爽やかな日差しの朝です。朝食後、近隣の喫茶店でおいしいコーヒーもいただいて、元気に民宿を出発です。
曽々木海岸のシンボル、海辺の奇岩の『窓岩』を背にして海辺を北東へと進みます。
海のすぐ横が遊歩道になっていて、とても気持ちがいい。
海辺の道は旧道で、R249と分かれて八世乃洞門トンネルに入り『波の花遊歩道』となっています。
この波の花遊歩道は江戸時代中期につくられたものだとか。
トンネルの先に、手掘りの洞窟がいくつかあるようです。
面白そうですね〜 と快調レイナが引く。
しかし、2つ目のトンネルの出口に鍵がかかり、先に進むことができません。止むなく戻ってR249のトンネルを通り抜けました。通り抜けて振り返れば『垂水の滝』です。
あとで調べてみると、2007年の能登地震の影響で遊歩道は立ち入り禁止になっているようです。
垂水の滝は、30mの断崖から直接海に落ちる滝で、冬には日本海からの強風によって水が舞い上がり、落ちてこないという現象もみられ、『吹き上げの滝』とも呼ばれているそうです。
滝の水しぶきを浴びて、みずみずしい苔と鮮やかな黄緑の若芽が輝いています。
R249に戻り、岩場の海岸沿いをどんどん行きます。
ツバ崎のあたりでは、トンネルを迂回する旧道があり、快調に進みます。
このあたりの海辺は千畳敷のような平たい岩盤に覆われています。
そして、揚げ浜塩田に到着。ここはNHK朝ドラ『まれ』のロケに使われた塩田だとか。
砂に描かれた筋目がきれいですが、これは海水の水分を早く乾燥させるためにつけるのだそうです。
その150mほど先に道の駅『すず塩田村』があります。
ここには塩づくりの歴史や世界の塩の文化などを紹介する『塩の総合資料館』があり、入館料100円で結構楽しめました。また、予約すれば塩づくり体験もできます。
塩づくりは、まず2つの『かえ桶』に海水を汲み、『肩荷棒(にないぼう)』でかついで運んできます。桶1つの容量は36リットル。
『ええ〜、ぜんぜん持ち上がらない!』とレイナ。体験用の小さい桶もあり、そちらは何とか持ち上がりました。
このあたりは仁江海岸といって、茶色い岩場が広がっています。
珠洲の海は暖流と寒流が混ざり合いプランクトンが豊富で、また潮の流れが速いので海水はきれいな状態を保つとのこと。
すず塩田村をあとに、再びR249の海辺を走り出します。
『今日は上りはないの?』と、上りの帝王マサキンはやや不満げ?
上りはないけどサイダー道があった。トンネルを迂回しようと旧道に入ると、道は薮の中となってぬかるみワイルドに。
小さな手掘りトンネルを抜ければ、岩場の景色も楽しめる。
『ちょっと冒険気分ですね!』とキルピコンナ。
さらにR249を進むと、海辺に塩田がいくつか続く。『塩づくりしているところは結構あるんですね』とレイナ。
とはいえ、揚げ浜式塩田は大変手間がかかるので生産量はあまり多くはないようです。
道が大谷川の河口にさしかかると、川の上にたくさんの鯉のぼりが風になびいて壮観です。
鯉のぼりは約450本だそうで、鯉のぼりの川渡しは4月25日から、そして5月3・4日には鯉のぼりフェスティバルが行われるそうです。
大谷川の先で、内陸方面に向かうR249とはお別れ。私たちは引き続き海岸沿いの県道を走ります。
このあたりに見所があったはずだけど? と先導サリーナ。あれ、通り過ぎちゃった。『小さくて気がつかなかった〜』
それがこれ『ゴジラ岩』です。ミニラみたい。。
その先には島状に突き出た大崎があり、ここに神社もあります。
大崎を過ぎた馬緤町は砂浜の入江になっており、ここにも間垣がありました。
輪島からの参加のため、大沢町の間垣を見ていないキルピコンナは『わ〜、これが間垣ですね』と嬉しそう。
その先の高屋町を過ぎると、いよいよ本日最大の上りが始まります、椿の展望台までの上りです。
標高差105m、平均勾配は5%程度ですが、ところによっては10%を超える勾配も。
もくもくと、ゆっくりと高度を上げていくジオポタ。景色が広がり、海辺の断崖が見渡せるようになってきます。
ときどき俊足のロードレーサーに追い抜かれます。路面にはきめ細かく斜度がペイントされており、ロードレーサーの練習の場にもなっているようです。
へろへろと上っているところで目にはいる『勾配11%』。ああ、心が折れそう。
S字カーブを描く道路の両側には白い花が咲き乱れ、新緑の木々とあいまって本当に美しいのですが、写真を撮るために停まると漕ぎ出せそうにない!
