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アイルランド周遊 1

Ring of Kerry その1

開催日 2001.08.19 (日) - 2001.08.20 (月)
参加者 サリーナ/サイダー
総合評価 ★★★
難易度 ▲▲
走行距離 142km

ダンロー渓谷
ダンロー渓谷

地図ベース:ミシュラン923
地図ベース:ミシュラン923

コース紹介

アイルランド南西部にある同国第二の都市コークからキラーニーを経て、ケリー周遊路(Ring of Kerry)に入り、V字谷の中に美しい湖が連なるダンロー渓谷を通り抜け、キラーニー国立公園のレイディース・ビューからの眺望を楽しみます。

2001.08.18 (土) 雨のち曇り 序章 Cork

シャンドンの鐘楼から見たコークの街シャンドンの鐘楼から見たコークの街

上空から下を見ると、緑の絨毯。これは期待できるぞ!

しかしアイルランド第二の都市コーク(Cork)に到着すると雨。アイルランドでは一日一回は雨が降るといわれている。翌日もしとしとの雨。

さてさて、この旅、どうなることやら…

Cathedral of St. Mary and St. AnneCathedral of St. Mary and St. Anne

コークはアイルランドの南西部、マンスター地方にある落ち着いたいい雰囲気の都市だ。

リー川の北にある聖アン教会(シャンドン教会)の鐘楼は街のシンボルで、その脇に赤煉瓦のカテドラルがある。この教会の創建は中世とされるが、現在のものは18世紀の再建で、シャンドン城の赤砂岩とノースモールに立っていた廃墟のフランシスコ会修道院から取った石灰岩で建てられた。この赤と白の組み合わせはコークのイメージカラーとでも言うべきものになっている。

シャンドンの鐘楼シャンドンの鐘楼

シャンドンの鐘楼は時計塔だが、四面にある時計が示す時刻がしばしば異なるため、コークの人々からは『4つの顔の嘘つき』と呼ばれているらしい。

そのてっぺんにはリー川(River Lee)で釣れる鮭を象った金色の風見鶏が載っている。

シャンドンの鐘楼には上れて鐘が鳴らせる。しかし階段はとても急な上に、狭いところは50cmほどしかない。太っチョと閉所恐怖症の人には無理だ。

鐘楼からリー川方面を望む鐘楼からリー川方面を望む

この写真は鐘楼のバルコニーから南を眺めたもので、手前の円形の建物は劇場およびダンスセンターのファーキン・クレーン(Firkin Crane)。その向こう、画面中央を左右に横切る線がリー川。

遠方に見える尖塔はコークの守護聖人である聖フィン・バレに捧げられたセント・フィン・バレ大聖堂(Ardeaglais Naomh Fionnbarra, Saint Fin Barre's Cathedral)。この街は6世紀に聖フィン・バレにより設立された修道院が始まりとされている。

イングリッシュ・マーケットのプリンセス・ストリート側メイン・エントランスイングリッシュ・マーケットのプリンセス・ストリート側メイン・エントランス

コークという名前はアイルランド語でぬかるんだ場所を意味する "corcach" から来ているという。その名が示すようにこの街の中心はリー川の中州にあり、セント・パトリック・ストリート(St.Patrick's St)がメイン・ストリートだ。

この中州の一角にコークの胃袋を満たすイングリッシュ・マーケット(English Market)がある。このマーケットは正式名称をプリンセス・ストリート・マーケット(Princes Street Market)というそうだが、近くにアイリッシュ・マーケットと呼べれていたセント・ピーターズ・マーケット(St.Peter's Market)があったため、それに対してこちらをイングリッシュ・マーケットと呼ぶようになったらしい。

