桜はむずかしい。都心の桜は彼岸に開花しましたが、その後寒い日が続き足止め。先週末の花見は一分咲き程度と、かなり寂しい状況でしたが、昨日か一昨日にようやく満開となりました。
今日は、伊豆の河津桜、川口の安行桜、都心の花見に続く花見企画の第四弾、比企丘陵の花見ポタリングです。
空は分厚い雲に覆われています。ここのところ暖かかったのに、この日に限ってかなり寒く、もう仕舞おうかと思っていたダウンジャケットを引っ張り出すほどです。
東武東上線の高坂駅に降り立った私たちですが、都心がようやく満開になったばかりなので、埼玉のこのあたりの咲き具合と、雨粒が落ちてこないか、ちょと心配です。
高坂駅から都幾川に向かい出すとすぐ、小さな畑の片隅にピンクのしだれ桜が。
『お〜、咲いてるね! これは満開〜』
その足元の真っ白なユキヤナギもきれい。
都幾川の土手に出ると、土手上は砂利道でしたが、土手下に自転車道らしきものが整備されています。
この土手下の道を進んでR407の新東松山橋の袂に出ると、そこから先の土手上には、これははっきりと自転車道とわかる道が整備されています。
新東松山橋の一本下流に架かる高野橋を渡り、都幾川左岸に出ると、こちら側にも自転車道が延びています。
その都幾川左岸の自転車道をどんどこ。土手には黄色い菜の花がちらほら。
ここの河川敷に植えられている染井吉野は三分咲き程度と、まだかなり寂しい状況です。
え〜、今日の花見は一体どうなるの? という疑念が沸々と湧いてきます。
川が大きくカーブするところで、都幾川から取水した用水路の脇を通っている自転車道に乗り換えます。
この自転車道は比企自転車道(正式名称:埼玉県道158号川島こども動物自然公園自転車道線)の支線ようで、道沿いには白い梅が咲き、そして染井吉野の大木も。
お〜、この桜は満開!
どうやら場所や木によって咲き具合がずいぶん違うようですね。
田んぼの縁や住宅の軒先をかすめて通るこの自転車道は狭く、ごくたまに犬を散歩に連れ出している人がいる程度で、自転車は一台も通らず。ジオポタ独占自転車道となるのでした。
そして、あちこちに桜が咲き出します。
R254をくぐり抜けると、これまで『自転車道』という表記だけだった道脇の標識に、初めて『川島こども動物自然公園自転車道』の文字が現れます。
そこから500mほど進むと、自転車道を横切る通りの向こうに桜並木が。梅ノ木の桜堤です。
『梅ノ木』はこのあたりの地名のようで、もしかしたらかつてはここに梅の木がたくさんあったのかもしれませんが、今この土手に植えられているのは紛れもない桜。それも染井吉野に間違いないでしょう。
その咲きぶりは八分となかなかいい感じ。
蕾みが僅かに残っていて、花の開き具合も全開のちょっと手前で、まさに見頃です。
ここもこれまで同様まったく人はおらず、花見もジオポタの独占!
桜、咲いててよかった〜
梅ノ木堤は梅ノ木古凍貯水池まで続き、市野川の土手に突き当たって終わります。この貯水池の水上にはいつの間にか、太陽光発電のパネルが設置されていました。
貯水池の先に架かる市野川大橋から先の土手上はずっと未舗装でしたが、ようやく舗装されるようで、路盤が整備されていました。
市野川大橋から土手上を100mほど進むとアスファルト舗装になり、その脇は菜の花がいっぱいに。
土手が大きくカーブし自転車道が直線になると、これまでだれもいなかった道にいきなり大勢のサイクリストが現れ出します。川島こども動物自然公園自転車道はいつの間にか荒川自転車道に合流したのです。
荒川自転車道となった土手上の道を南下すると、下に桜の木に囲まれた池が見え出します。鳥羽井沼です。
かつてこの沼の畔にはサイクリストの溜まり場となっていた茶店がありましたが、それがなくなった今日、ここに立ち寄るサイクリストの姿はありません。わずかな数の釣り人が静かに沼に糸を垂れているだけです。
ここの桜はまだ固い蕾みも多く、五分咲きといったところ。
鳥羽井沼からはやってきた荒川自転車道を逆戻りし、土手を下りて市野川を渡ると、程なく吉見の桜堤に出ます。
2kmほど続くこの堤は、このあたりでは最大の花見どころとなっており、荒川自転車道の一部にもなっていることから、サイクリストも多く訪れます。
この堤は道の両側が桜で、ほとんど桜のトンネルといっていいものが出来上がっています。
『ここは見事ですねぇ〜』 と遠方からやってきたビジターのシンちゃん。
ここの桜は七八分咲きといったところでしょうか。その桜が咲く土手の斜面には満開の菜の花が。
