今別
2013年GWツアーの最終日は、津軽半島の東側を南下して、青森で三内丸山遺跡を見学します。
穏やかな三厩湾から津軽海峡の彼方の北海道は松前半島を眺め、今別の集落をあとにします。今日のコースはほぼR280松前街道の一本道です。
うしろに龍飛崎方面
今別川を渡り三厩湾に沿って進んで行けば、うしろにはあの龍飛崎が遠くに見えます。
先に鋳釜崎あたりの出っ張り
前に見える出っ張りは鋳釜崎あたりでしょうか。
三厩湾を行くサイダー
三厩湾は穏やかで道は平坦です。
『お天気、最後までもってくれるといいね。』 と、ちょっと雲行きを心配しつつもどんどこ行くサイダー。
松陰くぐり
平らだった道の先に坂が見え出し、これを上り始めると、すぐ左手の海岸に『松陰くぐり』という岩場が現れます。ここはかつて松前街道の難所で、吉田松陰が通ったことからこの名前で呼ばれたそうです。写真にはちらりとしか写っていませんが、あの岩には穴が開いていて、干潮時にはそこをくぐりぬけられるとか。
海辺の集落を抜ける
そのすぐ先に海岸に下りる道があったので入ってみました。これはどうやら旧松前街道のようです。小さな集落を抜けて進めば数百mでこの旧街道はおしまいとなり、再びR280に合流します。
ごつごつした海岸線
R280に合流したあたりの海岸線は凹凸の激しい地形でごつごつした岩場です。
袰月
その先で小さな袰月(ほろづき)の集落を通り抜けます。このあたりはどこも海岸まで山が迫っているので、道の両側にかろうじて家々が並ぶだけです。
高野崎の灯台
袰月を過ぎるとすぐに高野崎に到着。ここには赤白のちっちゃな灯台が建っています。
高野崎から下北半島方面を望む
高野崎はちょうど下北半島と龍飛崎の中間にあるので、両方が良く見えます。これは下北半島方面で、先のうっすらとしたのがそれです。
高野崎から龍飛崎方面を望む
こちらがこれまで辿ってきた龍飛崎方面。
赤根沢の赤岩の旧跡
高野崎の先の岬は弁天崎ですが、そのちょっと手前の道脇には『赤根沢の赤岩』の標識とともに赤黒い岩が置かれています。この付近では第二酸化鉄を含む赤土が産出し、かつてそれは神社仏閣の赤い塗料として使われていたそうです。標識の奥には赤い岩の塊が露出した旧跡があります。
入り組んだ海岸線を行く
赤根沢の赤岩の先はこのように複雑に入り組んだ海岸線が続きます。しかし驚くことに道はほぼ平坦です。
だるま滝
奥平部の集落を過ぎると、道脇にこんな滝が流れ落ちています。日本海側にあった七ツ滝も道のすぐ脇でしたが、海岸線まで山が迫る地形では川もその山の上を流れ、最後に滝となって海に注ぐのでしょう。洪水で道が浸水したりしないのかな。
岩屋観音
鬼泊トンネルをくぐるとすぐ先の海側に、岩の中に埋もれたような小さな岩屋観音という社があります。津軽三十三観音の二十一番札掛所だそうです。この観音様、ほんとうにちっちゃい。
大きくなってきた下北半島
先の下北半島が大分大きくなってきました。津軽海峡からそろそろ平舘(たいらだて)海峡に入るあたりです。
平舘の異様なタワー
道は大きなカーブを描いて津軽海峡から平舘海峡に入って行きます。うしろにはもうあの龍飛崎は見えません。変わりに先に見えてきたのは異様なタワー。あのあたりが平舘でしょう。
平舘灯台
グロテスクなコンクリートのタワーに目をつむって進むと、平舘に入ります。ここで国道は二本に分れますが、海側が松前街道の旧道のようなのでそちらに入ってみます。すると間もなく小さな白い灯台が現れます。この平舘灯台は遠目にはペンキ塗りに見えますが、近づくとタイル貼りであることに気付きます。
平舘灯台前の平舘海峡
平舘灯台の海側はちょっとした広場になっていて、平舘海峡を通して下北半島が良く見えます。このあたりが海峡でもっとも狭いあたりです。
松前街道
このあたりから松前街道の旧道はクロマツの林の中を行くようになります。
クロマツの林の中を行く
台場跡を横目にこの松並木の中をどんどこ。この松林区間はわずかに1kmほどですが、なかなか良かったです。
うねる旧道
松並木が終わっても旧道はしばらく続きます。このあたりは細い道の両側すぐのところに民家が迫り、道はちょっとうねうねしているのが面白い。
カラフルな浮き
モダンアート? と一瞬思うここは、どうやら漁業関係の資材置場のようです。カラフルなボールのようなものは網を仕掛ける時に使う浮きのようです。
舟岡付近のR280
いつの間にか旧道は新道に合流し、海岸線を行くようになります。平坦でまっすぐ...
