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アイルランド周遊 2

Ring of Kerry その2

開催日 2001.08.21(火) - 2001.08.22 (水)
参加者 サリーナ/サイダー
総合評価 ★★★
難易度
走行距離 121km

スカリフ島とディーニッシュ島
スカリフ島とディーニッシュ島

地図ベース:ミシュラン923
地図ベース:ミシュラン923

コース紹介

Ring of Kerry の第二章は、ケンマーレから北大西洋に突き出たアイベラ半島をぐるりと廻ってディングル湾の奥にあるキローグリンまで。美しい海岸と小高い山、その裾野に広がる緑の草原。穏やかなアップダウンがある楽しいコースです。

2001.08.21 (火) 雨のち晴れ 嵐!そして強烈な向い風 Kenmare~Derrynane

地図:Googleマップgpxファイル/GARMIN Connect/Ride With GPS

発着地 累積距離 発着時刻  備考
Kenmare START 発09:45 泊:Leebrook House/£44/朝付
バス停〜info〜ストーンサークル〜へリテージセンター〜カフェ
Kenmare 3km 発11:40 雨が上がり出発
Tahilla 20km 着13:00 川のようなところで鱒釣りを眺めつつ休憩
Sneem 30km 着14:00
発15:00
昼食:シェーズパイ(ポテトとひき肉のオーブン焼)/サーモンとサラダ・サウザンアイランドドレッシング/ギネスのStautとHarp(ラガー)

35km 着15:35
強烈な向かい風と上りに苦しみ休憩
Watervilleへ行くのを断念、適当な村で宿を探すことに
Derrynane 50km 着17:00 泊:Hotel Derrynane/£99
夕食:ホテルのレストラン/ヤギのチーズ・バルサミコソース/小エビ・ムール貝・アボカドのカクテル/にんじん?スープ/シャーベット/butterfishのバターガーリックソース/サーロインステーキ+オニオンとマッシュルーム/ポテトと茹で野菜/アイスクリーム3種/ケーキ/コヒー/£50+ワイン
為替レート:1IR£=147円

Ring of Kerry(ケリー周遊路)の二日目は、ケンマーレ(Kenmare)からアイベラ半島(Uíbh Ráthach,Iveragh Peninsula) を時計回りにぐるりと廻ってウォーターヴィル(Waterville)までの予定。

ケンマーレから対岸のベアラ半島を望むケンマーレから対岸のベアラ半島を望む

しかし・・・

嵐! そとは嵐なのだ。土砂降り強風!

止むなく自転車での移動を諦め、バスで行くことにした。ところがしばらくこのバスの便がない。仕方ないので街中を散策し時間を潰すことにした。ストーンサークルとへリテージセンターを見学しカプチーノをしていると、信じられないことに雨が上がるではないか。さっきまでの嵐はどこへ行ったのか?

ボートを乗り出す人々ボートを乗り出す人々

こうなったら自転車で出発だ。今日は入り江沿いのルート。だからあまり上りは無いはず。へばったらバスにすればいいや! とウォーターヴィルへ向け出発。

道はN70の一本道。迷うところはない。牧草地の外周に巡らされた木々の合間に入り江の向こう側のベアラ半島(Béarra,Beara Peninsula)の山並みを見ながら、美しい緑の中を走り出す。

鱒釣り鱒釣り

道端は自生のきれいな植物でいっぱい。気候がよいのでいつでも花が咲いているのかな。

時々川を横切る。ブラックウォーターブリッジ(Blackwater Bridge)を過ぎてタヒル(Tahilla)が近づくと、右手に川のようなものが現れた。ボートを漕ぎ出す人や岸で魚釣りをしている人がいる。

ここで写真のおじさん、でっかい鱒を釣り上げた。

道端のサイダー道端のサイダー

すっかり雨が上がり、気温が高くなってきた。宿を出た時は雨が上がったばかりだったので合羽を着ていたが、それはもう必要なさそうだ。

このルート、景色は美しいものの、さすがに嵐が去ったばかりの入り江沿いはとても風が強い。強烈な向い風だ。休憩したいと思うが、地図には街が印されているものの、走っても走ってもそれらしい街が現われない。どうやら街といっっても数軒の民家があるだけのところだったみたい!

