B&Bを出発
今日はアルデンヌを流れるウルト川(L'Ourthe)の畔に佇む二つの街、ラ・ロッシュ=アン=アルデンヌとデュルビュイを結びます。その途中、『24の美しい村』のうちの三つを巡ります。
快適だったB&Bをあとに、ラ・ロッシュ=アン=アルデンヌの中世の城塞を見上げてこの街に別れを告げ、ウルト川に沿って北上を開始します。
ラ・ロッシュ=アン=アルデンヌから北上
ウルト川に沿っては国道が通っていますが、それは少し交通量がありそうなので、その対岸の丘の上を行くカントリーロードを使うことにしました。この道からウルト川は見えませんが、ほとんど車の通りがない、ひっそりとした道で快適です。でも、今日もやっぱりいきなり上りです。
シエルの教会
しばらく行くと、小さな街シエル(Cielle)の教会が見えてきました。小さな集落にも、とても立派な教会がありますね。
羊たち
村を抜けると、このあたりからは田園風景が続きます。今日は青空も半分くらい広がって、とてもいい気持ち。羊さんが草を食んでいる横を走っていきます。
丘を走るサイダー
牧草地と森が交互に広がり、景色はまさにアルデンヌの丘です。というわけで、アップダウンアップダウン!
マルコーレイの教会
次の村マルコーレイ(Marcourai)にも、とんがった立派な塔を持つ教会がありました。青空の下、快調に飛ばすサリーナです。
森を抜ける
そこからしばらくは森が続きます。こちらも快調に飛ばすサイダー。
牛の乳搾り
森を抜けたところの牧場の一角で、牛の乳搾りをしているところに出会いました。今でも手で搾ることがあるんですね〜
国道をソイへ
そんなこんなでカントリーロードをるんるん走ってソイ(Soy)に到着の予定でしたが、曲がり角を見逃してしまい、少しだけ国道を行くことに。まっすぐな道の右手は牧草地、広大な空が広がっています。あれ、いつものように雲が出てきた。。
ニイに到着
曇り空になってちょっと寒くなってきたので、上着を着て再スタート。ソイを過ぎて再びカントリーロードに入ると、2kmほどで本日最初の『美しい村』ニイ(Ny)に着きました。石壁の家々が立ち並ぶ先に教会の尖塔が見えます。
ニイの中心部
村の中心部の石壁まわりの歩道は石畳できれいに舗装され、とても落ち着いたいい雰囲気です。この村の多くの家や農場は19世紀のものだそうです。
教会と司祭館
そして村の中央には石造りの教会と司祭館が重厚な姿を見せています。
教会脇の泉
教会の横では泉が湧き出て共同の水場になっており、その周囲は花で美しく飾られています。
ニイを駆け抜ける自転車の人々
ここでは珍しく自転車の人たちを見かけました。今日は日曜なので、ロードバイクで仲間とちょっと一走りってとこかな?
この村の建物の多くはコロンバージュと呼ばれる木骨組積造りというちょっと変わった構造を持っているようです。外見はただの石積みの壁だけしか見えない建物が多いのですが、壁に石を貼らず、木とレンガで構成された可愛らしい感じの建物もところどころに見かけます。
コロンバージュの家並み
教会の前の一角には木組みとレンガの壁が続く家が並んでいたので、ちょっと立ち寄って拝見。
コロンバージュの家(正面)
木の黒とレンガの赤、漆喰の白、そして窓枠と窓辺の花が可愛らしく楽しいですね!
シャトーフェルム
そしてニイの村はずれには17世紀に建てられたシャトーフェルムもあります。こちらは個人所有で中に入ることはできないので外から眺め、ニイをあとにします。
道ばたの花たち
途中の牧草地では、道ばたに色とりどりの花が咲いていました。
牧草地の先にヴェリスが見えた
空はかなりどんよりしてきました。そんな空の下、牛さんと挨拶しながら走ると、ニイから6kmほどで次の『美しい村』ヴェリス(Weris)が見えてきました。
ヴェリスに入る
ヴェリスは、南東の森を背にして寄り添うように集まる集落です。石灰石でつくられた灰色の家並みが並んでいます。
シネイを味わう人
ここにはレストランがありました!(ベルギー南部のこの地域では、レストランを見つけるのにも結構苦労するのです) ここで飲まれていたビールはシネイ(Ciney)。有名な『シメイ』と混同しそうですが、これも味わいのあるおいしいビール。
海老の串焼き
そして、ベルギー中で食べられる海の幸、海老(スカンピ)の串焼きをいただきます。2人で前菜(野菜スープ)1つと海老の串焼き1皿っていうことを説明するのに、ちょっと苦労したのでした。何せフランス語。。これ、おいしかったです!
