天竜川3日目、お天気はまずまずのようです。
今日はまず天竜川の舟下りを楽しむ予定でワクワクのジオポタは、左からシロスキー、サリーナ、ジーク、マサキンとサイダー。
舟は9時20分に出発ですが、その前に丘上りを入れようとは、いつものサイダー企画です。
そんなこととも知らず?、川沿いを楽しく走るメンバー。
いえ、川沿いを行くわけではありません。『ありゃ、間違えた〜』とサイダー。
そして少々戻り、国道256号から県道1号に入ってしばらく進んだ「南原公園」という標識のあるところのことでした。パーン!と乾いた音が。サイダーがパンクです。
今朝は天竜川ライン下りの時間があるため、あわててパンク修理をしようとしたサイダーですが、単なるパンクではなく何とタイヤがバーストしています。それも何箇所も!
これは修理不能とあきらめ、サイダーはタクシーを呼び、他の面々は急いで乗船場へ直行します。間に合うか?
直行の4人が乗船場の天竜峡温泉港に先に到着し、ほどなくタクシーでサイダーもやってきた。とりあえずホッ。
自転車を10kmほど下流の着船場にバスで運んでもらい、救命胴衣をつけて舟に乗り込みます。こいのぼりが見送る中、舟は天竜川下りへと漕ぎ出しました。
「天竜ライン下り」の舟は40人乗り。船頭さんは全身をしならせて舟を漕いでいきます。
川の流れはとても穏やかに見え、両側の奇岩とそれを覆う新緑の木々を眺めながら舟は進みます。
ときには流れがやや急なところもあって、水をかぶりそうになった先頭のマサキン。
そして、再び流れが穏やかになったところで、船頭さんの投網です。さあ、何匹かかるかな〜
あら、今日は魚はお休みみたいですね。
ちょうど中間くらいに差しかかったところでしょうか、誰もいない舟が岸壁に横付けされています。
よく見ると「地酒、ビール」などと書いてあります。実はここは飲み物キヨスク。何と船頭さんが売り子さんに早変わり。
天竜川が蛇行するところの大きな岩の上に、川に向かってぐっと張り出している1本の松「のぞき松」がありました。
その下を通り抜けながら、舟は静かに川を下っていきます。
長とろ橋と鯉のぼりが見えてきました。水面は鏡のように橋の姿を映しています。
もうそろそろ唐笠港の船着き場です。
奇岩と新緑、そして静かで深い緑の天竜川の美しい景観を楽しむことができました。
さて、ここからタイヤバーストのサイダーはどうするか? そうしたところ、今日は昼食後に帰宅予定だったマサキンが『最終日まで私の自転車を貸すので、サイダーの自転車はサイクルヤマト便で送り返したら』と提案してくれました。
マサキンの提案に、サイダーはじめみんな大感謝です。そんなわけで、サイダーとマサキンはタクシーを呼んでヤマトの営業所へ向かい、他の3人は自転車で、昼食場所の温田駅周辺で落ち合うことになりました。
さて、自転車はシロスキー、ジーク、サリーナの3人。唐笠港からの県道64号は早速上りが続きヨロヨロしますが、天竜川と飯田線を見下ろせる場所に来てちょっと一息。
景色を見ながら休憩していると車がとまり、心配したのか男性が『飯田線の列車はあと1時間は来ませんよ』と声をかけてくれました。あ、列車を待っていたわけじゃあないんですけど、ありがとうございました。
県道64号は途中から天竜川に注ぐ小さな川と合流し、川沿いのいい雰囲気です。唐笠港からはとりあえず200mほどの上り。
まだ上るの〜、とは14インチのタイヤで進むジーク。
ようやく県道1号との合流地点にたどり着きました。
『やった〜、着いた〜』とはサリーナですが、上りが終わったわけではありません。
ここからはアップダウンの連続になるのです。
しばらく行くと、「桜基公園」がありました。
ここの塚は鎌倉時代の武士団が築いたのだそうで、その脇に植えられた桜は今は二代目だそうですが、樹齢250年の江戸彼岸桜。花は終わって若葉が出ていました。
この先から当初の予定では一般道に入り「あいパークやすおか」に向かうはずでしたが、温田駅での待ち合わせのため最短の県道1号を走り続けることにしました。
といってもそれなりにアップダウンはあるし道も結構細いところがある。分かれ道のピークを越えて県道83号に入ると、右手側、西側の眺望が開けてきました。おおっ、と立ち止まるジーク。
そこには緑の山の連なるこんな風景が。山は若葉で色とりどり、そして少しずつ色を変えながら近くから遠景まで連なっています。
そんな険しい山にも、よく見ると所々に集落らしき姿があります。
そしてその先の岩肌に何やら文字が。「泰乎通(たいこつう)」と書いてあります。
これは、昭和11年に門島駅より村内中央へ初めて車道が建設されたことから、村の安泰に通ずる道であるとして「泰乎通」と、当時の千葉了長野県知事の揮毫の文字を路傍の岩盤に刻んだものだそうです。(泰阜村HPより)
この文字の道の反対側をみると、深い緑の山の連なりの奥に天竜川の小さな川面が輝いていました。
泰平トンネルを越え、県道1号は右手に山並みの景色を見ながらどんどん下っていきます。
すると鯉のぼりの泳ぐ橋に出ました。かなり深い渓谷です。
とにかく周辺の若葉の緑の美しいこと!
