11月も下旬となり、紅葉が東京周辺まで下りてきました。ということで今回は首都圏の紅葉企画を。
目指すは相模湖の北にある陣馬山(855m)。この山をぐるりと廻るようにして、林道栃谷坂沢線から和田峠に向かいます。
まずは集合場所の相模湖駅からR20甲州街道に出て、林道栃谷坂沢線の坂沢を目指します。
今朝方は霧のため電車が遅れましたが、甲州街道の向こう側にもその霧が立ちこめています。
甲州街道はすぐに小原を通り抜けます。その中にかつての小原宿の本陣が残っています。神奈川県で唯一残る本陣だそうです。
これは江戸時代後期の建築で、道路側からは良く分かりませんが、四層からなる兜造りとのこと。
小原宿本陣を出るとすぐ、左手に中央自動車道のピンク色の高架橋が見えてきます。
その先で道が右にカーブするとろころに底沢橋が架かります。
左手にはすでに廃業した美女谷温泉の看板が立ち、そこから細い道が分岐しています。この細道の先に林道栃谷坂沢線はあります。
これを入れば、周囲は霧でやや霞んでいてひっそりしています。
ここはこれまで通ってきた甲州街道の喧噪とはまるで異なる世界です。
先には、穏やかな上り坂の上に架かる、上りと下りの二本の中央自動車道。
この中央自動車道をくぐると間もなく、林道栃谷坂沢線に合流します。その少し先で右手に現れるのがこの門のようなもの。
その下には木の根っこから彫られた、髪を洗う伝説の照手姫の像があり、横にはもみじがいい色になっています。ここが『七ツ淵』の入口です。
鎖の手摺が穿たれた狭い道を奥へ進むと、こんな流れがあります。
七ツ淵はどうやら、小さな沢に落ちるこの七つの滝を指すようです。
七ツ淵の流れは西入沢に落ちて行き、この流れに沿って林道林道栃谷坂沢線は上って行きます。
甲州街道に別れを告げてから2kmほどで、栃谷坂沢線の坂沢側のゲートに到着します。
甲州街道以降はほとんど車のない世界でしたが、このゲートからは車もオートバイも入ってこられないので、より安心して走れます。
しかし昨日の雨で、路面は濡れ落ち葉がびっしり。スリップに気をつけないとね。
ここまでの上りは穏やかでしたが、ゲートから先は急に勾配がきつくなります。
ニ年前、雪で撤退を余儀なくされた地点を通過すると、その先はヘアピンのカーブでさらに勾配がきつくなります。
えっちらおっちらのはじまり。シンチェンゾーはあっという間に先へ行ってしまいましたが、他の面々はのんびりマイペースで上って行きます。
うねうねしたカーブをいくつも廻って進み、ついに最後のヘアピンカーブに辿り着きました。このカーブの先で勾配はぐっと緩くなり、南東に眺望が開けるところに出ます。
この上りにはほとんど見晴らしのいいところはないのですが、ここだけが例外です。
この眺望ポイントを過ぎると、栃谷坂沢線のピークはもうすぐ。
栃谷坂沢線のピークは矢ノ根というところで、ここには相模湖駅から明王峠へ向かうハイキングルートが通っており、それが栃谷坂沢線とクロスし、十字路になっています。
そのハイキングコースは与瀬コースと呼ばれ、ここから相模湖までは1h20′、明王峠までは35分だそうです。もう少し日の長い季節だったらここから明王峠に上ってもいいのですが、今回はこれはパス。
私たちが休憩している間に数組のハイカーがここを通って行ったので、この道は結構使われているようです。
相模湖へ向かうハイキングルートの入口には、『林道栃谷坂沢線完成記念碑』が建っています。
矢ノ根のピークの先は湿った落ち葉だらけ。
『落ち葉は滑るから、なるべく踏まないようにね。』と、サイダーがみんなに注意を促して下り出します。
と、すぐにそのサイダーがすってんコロリ。落ち葉の下に隠れていた石ころを踏んづけたようです。
このあたりはなんの匂いか、ちょっといい匂いが漂っています。
その匂いの元を探ると、どうもこれらしい。いったいこれは何の実でしょうか。
下るにつれ、木々の合間から向こうの山が顔を出すようになってきます。
上りで見えた山はみんな針葉樹でしたが、ここでは広葉樹も混じって、まずまずの景色です。
道脇にも広葉樹が多くなってきます。
ここは逆光の中の黄色とオレンジがいい感じ。
そんな美しい紅葉の下を行くは、キルピコンナとサリーナ。
