久しぶりにBBQを。
BBQは手軽で安く上がり、楽しい。だからたまにはやりたいのですが、自転車とはちょっと相性が悪いですね。だって自転車に鉄板や食材を積んでサイクリングって、かなり大変。
そこで、今回は『手ぶらでBBQ』を楽しめることを売りにしている和光樹林公園で行うことにしました。
出発地は東武東上線の和光市駅。駅前では和光市のイメージキャラクターの『わこうっち』が出迎えてくれます。
この街で最近話題なのが、理化学研究所が発見、その命名権を得た113番目の元素・ニホニウムです。そのニホニウムを記念して、和光市駅から理化学研究所までの通りに『ニホニウム通り』という名が与えられ、1番から113番までの元素記号をデザインしたプレートが路面に埋め込まれます。写真は原子番号1水素のプレート。
駅前の歩道にはNh113と書かれたフラッグがはためいています。
駅前からニホニウム通りを東へ進むとすぐ、外環自動車道の上を渡ります。
ニホニウム通りはここから外環自動車道に沿って、南へ進路を変えます。
200mほど進むとニホニウム通りの標識がありました。
この通りは和光市道113号線です。この市道番号は113番目にできたからということではなく、ニホニウムの元素番号の113にあやかって付けたものだそうです。
この道をまっすぐ行くとすぐにBBQ会場の和光樹林公園に着いてしまいます。
このままBBQ会場へ向かってもしかたがないので、しばらくサイクリングをしてお腹が空いた頃に行くことにします。
そこでまず向かうことにしたのは光が丘公園。
裏道の住宅地を進んで行くと、ちょっとした畑や花壇などがあります。
ここは池袋から電車でわずか10分強のところですが、都心のど真ん中では考えられない空間が残っています。
とある坂道の途中にこんな湧水がありました。
このあたりはかつての白子宿で、昔からたくさん湧水が流れていて、明治9年(1876年)にはその湧水を利用した日本で初めての養魚場がこの近くの神社境内に造られた、と案内板にあります。
この坂道は『滝坂』と言うそうで、もちろんこの名は湧水が滝のように流れ落ちていたことから付けられたものだそうです。
その滝坂を下ると、ちょっと歴史を感じさせる住宅の横を行きます。
白子川を渡ると光が丘公園に続く緑道のようなものが現れます。
今日は快晴。お天道さまがビカビカで暑い。それがこの緑道に入ると、スーっと涼しくなります。
光が丘公園の中心部へやってきました。
この公園はフリーマーケットでも有名で、その開催日はもの凄い人で賑わいます。この日はそのフリマではなく『練馬ファミリーまつり』というものが行われており、テントの屋台がたくさん並んでいました。
光が丘公園からは植村冒険館へ向かいます。
公園を出、高層住宅団地の中の道を進みます。この横の団地名に『パークタウンゆりの木通り』とあるので、おそらくこの通りが『ゆりの木通り』で、街路樹がユリノキなのでしょう。
ゆりの木通りを抜けるとかなり雰囲気が変わり、下赤塚の商店街に入ります。
日本の都市は新しく開発された巨大ブロックゾーンと、ぐちゃっとした下町的なところが連続しているのが、面白いといえば面白い。
R254を渡ると、そこから東武東上線の線路までのブロックはまさに迷路。
細道をあっちに行ったりこっちに来たり。
次にR17新大宮バイパスを渡り、徳丸五丁目の郵便局を過ぎたところで入った道、これは結構良かったです。
道の真ん中に緑地帯があり、バラのボールトがたくさん並んでいます。
この道は周囲の道の向きとはまったく無関係に、穏やかなカーブを描いて、それらの道を突っ切って延びて行きます。この道をずっと行くと新河岸川に突き当たり、その手前には細い水路があるようです。
おそらくこの道は、かつては川だったのでしょう。その後調査してみると、やはりこれは川だったようで、道の名は前谷津川緑道というようです。ここには前谷津川が流れていたのですね。
『六の橋』交差点で谷津川緑道を離れ、植村冒険館に向かいます。
すると道は、これまでと違って驚くほどまっすぐで碁盤の目状になります。ここは高島平。比較的新しく計画されたブロックなのです。
その先に植村冒険館はありました。
植村冒険館は、日本でもっとも有名なあの冒険家、植村直己の業績を紹介するための施設です。
植村直己を知らない方はまずいないでしょう。エベレストに日本で初めて登った人の一人であり、世界で初めて五大陸最高峰の登頂に成功した人でもあります。グリーンランド3,000kmや北極点に単独で犬ゾリで挑み、成功させてもいます。そしてマッキンリーの冬期単独登頂に世界で初めて成功するも、そのまま帰らぬ人となりました。
ここの展示は数は少ないものの、それでも植村直己という人を考えされるに充分な力があります。
植村直己の偉業に思いを馳せたら、次は戸田の漕艇場へ。
蓮根の住宅地を抜け、
新河岸川に出ました。
荒川に並行して流れるこの川は、ここから少し下流の岩渕水門の先で隅田川に合流します。
戸田橋で荒川を渡ります。
さすがにこのあたりの荒川は広く、先ほどの新河岸川とは比べ物になりません。大河の風格があります。
戸田橋を渡り終えると戸田の漕艇場です。
ここは1940年(昭和15年)に開催されるはずだった東京オリンピックのために造られた施設です。そのオリンピックは日本が第二次世界大戦に突入したため結局行われませんでしたが、1964年(昭和39年)のオリンピックでは、ここがボート競技の会場となりました。
