ツール・ド・ピレネー 2

大西洋から地中海へ
第2ステージ

St.Jean-Pied-de-Port 〜 Garaioa

総合評価 ★★★
開催日 2008.08.01(金)小雨のち晴れ 難易度 ▲▲▲
参加者 サリーナ/サイダー 走行距離 39km

サン・ジャックの道(巡礼の道)を行く
サン・ジャックの道(巡礼の道)を行く

◆ コース紹介

サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の道のフランス側の要所であり、ピレネー山脈の麓に位置するサン・ジャン・ピエ・ド・ポーから『サン・ジャックの道』で丘を越えて、スペインのガライオアまで。

『サン・ジャックの道』は丘陵地のなかを進む眺めの素晴らしい道ですが、勾配が半端でなくきつい超級の上りです。 加えて予定ではイバニエタ峠を越え、ロンセスバージェス(仏名ロンスヴォー)を経由するつもりでしたが、途中で道を失い、後半はダートのほとんど道なき道を行くことになってしまいました。 結果、難易度は超級です!


第2ステージ:サン・ジャン・ピエ・ド・ポー(186m) 〜 ガライオア(780m) 39km

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サン・ジャン・ピエ・ド・ポーサン・ジャン・ピエ・ド・ポー

朝目覚めるとかなり寒い。 昨夜雨が降ったようで路面が濡れています。 ちょっと街の散歩をして9時近くに宿を出ると、4〜5人の巡礼者が連れだって街を出るところでした。

笑顔で街を出るサリーナ笑顔で街を出るサリーナ

今日は『サン・ジャックの道(Chemins de Saint-Jacques)』を巡礼者気分で進み、イバニエタ峠(1057m)を越え、まずは『ローランの歌』で有名なロンセスバージェスに入るつもりです。 ちなみにChemins de Saint-Jacquesはスペインに入るとCamino de Santiago、つまり『サンチャゴの道』になります。 聖ジャックさんとはサンチャゴさんだったわけですね。

本日のこれからの展開を予想だにしないサリーナは、巡礼者とともににこやかに街を出ました。

丘陵地と羊丘陵地と羊

街を出るとすぐに丘陵地になります。 うねった緑のじゅうたんには羊、のんびりとした穏やかな風景が続きます。 ロンセスバージェスに向かうには、この『サン・ジャックの道』ではなく、新しい道のD933の方がわかりやすく、最初はそちらを使おうと思っていたのですが、どうやらそれは谷を通っているようで見晴らしが期待出来ない。 地図を見ていると細いものの、尾根沿いの見晴らしがよさそうなこの道を発見したので、こちらを使うことにしたのですが、実は現地に行くまでこの道が『サン・ジャックの道』だとは知りませんでした。

ずっと上りずっと上り

街を出るとこの『サン・ジャックの道』は、すぐに上りになります。 ほとんどのところが7〜8%超えで、10%超えのところも珍しくありません。 最初から時速4〜5kmと超スローペースでなんとか進んで行きます。 ちなみにこの道は、サン・ジャン・ピエ・ド・ポー付近にある案内板には『ナポレオンの道』とあります。 スペイン独立戦争の時にでもナポレオンが通ったのでしょうか?

素晴らしい丘陵が続く素晴らしい丘陵が続く

坂はかなりきついのですが周辺の眺めは最高、うねうねとした丘陵がはるか遠くまで続いています。 雲は低くたれ込めていて、向かう先はどうやらこの雲の中に消えているよう。

サン・ジャックの道の道しるべサン・ジャックの道の道しるべ

『サン・ジャックの道』にはとことどころにこんな道しるべが立っています。 スペインに入ると少し形は変わりますが同様な物があり、これらが巡礼者をサンチャゴ・デ・コンポステーラへと導いてくれます。 この道しるべのまわりにはたいてい巡礼者が1人か2人休憩しています。

斜度は13%、雲の中に突入斜度は13%、雲の中に突入

厳しい坂道を押したり引いたりしつつ、徐々に高度を上げて行きます。 いつのまにかまわりは霧が立ちこめたようになり、なんと斜度は13%超え! アヒアヒあえぎながら上るも、こんなところでは歩いている巡礼者たちに追い越されてしまうようになります。(笑)

幻想的な景色幻想的な景色

もうほとんど自転車に乗っていることができなくなり、ほとんど押し上げるようにしてなんとか進んで行きます。 時は10時少し過ぎ、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーを出発して1時間強経っているのにまだ5kmほどしか進んでいない! この調子で今日は本当にガライオアまでたどり着けるのだろうかと脳裏に一抹の不安が過ります。

雨の中、まだまだ上る雨の中、まだまだ上る

雲のせいか、霧雨になってきました。 道はまだまだ上り続けます。 視界は50m、40m、30m、20mとどんどん悪くなって行きます。 少し走っては休み、押し上げては休みを繰り返します。

出発してほぼ3時間が経ってもまだ8kmしか走っていません。 雨脚も強まり寒くなってきました。 晴れていたら素晴らしいだろう周辺への視界はもうまったくありません。 心のなぐさめは、たまに現れるサン・ジャックの道の道しるべと大きな野アザミ、草を食んでいる馬だけという感じです。 12時過ぎ、いくらか勾配が緩くなってきたかな、と思ったら、巡礼者たちが数名集まっているところに出ました。

ロンセスバージェスへの道しるべロンセスバージェスへの道しるべ

ついに写真で見たことのあるポイントにたどり着きました。 道路からすこし入ったところに、石でできた十字架とこの写真にある『ロンセスバージェスあっち』の道しるべがあります。 巡礼者の一人はGPSを取り出し『ん〜、ロンセスバージェスは確かにあっちだな』とこの矢印のほうを指差して、歩き出します。 どうやら矢印のほうにはフットパスがあるようだな、とこの時は思ったのですが…

私たちもこのポイントで休憩し、巡礼者たちが向かった矢印の方向ではなく、今までやってきた舗装された道を先へと進みました。

運命の分かれ道運命の分かれ道

ほぼ平坦になった道を10分ほど走ると分かれ道に出ました。 左は舗装路、右は砂利道です。 ここはフランスとスペインの国境付近。 右の砂利道を行けば国境を示す番号が振ってある石標と、EUとなった今では意味をなさない有刺鉄線のフェンスがあるはずです。

道は途絶えた!道は途絶えた!