よかったね〜と笑顔のシロスキー、サリーナです。
橋の上から渓谷を覗き見ると川の姿は見えず、薄緑、黄緑などさまざまな緑の若葉に覆われています。
そんな景色を楽しみながら、ようやく温田駅に着きました。タクシーのマサキンとサイダーはとっくに到着して、食事処にいるようです。
待ち合わせの昼食場所「めんくろう」に着くと、ちょうどマサキンが出発するところ。マサキンはサイダーに自転車を貸して、徒歩で駅まで帰っていきました。サンクス、マサキン!
残りの4人はゆっくり昼食をとり、午後2時前に午後の部スタートです。
ここからいよいよ天竜川は中流域の秘境エリアに入っていきます。
県道1号を南下してトンネルを2つほど通過すると、薄緑色に塗られた鉄橋に出ました。
天竜川を眺めながら軽快に渡っていくのはサリーナ、ジーク、シロスキー。
ここを渡ると天龍村に入ります。
ところがなのです。鉄橋を渡ってしばらく行った県道430号との分岐点に「通行止め」の看板が!
えっ、とフリーズする4人。でも天竜川は美しいし、自転車だから通れるかも、というわけでとりあえず進んでみます。
車のいない道は快適そのもの。天竜川に沿って蛇行しながら南へと進みます。
天気も上々、若葉の木々に囲まれた天竜川が輝いています。
見晴らしのよい場所で小休止。
天竜川は蛇行するところに砂州が見え、その奥には鉄橋が。
県道1号の周囲の山はどんどん険しくなっていきますが、景色は最高。
サイダーを先頭に快調に走っていた面々ですが、『ちょっと待ったあ、サイダーー』とシロスキーが叫ぶ。
左手の天竜川の先を見ると、険しい山に沿って蛇行する道に何やら異変が。
目を凝らしてみれば、山の上の方からの土砂に埋もれているよう。
もうサイダーは行ってしまったので、他の3人もとりあえず進んでみると、そこは。。
やはり道は崖の崩落によって土砂に埋もれていたのでした! これでは自転車でも徒歩でも通行不可能です。
仕方なく、来た道を「通行止め」の看板まで戻ります。さて、これからどうするか。このあたりの天竜川沿いは山深い地形で、すんなり通れるエスケープルートはありません。
地図を見れば、崩落地点を迂回するには県道430号を西に進んだ先を南下するしかなさそうです。というわけで、和知野川沿いの県道430号を行くシロスキーとサリーナ。
当初コースではありませんが、川沿いのなかなかステキな道です。川辺のキャンプ場を越えて進みます。
和知野川は涼しげなせせらぎで、『快適で癒されるなあ〜』と満足げなシロスキー。
蛇行する川辺、ときには橋を渡り対岸へ。
緑に覆われた周囲もいい感じ。
迂回路だということを忘れて、楽しげに走るサリーナ。
そして3kmほど進んだところで小さな橋の分岐点に出ました。
この橋を渡って南下しなければ、天竜川に合流できないのです。
「南下」といっても道は下りではなく上り。和知野川を渡り、山道に突入します。
計画にない未知の山道。
それは入ったとたんに激坂となり、誰も自転車に乗ることはできず押して進みます。
そうは言っても、少し上れば勾配も緩やかになるんじゃないの?
という淡い期待はつづら折れの角ごとに打ち砕かれます。それどころか、コーナーごとに勾配がさらに激化しているようです。
押すのもつらい、けど押すしかない。。
地図を見るもまだまだ先は長い。
休んでは押し、押しては休みを繰り返す。
見晴らしのいいところに出て、気づけば随分上っています。『でもまだ先は長いよ〜』とへろへろのサイダー。
さらに上りは続く。道祖神の見守る激コーナーを黙々と押す。
もう1時間くらいは押しています。この間、すれ違ったのは車3台のみ。『珍しい自転車の人がいるなあと思いました〜』『まだまだ上りがあるよ』など、エールを送ってくださいます。
かなり上ってきたところに満開の桃の花が。そこには数軒の住宅とお庭、畑などがありました。
こんなに高いところで生活するのは大変だろうなあ。あ、自転車じゃあないか。『ご苦労さま!』とまたまたエールを送られます。
和知野川からはすでに標高差400mくらい上って(押して)きています。さきほどよりさらに眺望が開けました。
『ピークはまだ〜』とヨレヨレのサイダー。
そこから2折れくらい自転車を押し上げたのち、ついに!ついに!ピークの分岐点に到達したようです。
苦難の道を乗り越え、爽やかな?笑顔のサリーナ。気がつけば1時間40分もの押しの連続でした。もうくたくた!
