花の季節、春も盛期を過ぎ、だいぶ暑くなってきました。夏に移行するこの時期の花はポピーとバラ。今日は鴻巣の荒川河川敷に咲くポピーと見沼代用水の近くにある『花久の里』でバラを楽しみます。
都心から一時間弱で到着するのは東武東上線の東松山駅です。
今回のコース、実はコース作りの勉強会の中で、ポピーの場所周辺で皆が興味がある所を挙げていった結果できたものなのです。
東松山駅から東に向かい、まずはエリンとヨンチェスがピックアップした吉見百穴へ。
ほどなく市野川の流れに出会います。吉見百穴はこの市野川の桜堤の向こう側にあります。
吉見百穴の入口のすぐ向かいは岩室観音。松山城跡の下に建つここには88体の観音石仏が祀られていて、ここにお参りすれば四国八十八カ所巡りと同じ功徳があるといわれているそうです。胎内潜りもでき、お堂は京都の清水寺のように崖の斜面に造られた懸造りでなかなか立派です。
さて、吉見百穴です。これは古墳時代後期の墓穴で、百穴となっていますが現在確認できるだけでも219あるそうです。
ここに葬られた人々は、仏教伝来、中央集権国家という日本の社会の大きな変換期の豪族や渡来人などの特殊な集団だと考えられています。
初期の古墳は縦穴でした。しかしこれは古墳を壊さないと追葬できなかったため、徐々に当時大陸から伝来した横穴式になっていったようです。写真の一段上がった部分に死者は安置されましたが、この部分が二ヶ所ある石室もあります。つまりそうした石室には二人が埋葬されたということです。
ちなみに現在は穴に蓋がありませんが、当然ここには石の蓋がされていました。
吉見百穴は第二次世界大戦の際、一部が壊され軍需工場として使われたそうです。現在その一部が公開されていますが、この洞窟はかなり奥まで続いているようです。
穴の中で緑色に光っているのは国の天然記念物のヒカリゴケ。
吉見百穴の次はベネデッタがピックアップした八丁湖へ向かいます。
この付近の田んぼでは田植えが始まったばかりのようです。最近は兼業農家が多く、人手の関係もあり少し早めのGWなどにやるところも多いようですが、ここはそれより少し遅めです。
久しぶりに参加のナッキーは、街中10kmしか走ったことのないハルちゃんを誘っての登場。ハルちゃん、今日は最後まで走れるか?
のんびりおしゃべりしながら進めば、いつの間にか八丁湖に到着。
八丁湖の湖畔の緑は清々しく、とてもいい感じです。そんな中に真っ赤なカエデがありました。紅葉には早すぎるよねって、このカエデは芽吹いたときから赤いのです。
八丁湖の北側の山の中には吉見百穴と同じような横穴墓群があります。ここは吉見百穴より規模が大きいらしいのですが、見えるのは遊歩道際の一部だけで、ほとんど草に埋もれていました。
黒岩横穴古墳群から下ったところには木道が敷かれ、カキツバタが咲いていました。
アヤメ、カキツバタ、ハナショウブは良く似ていますが、一目で見分ける方法は花の内側の付け根の模様と色に注目することだそうです。
そこにアヤメはその名の由来でもある網の目の模様があり、カキツバタとハナショウブに模様はなし。カキツバタはここが白く、ハナショウブは黄色。これで一発判定!
吉見百穴と八丁湖でのんびりしていたらずいぶん時間を喰ってしまいました。これはいかんと田んぼの中を荒川へと急ぎます。
荒川の土手の上は快適な自転車道です。これを使ってどんどこ行きます。すると標識に『川幅日本一』! ここの川幅はなんと2,537mもあるそうですよ。もっともこの川幅は河川敷を含めたものなので、自転車道からは川面さえ見えませんが。
その先で荒川の土手は二手に分れます。吉見の桜堤から高尾へ分れる土手上は未舗装です。この未舗装区間はほんのちょっとなのですが、これってどういうことでしょう。とにかくここは迂回して土手下の一般道を走り、再び舗装されたところで土手上に復帰。
ほどなく冠水橋の高尾橋です。この橋にはかつてはなかったロープの手すりが付けられていました。
ここで荒川を渡ります。さきほど『川幅日本一』とあったのでさぞかし大きな川を想像する方もいるかと思いますが、その荒川はこちら。もっと下流ではずいぶん大きな川なのに、ここではまだちっぽけなこんな川です。
高尾のそば屋でお昼にし、午後は荒川河川敷でもの凄い数のポピーが咲くという場所へ。
なにやら先に鯉のぼりが泳いでいます。どうやらあのあたりがそのポピー・ハッピースクエアのよう。
その鯉のぼりの下の畑にはこんな花が。『麦なでしこ』です。麦仙翁(むぎせんのう)ともいい、なでしこの名が付くようにナデシコ科の一年草で、原産はヨーロッパだそうです。
日本のナデシコとはたいぶ趣が違いますが、これはこれで可憐。この畑は2.4ha。