イングリッシュ・マーケット内部イングリッシュ・マーケット内部

シックな入口を入ると、上品な噴水があるおしゃれな吹き抜けのモールの周りに、色鮮やかな食材が所狭しと並んでいる。

イングリッシュ・マーケットの魚屋イングリッシュ・マーケットの魚屋

周囲をぐるりと海に囲まれたアイルランドは魚介類が豊富。ここを見るとこの旅は食事には困らなさそうだ。

そういえば、昨日いただいたシーフード・チャウダーも白身魚のソテーもとてもおいしかった。

路地裏のギネスの看板路地裏のギネスの看板

この旅にはサイクリング以外にもう一つの楽しみがある。おししいエール・ビールとアイリッシュ・ウイスキーだ。

アイルランドのビールといえばギネス(Guinness)が有名だが、それ以外にもここにはたくさんのメーカーと種類がある。マーケット近くの路地裏のパブで、スタウトの Marphy's を試してみた。これは色と泡はギネスとほぼ同じだが、より軽めで苦みが少なくあっさりしている。

2001.08.19 (日) 曇りのち晴れ一時雨 いきなりハンガーノック Cork~Killarney

地図:Googleマップgpxファイル/GARMIN Connect/Ride With GPS

発着地 累積距離 発着時刻  備考
Cork START 発09:00 泊:Doughcloyne Hotel/£80
朝食:ジュース/フルーツ入ヨーグルト/ベーコン/ソーセージ/マッシュルーム/プディング/焼トマト/目玉焼/トースト/コーヒー
Macroom 40km 着11:50
発12:45
昼食:ホテルのBar/野菜スープ/地中海野菜のペンネ/ギネス/£12.9
村を2つほど過ぎると緩い上りが続く。向かい風!
peak 65km 着15:00 ここまで230mの上り
停止点 73km 着15:30 ハンガーノックで停止、木イチゴで凌ぐ
GS 78km 着16:00
発16:30
ガソリンスタンドで軽食を発見
S:ドーナツ+バナナ3/Y:アップルパイ+バナナ3
Killarney 87km 着17:00 夕食:Hannigan's/Beamish(ギネスより酸味があるスタウト)/ギネス/野菜スープ/サーモンのバターソース/カレイ(Plaice)のフライ+タルタルソース/フライドポテト/£29
泊:Emerville House/£40/朝付
為替レート:1IR£=147円

コーク郊外の宿コーク郊外の宿

自転車で走る日になると、晴! ちょっと雲が多いけれど、サイクリングには快適な気候。

昨日、コークの街中から郊外に宿を移した私たちは、早朝にその前で自転車整備。昨日は30kmほど軽く走っただけだが、雨に当たって自転車が泥んこになっていた。

リー川の橋を渡るサイダーリー川の橋を渡るサイダー

整備が終わり、豪華なフル・ブレックファストをいただいたら、いよいよキラーニー(Killarney)に向け90kmの旅のはじまり。ちょっと距離があるけれど、途中に適当な街がないので一気に行くことにした。

人口12万人ほどのコークの街はコンパクトで、10分も走るともう辺りは田園になる。車も少なくて快適、快適! リー川に架かる橋を渡り、その北岸に出る。

リー川リー川

この川はコークの中心部で見たものと同じ流れだが、ここまで来ると様子は一変する。川幅は広がり固い護岸がなくなり、周囲は自然に溢れている。

伸びやかな、いい流れだ。

リー川沿いを行くサイダーリー川沿いを行くサイダー

しばらくはこのリー川北岸の道を行く。景色が良くて快適だ。

でも、なにかちょっと変だ。自転車が進まない。よ〜く見るとゆる〜い上りがず〜と続いている。それに舗装の砂利がでかい。日本の倍くらいの大きさで、さらにアスファルトが沈んでいる。ゴロゴロゴロ…

リー川の畔の牧草地リー川の畔の牧草地

川のほとりは緑の絨毯。

その中にある白い点は羊、あるいは牛。大都市近郊とは思えない静かな景色が続く。

マクルームのカラフルな家々マクルームのカラフルな家々

40kmほど走りN22に合流すると、すぐにマクルーム(Macroom)に到着する。

キラーニーのかわいらしい家並マクルーム中心部

マクルームはマクルーム城とクロムウェルのアイルランド征服の一環として行われた1650年のマクルームの戦いとで有名だが、中心部にはかわいらしいカラフルな家々が立ち並んでいる。