この土手の西側には細い文覚川が流れ、土手と川までの間一面がまっ黄色に染まっています。
反対の東側の土手下は畑で、こちらの斜面も菜の花で覆われています。
堤と畑の間には細道が一本あるので、しばらくこの道で桜の下を行ってみます。
真ん中はトンネル状でしたが、こちらは上から桜が覆い被さり、これもなかなかよろしい。
この堤には所々に上と下を結ぶ道があるので、次のポイントで再び堤の上に上がります。
さすがに人気の花見どころとあって中央部は少し混雑していましたが、自転車を降りて押すほどでもなく、ここは適度な賑わいといったところです。
2kmに渡る桜並木を楽しんだら、桜のトンネルを抜け桜堤をあとにします。
ここで堤は、もう一方から来る堤と合体します。
吉見の桜堤の次は八丁湖へ。
r27付近で土手を下り、吉見の田んぼの中をどんどこ。田んぼの縁では早くも野焼きが行われています。
r345からは小さな住宅地になり、その中にある吉見中学校の校庭にも満開の桜がありました。
そろそろお腹が減ったね、ということで、八丁湖の前にこのあたりでお昼にすることにしました。中学校の先にあった中華屋に入れば、定食も麺類も超大盛り〜
満腹状態で八丁湖に向かうと、久しぶりなので入口を間違えて、手前の激坂を上ってしまいました。これは苦しかった...
いったん下ってやり直し。八丁湖の入口は坂なのですが、それは思ったよりずっと簡単なもので、肩すかしを食った感じ。
で、ともかく八丁湖に到着です。
この湖は水田の灌漑用につくられたものだそうで、すぐ下の田んぼの縁には小さな水路が流れているのですが、その水路に水を取り出す口が見当たりません。いったいどこから水を流しているのでしょう。
ここにも当然のように桜が咲いています。晴れていれば、青い空を映した湖面と僅かに芽吹きが感じられる山に白い桜が栄えるのですが、この日はちょっと残念。しかしひっそり感はより強く感じられます。
この湖は一周1.6kmで、ちょっとした散歩にちょうどいい。昼食べ過ぎたので、腹ごなしに一周してみることにしました。桜は染井吉野と山桜があるようで、山桜には真っ白な花と同時に、柔らかい葉っぱが出ています。
湖の奥では、もう少しすると咲き出すカキツバタが水面近くで緑の葉っぱを伸ばし、さらに奥にはアジサイもあるようです。
古墳時代に造られたと推定されている黒岩横穴墓群の一つをちらっと覗いて、一周完了。
八丁湖のあとはすぐ近くにあるポンポン山に向かいます。今日のコースはほぼフラットですが、ここはほんのちょっとだけ上り。
ちょちょっと坂を上って横道に入ると、高負彦根神社(たかおひこねじんじゃ)の前に出ます。
ポンポン山はこの神社のうしろにあります。
ポンポン山のポンポンは、山頂付近の地面を踏み叩くとポンポンといい音がすることから来ているようです。で、やってみました。するとポンポンというより、ボンボンと響くような音がしました。地面の下に空洞でもあるのでしょうか。
ここからは晴れていれば筑波山まで見えるそうですが、この日はちょっと残念。
ポンポン山の次はオランダ村へ。ポンポン山から下り出すとすぐ、小さな池の上に鯉のぼりがたくさんぶら下がっています。
鯉のぼりにはちょっと早い気もしますが、もう4月ですから出してもおかいくもないかな。この日は風がなく、残念ながら泳いではくれませんでした。
カントリーロードをのんびり行けば、道端でいろいろな花を見かけます。梅はもうおしまいと思っていましたが、どうしてどうして、未だ満開のものあり。
これは桃ですね。
ふっくらとした桃の花は、どことなく優雅に感じます。
二色しかないように見えるけど、三色すみれ、でよかったかな。。
東松山の大谷地区にやってきました。本タイトルにある比企丘陵は関東平野と秩父の山の間にある丘陵地帯で、周辺には小高い丘が現れ始めますが、これまでそうした丘の合間を縫って進んできました。
ここも進行右手には小高い丘があるのですが、左手は谷津の田んぼで平坦です。
この広い谷津から小さな谷津が枝分かれしたその先に建っているのが、オランダ村。
オランダ村は通称で、正式には大岡市民活動センターだそうです。風車とオランダっぽい家並みに似せたファサードの建物がグラウンドの向こうに建っています。
オランダ村は丘の上り口にあります。ここから平地を行きたければ、南に下りr307を行けばよろしい。
しかしせっかくの比企丘陵なので、ちょっとだけ丘陵地のアップダウンを楽しむことにしました。
ということでオランダ村のうしろに控える丘の中に突入!