付け合わせのフリッツ
ベルギーはどこでもそうですが、メインの一皿には必ずフリッツ(フライドポテト)かポテトグラタンか、という選択肢がついてきます。ここではフリッツをたのみました。1人前で大盛りですなあ。。
レストランを出発
満足、満腹で、『美しい村』ヴェリスの観光に出かけることにしました。
聖ワルブルジュ教会の塔
レストランのすぐ近くにあるのは、11世紀のロマネスク建築とされる聖ワルブルジュ教会(L'Eglise romane Sainte-Walburge)です。前の道から見上げると存在感が際立ちます。
聖ワルブルジュ教会
後方から見たところ。これが聖ワルブルジュ教会の全体像です。
巨石博物館
ヴェリスにはこれ以外にも見どころがあります。紀元前3000年頃のものだとされるドルメンとメンヒルの遺跡。そんな情報をもらえるところが、この巨石博物館(Musee des Megalithee)です。近郊のドルメンの地図を購入し、そのいくつかを訪ねることにしました。
巨石を訪ねる
ドルメンとは、ケルト語のdol(卓)+men(石)で、巨石でつくったテーブル状のもの。新石器時代から鉄器時代にかけての墓と言われています。また、メンヒルは立石のことで、men(石)+hir(長い)からきているそうです。
ヴェリスのドルメン
村の中心から1kmほどのところにあるのが、このドルメン。5000年くらい前につくられたお墓だと言われています。飛鳥の石舞台を思わせますが、石舞台の築造は7世紀初め頃なので、こちらは相当古い。
ドルメンの内部
内部は長さ6m×幅1.7m、高さ1.5mで、手前の屋根になっている大きな石は、重さ30トンもあるとか。落っこちそうですが、5000年もこの姿なんですよね。
メンヒル
こちらはMenhir Danthineという名前のメンヒル(立石)で、高さ3.6m、重さ8トン。道路のすぐ横にありました。
ヴェリス近く
巨石見物を終えて、牧場の中を突っ切るちょっとワイルドな自転車道を走って次の村へと向かいます。
木骨組積造の家
おなじみになった木骨組積造の家並を通り、
プティアンの教会
プティアンの教会を横切り、
ウルト川
再びウルト川を渡ります。川ではカヌー遊びをしている人たちがいました。
アルデンヌの丘
カントリーロードは牧草地と森の間に伸び、お馴染みアルデンヌの風景が広がる。
牧草地にバラバラといる牛たち
一面緑の牧草地で、牛さんたちがばらけて食事中です。牛たちは、固まって群れになっていることが多いのですが、なぜかここではてんでんばらばらで何となく面白い。
シャルドヌーの家
そんなこんなで相変わらずのアップダウンでしたが、ついに本日最後の『美しい村』シャルドヌー(Chardeneux)に到着したようです。丘陵の南斜面にグレーの石壁の家々が並んでいます。
家を飾る花々
家の入口や窓辺はきれいな花で飾られています。ここは足踏みミシンの台を利用した花台が何ともオシャレ。
シャルドヌーの教会
急斜面を上って上って小さな広場に到着すると、シャルドヌーの教会がありました。八角形のとんがり屋根の鐘楼がそびえています。
シャルドヌーの家
村の建物の多くは18〜19世紀のものだそうです。グレーの石造りに鉄やガラスの造作が美しい。
農家の館の前でおしゃべり
こちらの大きな農家の館では、近所の人々が集まっておしゃべりして、何だか楽しそう。行ったり来たりしていた私たちを笑顔で見送ってくれました。
丘を上るサイダー
美しい村の見物が終わると、またまたアルデンヌの丘です。わっせわっせと上ります。
シャルドヌーの村
そうして1kmほど上り坂を進むと、尾根道に出ました。ここからしばらくは平坦な道で、ホッ。振り返ると、今上ってきた斜面の向こう側にシャルドヌーの村が姿を見せています。
畑の間のダート道を行く
平坦な尾根道…と思ったらダートでした。。でもそんなにジャリジャリorドロドロではないので、良いことにしましょう。両側にはとうもろこし畑や大麦畑が広がっています。
デュルビュイに向かって下る
再び舗装路になり、本日の目的地デュルビュイに向かって下り始めました。素晴らしく広大なパノラマの中を緩やかに下っていきます。
デュルビュイが見えてきた
デュルビュイはウルト渓谷に包まれるようにしてある、人口500人足らずの『世界で一番小さな町』。ウルト川の北岸を南西からアプローチすると、道のすぐ下に公園が現れ、ウルト川の対岸にデュルビュイの街が見え出します。
ウルト川とお城
町の東の端には大きなお城が建ち、その前の橋を渡ると教会が現れ、街に入ります。本日ここまで、あまり観光客の姿を見なかった私たちですが、デュルビュイは大勢の観光客でにぎわっていました。
La Ferme au Chene
ここはまたグルメの街としても知られているということで、街中にはたくさんのレストランがあります。しかしここで私たちが目指すのは、宿のすぐ前にあるブリュワリー、La Ferme au Cheneです。ここで、伝統的な製法で醸造されているマルクロフ(Marckloff)を飲むのだ!
瓶詰めの機械
ほんとに地域密着の地ビールブリュワリーのようです。入口を入るとビールの醗酵用タンクが展示されており、こちらは古そうな瓶詰め機械です。
Marckloffsで乾杯
というわけでマルクロフの生、いただきま〜す! 酵母が香りといい味を出しています。
デュルビュイ入口の橋とお城
さて地ビールを楽しんだあとは夕食です。グルメの街らしく、レストランの選択肢は山ほど。どれにしようかな。。
デュヴェル
橋の近くにあるモダンなレストランに決めて、夕食のビールはデュヴェル!
ゴールデンエールと呼ばれるタイプに分類されるこのビールは、すっきりとして繊細な味わいがあり、クリーミーな泡立ち。見かけ以上にアルコール度数は高く、8.5%もありますが、スムースな口当たりで甘い香りがあります。『悪魔』と呼ばれる所以でしょう。おいしいビールですねえ。
夕食は前菜がパテ、チーズコロッケ、主菜が鱒のムニエル、鶏肉、そしてデザートはバニラ&チョコアイス。初めての各自フルコースで、もう満腹です。よろよろと宿に戻りバッタリ就寝。明日は青空だといいな。