタヨタとどこかへ去って行くカモシカくんを見送った後、東種の集落に入ります。
集落の中を突き抜ける道はもの凄い勾配で上っています。
西種の集落
東種を抜け隣の西種に入れば、そこには15%という超激坂が。
ここは戦意喪失で押す者が続出。
足を止めたのをきっかけに村人に、ここから目指す大岩の日石寺までの道の様子を聞いてみると、まだ結構あるよ、とのこと。距離はともかく、これで大岩に抜けられるという確証を持つことが出来ました。
西種からも超激坂を行く
西種の集落を抜けてもこの超激坂は収まりません。
針葉樹林の中を、押しが続きます。
骨原近くのジーク
この林を抜け、周囲が田んぼになり数軒だけの骨原の集落が見え出すと、ようやく道の勾配が緩みます。
ここでひとまず一服。
大岩への下り
しかし、その後も針葉樹林の中の上りは続くのでした。
1kmほど喘ぐと切り通しの峠に到着し、大岩への下りとなります。
この道は特に眺望もなく、これといった楽しみはないのですが、そのうち道脇に小川が流れるようになり、サラサラという水音を聞きながら下るようになります。
しかしこの下りはここまでの上りを遥かに上回る超超激坂。反対側からは絶対に上れないと思われるものです。
大岩山日石寺付近の大岩川と新緑
針葉樹が広葉樹に変わり、周辺に緑の光が差し込むようになると道は20%もあろうかという下りとなり、ブレキーレバーを握る手がパンクしそう。
下には大岩川のせせらぎ。
大岩山日石寺門前
この緑を抜けると大岩山日石寺の門前です。
その門前の食堂群には『そうめん』の看板が。
どうやらここはそうめんが有名らしいと、その一つでにゅうめんの昼食となりました。
日石寺の不動明王像
この食堂には大勢の観光客がおり、駐車場には大型観光バスもやってきます。
良く調べてみると日石寺は北陸一の霊場とされ、磨崖仏、石仏でも有名で、これらは国の重要文化財、史跡に指定されています。
百段坂という長い階段を上ると飲食店を兼ねた旅館が5~6軒あり、その奥にお不動さんがあります。
その本堂には石で出来た不動明王像が。
大観峯自然公園キャンプ場への上り
大岩からは第四部の始まりです。
本日三つ目の山越えで、大観峯自然公園キャンプ場を目指します。
桧ノ谷へ向かう道から分岐した細い道は、これも激坂。
視界はあまりないものの、清々しい新緑の中に時々紫色のツツジが咲き、なかなか雰囲気の良い道なのですが、ここはただペダルを回すだけで精一杯。
開けた視界
小さな切り通しがあり、やっと頂上に着いたか、と思えばそれはフェイントで、周囲は広葉樹から針葉樹へと変わり、その中を道はまだまだ上り続けるのでした。
地図に常楽園とあるあたりを通過しますが、特にこれといった施設はなし。常楽園ってなんなのでしょう?
ここまで何度かフェイントを食らいますが、やっと本当の頂上に達したようで、この先で僅かながら視界が開けます。
細い県道、広い林道
しかし道が下り出すとすぐ、この眺望はなくなり木々の合間を進みます。
行く手で道が交わっています。私たちの進んでいる道は狭く、そこを斜めに突っ切っている道は3倍ほどの幅員がありそうです。
私たちが進んでいる細い道はこれでも県道で、広い道はどうやら林道のよう。ちょっと妙ですね。
虫谷の集落
激坂上りと激坂下りが終わり、ようやく虫谷の集落に下り、谷口で富山平野に出ました。
これで本日の第四部終了、ここまでなんとか三つの峠を越えることができました。
ここからは常願寺川の上流にある本日の終着点立山山麓スキー場を目指します。しかしここから20kmはずっと上り。
再び立山連峰現る
今日は立山連峰の真北あたりから出発しましたが、ぐるりと廻って、今はその西側にいます。
左手に、今日何度目かの立山連峰が姿を現します。
立山連峰の大日岳
あの先の尖ったどっしりした山は、おそらく西に飛び出した尾根の端にある大日岳でしょう。
しかし確証を持てないので、たまたま出合った方に聞けば分からないといいます。これまで何度も山の名を聞いてきましたが、なぜかこのあたりの方々は山の名を知らない。山はただ山、それだけなのでしょうか?
