爽やかな青空が広がっています。朝食もおいしくいただき、スタッフのお母さんに見送られて民宿をいざ出発。
少し高台に登れば、富来港や昨日通った対岸の能登金剛の景観が広がっています。
『今日はすばらしい天気で風もなく、最高ですね〜』と、晴れ女神様との評判の高いレイナが引く。女神様、GW中のお天気よろしくお願いします。
丘の中腹を通る道は畑の中を行き、ところどころで集落を通り抜けます。釉薬の黒い瓦が眩しく光ります。
r49沿いにしばらく行くと、道の両側にずらりと下見板張り壁と黒い瓦の家々が建ち並ぶ海辺の集落に入りました。ここは赤崎です。
そしてその先、r49を離れて海岸沿いの小道を走ります。『気持ちいいね〜』とサリーナ。
しかし、そのすぐ後に分かれ道が。あくまで海岸沿いを行こうとするサイダーと同行するシロスキー。『このまま行くとサイダー道』と、企画者サリーナおよびレイナ、レイ、マサキンは冷静に本来のコースを行く。
本来コースは畑や田んぼが広がる中を行きます。畑の角で海岸組と合流するのを待っていると、トラックで農作業に来たおじさんが『道に迷ったの?』と親切に声をかけてくれました。
待つことしばし、シロスキーとサイダーが追っかけてきた。『道がなくなって、かついだりして大変だった〜』とシロスキー。お疲れさま。
田んぼでは田植えの真っ最中です。水を張った田んぼが空を映して輝いています。
田畑や集落をいくつか抜けて、再び海岸に戻ってきました。ここは前浜。小さな入江に漁港があり、その先、写真の海に突き出た岩山の反対側には、断崖の絶景スポットがあります。
というわけで、絶景スポット目がけて黙々と上る面々です。
本日最初の絶景はこれ、『義経の船隠し』です。頼朝から逃れる義経や弁慶の一行が、荒波を避けて船を隠したところと言われています。断崖絶壁が細い入江になっているところで、海からも陸からも気づかれにくそうです。
断崖の先近くまで行ってみました。へっぴり腰のジオポタの面々です。サリーナは撮影のため、という名目で近寄らず。
この『義経の船隠し』から次のスポット『ヤセの断崖』までは、遊歩道でつながっています。海を見下ろしながら走る。
海岸の断崖と岩礁にぶつかって砕ける白い波。
ここが『ヤセの断崖』のようですが、あれ、どこが見所なの?とちょっと拍子抜け。
実は、高さ35mの断崖は『海を見下ろすとやせる思いがする』ほどの場所として知られており、松本清張の『ゼロの焦点』の舞台にもなったところですが、2007年の能登地震で崖が10mにわたって崩落したそうです。
それでも一帯には海に突き出た岩山の絶景が続いています。
そして、関野鼻に着きました。施設入口は閉鎖されていますが、龍の鼻に似た形状の岬の先までは散策することができます。
こちらも実は2007年の能登地震で被害を受け、再整備されていない立ち入り禁止区域もあります。
遊歩道からは、カルスト地形の奇岩の眺めを楽しめます。その遥か彼方には日本海の水平線。
鼻先から入江になっているところには、義経や弁慶が試し切りをしたという『義経一太刀の岩』『弁慶二太刀の岩』なんていうのもあります。写真の入江の真ん中あたりにある岩がそのようですが、地震のため角がとれてしまったそうです。
さらに北上すると、今度はきれいな白い砂浜の海岸に出ます。剱地の琴ヶ浜です。
ここは『鳴き砂』の浜とのことで、砂の上を歩いてみますが鳴かないね〜 裸足じゃないとダメかな?
海沿いをさらに進むと、こんな岩に出会いましたよ。あなたは、あの有名なトトロさん?
道の駅『赤神』に到着したのですが、残念ながら改修中とのことで閉まっています。仕方ないと再び走り始めてすぐのところで、今度はこんな方たちに遭遇。あなたたち、どうしてこんなところに?
