デュルビュイ
今日は、世界で一番小さな町だというデュルビュイ(Durbuy)から、リエージュ(Liège)近くのエルヴ(Herve)までの75km。
デュルビュイの教会
ウルト渓谷に囲まれるようにして佇むデュルビュイの入口にある教会に別れを告げ、その前の道を進んで行くと、すぐに森に入ります。デュルビュイのすぐ外側は森なのです。
ウルト川沿いの自転車道
森の中の道は幅2mほどの遊歩道で、これから川辺に下りる地道が枝分かれしています。
その先は、地図に RAVeL 5 Ourth とある長距離の自転車道で、ここからリエージュまで50km強続きます。川辺に出るとすぐに路面はコンクリート舗装に変わりました。ウルト川(L' Ourthe)の流れに沿って、しばらくこの自転車道を東へ走ります。
ちょっとダート
このあたりのウルト川は浅く、穏やかな表情をしていますが、大きくうねって流れています。この流れに沿う自転車道も、川と同じようにうねうねと延びていきます。
この自転車道は基本的にはフラットですが、デュルビュイを出てすぐのところに、こんなダートの山道のようなところがありました。
ウルト川沿いの自転車道2
この辺りは基本的には森で、川沿いに少しだけ牧草地が開かれているようです。
ウルト川
3kmほど走ると、ウルト川の右岸から左岸に移ります。
歩行者+自転車+馬
先に街が見え出しました。ここまでは自転車道の案内はなかったのですが、ここには立派な標識があります。
ベルギーで馬は歩行者と自転車の仲間なのですね。
自転車道を行くサイダー
周囲には相変わらず牧草地が続きます。
プティ=バルヴォー
プティ=バルヴォー(Putit-Barvaux)に入りました。この自転車道は一部が連続しておらず、車の道を通ったりもするのですが、川を意識して走れば問題ありません。
ここは川沿いの石畳。
再び自転車道
そしていつの間にかまた自転車道に入ります。
自転車道がなくなる
さて、ボマル(Bomal)までやってきました。ここからは自転車道がありません。一般道を行くか、ウルト川沿いの地道を行くか決めなければなりません。
ウルト川沿いを行くとなれば5kmのダートを覚悟しないといけないので、予定では一般道を行くつもりでした。ところが、ここでサリーナはどうしたわけか、ウルト川沿いを選択。
道なき道
まずは線路脇のどろんこ道。その線路が川から遠ざかると、そこはもう道とは呼べないような、ただ草地の中に僅かに轍が残っているだけのところになります。
シングルトラック
押したり引いたり担いだりして、このかなりあやしいゾーンをなんとか突破すると、トウモロコシ畑の脇のシングルトラックに出ることができました。
地道でもなんでも、道と呼べるところはありがたい。
いい道に出た
そのうち森の中を行く自転車道のような道になります。ここは快適。
人里に出た
そしてようやく人里に出ました。ホッ!
ここからはしばらく一般道を行きます。
アモワールの教会
デュルビュイを出て二時間、アモワール(Hamoir)に到着。これまではリュクサンブール州でしたが、ここからはリエージュ州になります。
アモワールはちょっとした街で、教会の向かいにカフェがあったので、ここで一休み。例のダート事件でもうへとへとだったのです。
コンブレン=フェロン
アモワールからはウルト川沿いに道があるのですが、それは地図では破線で、かなり怪しい。
またさっきみたいな地道を行くのはごめんなので、コンブレン=フェロン(Comblain-Fairon)までは一般道を行くことにします。
三度自転車道
コンブレン=フェロンの先で、うまい具合に一般道から自転車道に入れました。
コンブレ=オー=ポン
この自転車道はコンブレ=オー=ポン(Comblain-Au-Ponte)で対岸に渡り、次の村ポン=ド=スケ(Ponte-de-Scay)まで続きます。
ポン=ド=スケ付近
ポン=ド=スケ付近には、荒々しい岩肌を露出させた崖が続いています。
丘の上の景色
ウルト川の支流のアンブレーヴァ川(L' Amblève)を渡ると自転車道はおしまいになり、そこからは先ほどの崖と同じような崖を上り出します。
今日は上りはないかな、と思ったのに、ここからはアップダウンの連続なのでした。
牧草地と牛さん
しかしいつものことながら、丘の上から見るアルデンヌの景色は、広々としていて気持ちいい。
このアンブレーヴァ川の上の丘を東へ向かいます。
この丘を上ったり下ったり
上ったら下り、下ったら上る...