立山連峰の山々
次ぎに出合った方には、あそこに立山は見えるのでしょうか、と聞いてみました。
すると、立山という山はなく、一般的に立山という場合は立山連峰の総称、または連峰中の最高峰を指すとのこと。これには全員、え~っ、と驚きの声。実はこの事実を私たちは知らなかったのでした。
ではその最高峰の名は、と尋ねると、あ~、なんだっけな~・・・
r6富山立山公園線から立山駅方向を望む
この方は立山が望めるグリーンパーク吉峰というビューポイントを教えてくださいました。
道なりに行けば運良くそのグリーンパーク吉峰には辿り着いたものの、ビューポイントとして教わった展望台は丘の上。もう三つも峠越えをしてきた私たちはそこまで上る元気はなく、ここは残念ながらパスと相成りました。
このグリーンパーク吉峰を出ると、富山地方鉄道立山線の岩峅寺駅の近くに出ます。ここいらで上がって電車で輪行というのがジオポタの大抵のパターンなのですが、なぜかこの日は誰も輪行しようと言い出しません。
千垣駅付近から立山連峰を望む
道はr6富山立山公園線となり、常願寺川に沿って立山を目指して上ります。
徐々に谷が狭まり、山の中へ突入。
この上りは5%程度なのでまずまず上って行きますが、車が少々多い。
大日岳と奥大日岳
千垣駅の先で常願寺川の左岸に渡ります。その芳見橋からは大日岳と奥大日岳がくっきり。
左岸の道になると車はほとんど通らず快適なのですが、本宮駅を過ぎると最後の試練が待っていました。平均斜度10%の激坂が続き、もうへとへと。
ジャンプ台があるスキー場が見えると勾配は落ち着き、やっとこさっとこ本日の宿に到着しました。
いや~、最後がきつかった!
今日は黒部峡谷から立山の入口まででしたが、明日はいよいよ立山黒部アルペンルートでその立山を越え、黒部峡谷の上流にある黒部ダムから長野側に下ります。どんな世界が待っているのか、今から楽しみです。
◆ひとこと by ジーク
2001年GWの「紀伊半島周遊」に初参加して以来GW企画には毎年欠かさず参加させてもらっていて今年で12年目! 普段はのんびり一人でポタっているので、こんなに速いスピードで何日も走り続けるのは年に一度のこのGW企画だけなのですが、今年のGWはまさにGW! 満開の桜と新緑と真っ白な残雪に感動連続の「北アルプス」でした。
相変わらず若きサイダー&サリーナ、さらに若いムカエルと一緒に走るのは最年長のジークにとっていささか過酷で、事前に調べたところでは3 日目など上りの合計が1400mを超えていて、これまで経験したことのないレベルだったけれど、『軽量の自転車』のお陰でほとんど筋肉痛もなく最終地点の白馬まで辿り着くことができ、大いなる達成感を得ることができました。
『軽量の自転車』・・・我が愛車、オリジナルの重量が6.5kgの"Traincle 6500"で初めて参加したのは2008年GWの「四万十川」でしたが、この時はシングルギア(1×1)の悲しさで平地走行に置いてきぼり、そこで多段化 (1×9)して2009年と2010年のGWはうまくいったのですが、昨年2011年GWの「天草・雲仙・島原」のきつい上りにはさすがにギブアップ、そのため更なる多段化(2×9)をして臨んだ今回の「北アルプス」でしたが、更なる多段化が奏功して無事完走することができました。
それにしても今回のコースを実際に走ってみて、よくまあこんなコースがつくれるものだな~と感心してしまいました。これは企画者サイダーの経験と知恵と労力のお陰に他なりませんが、いくつも道の中から綿密に検討されて選ばれたコースは多くの上りもあってツラかったけれど、その何倍もの楽しさと美しい風景~眺望があり、素晴らしい企画を満喫させていただきました。すっかりおんぶにだっこで!感謝!感謝!
それにしても3日目の立山へと至る3つの山越えと最後の上りのキツッ! は忘れられないな…。これは▲▲▲でしょ!