しばし休憩の後、待ちに待った下り。自転車にまたがって進めるだけで喜びが溢れてきます。
勢いよく飛び出したのはシロスキー、追うサリーナとジーク。
しかしこの下り、勾配が半端でない。しかもカーブの連続だ。
ブレーキを握りしめながら慎重に下るジーク。
勾配がキツすぎて、ゆっくり慎重に下っていきます。ブレーキを握りしめ続けて手が痛いよ!
ずいぶん下って下って、ついに天竜川が見えました。その奥には平岡橋。
下りを終えて、天竜川にかかる平岡橋を渡ります。
県道1号の崩落箇所から2時間45分もかかって再び天竜川沿いの当初計画ルートに合流。本来ルートなら崩落箇所からほんの3kmほどの道のりです。
まあ、再び天竜川に戻れたのですから良しとしましょう。
すでに午後5時を過ぎ、今日の宿まではまだ20kmほどの距離があります。
次第に日も傾いてきました。天竜川沿いの国道418号をとにかくどんどん進みます。
そして平岡橋から6kmほど走ったところ。ここで天竜川沿いの道は県道1号に入るのですが。。
『えーっ』『おーっ』『うーっ』と声にならない声があがる。県道1号の入口に何と、『通行止/がけ崩れ』のサインが光っています。
何とか行けないのか、エスケープルートはないのかと、到着が遅れることを含め、宿に電話してみます。
答えは無情にも『道はそれしかなくて、自転車でも通れません』というもの。
こうなると交通手段はJR飯田線しかない。水神橋で天竜川を渡り、最も近い伊那小沢駅に向かいます。
この伊那小沢駅、誰もいませんね。周りにはお店も自販機もなし。
今は18時ですが、前の列車は20分前に出てしまったところ。次は19時25分です。
自転車を折り畳み、じっと待つこと約1時間半。やっと列車が到着したときには、辺りは真っ暗になっていました。
単線なので上りと下りの列車が駅ですれ違います。
列車に乗り込むと、3駅先の大嵐(おおぞれ)駅までは14分です。
大嵐駅で自転車を組み立て、天竜川沿いの暗闇の中を蛇行しながら3kmほど走ると、ついに本日の宿に到着しました。時刻はもう午後8時を回っています。
この「とみやま来富館」は5部屋の小さな宿で、夕食の時間はすでにかなり過ぎておりスタッフも帰宅するため、お弁当で用意してくれていました。
ビールは何とか買うことができて、部屋でほっと一息のカンパ〜イ! いろんなことがありましたが、とにかく着いてよかった!
さて明日です。『今日は大変な一日だったね、明日は少しゆっくりして、途中は鉄道で…』というサリーナの提案には誰も賛同せず、当初予定通り朝8時出発の70kmをゆくことになりました。わ〜、明日も早いからもう寝ましょう!
◆ひとこと by シロスキー
2日目の陣馬形山の登りは…
天気も良好で道筋の景色の変化が素晴らしい。花有り、遠景の変化もあり皆ラクゴせずに登れた。
3日目はハプニング続きの1日でした。
昼食後快調に走り出したが、平田駅手前約4kmで法面崩壊通行止め。崩壊位置迄行ったが、今回は全くダメ?? う回路は先の予測も無く、変化の無い山路。 4人共押して歩いた。
データを見ると登りは高低差440m、5km、100分。平田方面の下りは高低差490m、4km、30分。この下りが激坂15%程度はあった?? 手の痛い事極まりない。
◆ひとこと by 企て人サイダー
二度目のバースト! 最初のそれは20年ほど前、ママ車で初めて長距離を走った時でした。この時は自転車の性能を知らずにパンパンに空気を入れてしまったため。そして二度目が今回です。ツアーの直前にタイヤをチェックすると少し磨耗が見られたので、夏の旅の前には交換しようと思っていました。しかし今回のGWツアーは問題ないだろうと。
私が使っているタイヤはかなり薄いものです。思い返せばここ数日でかなりの下りをこなしており、砂利道も結構走ったので、急速にタイヤの磨耗が進行したのだと思います。しかしなんといっても決定的な敗因は、当日、出発前のチェックを怠っていたこと。
目の前にA型バリケードが立てられていたので、それを廻り込もうとした時でした。乾いた甲高い『パ〜ン』という音が鳴り響いたのは。いつになく大きなパンクの音に、みんなびっくりです。私もしばらくぶりに聞く音でした。チェックするとタイヤの損傷がかなり大きい。タイヤパッチを当てるも役に立ちません。さすがにタイヤの予備はなく、走行不能となりました。
『天龍ライン下り』のあと、ちょうど温田駅から帰京することになっていたマサキンが自転車を貸してくれるというので、私の自転車は『サイクルヤマト便』で送り、このあとはマサキン号で旅を続けることができたのでした。マサキンに感謝です。
この日は厄日でした。このあと二度の通行止めに遭遇。最初の通行止めのあと選択した迂回路の山道は、今まで経験したことがないほどの激坂の連続。3.3kmで440mの上り、平均斜度13.3%という、とんでもないもの。押してもきつい!
そしてやっと本来のルートに戻ったと思ったら、再び通行止め。およよ〜 事前調査不足ですねぇ。企て人失格の一日と相成ったのでした。