コース紹介
スペインのイサバから国境を越えてフランスのアレットまで。 峠は2つで、最初のエライス峠までは草原の中を行き、1級のピエール・サン・マルタン峠付近からゴツゴツした岩肌の山に変わります。 フランス側の下りは豪快、景色もすばらしく楽しめます。
第4ステージ:イサバ(790m) ~ アレット(325m) 55km
峠:エライス峠(1,578m)、ピエール・サン・マルタン峠(1級 1,760m)
朝のイサバ
朝は相変わらずちょっと寒い。 朝食は宿の部屋で昨夜買い求めたパン、ハム、チーズ、トマトでサンドイッチを作って済ませました。 クラッシックなバル・チキなら早朝からやっているかもしれませんが、確認し忘れたので。
奇岩に向かう
7時半にイサバを出発。 まず目の前に現れる、ちょっと変てこりんな形の山に向かって走ります。 まだ朝早いせいか、車もほとんど通らずサイクリストも見当たりません。
小さな川と石の橋
道の脇には小さな川が流れ、ところどころに小さな石の橋が架かっています。 ピレネーにはこんな川が無数に流れています。
山へと向かうサイダー
道は穏やかなのもののずっと上り(3~4%)で、前方の山の麓まで10kmほど続きます。 朝日を受けて、道のまわりの草原の緑が輝き始めました。
いよいよ本格的な上りに
山の麓に達し、大きく進路が変わったとたんに本格的な上りになりました。 7~8%が続くようになり、路面にはやはりエウスカルテルなどのペイントが現れ出します。 走ってきた道がずいぶん下に見えるようになってきました。
ピレネーだーとサリーナが行く
2kmほど上り続けると、こんどはヘアピンカーブの連続ウネウネ道になりました。 カーブを曲がるごとに眼下のV字谷のすばらしい景色が大きく広がっていきます。
『ピレネーに来たんだ~ この企画は大成功だね!』 旅は始まって間もないのですが、ほんとにそんな爽快な気分になります。
行き止まり?
ヘアピンを7つか8つか超えると視界が開けました。 ずっと先の道にはなにか工事中のような気配が。 近づいてみると通せんぼしてありこんな状態です。 看板には関係者以外立ち入り禁止と書いてある。
『え~、まさか通行止めぇ~』 と悲鳴を上げるサイダーとサリーナでした。 しかしこの道が通れなくては今日の目的地アレットはおろか、どこにも行けません。 看板の向こうに関係者か誰かの車があるので近づいてみました。 中に人がいたので聞いてみると、
『自転車かい、通っても大丈夫だよ。 ただし工事しているから気をつけてね。』 とのこと。 ああ助かった。
ピレネーの山々
ちょっと気が抜けたのでここで休憩していると、ロードレーサーで駆け上がってくる人が一人。 この方、スペインのビスカヤから来たそうで、聞けば今日のうちにオービスク峠を越え明日ツールマレー峠に上るのだとか。 このオービスク峠、私たちは明後日に越える予定のところで、ここから100kmほど離れている上に超級の峠なのです。 お~スゴイ! 『君たちは? アレットまでかあ。 ゆっくり旅は楽しいよね』と気さくな好青年でした。 この写真はその人が撮ってくれたものです。
ピレネーの牛
休憩後、その人はジェット機のように飛んで行きましたが、私たちは飛行船みたいにゆったり(笑)上ります。 牛さんもゆったりと草を食んでいます。
エライス峠
休憩後も峠までまだ3km少々上り続けます。 7~8%だった勾配が穏やかになったな、と思ったらそこがエライス峠でした。 大げさな看板などは一切なく、小さな石柱(たぶん西仏の国境を示すもの)があるだけです。
野と雲と山
エライス峠のフランス側の眺めはこんな感じです。 野がありその向こうは急激に落ち込んだ谷になっていて、その先に山が見えます。 この谷には例によって、雲が浮かんでいます。
羊軍団に襲われる
エライス峠からは一旦少しだけ下って、ピエール・サン・マルタン峠まで上り返します。 その途中こんなことが。 羊飼いに連れられた羊の群れが真正面からグワ~とやってきて、私たちはあっという間のその群れに飲み込まれてしまいました。 脇の方では働き者の牧羊犬が一所懸命見張りをしています。
ゴツゴツした岩と雲海
ピエール・サンマルタン峠が近づくと、エライス峠あたりまでは広がっていた野原が少なくなり、ゴツゴツとした岩場が目立つようになります。 このあたりで、イサバの街で見かけたサイクリストに出会いました。 沢山の荷物を積んでいて本格的なツーリングのようです。 この方はイギリス人だそうで、暑いのか上半身は裸で走っています。 抜いたり抜かれたりしながら進みます。
ピエール・サン・マルタン峠
小さなループ橋のようなところを越えてさらに上ると1級の峠、ピエール・サン・マルタン峠に到着しました。 道路脇の標識の高度は1802mとなっていますが、地図の表示は1760m。 高度計で見るとどうやら地図の表示のほうが正しいようです。 近くにはハイキングにやってきている人々がいました。
イギリス人のサイクリスト
ピエール・サンマルタン峠からは豪快な下り。 例のイギリス人サイクリストもほとんど同じように下ってきました。 休憩中におしゃべりしたら、この方、数ヶ月間のツアーの途中で、インド、中国を廻って日本にも来る予定だそうですよ。
雲の絨毯とサリーナ
このあたりの景色はほんとうに素晴らしい。 真っ青な空に遠くの山並み、目の下に広がる雲海、ごつごつした岩肌、草を食む牛と羊。 気候もさわやかで、まったくなんとも言えない爽快な気分です。
スキーリゾートのテラスレストラン
峠から3kmほど下ったところにアレット・ピエール・サン・マルタンというスキーリゾート地があるので立ち寄ってみました。 夏は特に何があるというわけでもないようですが、ハイキングのベースにしている人などがいました。 レストランが開いていて食事ができるとのことなので、まだ11時半とちょっと早いのですが、ここで昼食をとることにしました。 ここはフランスでよかった、スペインだとこの時刻では絶対に食事にありつくことはできません。
雲の中を下る
ゆっくり食事を楽しんだあとはアレットまで一気に下ります。 きらきらと輝く雲海を目下に走り出しますが、その雲の中に入れば、そこは当然霧状です。 急激に気温が下がり、寒い寒い。 さらに下ると霧はどんどん濃度を増し、粒が大きくなり、いつのまにか雨になっていました。 下界は雨だったのです。 しかし完全に下界に下りればその雨も上がっていました。 天気って不思議ですねぇ。
アレットの街角のロードレーサーたち
14時、小一時間でアレットに到着しました。 ツール・ド・フランスにたびたび登場する峠が近くにあるこの街には、自転車関係の案内がいくつかありました。 ここは建物も自転車関係のものだったと思いますが、壁にはご覧のように新旧の有名なレーサーたちの写真が掛けられていました。
空室ありますの看板
そして私たちの泊まった(といってもこの町にはここ一軒だけ)宿の玄関前にはこんな案内が。 自転車に付けられた表示は3カ国語で『部屋、部屋、部屋』、つまり空室ありますよ~という案内ですね。 この自転車を使ったプレゼンテーション、ちょっとキュートでかわいいですね。
越えてきたピレール・サン・マルタン峠の看板
散歩に出かけると、近くのレストランの前にこんな看板がありました。 この町からピレール・サン・マルタン峠へ向かう案内板です。 フランスの主だった峠の登り口にある町には、大抵このような看板があります。