スネアムの荒れる川スネアムの荒れる川

『また、ハンガーノックになる〜!』と叫びつつ、なんとかスネアム(Sneem)という小さな村にたどり着く。ここの川は嵐の影響で濁流だ。

嵐のため出発時刻が遅れたのと、強風でへばってきたのでこの村からバスに切り替えよう! ところが今度は、バスは逆戻りの方向へしかないという。まいった。意を決してスタート。あと35km、約半分だ。

山と野原山と野原

しかし甘くはなかった。川の向こう側、内陸側にはこんもりした山が続き、その裾野には野原が広がっている。ここから内陸に道が入り込む。つまりまた上りってことだ。

風はどんどん強まるばかり。時速10km以下でのろのろ進む。35分で5kmしか進まない。なんとか『もどろうか?』と言うのを堪え、賢明にペダルを回す。ゆっくり休もうにもまたまた街がない。ど〜しよ〜…

湾へ向かって下る道湾へ向かって下る道

空の雲が薄くなり、青空が見え出した。そしてスネアムから6〜7kmの地点で峠を越えたらしく、道は湾へ向かって下って行く。

ケンマーレからウォーターヴィルへと続くこの道は、穏やかなアップダウンはあるものの眺めが良く、リラックスして走れる。風さえなければ!

海岸の牛さん海岸の牛さん

霞んでいた対岸のベアラ半島が徐々にはっきりと見えてきた。

時折、羊や牛の姿がぽつぽつと目に入る。

海岸の植物海岸の植物

この半島は岩がちで、そこら中に露頭が見える。

そんな岩の塊のようなところの上にも緑があり、花が咲いている。花はみんな小さいけれど群落を成しており、緑とのコントラストが素晴らしくきれいだ。

並ぶ岩礁並ぶ岩礁

湾の中には岩礁が続いている。

変化に富んだ入江変化に富んだ入江

これまで道は海岸から少し離れたところを走っていたが、ついに海辺に出た。

凹凸があり変化に富んだこの入り江はとても美しい。

ベアラ半島と打ち寄せる波ベアラ半島と打ち寄せる波

しかし相変わらず激しい風だ。

岩場に打ち寄せる波が砕けて白い飛沫を上げている。

花が咲く磯花が咲く磯

足下を見れば、こんなに条件が悪い場所だというのに、やっぱりあの赤や黄色の花が咲いている。

足下の花足下の花

この植物の生命力は凄い。ヘザー、ヒース、エリカといったところだと思うが、私には残念ながらどれがどれだか良くわからない。

岩場の上に立つ民家岩場の上に立つ民家

民家はポツポツとはあるが、相変わらず村や街はない。今日のうちにウォーターヴィルに着くことはとっくに諦めているが、どこかで今宵の宿を見つけなければならない。

岩場の海岸を出ると、まずい、向かい風の上に道は上りになった! しかしそこに突然、一軒のホテルの看板が! うぉ〜、ここに泊まっちゃお〜。

デリネーンのホテルのプールデリネーンのホテルのプール

入ってみればこのホテル、プール付きのプチ豪華ホテルだったのです!

旅はこうでなくっちゃね。ここはどうやらデリネーン(Derrynane)というところらしい。

デリネーンの海岸とサイダーデリネーンの海岸とサイダー


2001.08.22 (水) 晴れのち曇り 風にのる! Derrynane~Waterville~Killorglin

地図:Googleマップgpxファイル/GARMIN Connect/Ride With GPS

発着地 累積距離 発着時刻  備考
Derrynane START 発09:50 泊:Hotel Derrynane/£99
朝食後散歩
Waterville 16km 着11:00 チャップリンが過ごしたリゾート地
Cahersiveen 32km 着12:10
発13:15
昼食:Bar/シーフド・チャウダー/フレッシュ・アトランティク・クラブ/ギネス
Glenbeigh 58km 着15:00 ソフトクリーム休憩
Killorglin 71km 着16:15 泊:Kerdon House/£40
夕食:中華/かた焼きそば/海老と野菜炒め/ワイン/£28
Bar Kingdom/アコーディオンとドラムス
為替レート:1IR£=147円

デリネーンを出発するサイダーデリネーンを出発するサイダー

今日の目的地はアイベラ半島の北側にあるディングル湾(Dingle Bay)の奥にあるキローグリン(Killorglin)。昨日は当初予定していたウォーターヴィルより少し手前のデリネーンで終わっているので、今日はその分を取り戻さないとね。

昨日の凄かった風は止んだようだし、プールでリフレッシュもしたし、今日はなんとかなるかな。

デリネーン付近デリネーン付近

しかし昨日最後に見たように、海辺のデリネーンからはまず上りだ。行く手には穏やかな山並みがずっと続いている。

最初はどうなるかと思ったが、この勾配は8kmで200mの上りで平均2.5%と緩いので、そう問題なかった。

Caherdaniel Stone Fort付近Caherdaniel Stone Fort付近

昨日キラーニーで見たストーン・サークルからもわかるように、アイルランドは石の文化で建造物はみんな石造だ。

城もあちこちにあり、この海岸にも古い要塞が残っているのが見える。

スカリフ島とディーニッシュ島スカリフ島とディーニッシュ島

左手の視界が開くと先に島が見えてくる。スカリフ島(Scariff Isrand)とディーニッシュ島(Deenish Isrand)だ。

はっとするような美しい海岸が続く。

緑の牧草地緑の牧草地

しかしこんな傾斜地にも民家があるのには驚きだ。この前の嵐の時はどんなだったろう? 風はビュンビュンで外にも出られなかっただろうけれど…

写真は牧草地だけれど、今日は羊、いないね。

北米からやってきた美女2人北米からやってきた美女2人

突然、目の前を塞ぐ美女二人。

『ハーイ、この坂きついね!』

“もう、死んじゃうよ!”

