序章 景勝の地ハロン湾/2002.12.28(土)
発着地 | 発着時刻 | 備考 |
---|---|---|
ハノイ Hà Nội |
発09:00 | 泊:DU NORD/W28$ インフォを探すが見つからず |
キムマー Kim Mã バスターミナル |
着09:40 発10:20 |
バイチャイ行バス:10万D+自転車5万D=15万D/人・台 途中休憩1回:チマキ3000D |
バイチャイ Bãi Cháy |
着13:40 発14:30 |
ハロン湾クルーズ:30$/人(ランチ付) ティエンクン洞窟 |
バイチャイ Bãi Cháy |
着19:30 | 泊:ホンティン(HoàngThịnh)ホテル/W12$(朝付) 夕食:イカボール/春巻/野菜チャーハン/ビール2/9万D |
1000DON=0.065$=7.86円 |
2003年の正月休みはベトナムです。北部の首都ハノイ(Hà Nội)に入り、中部のフエ(Huế)に立ち寄って、南部のホーチミン(Hồ Chí Minh)から出る計画。ハノイは大晦日にやってくるナオボーとチューボーと一緒に廻ることにしているので、その前に景勝地として名高いハロン湾(Vịnh Hạ Long)へ行くことにしました。
ハノイのキムマー(Kim Mã)・バスターミナルから、ハロン湾観光のベースとなる街バイチャイ(Bãi Cháy)行のバスに乗りました。このバスは小型ですが出発時は空いていたので、自転車はたたんで座席の横に置いていました。ところがそのうち満員になったので、乗員が自転車を屋根の上に。屋根にはキャリアがないのでどうするんだろうと思って見ていると、上手にロープを引っ張って固定していました。途中落っこちないかとドキドキでしたが、まったくその心配はなし。コトリとも動きませんでした。
途中1回休憩をして、3時間と20分でハロン湾のバイチャイに到着。バイチャイのバスターミナルには様々な客引きがいて、私たちは気の良さそうな男のミニホテルへ。
ホテルではハロン湾クルーズの予約ができるのですが、この日は天候のせいでか客がいないようで、チャーターになりました。あまり天気が良くないのは残念ですが、これからいよいよハロン湾5時間コースのクルーズの始まり。
私たちがチャーターした船は10人乗りほどでクルーズ船の中ではもっとも小さなものですが、2人だけなので広すぎです。
沖合に停泊しているものは、クルーザー、そしてその向こうは大型のクルーズ船でしょうか。漁師の小舟も見えます。
今回はチャーターなのでどこに陣取っても良し。デッキも気持ちがいいですが、ここはちょっと寒いかも。
出航してしばらくすると、彼方にギザギザ頭の小山がたくさんたくさん見えてきました。その数はとても数えきれません。ハロン湾にはなんと2,000ほども島があるそうです。
宮城県の松島の島は平べったいものが多いですが、ここはみんなとんがり帽子。
どうやら島に着いたようで船は速度を落としています。ダウゴー(Đầu Gỗ)島です。
ここにはティエンクン(Thiên Cung)という鍾乳洞があります。ティエンクンはベトナム語で『天宮』という意味だそうです。鍾乳洞の入口は船着場からちょっと離れていて、100段ほど階段を登らなければなりません。これ、ちょっときついです。(笑)
ティエンクン鍾乳洞は、幅約10〜20m、高さは20mほどとそう大きくはありませんが、意外と広さを感じさせ、様々な姿を見せる鍾乳石は結構面白いです。
次々と現れては消えていく島々。その姿がみんな違うので飽きることはまったくなし。
ここには水上生活者がおり、いくつも小屋が浮かんでいます。
その中から一隻の小舟が近づいてきました。彼らはクルーズ船が近づくと観光客に魚介類を売りにやって来るのです。
あの家の周囲には生け簀があり、そこで魚を養殖しているようです。私たちはランチ付きでお願いしていたので、乗員の26歳だというハイちゃんが、エビ、イカ、それにキャットフィッシュを選んでくれました。
そして作ってくれた料理は、茹でエビ、イカと玉葱炒め、キャットフィッシュは揚げてトマトと香草を炒めて絡めたもの。これは旨かった。他に、豆腐、白菜炒め、ポークステーキそしてごはん。おいしゅうございました〜
5時間のクルーズは飽きてしまうのではないかと思ったのですが、予想よりハロン湾は見応えがあり、楽しく過ごしました。しかし出発が遅かったので帰りは19時半になってしまい、暗くなり寒かったです。
ハロン湾からハイフォンへ/2002.12.29(日)
発着地 | 累積距離 | 発着時刻 | ルート | 備考 |
---|---|---|---|---|
バイチャイ Bãi Cháy |
START | 発08:45 | r18 | フェリー(500D/人)で対岸のホンガイへ |
ホンガイ Hòn Gai |
8km | 着09:30 発11:00 |
r18,r10 | 市場めぐりの後、お茶して出発 r10に入ると田舎道。水路の土手を通ると楽しい。 |
クアンイェン Quảng Yên |
48km | 着13:30 発14:30 |
r10 | 昼食:牛肉炒め/牛スジスープ/ごはん/黄金水/6万D 途中2回フェリーに乗る |
ハイフォン Hải Phòng |
65km | 着17:30 | 北部第2の都市 泊:DAI DUONG/W25$★★★/静かで広い部屋 夕食:Lucky/海老炒め/蟹/魚の唐揚げ/魚など入り麺/ビール5/519,000D |
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1000DON=0.065$=7.86円 |
ハロン湾クルーズを楽しんだ翌日、いよいよベトナム自転車旅行の始まり!