しかし現在、この会場は国際規格に合わなくなっているそうで、2020年のオリンピック会場は、東京湾岸の『海の森』エリアに決まりました。
周囲には名門大学や一流実業団チームの艇庫が建ち並んでいます。
ここは、歴史あるボートレースの会場として使われ続け、ナショナルトレーニングセンターボート強化拠点施設にも指定されていて、毎日、湖面を進むボートが見られます。
この日は練習している艇は少なかったのですが、ちょうど一艇が走り出したところでした。
オレンジ色のシャツを着てボートを漕ぐ選手の横を、自転車で並走し見守っているのはコーチでしょうか。
戸田漕艇場と荒川の間の土手上には自転車道が延びています。
これをどんどこ西へ向かうと、巨大な建物が見えてきます。
これは戸田競艇場の施設です。
競艇場そのものは漕艇場と繋がったところにあり、この建物の向こう側になります。
土手上の自転車道は競艇場の先のR17新大宮バイパスで途切れるので、そこで土手を下り、荒川左岸排水路の横を行きます。
ここは木陰があり涼しくて気持ちいい。
この道でちょっと面白いマンホールの蓋を発見。
戸田漕艇場のボート、戸田市の花「サクラソウ」、市の木「キンモクセイ」が描かれています。
外環自動車道の先で、荒川左岸排水路横の道から彩湖東の土手上に上ります。
この彩湖側にはヤクルト球団のグラウンドやラグビーのグラウンドを見ることができます。
この土手を下って彩湖の畔にやってきました。
この一帯は荒川が氾濫した時のための調節池で、彩湖そのものはその中の調水池なのだそうです。
彩湖は一周5kmほどで、マラソンやサイクリングの大会を開催するのに都合が良いため、よくそうした催しが行われます。
ここは『彩湖・道満グリーンパーク』という大公園の中でもあり、周囲にはそれなりに木々があるのですが、マラソンやサイクリングを行う道脇には高木がなく、とっても暑いです。
ここの湖面にはよくウィンドサーフィンを楽しむ人々の姿があるのですが、この日はどうしたことか、見かけませんでした。暑いからかな〜
先に斜張橋の幸魂大橋が見えてきました。
時は12時半。お腹も減ってきたことだし、そろそろBBQ会場へ向かおうと、幸魂大橋を渡ります。
橋を渡り切ると、出発地の和光市に戻ってきました。
畑に並んでいる青い葉っぱはジャガイモでしょうか。こうした畑を見ると、ああ、和光市って感じですねぇ。
『腹へった〜』 『暑いよ〜』 『喉乾いたぜ〜』と騒ぐ面々に、企て人ムカエルはやむなく近くのコンビニに寄ることに。
このコンビニで食べた冷たいアイスはおいしかったよ〜
そこから和光樹林公園へ向かう途中に、巨木で有名な長照寺があります。
その木はイチョウです。幹廻り7.53m、樹高29m、樹齢推定700年だそうです。
ここはアプローチからこの大イチョウは見えず、どれくらい大きいのか見当が付きにくいのですが、この幹廻りを見ると、ちょっとびっくりします。
長照寺の近くにはもう一つ見どころがあります。
新倉ふるさと民家園。
これは今から300年ほど前の江戸時代中期に建てられた旧富岡家住宅を移築復元したもので、埼玉県ではもっとも古い部類に入る建物だそうです。
入ってすぐに目に付くのは、屋根の棟に草が生えていることでしょうか。これは痛みやすい棟を保護するために考え出された初歩的な技法の一つで『くれぐし』といいます。板の上に土を盛り、そこに植物を植え、その根が土の飛散を押さえ、土の重みで屋根の頂部を風雨から守るというものです。
この『くれぐし』には芝、ユリ、あやめが植えられているようです。
内部を見ても、この住宅がかなり古い工法で造られていることがわかります。
柱は細く、一間間隔で建ち並んでいます。梁は太く、手斧(ちょうな)で削った痕が残っています。
これは土間に置かれている製縄機。
製縄機はその名の通り縄を作るための機械で、少し前までは大抵の農家にありましたが、こんなの見たことない、という方も今では多いでしょうね。もちろんこれは江戸時代のものではありません。
さて、新倉ふるさと民家園をちらっと覗いたら、いよいよBBQ会場へ向かいます。
道は外環自動車道の横を行くようになります。
東武東上線の線路を越えると、今朝通った、あのニホニウム通りです。
そしてここがニホニウムを発見した理化学研究所です。
さすがに理化学研究所だけあり、その敷地はかなり広く、緑地もゆったり取られています。
理化学研究所の先は税務大学校。その横から和光樹林公園と大泉中央公園の間を行く道に入ります。
すると今度は司法研修所の門が現れます。このあたりには国の機関がいくつも集まっているようですね。
左手に大きな公園が見えてきました、池の向こうにはカラフルなテントが見えます。
ここが本日の目的地かと思いましたが、こちらは大泉中央公園で、和光樹林公園はこの反対側にありました。
今日は日差しが強くてとても暑く、汗びっしょりで喉はカラカラ。
和光樹林公園の入口からBBQの受付場まで、とても長く感じてしまいました。
やっとBBQ会場に辿りついたかと思えば、私たちが指定されたテーブルは木陰のないビカビカ太陽の下で、どひゃー。
こんなところではかなわん、と係の方と交渉して木陰に移動。ドタバタ騒ぎでタープも張って、なんとか準備完了です。
『とりあえず、お疲れさま〜 カンパイ〜』 と始まったのはいいものの、今回はBBQ奉行が不在で、てんやわんや。『お〜、に、肉が燃えちょる〜』『この玉ねぎ、炭になっとるぞー』
いや〜、まあ、そんなこんなですが、もちろんこれから楽しく盛り上がっていったのではあります。