甲斐大和駅付近のR20
今年の梅雨入りは早く、すでに関東地方は突入しました。ところが今は梅雨の中休みだそうで、昨日の東京は昼間28°Cというとんでもない暑さ。
そこで、木陰のある涼しいところへ行こう、ということで、中央線で西に向かいます。高尾駅を過ぎたあたりからだんだん山深くなり、線路の両側にきれいな山の緑が広がるようになります。
日川
甲斐大和駅の駅前には大きなリュックを担いだ登山客がたくさんいます。登山にもいい季節ですね。その登山客を横目に私たちは自転車で、まず笹子峠を目指します。
R20から日川を渡って枝道に入ると、道はすぐに上りになります。
駒飼宿への上り
中央自動車道の高架の下をくぐるころにはすでに結構な勾配になり、ちょっとよろよろ。しかしこれはすぐに穏やかになります。
道の先に小さな集落が見え出します。
駒飼宿
ここは駒飼宿。この笹子峠への道はかつての甲州街道で、駒飼宿の名はその名のとおり、馬が餌と水を与えられたところということから来ているそうです。
ここには古い大きな民家が今でも何軒か残っています。
緑深い山
日川の支流、笹子沢川を渡るあたりから見る山の景色です。
もう芽吹きの新緑はすっかりなくなり、木々は深い緑に移り変わろうとしています。
笹子沢川に沿って上る
駒飼宿を過ぎるとすぐに山の中に突入。道は笹子沢川に沿って上って行きます。
この道の勾配は最大でも5%程度で2~3%のところも多く、初級者でもなんとかなる程度だと思います。
木々に囲まれた中を行く
さらにこの道は県道なのですがほとんど車は通らず、安心して走れるのです。
多くのところはこのように道の両側に鬱蒼と木々が茂っていて、かなり涼しい。
近くの山並み
道の片側の木々がなくなり明るくなると、突然視界が開きます。
笹子沢川を挟んでその対岸の山が現れました。
快調に進むサイダー
ここからは塩山の奥あたりの山も見えます。
再び木々の合間を行く
ちょっとした眺望を楽しんだあとは、再び木々の合間を行くようになります。
その中には、この道がかつての甲州街道だったことを思わせる、茶屋跡の標識などがいくつか建っています。
笹子峠間近
木々の合間を抜け明るくなると、笹子峠はもうすぐです。
この先、峠のすぐ手前に小さな東屋がありそこで一服。この東屋からは眺望がありそうなのですが、それは手前の木々に塞がれていて、ほとんどなにも見えないのが残念。
笹子隧道
その東屋があるカーブを曲がり切ると、先に笹子隧道があります。
このトンネルの中は、かなり温度が低く、寒い寒い。
笹子隧道・大月市側
トンネルを抜けて大月市側に出ます。こちら側のトンネル入口のデザインはちょっと凝ったものになっています。
近くにこの笹子隧道についての解説があり、そこには笹子峠はかつて難所であり、このトンネルは平成11年に登録有形文化財に指定された旨が記されています。
笹子峠よりの下り
今はトンネルとなった笹子峠を越え、大月市側を下ります。
この下りのイメージは駒飼宿からの上りとほとんど変わらず、鬱蒼とした木々の中を行きますが、トンネル付近の勾配は甲州市側よりきついように感じました。
奥に矢立の杉
下り出すとすぐに『矢立の杉』に到着。
この入口には大きな看板があるので、ここは絶対に見逃すことはありません。
巨大な矢立の杉
道から数十メートル森の奥に入ると、それはあります。とにかくこの杉は巨大。ジオポタで出会った最大の木かもしれません。
一見元気そうに見える『矢立の杉』ですが、実は芯のところが頂部まで空洞になっており、表皮のあたりだけで立っているのです。
笹子への下り
『矢立の杉』を眺めたあとは笹子のR20を目指してまっしぐらに下ります。
山間に畑と民家が現れるとすぐに、笹子駅の西のR20に合流。ここで昼食とし、午前の部を終了します。
笹子から黒野田林道へ
午後の部はまず黒野田林道からです。
黒野田林道はここから南に少し上ったところから始まります。追分トンネルを抜けると道はすぐに急勾配に。
黒野田林道に入る
しばらく行くとT字路にぶつかり、これを東に行くと黒野田林道です。正確にこの林道がどこから始まるのかはわかりませんが、黄色いゲートがあったのでおそらくそこからなのでしょう。
ここまでは笹子峠への上りよりきつく、8%から所により10%超えとなるところもあり、かなりあへあへ。
緑の黒野田林道
黒野田林道は完全舗装路で道幅も林道としては広いのですが、笹子峠の県道と同様にほとんど車は通りません。
こちらも深い緑の中を進んで行きます。
黒野田林道を上る
周辺の状態など、黒野田林道はほとんどが笹子峠の県道と似ているのですが、あえて違いをいうと、こちらの方が、道の状態はやや悪く、ひび割れや補修跡が見られ、一部に崩落した石ころが転がっているところがあるということでしょう。
しかしこれらも走行に問題があるほどではありません。