今日はここバイチャイからまずハロン湾の対岸にあるホンガイ(Hòn Gai)に渡り、ホンガイ市場を眺めてから再びバイチャイに戻って、北部第2の都市ハイフォン(Hải Phòng)まで行きます。
私たちが泊まったバイチャイのミニホテルはこんなところ。もちろん贅沢なものではありませんが、特に問題はなし。
まずはバイチャイから対岸のホンガイへフェリーで渡ります。
このフェリーは市民の足になっていて、自転車やモーターバイクがどんどん乗り込みます。船賃は一人500ドン(約4円)。この値段を考えるとベトナムの物価は日本の1/20ほどと推測されますが、公共交通機関というものは所得が低い国ほど安い傾向にあるので、この値は平均とは言えないものの、物価を考える上では非常に役に立ちます。あとで聞いたのですが、ベトナムの平均的な月収は1万2千円、かなり稼ぐ人でも12万円ほどらしいです。
バイチャイ - ホンガイ間は400mほどと近く、15分でホンガイ側に到着。
ホンガイの街の中心はフェリー乗り場から2〜3kmほど離れていますが、私たちは自転車なので問題なし。さっそくホンガイ市場にやってきました。市場では、八百屋、果物屋、布地屋などがたくさん並んでいます。
この写真は花屋で、店先に出ている花輪はあとで知ったのですが、お葬式用のようです。
ここは魚市場を期待したんですが、なぜかそれは見つからず。いったいどこにあったのでしょうか。
しかしそれでもここは、ベトナムの人々の日常が感じられる楽しいところでした。こんな天秤棒を担いだ果物売りもいたりして。
ベトナムの道横は畑であることもあるので埃っぽく、モーターバイクが多い上に規制が緩いのか排気ガスがもの凄く、人々はみんなマスクをしています。
サイダーはこれからのツーリングに備えて布のマスクをゲット。ここにはカラフルなマスクがたくさん売られていました。
フェリー乗り場に戻る途中、ちょっと疲れたので茶店に入って休憩です。店先には近所の人のものなのか、珍しくもプラスチック製の前駕篭が付いた自転車が2台停まっていました。
ここでいただいたのはベトナム茶で、勘定をしようとすると、ご主人がいいよいいよ、サービスだよって。え〜〜? お茶屋でお茶をサービスしてもらっちゃった。このご主人、ここに来てくれてありがとう、日本人は初めてだよ。というようなことを言っていたような。
しあわせ気分でハイフォンへ向け、いざ出発。
再びフェリーでバイチャイへ渡り、西へ向かいます。前半はハノイへ通じる幹線道を行く以外になく、車が少々多いのですが、しばらくは海(干潟?)を眺めながら走れます。疲れたらおやつに持っていたチマキをいただきます。こうしたものはどこで買ってもとても安くておいしいです。
大きな橋を渡りミンタン(Minh Thành)に入ると枝道が出てきます。ここからは快適な田舎道が続くようになります。
道脇には田んぼや畑が広がり、水牛に乗る少年がいます。
さらに脇道に入ってみると、そこには灌漑用の水路が流れており、赤土の土手は地元の人たちの生活路です。
女学生の自転車集団が通ったと思ったら、今度は牛が通っていきます。
いや〜こんな道は最高!
