昨夜の雨は朝にはあがり、青空が広がっていました。ゆっくり楽しく過ごさせていただいた農家民宿の方々と記念撮影です。
雲一つない青空の下、案山子さんたちの応援も受けて出発。
ところが、今日はかなりの向かい風がビュービューと吹いています。漕いでも漕いでも、なかなか前に進まない。
水を張った田んぼは快晴の青空を映し、最高のコンディションに見えますが、実はわっせわっせと必死で漕いでいるジオポタです。
隊列を組み、サイダーの先導で走るレイナ、レイ、シロスキー。
向かい風はかなりキョーレツ! 今日の最初の6kmは緩やかな上りの県道ですが、まるで激坂のようにヨロヨロとペダルを踏みしめて進みます。
r57との交差点を越えると、細い一般道に入りました。こんな道に入ればどうにか風を避けられます。
静かな道を囲む新緑の木立の中、最初に少し上りもありますが、その後は下りが続きます。
林の中の道を抜けると、r37に入ります。そこから100mほど東に『寄り道パーキング春欄の里』があります。
『寄り道パーキング』とは、石川県が魅力的な風景が広がる沿道に整備を進めているもので、この『春欄の里』には駐車スペースと地元特産品直売所、電気自動車の充電スタンドなどがあります。
小さな直売所はまだ午前中のためか誰もおられませんでしたが、開いていたのでありがたくトイレをお借りしました。
周囲には、山里の風景が広がっています。存在感のある民家が並び、
そして目の前の田んぼでは、ちょうど田植えが行われているところ。田植えの経験のないジオポタメンバーたちは、着々と植えられていく様子に『すご〜い』と感動しています。
寄り道パーキングを出発し、r273をしばらく走ります。県道に入るとやはり向かい風が。山里ののどかな景色の中、ここから3kmほどは緩い上りです。
新緑の木々が光を浴びて美しく輝いています。緩い上りを終えた後、しばらく下ると県道を離れ一般道へ。
一般道は短いアップダウンを繰り返します。『相変わらず風が強いですね〜』と言いつつ引くレイナ。その後ろを、いつもがっちりサポートするレイ。
そうするうちに、開けた丘陵地に出てきました。丘陵地に広がるのは棚になったぶどう畑です。
ここは、2005年からこの地でワインを醸造している『能登ワイン』です。
説明を聞きながらテイスティングできるワインの他、お菓子やワイン石けんなども販売しています。補給用のおやつに干しぶどうの入ったクッキーをゲット。
能登ワインからはほぼ下りの道を、海を目指して走っていきます。先頭は今日も絶好調のマサキン。
林の中の細い道を飛ばしていくと、
海が見えてきました。ここは鹿波漁港です。
快晴の海辺は開放感に溢れています。潮の香りと海の光を浴びて楽しげに走るキルピコンナ。
『どれどれ、ちょっと休憩』と護岸に上ってみると、ビュービューと強い風に、波は白いしぶきを上げて岸にぶつかっています。
『飛ばされそう~』とレイナ、キルピコンナ。
風の向きはやっぱり向かい風です。のんびりしていたら逆風で遅れそう。
今日は最終日で列車に間に合わないとマズイので、鹿波の黒い瓦の集落を背に、早々に出発です。
海沿いの入江を走っていると、バッシャーン!と波が降ってきてビックリ。強風で、ところどころで波が護岸を越えてふりかかってくるのです。
ダッシュで波を除けながら県道に向かうジオポタ。
r34は少し内陸側の高台を通り、海辺の景色を眺めながら走っていきます。
すると、次の入江で海の中に木で組まれたやぐらを発見。行ってみよう!
これは『ボラ待ちやぐら』といって、漁師がやぐらの上でボラが通るのを待ち、ボラが通ったら網を引き上げるものだそうな。江戸時代に始まり、かつてはこの地域に多く見られた漁法だそうで、穴水町内に観光用のやぐらをいくつか見ることができます。
ここのやぐらは、この地域の『椿崎里海会』が2014年に復元したものだそうです。強風の中、やぐらに人影があって驚きましたが、お人形のようでした。ホッ。(TOP写真)
やぐらを通り過ぎると、入江の奥では海辺に近づき、回り込んではまた上る細かいアップダウンに突入。
『ぎゃあ〜上り〜』とヨタっているサリーナ。しかし上っていくと海が眼下に広がってきて、それは美しい。
細長い入江の真ん中に浮かんでいるのは、牡蠣筏でしょうか。豊かな恵みの海を感じさせます。
このあたりは別荘地にもなっており、対岸にはマリーナが見えます。
ガシガシ漕ぐマサキンと、追うキルピコンナ。
岩車で県道をいったん離れ、集落の中を通ってみました。
この集落入口でも、風にあおられた波が護岸を越えてザッバーン! ここに並ぶ家もかなり波をかぶっているのでは。。
細い集落の道は、板張りの家々に囲まれて何だか懐かしい。『いい雰囲気ですね〜』とレイナ。
集落を抜けて県道に戻り、比良からはR249を行きます。国道に入ったとたん、これまでにも増してものすごい向かい風、風、風!