黒野田林道から見る山並み
視界の開け具合も笹子峠の道と似ており、どちらもあまり眺望を得られるところはありません。眺望があっても、遠方は見えず、近くの山が見えるだけです。
笹子峠もこの黒野田林道も自転車で走るには最高の道だと思いますが、この点だけがやや不満となりますか。
黒野田林道最高標高地点
最高標高地点はどこか。笹子峠はトンネルなのではっきりわかりますが、こちらの黒野田林道はずっと上ってきて、小さな切通しになっているカーブのところがそうです。
『笹子峠よりこの黒野田林道の方がきつかった~』 と喘ぎながら到着のカンちゃん。
最高標高地点付近
笹子峠と比べるとこちらの方が難易度が少し高いです。一つは勾配がきついことですが、もう一つ理由があります。
それはこちらはこの先、一気に下りに転じるのではなく、最高標高付近のアップダウンを幾度か繰り返すからです。これは距離にして4kmほど続きます。
切通し
アップダウンを繰り返しながらも、徐々に高度を下げて行きます。
こうした切り通しを抜けて行くと、山の中でうごめくものが。いったいなんだろう、と思っていると、猿が一匹二匹、そして十匹以上の猿軍団が道路を渡って山の中に駆け込んで行きました。
下るサイダーとカンちゃん
『やっぱり標高が1000mを越えると涼しくていいね。』 と避暑企画に満足のサイダー。
北の大菩薩嶺あたりの山々
この林道に眺望があまりないことは言いましたが、ここは素晴らしいです。
北を見れば大菩薩嶺あたりなのか、見事な山並み。
富士山
そして南を見れば、一幅の絵のような富士山。
富士山山頂
北斎の富嶽三十六景に出てきそうじゃあありませんか。
この展望台は東尾根で道が大きくUターンするところにあります。
都留市の大幡川沿いを行く
富士山を眺めたら、そこからは一気に都留市に下ります。
宝の山ふれあいの里コテージを過ぎるとどうやら黒野田林道は終わったようで、下の県道に出ます。
戸沢川沿いを上る
都留市駅の近くで補給をしたら、本日の第三部に突入。
この部は都留市駅からしばらく東に向かい、林道鈴懸峠線で猿橋に出て、日本三奇橋の一つである猿橋を眺めるというもの。林道鈴懸峠線はこれまでの笹子峠や黒野田林道より難易度が低い峠です。
上戸沢の集落
まず鄙びた上戸沢の集落を抜け、
上戸沢方面を見る
一丘越えて、
朝日馬場への下り
朝日馬場に下ります。
朝日馬場の風景
このあたりは、山間の小さなスペースに畑が作られています。
サリーナとカンちゃんと山並み
川筋が大旅川から大平川になると、道は穏やかな上りに。
このあたりはようやく田植えが終わったころのようで、小さな田んぼにきちんと苗が並んでいます。そのうしろにはきれいな山並みがあり富士山も見えるのですが、この写真には写らなかったようです。
田んぼとリニア実験線と富士山
このすぐ先には奇妙な高架の工作物があります。
これはリニアモーターカーの実験線で、あの中をリニアモーターカーは500km/hくらいで走っているのでしょうか。
大平
リニアモーターカーの実験線をくぐって少し行くと大平の集落があり、その先で道はゴルフ場に入って行きます。
このゴルフ場に入る直前に猿橋に向かう細道があります。
鈴懸峠に向かう
これを上って行くと、
林道鈴懸峠線を行くサイダー
すぐに道は木々で覆い尽くされるようになります。
この道が林道鈴懸峠線なのですが、正確な起点と終点がどこなのかは良くわかりません。
林道鈴懸峠線を上るサリーナ
ここは勾配は4~5%と穏やかで、距離も短いのですが、すでに笹子峠と黒野田林道の上りをこなしたあとなので、少々足にきていて、ちょっとよろよろ。
鈴懸峠付近
林道鈴懸峠線にも眺望はほとんどありません。峠付近で僅かに木々の合間から近くの山が見えるくらいです。
そして峠自体もカーブのところに恩賜林の案内板があるだけで特に何もなく、それ自身は面白くもなんともないのですが、ここはアプローチを含めた全体の雰囲気がいいところだと思います。
猿橋への下り
都留市と大月市の市境になっている鈴懸峠から一気に猿橋に下ります。
この下りは適度な勾配で、気持ちいい。
猿橋
猿橋は桂川に架かる刎橋(はねばし)で国の名勝であり、日本三奇橋の一つとされています。
昭和時代に架け替えられた現在の橋の肘木の内部は鉄骨ですが、その前は完全に木造だったようです。
桂川
猿橋の東側には水路橋が、さらに奥の国道20号線には赤い新猿橋が架かります。そして西側の県道にも国道と同名の新猿橋が架かっています。ここの桂川は渓谷でいい感じです。
猿橋と桂川を眺めたら本日終了、いつものごとく宴会に突入をと店を探すもこの付近には見つけることができず、仕方なく大月駅に向かうことにしたのですが、猿橋で上がりと思っていたのでこの大月駅までは長かった。峠は気張って上ったのでヘタレませんでしたが、やっぱり人間って気の持ちようですねぇ。