小舟と下北半島
磯山では海側に集落があったのでその中を進んでみました。そこには漁業関係の小屋が建ち並び小さなボートなども置かれています。
海の堤防沿いを行く
すぐに集落の外れまでやってきてしましました。その先は海沿いに堤防が築かれていて、そこが通路状になっているのでこれを行ってみます。ここにも浮きなどが置かれていて楽しい。
塩越の山側の道
塩越で山側に道があるのに気付いたのでこれを行ってみます。地図で見るとこのあたりの国道が通る海岸付近は人工的に造られたようにも見えるので、この山側の道が旧松前街道なのだろうと思います。
観瀾山公園
この山側の道がなくなると蟹田に到着。すぐに山の上にある観瀾山公園が現れます。この海側には下北半島の脇野沢とを結ぶフェリーが出る蟹田港があります。
蟹田川
しかし私たちはこれらには寄らずに、あるところへまっしぐら。蟹田の名産はトゲクリガニとシロウオで、この時期はカニもいい上に、ちょうど蟹田川でシロウオ漁の真っ最中らしい。
蟹田川とシロウオ漁の桟橋
『蟹としろうお祭り』が行われているらしいとのことで、その特設店に向かいます。そこでシロウオとトゲクリガニを味わおうとの算段。川のあちこちに桟橋と小さな小屋のようなものが見えますが、あそこにシロウオ漁のしかけがあるそうです。
トゲクリガニ
シロウオは昨日今日と強風のため漁が休みとなってしまい、オドリはないので、てんぷらを試しました。これはあっさりしたシロウオには少し強すぎるような気がしました。
一方のカニ。この時期、トゲクリガニの雌は卵をいっぱい抱えており、今が唯一の季節だそうですが、卵があまり好きではない私は身がおいしい雄を選ばせてもらいました。このトゲクリガニは、Goooooood !
蟹田付近を南下
トゲクリガニとシロウオを味わったあとは、
『青森付近は道、きっと面白くないよね。ちょっと疲れてきたし、電車にしようか。』 ということで店で電車の時間を調べると、蟹田駅発が15分後。急げば間に合う? と、とにかく駅に向かってみることに。しかし残念ながらタッチの差でこれに乗ることは出来ず。次は一時間後なのでそれまで南下を続けて適当な駅で乗車することにしました。
中沢駅付近
陸奥湾をさらに南下し、40分ほど走ったところで中沢駅に向かいます。ところが中沢駅の次の電車は二時間後。あれ、どおして... 蟹田で見た次の電車は急行だったのかもしれません。二時間も待つわけにはいかないので、仕方なく青森まで走ることに。
陸奥湾
電車がなかったショックで疲れは倍増、スローペースでのろのろと走ります。六枚橋で海岸の道に出て、漁村を眺めながらのんびり陸奥湾を南下します。
陸奥湾に面した道を行く
この道は中沢付近から油川まで10km近く続くようです。特に面白い道ではないものの、車が多い国道を行くより快適で、陸奥湾を眺めながら走れるのがいい。
漁業関連施設の中を行く
湾沿いなので、道の脇には漁業関連の建物や資材置場などが並んでいます。ここはもしかすると道路ではなく、私有地が連続しているだけなのかもしれません。
青森湾の浅虫温泉方面を見る
陸奥湾は大きくは下北半島側と青森側とに分れます。青森側は地図によれば青森湾と呼ぶようですが、その青森湾の対岸は浅虫温泉のあたりでしょう。油川の小川で湾沿いの道が途切れたところから内陸に向かい、青森の三内丸山遺跡に向かいます。
竪穴住居
三内丸山遺跡は新青森駅から2kmほど南にある縄文時代前期中頃から中期末葉までの遺跡です。入口には縄文時遊館が建ち、出土品の展示などがされています。遺跡見学はボランティアガイドによる無料案内があるので、これに参加。
掘立柱建物
この遺跡は江戸時代からその存在が知られていたようです。しかしここを有名にしたのは1992年から始まった発掘調査の結果、大規模な集落跡と見られることが分かり、さらに大型建造物の跡と考えられる直径1メートルの栗の柱が6本出土したことによるでしょう。これは六本柱の掘立柱建物跡と考えられ、高床式の建物や大型の竪穴式住居などとともに復元されています。
大型竪穴住居と大型掘立柱建物
左は大型竪穴住居で共同作業所や集会室として使われたと考えられているそうです。右が六本柱の大型掘立柱建物ですが、この用途については諸説あるようです。ここでは集落を象徴するものとして復元されています。
大型竪穴住居内部
大型竪穴住居の構造部材は焼かれて防腐処理がされていたというからちょっと驚きです。縄文人はそんな効果があることをを知っていたということです。この他驚くことに、アスファルトや翡翠など、全国から運ばれた材料が見つかっており、縄文時代、全国からこの地に物流があったことも分かっているそうです。
出町温泉
三内丸山遺跡を見学しているうちに雨がパラついてきました。サイクリング中に降られなくて幸いでしたが、かなり寒いので温泉に浸かってから帰ることにします。遺跡の近くにあった三内温泉は評判が高かったようですが廃業してしまったようなので、少し東にある出町温泉に向かいました。ここは単純温泉でお湯は透明で豊富な掛け流し。昔ながらの温泉銭湯で、なんと番台があり浴室の壁面には富士山が。青森は温泉天国で、こうした温泉がたくさんあります。