8月8日(火) ウィーン到着
キエフから約2時間のフライトでウィーンに到着したのは午後4時過ぎ。 キエフで梱包する段ボール箱をゲットできず、自転車は折り畳んでそのまま乗せて、このときは特に問題なし。 普通の手荷物とは別に、こんなところに運ばれていました。 ウィーン空港でまず驚いたのは、日本に着いたのかと思うほどの日本人観光客の多さです。 ルーマニアとウクライナでは忘れていましたが、やっぱり夏休み期間中はスゴイですね。
空港から真っ赤なリムジンバスで25分ほどで旧市街に到着。 そこから自転車を組み立てて、旧市街を抜けてホテルへ。 リンクと呼ばれる環状道路に囲まれた旧市街は直径2kmほどです。 私たちのホテルはリンクの少し外側にあり、ナッシュマルクトという市場の近くです。 このナッシュマルクトは道路の中央に細長く延びる食料品市場街ですが、レストランもたくさんあります。 最近ブームだそうで、日本食レストランも軒を連ねていました。
散歩がてら夕食に出かけると夕暮れ時、街並の優雅な建物は美しくライトアップされていました。 ああ、夢見心地のウィーンの始まり…
8月9日(水) ウィーン旧市街散策
今日は朝からはりきって旧市街を散策です。 すぐにゼツェッシオンやカールスプラッツ駅など、世紀末建築の代表作に行き当たりました。 でも、中を見学するなら午前10時からなので要注意。
並木の通りに沿って歩くと市立公園にたどり着きます。 公園内にはヨハン・シュトラウスやシューベルトなどの像があり、探しながら歩くのも楽しい。
市立公園を出てリンク内の旧市街に入るとすぐに、建築家オットー・ワグナーの代表作の郵便貯金局があります。 アルミとガラスの明るいホールや美しい家具デザインなどがすばらしく、また使う人が建物に敬意と愛情を持って接していることがうかがえて感動を覚えます。
写真のホールでは、アールデコの食器や装飾品の展示が行われていました。 奥にはワグナーと郵便貯金局に関するミュージアムがあり、この建物が建てられた経緯を知ることができます。
石畳の狭い路地や教会の裏などを通り抜け、ウィンドウショッピングを楽しみながら歩いていると、シュテファン大寺院に到着しました。 広場には大勢の観光客、その前を馬車が行き交い雰囲気を盛り上げます。
ウィーンのシンボルといえるシュテファン寺院は12世紀から建設が始まったそうで、建物の正面入口が現存最古の13世紀後期ロマネスク様式、全体の外観はゴシック、内部の祭壇はバロックです。 南塔の高さは137m! 全体の写真を撮るのが難しい…
この周辺をぶらぶら歩いていると、楽しい建物をいろいろ発見できます。 写真のエンゲル薬局は16世紀から営業を続けているそうで、1902年に改装された外壁のモザイクの天使像がきれいです。 ツーリストインフォメーションには建築ガイドの冊子があり、その地図を片手にさまざまな時代の建築を探訪できます。
王宮を抜け、リンクの外の『ミュージアム・クオーター』に行ってみました。 ここには10以上の美術館、ギャラリー、イベントホールなどが集まっていて、写真奥の黒い建物はルートヴィヒ財団近代美術館(MUMOK)。 中庭のベンチや美術館脇のカフェも楽しい雰囲気です。 カフェは日差しが強くてちょっと暑かったけど。
夏はオペラやコンサートのオフシーズンですが、さすがはウィーン、観光客向けエンターティメントをちゃんと用意しています。 観光スポットでモーツアルトの時代の衣装を来た人たちをよく見かけましたが、実は演奏会の客引きさん。 ちょうどこの日の夜は、楽友協会の大ホールで『ウィーン・モーツアルト・オーケストラ』の演奏があるということで、行ってみました。 演目は有名曲がずらりと並ぶ“オペラ名場面集”。
このホールはウィーンフィルのニューイヤーコンサートも行われるところで、雰囲気は最高。 演奏者はみんなモーツアルト時代のコスチュームで盛り上げてくれます。 最前列席で有名曲のさわりを楽しみました。 そして最後は手拍子に乗って、お決まりの『ラデツキー行進曲』!
