フィゲイラ広場のカフェ
ポルトガルの最終日です。今日は午後の便でリスボンを発ち、帰国の途に就きます。それまで少々時間があるので、行きそびれたお城を散策しに行きます。
その前にフィゲイラ広場のカフェで朝食です。ヨーロッパのカフェの多くがそうであるように、ここポルトガルのカフェも、カウンターでの飲食は安くテーブルに座るとちょっと高くなりますが、どうも立ち飲み立ち食いに慣れない私たちはテーブルでいただきます。
マダレナ通りからの上り坂
簡単な朝食のあと、お城に向かいます。お城は小高い丘の上に建っているので、ちょっと上らなければなりません。
マダレナ通りからは何本かの細い上り道がありますが、ここは階段でした。
お城の城壁からの眺め
少々えっこらよこらして、お城の入口に辿り着きました。お城は9時オープンなのですが、30分近くも早く着いてしまったので、その辺をぶらぶら。チケット売り場の横には城壁があり、上に上れるようになっていたので、ちょっと上ってみました。
すると建物の間からテージョ川が見え、対岸のアルマダに高さ75mというクリスト・レイが建っているのが見えます。
お城の門
そうこうしているうちに係の人がやってきてチケット売り場が開きました。私たち以外にはまだ誰もおらず、一番乗りで切符を買ってお城の門をくぐります。
この門の上にはポルトガル王国の紋章があり、マリア2世の名と1846という年が刻まれています。つまりこれは19世紀に造られたということでしょう。
リスボンの街とサイダー
門を入った先はアルマス広場で、中央に初代ポルトガル王アフォンソ1世の像が建っています。その先の擁壁に近づけば、眼下にポルトガルの街が広がります。
テージョ川の畔にある大きな広場はコメルシオ広場で、うっすらと見える赤い橋は4月25日橋。
中央にフィゲイラ広場
視線を西に移して行くと、私たちが朝食をとったフィゲイラ広場が中央に見え、そのすぐ後ろにロッシオ、そしてそこから右上に向かって、緑のリベルダーデ大通りが延びています。
サンタ・ジュスタのエレベーターとカルモ教会
ロッシオの少し左には、サンタ・ジュスタのエレベーターとカルモ教会も。
ハヤブサ?
たっぷりリスボンの眺めを楽しんだらお城に向かいます。門の近くにはローマ時代のガーデンがありますが、これは規模も小さく、全貌がよくわかりませんでした。
そこにはこんなハヤブサのようなものがいます。他にも鷹やフクロウなどがいますが、これらはおそらく鷹狩り用として飼われているものだと思います。お城では猛禽類を見ることが多いように思いますが、それは強いものの象徴としてということなのでしょうか。
お城
ローマ時代のガーデンを抜けると、博物館として使われている建物があり、その奥に高い城壁に囲まれ、いくつも塔を持つお城が現れます。
その周囲は現在は水はありませんが濠だったようで、入口には橋が架かっています。
お城の入口
このお城は1940年ごろ修復されており、とてもきれいですが、少しきれいすぎるようにも感じます。
お城の塔
この場所が最初に要塞化されたのは紀元前2世紀頃だそうですが、少なくとも紀元前6世紀までに、土着のケルト人とイベリア人がここを占領していたことが分かっているそうです。
塔の上から他の塔を見る
その後、古代ローマ、西ゴートらが次々と支配者となり、ムーア時代の11世紀の中頃にこの城は築かれます。しかし中世のレコンキスタで、ここもアフォンソ・エンリケスにより奪還されます。
お城の上のサリーナ
13世紀中ほどには王宮になりますが、16世紀初頭にマヌエル1世が、今のコメルシオ広場に新しい王宮リベイラ宮殿を建てたため、ここは存在意義を失い、一時は兵舎や監獄などとして使われたそうです。
塔に上る
ここにはいくつ塔があるんだろうと思うほど、たくさんの塔があります。
巡る通路
お城の中を行き交う通路。
見張り小屋?
これは塔の一つで、おそらく見張り小屋のようなものでしょう。
城壁と塔
外周の城壁と塔です。
斜めの城壁
北西には急な斜面に沿った城壁があり、この先の低いところにも塔が建っています。この塔は低いところを監視するためのものであり、万が一の場合にはお城からの脱出口としての機能も持っていたようです。
考古学地区のムーア人の住宅
東には考古学地区と呼ばれるゾーンがあります。そこには15〜18世紀の王宮跡(写真手前の僅かな壁が残るところ)やB.C.7〜3世紀の鉄器時代の遺構、そして11〜12世紀のムーア時代の遺構があります。
写真の白い建物はムーア時代の二つの住宅の外形を示したもので、室内にはきれいな彩色があるプラスター壁が残っています。両方とも中庭を持ち、面積は160平米と190平米あります。うちよりずっとひろいなぁ〜
エレベーターのある建物
たっぷりとお城見学を楽しんだあとは、どこかでビールでも飲もうと旧市街の中心部へ向かいます。
坂道を下って行くと、人々が吸い込まれて行く建物があります。なんだろうな、と思って私たちもそこに入ってみると、なんとエレベーターがあるではないですか。これは下の道と上の道を繋ぐためのもので、おそらく公共のものだろうと思われ、無料で利用できました。こんなところにエレベーターがあるなんてガイドブックには載っていないのでまったく知りませんでしたが、これはらくちんですね。
サンタ・ジュスタのエレベーター
ぶらぶら歩いて、サンタ・ジュスタのエレベーターの前に出ました。
ちょうどそこにカフェがあったので、ここで楽しかったポルトガルの旅を思い返しながら、最後のインペリアルをいただきます。
空港のレストランのサリーナ
さて、これでリスボン最後の散策もおしまい。タクシーで空港に向かいます。
空港でのチェックインはすぐに済んだので、土産物屋でも冷やかそうとぶらぶらしますが、なぜかここには食指を動かされるようなものはまったくなく、時間つぶしに屋外のテラスでインペリアルを。
空は真っ青で、そこに燦々と輝く太陽。リスボンはやっぱり暑い! と、このテラスで改めて感じました。
空港のレストランのサイダー
空港のレストランは、高いばかりでおいしいものがない、というのが世の中の常識ですが、ちょっと洒落たレストランがあったので入ってみました。ここはなかなかどうして、インテリアも素敵で料理もまずまずでした。
レストランから空港のロビーを見下ろす
このレストランはロビーに面していて明るく、上品ながらも、高級すぎないところに好感が持てます。
ポルトガルの旅の印象は、全体として旅がしやすく、人々は控えめながらもフレンドリーだということです。食べ物は海の幸も豊富で、苦労することがありません。
この季節の自転車の旅としては、やはり、涼しく美しい景色のペネダ・ジェレス国立公園が最高です。しかし、絶景のドウロ渓谷も決して忘れることができないものです。夏以外の季節に、アレンテージョやスペイン国境沿いの村々を訪ねてみたいとの思いが強くなりました。