農家の建物
アルデンヌの家々はほとんどが農家なので、その造りはどこもだいたい一緒です。
左側の二階に窓があるゾーンが居住用のスペースで、それから右側が農作業用のスペース。右端の二階の大きな扉は干し草などの搬入口で、その上の小さな窓は換気用のもの。
スプリモン
下りの途中で右手に細い道が上って行きます。予定ではこの細道を上らなければならなかったのですが、一気に通り過ぎてしまい、スプリモン(Sprimont)に入ってしまいました。
スプリモン自体は何の問題もないのですが、その先には交通量が多い国道が通っているので、できればここは迂回したかったのです。しかし、その国道を走らなければならない距離は僅かだったので、ここはまあ良しとしましょう。
デニェ
上って下り、また少し上りが始まると、先に教会の塔が見えてきました。デニェ(Deigné)に到着したようです。
デニェに入る
『24の美しい村』の一つのデニェは、国道から一歩入った小さな村で、そこには曲がりくねった道が何本か絡まるようにして通っています。
教会付近の家々
村の中心の教会の廻りには、18世紀頃に建てられたという農場が集まっていて、民家も多くはその頃からのものだそうです。
デニェの共同水場
教会のすぐ近くには小さな共同水場があります。ここには人々が、ひっきりなしに水を汲みにやってきます。
この水は甘くて、おいしい。私たちもボトルに汲ませてもらいました。今日は途中の街にレストランがなさそうなので、ここにあったベンチでサンドイッチのお昼です。
変わった棟飾り
この村の一軒の民家の棟に、ちょっと変わった飾りがありました。
このあたりに焼物の産地があるのでしょうか。
デニェ付近の草原
デニェからは北上します。ここは上り。
道脇には相変わらず草原が続いています。
バヌー
草原の中の上りはバヌー(Banneux)まで続き、そこから一気に200mほど下ると、
ネソンヴォーの小川
ネソンヴォー(Nessonvaux)で、小さな川を渡ります。
ネソンヴォー
川を渡れば、そのあとは当然また上り。
村と村の間はずっと草原
そして、草原が続くのでした。
このあたりはアルデンヌの中でもエルヴ地方と呼ばれ、エルヴ高原が広がるといいます。しかしアルデンヌはどこもかしこも高原なので、ここが特別な高地というわけではないようです。
もじゃもじゃ牛さん
そんな草原の中に、いつもとは違う牛さんが。
角は水牛みたいで、毛はもじゃもじゃ。あなた、どなた?
オルヌに入る
デニェから15kmほど北上したところに、本日二つ目の『24の美しい村』オルヌ(Olne)があります。
シャトー・フェルム
村の中心には堂々としたお城があり、
サン・セバスチャン教会
サン・セバスチャン教会が建っています。
煉瓦造の建物
これまで家々は石造のものが多かったのですが、この村には煉瓦造のものも多く、グレーの石の窓枠とのコントラストが美しい。
村役場
メインストリートの真ん中に建っているのはたぶん村役場でしょう。
石造の家
こちらは石造の立派な家。
窓辺を飾る花々
窓辺はたいていきれいな花々で飾られます。
ソワロンへの下り
三つ目の『24の美しい村』はオルヌの東3kmのところにあるソワロン (Soiron) 。
この村はやや低いところにあり、周囲は牧草地が広がる丘に囲まれています。
ソワロンの教会
ここでも村の中心には教会が建ち、
石造と煉瓦造の家々
その周辺に、オルヌ同様、煉瓦造と石造の立派な家が並びます。
お城の塔
ここにはかなり大きなお城があります。
まず、こんな塔が道路際に建っており、
お城
その中に宮殿のような建物が。この建物の横と後ろにはどこまで続くのかわからないほどの牧草地が広がっています。
このお城、今でも個人の所有です。
いつでもどこでも牧草地
ソワロンからはエルヴ高原の名の元のエルヴに向かいます。
上って下って、また上る...
牛さんの通せんぼ
あるところで、牛の大群が牧草地からお家に帰るところに出会いました。
道を横切り、ずらずらずら。
エルヴ
ソワロンから北に10kmほど行くと、本日の終着地エルヴに到着です。このあたりがエルヴ地方と呼ばれるように、ここはこのあたりの中心的な町です。その中心に建つ聖ヨハネバプティスト教会は17世紀のものですが、塔は13世紀からあるようで、高さは49mもあります。
エルヴのレストランにて
街にはこうした見どころもいくつかあるのですが、エルヴといえばチーズです。このあたりのチーズはエルヴチーズと呼ばれ、ベルギーで唯一のAOCを持ちます。
その形はちょっと変わっていて、マルセイユの石鹸のように5cmほどの立方体で、200gほど。この作り方がまた面白く、ひとつずつ手で洗って熟成させていくのだというから、これは大変。かつては一般の家庭でもさかんに作られていましたが、今では2軒の家族経営の工場と5軒の農家が製造するだけになってしまったそうです。これにエルヴ高原名産のシロップ、シロ・ド・リエージュをたっぷり塗って食べるとおいしい。