8月10日 ウィーン郊外散策
自転車でウィーン郊外の散策に出かけました。 まずは中心部から5kmほどにあるシェーンブルン宮殿です。 ヴェルサイユ宮殿を意識して計画されたというハプスブルグ家の大宮殿。 建物内部はツアーによって見学ができ、日本語のオーディオガイドも借りられます。 幾何学模様の庭園の先の丘の上にはグロリエッテという記念碑的な展望テラスがあり、そこから庭園と宮殿の向こうにウィーンの街が一望に見渡せます。 カフェもあってほっと一息。 とにかく広い~
旧市街からこのあたりにかけては、自転車専用レーンが張り巡らされていて、快適にサイクリングを楽しめます。 シェーンブルン宮殿を出て次に向かったのはアム・シュタインホーフ教会です。
アム・シュタインホーフ教会はオットー・ワグナーの作品で、郊外の精神病院の敷地内の丘の上にあります。 どんどん上って近づいてみたら… 『ダメダメ、工事中だから近寄っちゃダメ!』と作業中のおじさんたち。 改修工事中で、残念ながら近寄ることもできませんでした。 内部は壁や天井の絵とステンドグラス、きらびやかな装飾がすばらしいそうです。 無念!
気を取り直して、ウィーン中心部へ戻ります。 ウィーンの地下鉄、国鉄、路面電車、バスの乗車券はすべて共通だそうです。 私たちは今回は自転車と徒歩のみだったけど、いろいろな乗り物を使って街巡りも楽しそうですね。
ドナウ運河のサイクリングロードを北上してドナウ川に着きました。 ドナウ川って茶色い川なんですねー。 中州に渡る自転車専用の橋があり、中州には快適なコースがつくられていて、サイクリング環境はすばらしいものがあります。 サイクリングロードを爽快に飛ばしました。
ドナウ川から再びウィーン中心部の方向に戻る途中で立ち寄ったのはここ。 映画『第三の男』の舞台、あの有名なツィターの音楽が聞こえてきそうなプラーター大観覧車です。 一帯は市民の公園と遊園地になっています。
この大観覧車、1897年につくられたものだそうで、100年以上も働いているんですね。 ゴンドラはかなり大きく、こんなに人が乗れます。 直径61m、高さ64.75m、てっぺんに来るとやっぱりちょっと怖い~ このゴンドラを借り切って食事をすることもできるんだって。
遊園地には他にもジェットコースターをはじめいろんな乗り物がありますが、楽しいのはメリーゴーランド。 何と本物の馬が子どもを乗せて音楽に合わせてぐるぐる回ってくれます。
最後に立ち寄ったのは、芸術家フンデルトヴァッサーによる『クンストハウスウィーン』と『フンデルトヴァッサーハウス』。 クンストハウスは美術館になっていて、フンデルトヴァッサーの作品展示や企画展が開かれています。 曲がりくねった階段や床、いびつでカラフルなタイルなどにワクワク。 そしてツタに覆われた外壁、木が生い茂るテラス、何とも楽しいフンデルトヴァッサーハウスは、実は市営住宅なのです。
自転車散策を終えて、ウィーンの、そしてブダペストとルーマニア、ウクライナを巡ってきた旅の、ついに最後の夜が訪れました。 ホテルに近いナッシュマルクト市場街のレストランのテラスで、プチ豪華な最後の晩餐です。 魚介のスープ、生ガキ、シーフードのグリルとシャブリでしあわせ~
こうして翌日ウィーンから東京へ飛び立ったわけですが、『キエフからウィーンでは問題なかったもんね』とそのまま裸で預けた自転車は、成田空港に戻ってきたときには2台ともセキサイダーが曲がり、サイダーのバックミラーはもげていました。 途中で結構揺れたからかな? やっぱり段ボールに入れた方が安心ですね。