この一角のホテルのバーで昼食。野菜スープと地中海野菜のペンネという簡単な食事だが、これがなかなかおいしい。

だらだらの上りを行くサリーナだらだらの上りを行くサリーナ

午後の部はキラーニーまでN22の一本道だ。この道は車が結構走るが、路肩が広く取られているので問題はない。

小さな村をいくつか通り抜けて行く。するといつの間にか穏やかな上りが続くようになる。その上、向い風だ。時間を少々ロスしている。

木イチゴみ~つけた!木イチゴみ~つけた!

キラーニーまであと15km。道端にパタッとサリーナが停止。

『クラクラで動けない…』

ハンガーノックだ。廻りには当然お店などない。ふと道端の茂みを見ると、あるある木イチゴだっ。山のように集めた木イチゴを頬張るサリーナ。

『ああ、助かった!』

3階建の建物が並ぶキラーニーの家並

キラーニーには予定時間を大幅に上回ったけれど、木イチゴのおかげで何とか到着できた。

マクルーム同様、この街でも3階建ほどのかわいらしい家々が出迎えてくれる。

キラーニー中心部キラーニー中心部

キラーニーはケリー州最大の街で、Ring of Kerry(ケリー周遊路)の起点となるところ。

このすぐ近くにはアイルランドで最初に指定された国立公園である美しいキラーニー国立公園がある。

キラーニーのB&Bの居間キラーニーのB&Bの居間

街のインフォでB&B(ベッド&ブレックファスト)を予約してもらい、そこへ向かう。私たちとしてはこれが初めてのB&B体験だ。

B&Bは日本で言うなら民宿だが、侮ってはいけない。庭は非常に良く手入れされていて、きれいな草花がいっぱい。居間もセンスの良い飾り付けで快適。

典型的な朝食 他にフレークや果物などが典型的な朝食 他にフレークや果物などが

豪華な朝食もおいしい。

しかもこれで3,000円/人なのだ!

2001.08.20 (月) 晴れのち曇り Ring of Kerry 周遊開始 Killarney 〜 National Park 〜 Kenmare

地図:Googleマップgpxファイル/GARMIN Connect/Ride With GPS

発着地 累積距離 発着時刻  備考
Killarney START 発09:20 泊:Emerville House/£40/朝付
朝食:フル・ブレックファスト
Gap of Dunloe
入口
13km 着10:30 馬車やハイカーに混じって進む
peak 19km 着11:20 V字谷とうねうね道
Killarney国立公園 23km 着11:50 カフェで道を聞き、フットパスでupper lakeあたりを行く
担ぎと押しの繰り返し!
Ladies View 31km 着14:00
発14:45
眺望
昼食:スープ/サンドイッチ/ギネス/£8.4
Kenmare 47km
55km
着16:00
着17:00
infoでB&B予約
泊:Leebrook House/£44/朝付
夕食:An leath phingin/グリーンサラダ/焼ナス+ヤギのチーズ+トマトソース+バジリコの前菜/ほうれん草入り餃子のパルメザンチーズかけパスタ/ワイルドサーモンバジルソース+ジャガイモ・ほうれん草・人参・ズッキーニ/赤/エスプレッソ/£47
為替レート:1IR£=147円

キラーニー近郊キラーニー近郊

ここからアイルランド周遊の前半のメインコース、Ring of Kerry 周遊の始まりだ。

アイルランドの南西に突き出した、美しい風景で有名なアイベラ半島(Uíbh Ráthach,Iveragh Peninsula) を一廻りする。

草原と羊草原と羊

キラーニーを出るとまたまた、でこぼこ道と上りが始まる。

でも景色の変化が楽しい。

遠くにダンロー渓谷(Gap of Dunloe)を抱く山並が現れた。

空を映す静かな川空を映す静かな川

その下には、小川と牧草地と羊たち!