ここは『カフェギャラリーこうや』で、動物を飼い喫茶と軽食ができるところです。室内にはキリコや陶芸のお皿などが所狭しと飾られています。
今日の後半は山上りが待っていることもあり、ここで早めの昼食にすることにしました。珍しいメニュー『ヤギミルクコロッケうどん』をいただきます。ヤギさんに感謝。
昼食を終え、砂浜や松林の海沿いをさらに進んでしばらくすると下見板張りの家並みが続き、そこに『輪島市黒島地区(重伝建)』という看板が現れました。
これは行ってみなきゃ!ということでR249から一本内陸側の通りに入ります。
緩いカーブを描きながら集落を南北に貫く通り沿いには、黒い瓦と下見板張りの壁、格子戸の町並みが続いています。
黒島は、江戸時代に北前船による海運業で発展をとげ、17世紀から明治元年までは幕府直轄の天領として治められた地区だといいます。
黒島地区は、北前船の船主や乗組員の船頭、水夫の居住地として発展した集落で、そのため、地区内の歴史的建造物は船主の邸宅から小さな水夫の住宅まで多岐にわたっているそうです。
この地区の建物も2007年の能登地震により大きな被害に合ったそうですが、町並み保存型のまちづくり活動により、2009年には重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
黒島の代表的な回船問屋住宅である『角海家』が公開されており、さっそく訪ねてみました。
主屋と土蔵4棟からなる建物内部を、スタッフの方が丁寧に案内し説明してくださいました。
ここは玄関横の通りに面した『店の間』で、明治になってからは銀行の支店として使われたとか。こうした店の間では、祭りの際には各家で蔀戸を開け放ち、お宝を飾っているのだそうです。
また興味深いのは、写真右手の蔵。塩物蔵、小豆蔵、米蔵の3つの蔵は、その外壁を守るため、下見板張りの『さや蔵』ですっぽりと覆われています。しっくいは海風で傷みやすいのだそうです。
じっくり見学を終え、ここからは後半戦です。今日の天気は夕方から雨。ここに来て空は真っ白い雲に覆われ、冷たい雨粒が二つ三つ落ちてきました。ここでレイナがエイっと呪文を唱えると、あ〜ら不思議、雨はそれっきりとなったのです。しかし、少し急いだ方がいいらしい。
海岸を3kmほど北上したところから山道に突入します。これ以降、輪島までの間にエスケープルートはありません。迷っていたレイナもみんなと山上りを決意。まずは川沿いを東に内陸に向かって走る。レイナがどんどん引きます。
そしていよいよ上りに入りました。標高285mのピークに向かって黙々と上ります。リズムを刻んで上るサリーナの横からアタックをかけるマサキン。
悠々とマイペースで上るシロスキー。
視界が開け、遠くに海が見えます。山はさまざまな色の木々の新緑で覆われています。
へろへろ〜、と上るサイダー。ようやくピークに到着したようです。
さあ、ここからは楽しい下り。マサキンを先頭に山道を豪快に下ります。
下りの途中で、入江と海に突き出た岬が見えました。私たちのコースはあの岬をぐるっと回っています。それにしても、下りはあっという間ですねえ。。
標高0mの海岸まで下りてきました。海岸は岩場が続いています。
そして岬を回ります。海沿いとは言ってもちょっとしたアップダウンはつきもので、エンヤコ〜ラと上るシロスキーとサイダー。
まずは1つ目のピークを越えて笑顔のレイナとレイ。この豪快な下りで、レイナはダウンヒルのスペシャリストであることが明らかになったのです。
岬を回ると、今度は砂浜の海岸が現れました。皆月海岸です。
集落のちょうど真ん中あたりに『寄り道パーキング 七浦(しつら)』があり、地域産品などを販売していました。この寄り道パーキングは、ほんの1ヶ月ほど前にオープンしたばかりだといいます。
ちょうどいいところにお休み処があって助かりました。お腹もすいてきており、いちご大福と柏餅をゲットし補給。生き返る〜
この海岸沿いの集落には、竹を割って組んだ間垣が立てられています。間垣にもいろいろなタイプがあるようですね。
皆月海岸を過ぎると、道はまた内陸側に折れ曲がり、すぐに上りに入ります。2つ目の上りに突入です。ハヒハヒ。。
長く続く上り、次第に勾配がきつくなり、みんな押し。周囲の新緑は輝き、海も見渡せるのですが、あまり余裕のない面々です。
勾配が緩くなって、ようやく自転車にまたがる。頂上はもうすぐです。
頂上付近の周りには、ヤマブキやシャガがたくさん咲いていました。
ところで、シャガの花は1日で枯れてしまうそうで、群生して咲き続けているように見えますが、どんどん新しい花が咲いているんだって。知ってました?