S字カーブを上り終えて少し勾配が緩くなり、一面の白い花に迎えられるシロスキー。キルピコンナも追ってきた。
椿の展望台はもうすぐです。
そして上りきった『椿の展望台』。堂ガ崎あたりの海岸の絶景を見下ろすポイントで、満足げなジオポタメンバー。(TOP写真も)
この周囲にはヤブツバキが群生し、この景観が2〜4月頃には赤い花で染まるのだとか。椿の花はありませんが、海岸美と新緑にうっとりです。
ここからは一気に下った後、禄剛崎に向かう予定ですが、その前にちょっと一休み、コーヒーでも飲みたいね。
というわけで、木ノ浦海岸めがけて豪快に下っていきます。あとでこの坂を上るっていうのは、とりあえず考えないことに。。
こちらの『二三味珈琲』でおいしいコーヒーをいただき、ほっと一息。海岸に向かって開放されたシンプルな店内も落ち着きます。
『二三味珈琲』は全国の珈琲通の間で有名な珈琲販売店で、この店横の舟小屋で焙煎しているそうです。オーナーの二三味葉子さんをモデルにした映画『さいはてにて』の撮影用に建てられた小屋が海岸に残されています。
木ノ浦海岸を出発し、激坂を上り返して禄剛崎を目指します。シャク崎までの道も岩場の海岸の絶景が続く。
そして、右に田んぼの広がるほぼ直線の区間に入れば、禄剛崎も間近です。
禄剛崎の入口に到着。まず自転車での上りを試みますが、激坂数10mであえなくノックアウト。
道の駅に自転車を置き、歩いて上れば周囲には色鮮やかな花が咲き乱れています。
ぼんぼりのような白い花をいっぱい咲かせたオオデマリ。
ほどなく禄剛崎の広場に到着。断崖の上から海を望むと、千畳敷のような緑がかった平らな岩が広がっています。
禄剛崎灯台の前で記念撮影。この歴史を感じさせる灯台は明治時代につくられたものだそうです。
そしてここは能登半島の最先端なんですね。海からのぼる朝日と海に沈む夕日が同じ場所で見られることで有名なのだとか。
南東方面を見れば、これから向かう金剛崎が見えます。
禄剛崎の近くの茶屋で昼食を終え、午後の走行スタート。狼煙町の港をあとにします。
金剛崎までは、標高差70mほどのちょっとした上りがあります。よっこらよっこらと上るレイナ、レイ、サイダー。
まだ半分も上っていませんが、展望所があったので一息。金剛崎の手前の海辺の奇岩が見えます。
金剛崎に到着。眼下に見える黒い瓦の建物群は『ランプの宿』。450年も前から続く高級温泉旅館だそうです。
ここはヘルメットをかぶって行く『青の洞窟』などがあるようですが、時間もないので小休止して出発。
金剛崎から畑の中の道を、シロスキーに引かれてr28まで戻ります。
海辺の集落を走り抜ける。椿の展望台や金剛崎などの上り坂があったので、今日も満足そうなマサキン。
そして須須神社に到着。自転車を置いてふと横を見ると、ものすごく背の高い倉庫らしきものが。
掲示されている解説によれば、9月第2土曜日に開催される須須神社の秋祭り『寺家(じけ)祭り』では、高さ16.5mの能登最大のキリコが登場する、とあります。その大キリコの収納庫に違いありません。
こちらが須須神社の鳥居です。須須神社は日本海側一帯の守護神とされ、宝物殿には国指定重要文化財の木造男神像などが収蔵されているそうです。
鳥居をくぐり林の中を抜けると、須須神社金分宮にたどりつきます。
社伝では、紀元前の崇神天皇の治世に創建し、700年代なかばに現在地に移転したとされる由緒ある神社だそうです。
このあたりの海岸沿いはずっとフラット。青空の下、どんどんと進みます。
ときどき背の高い倉庫に出会います。ここは小泊、これもキリコ収納庫です。
小泊簡易郵便局のところに灯台があったので、ここでちょっと休憩。
護岸に腰掛け、何を思うか物思いにふけるレイ。海辺ではレイナ、キルピコンナ、サリーナが磯遊びに夢中です。
何しろ、水はこんなに澄んできれいなのです。色とりどりの石ころの間で小さな巻貝を発見。
ずんずんと快調に進むと、鉢ヶ崎総合公園に着きました。ここには砂浜の海水浴場と宿泊施設、オートキャンプ場などがあります。
公園に入り、海側の遊歩道を進みます。
鉢ヶ崎海岸沿いを順調に進み、こんもりとした緑を抱える高倉彦神社に着きました。
すぐ先の漁港まで行けるかと神社に入ってみましたが、行き止まり。
神社を迂回して漁港を目指します。珠洲の中心部に近づき、集落の家が増えてきました。
漁港への道沿いで、またキリコ収納庫を発見。
板張り壁の民家を右に曲がると、蛸島漁港に到着します。
蛸島漁港沖に浮かぶ弁天島には、先ほど通った高倉彦神社の摂社、蛸島姫神社が祀られています。
民話によれば、昔、このあたりで恐れられていた大タコを山王の森の高倉彦の神様が退治し、その頭を放り投げたのが弁天島になったそうな。
漁港では、戻ってきた船の荷揚げの魚を狙って、たくさんのカモメがギャアギャアと集まっていました。
蛸島漁港を出て、サイダーに引かれてさらに海辺を行くジオポタ。
しかし川に阻まれ、畑の脇を押し進むことに。サイダー道をつくらなければ気が済まないサイダーでした。
でも川沿いに花咲く土手のダートを走るのは、結構楽しいですね。
舗装路に戻り、集落の中を進みます。
今日の宿は間もなくですが、シロスキーがその前にどうしても寄りたい店があると言います。
シロスキーのお目当てはこちら、豪華な珠洲焼きの一輪挿しです。というわけで、このありがたいお宝を購入。
さて民宿に到着すると、明るいおかみさんが『まあ〜自転車で!』と迎えてくれました。
早速お風呂に入り、さっぱりしたところで夕食です。これがまたものすごくおいしい。まずは新鮮なお刺身、酢の物などをいただきます。
そして焼き魚や天ぷらなど、出来立てがどんどん運ばれてきます。どれもすばらしく美味!『これどうぞ』と出してくれた『ミズブキ』も、お酒のつまみに最高でした。
大満足で夕食を終え、部屋に戻るといよいよ先ほどのお宝が登場。シロスキーとサリーナが、一輪挿しにナイフを突き立てて。。
実はこれ、メルヘン日進堂というバウムクーヘン屋さんの銘菓『珠洲焼きの里』。丸ごとリンゴのまわりがバウムクーヘンになっているというビックリものでした。