麦なでしこ畑の先にポピー・ハッピースクエアはありました。
ここのポピーはなんと12.5haに1,000万本が咲くそうです。
赤とピンクはシャーレーポピー。これには白い花もあります。
この時、シャーレーポピーの開花率は7~8分咲きといったところでしょうか。蕾みもまだけっこうあります。
ポピーは日本語ではヒナゲシで虞美人草とも呼ばれますが、赤い花の真ん中にある雄しべやその周辺は真っ黒で、良く見るとかなりどぎつい。
一方ピンクの花の雄しべは黄色でその周辺は白く、これはヒナゲシという雰囲気に近いかもしれません。
茎や蕾みには細かな刺のようなものが生えていています。この蕾みがふくらんで花が咲くときにはポンという音をたててはじけるそうです。
これは赤と白のグラデーション。
この黄色の花はカリフォルニアポピー。
シャーレーポピーに比べ花は小さく、花弁は固くて、あのひらひら感はなし。
これは一般的にイメージするポピーの印象とはずいぶん違います。
荒川の河川敷で麦なでしことポピーを堪能したら、次はバラの咲く『花久の里』へ。
荒川自転車道を飛ばす先頭サリーナ。
鴻巣の市街地を抜け、中山道を渡り、上越新幹線の高架をくぐると、周囲は広々とした田畑。このあたりの田んぼはまだ田植え前で水も張られていないところが多いようです。
その田畑を通り抜けると『花久の里』に到着。ここは花と音楽の里とあり、時々コンサートも開かれるようです。
この時分はバラまつりの最中。
入口にはバラのトンネルがあり、いい匂いが。ここをコースに取り込んだベネデッタはこのトンネルに満足気。
赤、白、ピンクのバラが満開です。
牡丹みたい。
芍薬みたい?
これはちょっとオレンジ。
これは薔薇っぽいね。
この時分、気温はかなり上昇。バラより冷たい飲物を! の面々。
そうそう、埼玉の武蔵野地方はうどんが有名ですが、ここのうどんはおいしいそうですよ。
冷たい飲物で喉を潤したら、『花久の里』を出て見沼代用水沿いを下ります。見沼代用水は見沼たんぼに水を引くために造られた用水路で利根川の利根大堰から浦和付近まで続いています。
その脇には自転車道『緑のヘルシーロード』があるので、それをどんどこ。
しかしこの上流部の『緑のヘルシーロード』は狭く、景色も割と単調なので、横に広がる田んぼの中に入ってみました。
水が張られたばかりの田んぼの中の道はま~すぐ。
久喜市となった菖蒲町のかつての役場前にはラベンダーとハナショウブが咲くので、時期は少し早いのですが寄ってみました。
案の定、ラベンダーはまだ咲き始めたばかりです。
しかし、このちょっと変わったラベンダーの一種はなかなかきれいです。
ハナショウブはまだまだ先のようですが、黄色い花が咲いていました。
花の付け根が模様のようにも見えるけれど、これ編み目模様じゃあないような。そこが黄色いからハナショウブ? しかし普通のハナショウブは紫。この花は一体なにかな?
これはキショウブというそうです。西アジアからヨーロッパが原産で、日本には明治時代に観賞用として入ってきたようです。ハナショウブには黄色の花がなかったため貴重なものとされましたが、それが野生化し、今では要注意外来生物リストにあげられるほど、生態系に影響を与えている植物だそうです。
菖蒲町の旧役場からは再び『緑のヘルシーロード』を行きます。ここは視界が開けて気持ち良く走れます。
そうそう、このあたりの見沼代用水の反対側には普通の道が通っています。そちらは道幅は広いものの車は少ないので、気分次第でそっちを通ってもいいですよ。
さて、次の目的地はおそらく埼玉で最大のバラの見どころである伊奈町制施行記念公園です。しかし、この日は暑く、バラよりビールと言い出す者あり。その前にコンビニで冷たいアイスクリームと言い出す者もいて、伊奈町制施行記念公園はパス、コンビニへと向かうのでした。
アイスクリーム休憩のあとは『緑のヘルシーロード』に戻ってもよかったのですが、綾瀬川を下ることにしました。
細い綾瀬川沿いにはこれまた細い『伊奈ジョギングロード』が延びています。巾はわずかに2m弱。
路面は荒れた所もあり飛ばして走るには不向きですが、周囲は田植えが済んだ田んぼで気分よし。
のんびり行くジオポタ向きの道です。
蓮田で綾瀬川は見沼代用水のすぐ近くに寄ってきます。そこで再び『緑のヘルシーロード』に乗換えるとほどなく、蓮田の市街地です。
『緑のヘルシーロード』を離れると数百mで蓮田駅に到着。ハルちゃんもなんとかここまで走り切ったようです。
このあとすぐさま、ぐびっとビールをあおったのでした。あ~、うまい!
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