ここでは自転車に野菜をたくさん入れた大きな駕篭を積んだおばさん2人が、あっちとこっちで声を掛け合っています。
ついついおばさんがどんなものを持っているのか興味が湧き、一人の駕篭を覗き込むと果物があったので買わせてもらいました。
このおばさんたちはついさっきまで、土手横の畑で作業をしていたのでしょう。
畑の端では見知らぬ闖入者を牛が睨んでいます。
見事なパッチワークの畑。
真冬なのに、やっぱりここは南国ですね。
お昼過ぎ、クアンイェン(Quảng Yên)という町に着いたので食堂を探します。
小さな食堂の看板には"Cơm Phở "とあります。これが店の名前かと思ったら"Cơm"は米のことで、"phở "は麺。これはあの有名なフォーという麺のことでした。
ともかくこの食堂に入って黄金色の液体を頼もうとすると、なんとそれは置いてないというではありませんか。ガビ〜ン! いえ、ここで焦る必要はありません。お店の人が向かいの店で買ってきてくれました。
牛肉炒めやスープをおいしくいただいた後は、なぜか横のテーブルにいたお客のおじさんが私たちのためにお茶を入れてくれました。そこで、本を見ながら即席ベトナム語会話を。しかしベトナム語は発音が難しくてなかなか通じない! そしたらなぜか私たちのノートに絵を描きはじめたおじさんでした。
お茶とおじさんとの即席ベトナム語会話を楽しんだらバックダン川(Sông Bạch Đằng)を渡しで渡り、ハイフォンへ向かいます。
ハイフォンが近づくと自転車やモーターバイク、自動車の交通量もずいぶん増えてきました。ピンク色のセーターの小学生くらいの女の子は、私たちがいくらスピードをあげても全く離れず、ずっと付いてきます。やるね〜! この子、ママチャリなんだよね…
ここの区間は道路が狭く交通量が多いのでかなり疲れました。午前中におばさんから買った果物をいただきつつ最後の休憩です。
ハイフォンは北部ではハノイに次ぐ大都市、活気のある港町です。もっとも街の中心は海からは10kmほど離れているので、バイチャイやホンガイのようにそれを直接感じることはできません。
表通りはそれなりの交通量がありますが、ちょっと外れると車はそれほど多くなく、道を行くのはモーターバイクと荷物を満載した自転車という、やっぱりアジアな、どこかのんびりした空気が漂います。
ハイフォンは『海防』という意味だそうで、これは19世紀の王朝が海防のための兵力を駐屯させたことに由来するようです。
ということで、ここでもおいしい海鮮料理が期待できます。
海老や蟹をいただき、〆に蟹や豆腐などが入った具沢山の麺を。
明日のコースを検討しつつおいしい料理に舌鼓を打ち、ゆっくりハイフォンの夜は更けていきました。
感想 驚愕のバイク軍団とのんびり田舎、そしてとってもウマい料理 --by サイダー--
けたたましいクラクション、ドドッと押し寄せるモーターバイクの渦、渦、渦! そんな中を我関せずと悠々と走るシクロ(自転車タクシー)。交差点にはほとんど信号がなく、そこをめがけて四方からモーターバイクやら自転車やら車が押し寄せます。止まる者は一人としていません。交差点の中はぐちゃぐちゃでなにがなんだかさっぱりわからん。『こんなとこ、どーやって渡るの〜!』
旅はこんな驚きのハノイから始まりました。
しかし一歩郊外へ出るとそこにはまた別のヴェトナムが。田んぼでは水牛が田起こし、池ではのんびりとアヒルが泳ぎ、畑ではあのとんがり帽子を被った農民が野菜作りに余念が無い。小川の土手をのんびり走ると天秤棒に篭をぶら下げた物売りの少女が橋のたもとで井戸端会議。そんなほんとうにのんびりした風景に出会います。
町では排気ガスにまみれ、田舎では砂埃やどろんこにまみれる。そんなときはおいしいヴェトナム料理で元気を取り戻します。朝飯の定番フォー(米の麺のうどん)をはじめ、ヴェトナムの料理にはハーブがいっぱい。このハーブ類が魚介や鳥、豚、牛とほとんどのものに使われて絶妙の味に。なにを食べてもおいしいからちょっと太ってしまった。
自転車で旅をするなら、大都市近郊や幹線道は車とトラックとバイクの洪水なのでやめましょう。小さな町や村の田舎道をのんびりポタリングしたいですね。景色ものんびり、道は農作業のトラクターくらいしか通りません。そこにはさまざまな出会いが待っています。