ピーク付近の民家です。桜、のとキリシマツツジ、シバザクラなどの赤、ピンク、白が目に鮮やか。
今度は下りです。またまた、上りに比べてあっという間です。ペダルを踏み続け高速でガンガン飛ばすのは下りの女王レイナ。待って~、置いて行かないで~
下り終えたところは上大沢町。川沿いに小さな入江まで並ぶ集落は、美しい間垣に覆われています。
日本海の強風から家を守り、冬は暖かく夏は涼しいというこの間垣は、ニガ竹という細い竹を枝ごとびっしりと並べ、たこ糸でしっかりと結ばれています。
海岸沿いは細かなアップダウンを繰り返します。上りに入ると、上りの帝王と化したマサキンがカッ飛ばす。
そして到着した漁港を囲む大沢町は、こちらも間垣が続く町並みが美しい。
ここには、車で訪れた観光客の姿がちらほらと見えます。この大沢町はNHKの朝ドラ『まれ』のロケ地となったところです。このやぐらはドラマのためにつくられ、残されているのだそう。
この美しい間垣の里でちょっと休憩したいなあ、と思うサリーナでしたが、他の面々は大沢町を過ぎたところに現れた上り坂に目を奪われ、バリバリと走り続けて行ってしまいました。残念。
その上り坂。標高差110m、平均勾配9%。わっせわっせと上り、振り返れば山に囲まれた大沢漁港と大沢町の全景が見渡せます。
間垣に守られて寄り添う黒い瓦屋根の家々。
そんな風景を楽しみながら、ゆっくりゆっくり上っていきます。
そこからは、標高100m前後をアップダウンを繰り返しつつ上ります。このあたりは十畳敷といって、断崖の下に岩礁が広がっています。
気は優しくて力持ちのレイが、重い荷物を抱えつつ全力で引く。
上りを終えて、西保海岸の断崖にたどり着きました。見晴し台があって、小休止。レイに続き、マサキン、シロスキーが到着。
見晴し台から下を覗き見れば、奇岩が海に伸びているのが見えます。
ここは『ゾウゾウ鼻』といって、岩がゾウの鼻のように伸びていることから命名されたのだとか。あまりゾウの鼻には見えない気もしますが。。
進行方向の東には断崖と岩場が続いています。輪島まではあと少し、遠方に突き出た岬の向こうです。
午後5時を過ぎ、薄暗くなってきたのでライトを点灯。ぐわーっと下って海岸沿いをひた走ります。
ほどなく輪島のまちなかに入り、河原田川に沿って南へ少し下ると本日の宿に到着です。ここから参加予定のキルピコンナも、すでに宿に到着していました。
今日は上りが多かったけれど、みんな無事走り終えて笑顔です。心配された雨にも会わなくてよかった〜
とはいえ、午後8時過ぎからキリコ会館で行われる御陣乗太鼓には誰も行こうと言い出さず、宿でゆっくりお風呂と豪華な夕食を楽しんだとさ。