森の中のアップダウンが始まりますが、ここの高度差はせいぜい20mほどなので、エイ=っとひと息で上れます。
でも上りは一回だけじゃあないけどね。
ちょっとした森を抜けると、また平坦な谷津に入ります。
このルートはウォーキングコース『 大谷伝説の里コース』の一部で、右手は横穴墓群があり比丘禅尼の伝説が残る比丘尼山(びくにやま)。この山は少し離れてみると、ぽっこりしたいい形をしています。
ここで先頭を走るムカエルはこの一年間、ジオポタ・インド支部長を勤め三日前に帰国したばかりで、今日のコースを完走できるか内心ドキドキしているのですが、これまでなんとかがんばっているようです。
大谷伝説の里コースを離脱し、森林公園の横を下って次の目的地の都幾川桜堤を目指します。
ここでまたちょこっとだけ丘上りをすると、その丘の上には様々な色の桃が咲いていました。これは真っ赤。
そしてその足元には色とりどりの芝桜が。
あ〜、春がやってきた〜
武蔵嵐山の町を通り抜け、都幾川の学校橋に出ました。今日の出発地の高坂を流れていたのも都幾川で、ぐるっと廻ってその上流にやってきたのです。
この河川敷にはテントを広げ、キャンプをする人々の姿も。
この都幾川の右岸は2kmに及ぶ桜堤で、その前は菜の花畑です。
陽の光がないこの日、写真映りはあまりパッとしませんが、ここにはかなり絵になる風景が広がっています。
この時はちょうど桜まつりが行われているようでしたが、入り口付近にはあまり人がいなかったので、堤の下の道を進んで行きます。
堤の中心部が近付くとかなりの人出になり、露店がずらり。生バンドも入ってかなり賑やかにやっています。
ということで、堤の下の道から田んぼの中の道にシフトして進みます。この田んぼの中の道からは弓なりに続く桜並木が一望にできます。
連続する並木のちょうど真ん中のあたりで都幾川に槻川が合流しますが、そこにある二瀬橋で堤に戻ってみると、もうそこにはほとんど人はいないので、再び桜の木の下を快適に進みます。
だいぶ来たけれど、まだ桜並木は続いています。
人も減ったので、ここで堤に上ってみることにしました。
堤の向こう側には静かに都幾川が流れ、堤の上では花見にやってきた人々が散歩を楽しんでいます。
ここはほぼ満開。
『やっぱり日本の桜はいいねえ〜』 とインド帰りのムカエル。
2kmに及ぶ桜並木を堪能したら、最後の見どころ『カタクリとニリンソウの里』へ。
川の流れは都幾川から槻川に変わり、嵐山渓谷と呼ばれるこのあたりには小高い山がたくさん。
その山にも桜。
右手に大平山、左手に小倉城跡がある物見山の裾野を見ながら進んで行くと、大きな真っ白なしだれ桜が目に飛び込んできました。
この木の手前には日枝神社の赤い鳥居が建っています。このしだれ桜は日枝神社の境内にあるということですね。見事に満開!
槻川が急激に向きを変え、遠山の里に出ると、そこにはあちこちに桜が咲いています。
こんな山の中まで人の手で一本一本植えたのでしょうから、日本人というのは本当に桜が好きなんですね。かく言う私たちももちろん、桜が大好きです。
もうすぐカタクリとニリンソウの里というところで、道脇に槻川が姿を現します。この道脇にも桜が植えられています。
カタクリとニリンソウの里は槻川の対岸の山裾にあります。
山は仙元山。
槻川を渡る小さな柳町橋の袂に『カタクリとニリンソウの里→』の標識があり、道路を逸れて川に沿って進むと、針葉樹林の足元にそれは咲いていました。
ここには遊歩道が設えられており、その遊歩道とカタクリが咲く山の間には柵が巡らされていて、それから中には入れないので遠くはあまりよく見えませんが、上の方にはかなりの数のカタクリが咲いています。
近くで見ることができるカタクリはこんな感じで咲いていました。
そしてこちらがニリンソウ。これはジオポタの花。だって二輪だからね。
まだちょっと時期が早いようで、どれも花が開いていません。もう少しすると今花が出ているところからもう一輪出て来て、二輪になります。中にはその二つ目の蕾みが小さく見えるものもありますが、わかるでしょうか。
カタクリとニリンソウは桜のような華やかさはありませんが、ひっそりと咲くこれらはこれらで、なかなかいい雰囲気があります。
夕暮れ時になってきました。そろそろ引き上げて小川町に向かいます。
今日は曇りで花冷えの一日でしたが、たっぷりと桜を堪能できました。桃や桜草、それにカタクリとニリンソウも加わり、花の季節がやってきたことを感じさせる一日となりました。