さらに下って行くと、今度は正面に富士山が。
昨日の雨は富士山ではおそらく雪になったと思われ、そのせいか、山頂付近は真っ白。
富士山の絶景を眺めて、少し下ると栃谷坂沢線の栃谷側のゲートに到着します。
その先に開ける谷を栃谷というのでしょうか。
それはともかくこの小さな谷を挟んで先に紅葉した山が見え、その遥か先に遠くの山並みがあり、さらに奥に富士山が見えています。
このあたりは『陣馬の湯』として知られるところで、鄙びた宿が三つあります。今でもそれらすべてが営業しているのかどうかはわかりませんが、そのうちの一つのマイクロバスが通って行ったので、少なくともその宿は健在なのでしょう。
10年以上も前ですが、そのうちの一番下にある陣谷温泉に入ったのですが、これはとても熱い風呂でした。
陣馬の湯からも栃谷川に沿ってどんどん下り、落合でr522に合流。
r522は甲州街道の裏街道だった陣馬街道で、ここの道脇には沢井川が流れています。
栃谷坂沢線がr522に合流した落合から和田峠方面へ100mほど進むと、道脇にトイレがあるのでここで小休止。このトイレ、意外ときれいな上に暖房便座まで付いています。
ここで振り返れば、ま〜るいお椀山の紅葉。
トイレ休憩のあとはいよいよ和田峠へ。
沢井川の向こうにはイチョウが黄色に色付いています。
このあたりはまだ勾配が穏やかなので、みんなで隊列を組んでどんどこ行きます。
道は右手にある陣馬山の裾を巻いて進んで行きます。
左手は生藤山から下りてくる枝尾根が作り出す山で、この二つの山の間に沢井川が流れているのですが、それはここでは道より大分下を流れているようです。
和田の集落が近付くと道の勾配が緩まり、左手の山腹の急な斜面に茶畑が現れます。
このあたりは藤野町佐野川として『日本の里100選』にあげられたところです。藤野町は相模原市になったので現在は相模原市緑区佐野川となります。
市町村は合併してどんどん大きくなり、昔からの字もなくなってしまったところが多いので、日本の住所は細かい場所をイメージするのに不便です。このあたりはかつては和田と呼ばれていたのだろうと思いますが、今は単に緑区佐野川という括りの中に放り込まれています。
その和田は和田峠の手前にある最後の集落で、小さな雑貨屋が二軒とうどん屋が一軒あります。このうどん屋で昼食をと思ったのですが、最近はほとんど店を開けていないということで、これは残念。
うどん屋の奥にカフェがあったのを思い出したので行って見るも、この時は開いておらず、昼食は和田峠の茶屋まで持ち越しに。ついでに言っておくと、二軒ある雑貨屋も自動販売機くらいしか当てにしてはいけない状況です。
しかし、カフェの前のもみじは、真っ赤できれいでした。
しばしこのもみじを眺めながら休憩して、いざ和田峠へ。
『和田の里体験センター村の家』を過ぎると、ここにも茶畑が現れました。畑の中に空地があるのが不思議です。この空地、一体なんのためにあるのでしょうか。
この茶畑を過ぎると、斜度が上がってきました。8%から10%へと徐々にきつくなってきます。
道脇の鄙びた住宅と山はいい感じですが、アヘアヘが始まります。
先ほどまでは隊列を成して走っていたのですが、それはいつの間にか空中分解してバラバラに。
うしろの山には、もの凄い斜面に茶畑があるのが見えます。
和田の集落の途中に『和田林道』の標識がありましたが、r521陣馬街道は県道でありながら、その上部はまた林道でもあるようなのです。
和田林道にはゲートが設けられています。和田側のゲートを過ぎると道はさらに勾配を増し、12%へ。そしてその後は、ヘアピンカーブを描きつつ上って行きます。
北西には紅葉する生藤山の稜線が見えています。
オレンジ色の微妙なグラデーションがきれいです。
和田峠はロードバイク乗りにとっては格好の練習場所なのか、ひっきりなしに上からロードバイクに跨がるサイクリストが下りてきます。
その上部に目をやると、お〜〜、あんなところまで道が。。。
私たちはみなマイペースでえっちらおっちらとゆっくり上り詰めて行きます。いくつかのヘアピンカーブを抜けると道が直線基調に変化し、右手に谷が開けます。
ところがここからがきつかった。道脇に12%の表示が現れ、戦意喪失して押しに入るメンバーも。