ダンロー渓谷入口ダンロー渓谷入口

一時間ほど走ると馬車が停まっているところに出た。どうやらここがダンロー渓谷の入口らしい。

ここからハイキングに出かける人が多いようで、馬車で渓谷を越えることもできる。馬やハイカーに混じって私たちも渓谷へ向かう。

ダンロー渓谷のV字谷と湖ダンロー渓谷のV字谷と湖

Vの字をした山あいの谷の麓に美しい湖。そしてそこから流れ出る小川。

この湖と川に沿って細い道が続く。もちろん上り! さて、無事に渓谷を渡れるのかしら?

きつい上りを行くきつい上りを行く

最初の湖を過ぎて、次の湖へ向う砂利道を快調に飛ばすサリーナ。

押しのサイダー押しのサイダー

しかし時々、こんなふうに押しが入っている。

ダンロー渓谷のピークダンロー渓谷のピーク

V字谷の間をうねうねとした道が続く。

人工的なものは道だけというすばらしい自然の中をゆっくり進む。

徐々に高度を上げつつ荒々しい岩山の間を行くと、ついに視界が開いて道は下りに転じた。

山と谷の中の草原山と谷の中の草原

谷間の湖が下に見えるようになってくると、両側の山が退き草原となる。なんとかかんとか無事に渓谷は越えたようだ。

ピークから2kmほど下ると分かれ道があり、B&Bの看板が出て来るようになる。この分かれ道を東へ向かいキラーニー国立公園に入る。

ワイルド・ロードワイルド・ロード

しかし次に待っていたものは…

カフェで教えてもらった鉄柵を越えると、そこはなんとマウンテンバイク向きのオフロード。

ダートを押し歩きダートを押し歩き

ここはまだ平坦だけれど、この先には本当のシングルトラックの上りと下りが。

石灰岩の露頭石灰岩の露頭

上りが始まると景色が変わり周囲は森に、そして時々岩場が出てくるようになる。

このあたりは押しと担ぎの繰り返しだ。道はどうやらキラーニー国立公園のアッパー・レイクあたりを通っているらしい。

森と湖森と湖

木々の合間から美しい湖と山が見え出す。

足下には黄色や紫色の花がたくさん咲いている。

美しい山並みと湖が続く美しい山並みと湖が続く

5kmの行程を押しと担ぎでなんとか凌いだけれど、ここはすごくきつかった。

『Birdy、マウンテンバイクになって〜』と、ついつい叫んでしまう。

でも、景色は最高!

森の中を行く森の中を行く

あとで確認すると、なんとこのルートはハイキングコースだった!

一般の道に出た時は、本当にほっとした。山の中で遭難するかとひやひやしたからね。でもこれからまた上るの。

Ladies ViewにてLadies Viewにて

どうしてそんなコースを取ったのかというと、ここ "Ladies View" に来たかったからなのです。

Ladies Viewからやってきた谷を見渡すLadies Viewからやってきた谷を見渡す

道の向いにあるレストランに入り、黒い液体で咽を潤しながら、辿って来た楽しく苦しいダンロー渓谷ルートを見渡す。やってきた甲斐がある景色だ。

ここからも5km上りが続くが、残りの10kmは豪快な下りであっという間にケンマーレ(Kenmare)に到着。

ケンマーレ橋からケンマーレ湾を見るケンマーレ橋からケンマーレ湾を見る

アイルランドはツーリスト・インフォメーションが発達していて、これはちょっとした街には必ずある。そこで静かなところをと希望し、今宵のB&Bを予約してもらった。街の中心から1.5kmほど戻ったところにあるそのB&Bに荷を解いてシャワーを浴びると、18時。だがまだ外は十分に明るい。

夕食を兼ねてこの街の名の由来となった場所を観に行く。Kenmareは『海の頭』という意味で、この海はケンマーレ湾のことだという。ケンマーレ湾は北大西洋から入り込んだ細長い入江で、ケンマーレの街はその奥にあるのだ。ケンマーレ橋から湾を見ると、海というより大きな川のようだ。明日はこのケンマーレ湾に沿ってアイベラ半島を廻る。

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