『どこから来ているの?』

“カナダとアメリカよ、あなた達は? どこまで行くの”

『東京だよ。Westportへ ! 』

“エッ? どれ位の旅?”

『2週間』

“エッ~ッ? そのチビ自転車で?”

『こいつだってちゃんと走れるよ~』

“荷物、それしかないのに? パンツ何枚持ってるの?”

『ちゃんと3枚もってるよ~』

“こんなジャケットもないじゃない!” ---と見せる!

『ちゃんとリュックのなかにあるよ~ん』

“今日はどこまで?”

『Killorglin !  70kmくらいかな。』

“ヒャ~、驚いた、彼らあのかっこで2週間も旅するんだってよ。今日はこのチビ車で70kmも走るんだって! タフね…”

『じゃあ、またね。次のView Pointでね!』

ディングル湾の奥の景色ディングル湾の奥の景色

カナダとアメリカの美女と別れるとほどなく峠(Coomakesta Pass)を越えた。

ここからは一気にウォーターヴィルへ下る。さすがにこの下りは快適だが、あっという間だった。ウォーターヴィルはバリンズケリグス湾(Ballinskelligs Bay)の奥にあり、さらにすぐ内陸側にカレイン湖があるちょっとしたリゾート地で、かのチャーリー・チャップリンが10年以上に渡りバカンスに訪れたところとしても知られており、本来なら私たちの今日の出発地点となるはずだったところだ。

ウォーターヴィルから道は再び内陸に入る。つまりまた上りとなるがこれは大したことはなく、すぐに半島の北側に抜けた。

ディングル湾とディングル半島ディングル湾とディングル半島

小さな入江の先にあるカアーサイビーン(Cahersiveen)で昼食にありついたあと、午後の部に入るとまたしても上り。しかしこの半島の北側は昨日とは逆に追い風だ。助かった〜。その後もアップダウンはあるのだけれど追い風だからね。

下りとなった道の先にディングル湾が見えてくる。そのまた向こうは低い山が連続するディングル半島だ。向こうからこちら側を見ればほぼ似たような景色のはずで、私たちはあのようなところを上ったり下ったりしている。

グレンベイグレンベイ

時は15時。キローグリンまで10km少々となった。今日は問題なくキローグリンに着けそうだ。

というわけで、ちょうどそこに現れたグレンベイ(Glenbeigh)でソフトクリーム休憩を。

グレンベイのホテル・バー&レストラングレンベイのホテル・バー&レストラン

アイルランドにはパブが多い。パブは日本では居酒屋と思われているが少し違う。これは地元の人々が集まり、食事や酒などの飲み物、そして音楽を楽しみながら交流する公共の場所だ。

Pubは "Public House"の略で、元は宿屋やホテルだったという。その中のレストラン部門が独立したようなものが今日のパブということだろう。だからパブではきちんとした食事ができる。

パブの入口に取付けられたギネスの古い看板パブの入口に取付けられたギネスの古い看板

パブと似たものにバーと呼ばれるものがあるが、こちらはもっぱら酒を提供するところで、食事は出さないか出してもごく簡単なものだ。

パブはソフトドリンクも出すが、バーは出さないところが多い。ギネスはもちろん、どちらにもある。

アイシッシュ・コーヒーの看板アイシッシュ・コーヒーの看板

食後はアイリッシュ・ウイスキーもいいし、アイリッシュ・コーヒーをいただいてもいい。

アイリッシュ・ウイスキーにはとてもたくさんの種類があり、モルトを始めグレーン、そしてもちろんブレンデッドもある。さらに穀物由来の風味が強いポットスチルと呼ばれるタイプがある。ポットスチルはモルトにした大麦に加え、未発酵の大麦やオート麦などの穀物を原料とする。ほとんどのアイリッシュ・ウイスキーはモルトにする過程でピートが使用されないため、スコッチ・ウィスキーのようなスモーキー・フレーバーがないのも特徴だ。

アイリッシュ・コーヒーは、コーヒー、砂糖そして生クリームが入った甘めのホット・ドリンクで、特に寒い時期に好まれる。意外とアルコール度数があるので、気をつけないと酔っぱらう。

夜のバー夜のバー

キローグリンには無事到着。今日はアップダウンは少しあったが風が味方をしてくれた。ここまであのカナダとアメリカの美女たちにも追い越されなかった!

夜はバーに繰り出してアイリッシュ・ミュージックとお決まりの『黒い液体』を楽しむ!

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