その先に13%の標識が出てくると、う〜、これはもう下りようかな、と。
運良くこの標識の少し先には見晴らしのいい展望所があるので、全員よろよろ〜っとそこに倒れ込みます。
その展望所は谷の突き当たりにあり、かなり遠方の山まで良く見えます。
周囲の紅葉もなかなかいいです。
良き色合い。
しばし眺めを楽しみつつ休憩したら、もう一上り。
この展望所から和田峠までは700mほどなので、最後の力を振り絞って一気に上りますが、この上に13%の標識あり。およよ〜
まだあっったのかというヘアピンカーブを廻ると、勾配がぐっと緩くなり、車が数台止まっているのが目に入ります。ついに和田峠に到着です。
なんとか辿り着いたよ〜
和田峠には茶屋があり、サイクリストが数人たむろしています。私たちはお腹がぺこぺこだったので、ここでまずカップ麺をいただきました。
一休みしたら陣馬山へ登ります。和田峠から陣馬山へは、陣馬山登山の中でも最短時間の30分ほどで上れるコースなのです。ここには階段と普通の道がありますが、当然普通の道の方が距離がありそうなので、ここは階段を選択。
この階段、結構な勾配で登って行きます。
登りの先は黄緑から黄色そしてオレンジ色へと、グラデーションがきれいな広葉樹林が広がっています。ここは気持ちいい。
黄色の鮮やかな葉っぱがきれい。
しかしこの先、何度も急な階段が現れ、へ〜こら。
その階段の先にすすきが見え出すと、ついに登りは終わり、陣馬山の山頂に到達。
この登り、結構しんどかったです。
階段ルートの終点は芝生広場とでもいうようなちょっとした広がりを持ったスペースで、振り返れば北の山並みが素晴らしい。
芝生広場の先には茶屋があり、さらにその奥が一段高くなっています。
その高くなっているところが陣馬山の山頂で、白馬の像とこんな石の碑が建っています。
白馬像の南にも茶店があったので、ここでしばし休憩を。
味噌田楽を味わいつつ南西を見れば、こんな景色が広がっています。富士山はどうやら雲の中のよう。
陣馬山登頂成功者は左から、帽子のキルピコンナ、沖縄野郎ユッキー、マブチモーター付シンチェンゾー、山男タッちゃん、サリーナ、サイダー、シロスキー、マージコでした。
山頂でたっぷり休憩したら和田峠へ戻りますが、この帰路は階段ではなくハイキングコースを使います。
階段は膝にくるからね。
ふかふか落ち葉の中を少し下ると、下の少し広めの道に出ます。この下の道は山頂の茶屋の物資運搬に使われているような気配があります。
この周囲の紅葉も素晴らしい。
ハイキングコースの紅葉を楽しみつつ和田峠に戻ったら、八王子側へ下ります。
八王子側は藤野側より斜度がきつく、ヘアピンカーブの連続です。こっちからはきっと上れないな〜
昨日の雨のためか、路面は結構濡れているところもあり、慎重に下ります。
林道のゲートを出ると道脇には案下川が流れるようになります。
ぐわ〜んと下ってT字路にぶつかると、そこは陣馬高原下で、雑貨屋兼そば屋が一軒あります。その隣には高尾駅行のバス停があり、ハイカーが数人バスを待っていました。
この道端で、柚子三個100円をGET.
陣馬高原下からは『夕やけ小やけふれあいの里』を目指します。
勾配は穏やかになったものの、陣馬高原下からも下りが続きらくちん。道脇には案下川が浅川となり、流れています。
『夕やけ小やけふれあいの里』に到着。ここを流れる浅川周辺もなかなかいい感じになっています。
ここの農産物直販所では、タケノコイモ(京いも)など、ちょっと変わったものを見ることができました。
ここの道脇には真っ赤なカエデ。
なんにもない山の上から下ってくると、『夕やけ小やけふれあいの里』以降はかなり都会に感じるから不思議です。
実際、あっという間に周囲に民家が建ち並んできます。
川原宿で陣馬街道を離れ、浅川を渡って大沢川沿いに入ります。
ここは欅が赤く色付いています。
大沢川が城山川に合流し、それが浅川に流れ込むと、本日の終着地の八王子です。
うしろには今日走ったあたりの山がきれいに並んでいます。
八王子駅の南口に辿り着き、いつもの反省会に突入。
本日の会場は『ロマン地下』という、ちょっと昭和レトロなところです。