少し進めば果たしてその通りでした。 この有刺鉄線が仏西の国境で、スペイン側を国境沿いに西へ進めばロンセスバージェスに辿り着くはずです。 ところが、国境を超えたとたんに道は突然消えてなくなったのです。 巡礼者たちが通って作ったようなフットパスも見当たらず、ただ羊が食むような草が生えているだけです。

道なきところの道しるべ道なきところの道しるべ

やぶを掻き分けるようにして国境沿いを少し西へ進んでみましたが、とても進むことができないくらいの急斜面になり断念。 戻ってやり直しです。 霧の中にぼんやりとなにかが立っています。 近づいてみるとそれは道案内の標識でした。 しかしこの標識が立っているのはただ草が生えているだけのところ、表示されている場所は地図にはなく、矢印の方向を見ても道らしきものは見当たりません。

実はこのあたりは少し不安があったところで、ミシュランの地図では破線、グーグルアースでもちょっとあやしい雰囲気のところでした。 ダートは覚悟していたもののまさか道がなくなるとまでは思っていませんでした。 先ほどの分岐まで戻り舗装路を進んでも、手持ちの地図で解るのは、あらぬ方向に行くかフットパスらしい破線の道に出るです。 今いるところが破線で道がないのだから、この先にあるはずの破線の道も当てにはなりません。

道へ出た!しかしこの先はすごいガレ場道へ出た!しかしこの先はすごいガレ場

廻りには人っ子一人いずに、ただの草原の中に取り残されたような状況に陥りどうしたものかと思案。 結局この良くわからない道しるべを頼りに矢印の方向へ進んでみることにしました。

薮の中を下ること数十メートル、すると現在はあまり使われてはいないようだけれども、一応道らしいものに出ました。

森へ消える森の脇を行く

ガレていて凹凸が激しいこの道をなんとか押して進みます。 草原から森の脇を行き、再び草原の真ん中に出て… 途中でこの道らしきものはかなりあやしい状態になり、どこが道なのかわからなくなったりもします。

しかし面白いことにそんなところの少し大きめの石ころには、ここは道ですよ、ということを示しているのか、小さなマークがペンキで施されています。 こういう時にはこんな小さなマークでも心強い見方に感じます。

歩き続けること40分。 霧で見えないものの歩いているすぐ脇には小川が流れているらしく、サラサラと水の音がしています。 晴れていて行き先の不安がなければ、ここは最高のハイキングコースとなったことでしょう。

前進あるのみ前進あるのみ

しかし私たちには次の試練が! 木立の中を通り再び草原に出、少し視界が開けたとたん、目の前の草原を川が横切っている。 川といっても本当の川ではなく、大雨が降ったあとの低地を一時的に流れるようなもの。 まあ草原の一番低いところが浸水しているといった状況。 廻りを見渡してもうまく越えられそうなところはない。 あ〜ぁ。。

良く見るとその小川を轍が突っ切っているのに気がついた。 轍があるということは向こう側には少なくとも車が通れる環境があるということだ。 意を決し、どろんこになりながらこの小川を渡りました。 その瞬間、ブーン、となにやら音が。 音の方向に目をやると、高台を一台の白い車が通って行くではありませんか。 

『お〜、やった〜、道に出たぁ〜』

オルバイツェッタ到着オルバイツェッタ到着

この道、少し高いところを通っているので車が通らなかったら発見はもっと遅れていたことでしょう。 ともあれこうしてなんとか車道に復帰、そこからは霧雨の中をどこかの集落を目指して(どこにいるのか確信が持てないので)ダウンヒルです。

14時過ぎにようやく一つの集落に到着しました。 オルバイツェッタという小さな村で、バル・レストランがありやっと昼食にありつくことができました。

下界は晴れ下界は晴れ

ここまでわずか30kmしか走ってしませんが、『サン・ジャックの道』の上りと、その後のダートの道なき道とでもうヘロヘロです。 コースミスをした結果、ここは最初の目的地のロンセスバージェスから東に8kmほどの山の中で、もうロンセスバージェスへはとても行けません。 しかしこの道を南下すれば今日の最終目的地ガライオアへは8kmほどです。 厳しいコースでしたが距離的には少し短くなりました。

小さな小さなガライオアの村小さな小さなガライオアの村

高度が下がったせいか、霧雨は去り、空には青い色も見えだしました。 昼食のあとは再び豪快なダウンヒルで5kmほど下り、アリベに出ました。 アリベからは当初予定のルートNA140に入り、ガライオアにはなんとか16時過ぎに到着しました。

ガライオアはとっても小さな村ですが、古い教会があり、バルがあり、宿は2軒あります。 そのうちの一軒に荷を解き、シャワーを浴び(この水とっても冷たい!)ベッドに横になると、疲れが襲ってきてすぐに寝入ってしまいました。 21時過ぎに起き出して宿のレストランで夕食を頂くことにしました。 ここはスペイン、食事タイムは日本よりだいたい2時間遅れ、昼は14時から、夜は21時からというのが一般的なのです。

予想以上に厳しい一日となった今日のコースを振り返りながら、おいしいワインにアスパラと鱒の夕食で一日を終了です。

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uploaded:2008-08-27