淡々と漕いでいたレイですが、踏んでも踏んでも進まなくなりました。『おかしい〜』と言いながら、ヨロヨロと『中居湾ふれあいパーク』に到着。
このふれあいパークにも、海の中にボラ待ちやぐらが立っています。
ここで調べてみたら、レイの自転車はタイヤの空気がかなり抜けていたようです。『どうりで進まないと思った!』とレイ。しっかり空気を入れて出発。
中居湾の南に突き出た中居南のあたりは、1400年も前から鋳物の産地として栄えたところだそうです。
集落の中には多くの神社やお寺がみられ、そのうちの8つの寺院・神社を結んだ『さとりの道』という散歩道があります。
『さとりの道』の寺社巡りは石畳に高台と、自転車にはちょっと大変そうなので、町並みと海辺をポタポタすることにしました。
格子戸の町並みが続き、とてもいい雰囲気。
家々の間の細い道を通り抜けるシロスキーとキルピコンナ。
見上げれば、ツツジの咲くその上にお寺の山門が。大龍寺です。
集落の南端の神明ヶ鼻で道は終わっていたので、海辺に出てみました。海の向こうには、さきほど通ってきた中居湾の対岸が見えます。
真昼の光を浴びる海辺の小道はとってものんびりムード。昼寝でもしたいところですが、今日は帰りの列車の時間もあるのでどんどん先へ進みます。
海辺から鳥居をくぐり激坂を上ったあとは、林の中の一般道を進み、その後R249に合流です。
R249は、やはり国道だけあって少々車交通が多い。
このまま真っすぐ進むとすぐに終点の穴水に到着しますが、ちょっと寄り道を。
R249が小さな川を越えたところで左折し、由比ヶ丘の尾根道を南下していきます。
この道、車はほとんど通りませんが、実は激坂があったりします。わっせ、こらせと上ると穴水高校に到着。高校生は、毎日自転車で上っているのかなあ?
高校をあとにポリテクカレッジ石川を過ぎれば、新緑の木々に囲まれた木漏れ日の中の快適な下りが待っています。
下って下って、到着したところは内浦港。でもきっとまた上りだよね、と沖之崎神社の方へ上り坂を引き始めるサリーナ。
『ええ〜、また上り?』と嬉しそうなマサキン、迷惑そうなレイナ。
実はそれは間違いでした。『ごめんごめん、あとは平地コースでした』と、自分でコースをつくったのに忘れていたサリーナ。
ちょっと戻って漁港の護岸に沿って走っていくと、
由比ヶ丘台地の海辺に沿って設けられた2kmの遊歩道、『潮騒の道』に入りました。
しかしラクチンかと思ったこの道ですが、遮蔽物のない海のすぐ横で方向もばっちり合ってしまい、ものすごい逆風がまたまたジオポタを襲います。
道の途中の海にはボラ待ちやぐら。と思ったら、斜めに傾いでいます。まさか、今日の強風で倒れたのでしょうか?
入江を回り込んだときには風も受けず、ルンルン飛ばせます。今日の風は結構大変だったけど、木陰の緑の中を海を眺めながら走れてとても楽しい道です。
遊歩道が終わり、左手を小又川、右手を穴水城跡に挟まれた一般道を走り、小又川を渡るといよいよ穴水の中心街に入ります。
穴水大宮を過ぎれば、のと鉄道七尾線の穴水駅に到着です。
時刻は午後1時半、お腹もぺこぺこ。駅の近くの寿司屋に入り、6日間にわたる能登半島の旅の無事を祝してカンパ〜イ!
地魚のおまかせ握り寿司を堪能したら、自転車を折り畳み、能登半島ともいよいよお別れです。
穴水駅で完走を祝い合うシロスキーとマサキン。この旅を通じて深い絆で結ばれたようです。
和倉温泉までの『のと七尾線』は海辺の近くを通り、車窓から七尾北湾や西湾に広がる美しい景色を楽しませてくれます。写真は海の上に浮かぶ鹿島神社です。
楽しい仲間とゆっくり回った能登半島一周の旅は、海辺や山里の景色も美しく、おいしい食とすばらしい宿に恵まれ、地域の歴史や伝統を感じることができた大満足の旅でした。