1412-17

シメイ〜シャルルロワ

ベルギー 17

開催日 2014年08月23日(土)曇り雨曇り晴れ
参加者 サリーナ/サイダー
総合評価 ★★
難易度
走行距離 71km

トゥアン
トゥアン

コース紹介

ベルギー自転車の旅の最終日。エノー州のシメイから、小さな美しい村ラニー、世界遺産の鐘楼のあるトゥアン、オールン修道院を訪ね、ワロン地方の中核都市シャルルロワまで。ラニー周辺を除き、ほぼ全行程が自転車道RAVelで結ばれています。

動画(04'46" 音声:一部にあり)

Googleマップで表示 ルートデータ(gpxファイル)
総合データ(GARMIN Connect:ルート、高度、速度など)

発着地 累積距離 発着時刻 備考
 Chimay START 発09:30 朝食:B&B Chimay
 Beaumont 29km 着11:25
発11:25
□Ragnies 40km 着12:15
発14:00
南北森に囲まれた村、伝統的な家々、花
昼食:Distillerie de Biercée
■Thuin 47km 着14:40
発15:15
鐘楼(世界遺産)
 Aulne 58km 着16:05
発16:40
Abbaye d'Aulne 
■Charleroi 71km 着17:45 市庁舎の鐘楼(世界遺産)
列車:1本/h,9.4€ Charleroi18:40 → 19:40Bruxelles
■Bruxelles 泊:Bruxelles/Marivaux Hotel 81€
夕食:
日の入り20:50/■主要な町 □24の美しい村 ★トラピスト修道院醸造所 ☆ブリュワリー

シメイの朝シメイの朝

昨夜の雨とは打って変わって、今朝は爽やかな快晴です。サン・ピエール&ポール教会の後ろの広場に面したテラスで朝のひととき。

B&Bを出発≠B&Bを出発

そしてB&B Chimayの朝食は、フレンチトースト、クロワッサン、ヨーグルト、シメイチーズ、手作りジャムと、とってもゴージャスでした。ゆっくり朝食を堪能して9時半にB&Bを出発。

シメイ城シメイ城

元は15世紀の建造というシメイ城を、今朝は西側から見上げてみます。こちらは裏門ですね。

RAVelに合流する直前RAVelに合流する直前

シメイの街に別れを告げて、まずN53を北上です。途中シメイ・グランプリという道路を横切りますが、シメイでは1950年代にF1が開催されていたようで、今でも自動車関連のイベントやレースが行われています。

しばらく走るとRAVelのL109/2の端に到着し、ここから快適な自転車道となります。

落ち葉の自転車道落ち葉の自転車道

鉄道廃線跡の自転車道は森を走り、ときどき開けた牧草地を抜けていきます。昨日の雨でちらばる落ち葉を踏みしめながらどんどん走ります。

ランス近くランス近く

車道との交差点には車止めが置かれています。これは元駅舎の建物でしょうか。緩やかなカーブを描く平坦な自転車道がさらに続きます。

ランスの村ランスの村

森がいったん開けたところは牧草地が広がり、その向こうにランス(Rance)の村と教会が見えました。

ところで、昨日のシメイに到着する手前あたりから、私たちはアルデンヌ地域の外を走っています。アルデンヌはベルギーとフランスにまたがり起伏の多い丘が連なる地形でしたが、このあたりはそれほど起伏がありません。

快調なサリーナ快調なサリーナ

そんなわけで、ずんずんと快調に進んで行きます。サリーナも動画を撮ってみたり地図をチェックしたりと、余裕の笑顔。

自転車道脇の鉄道車両自転車道脇の鉄道車両

自転車道脇には、鉄道が走っていた頃の記憶として古い車両が残されていました。

予定ではシメイから30kmほどのボーモン(Beaumont)で一休みするつもりでしたが、あまり疲れていないのと出発が少々遅れていたので、引き続き次の目的地のラニー(Ragnies)まで走ることにしました。

畑の中の道畑の中の道

ストレ(Stree)で自転車道を離れ、『美しい村24』の一つ、ラニー(Ragnies)を目指します。麦やとうもろこしの畑の中、はるか向こうまで道が続いて見える風景は、丘陵地の連なるアルデンヌとはやはり違いますね。

ラニーの入口ラニーの入口

畑の中を2kmほど走っていくと、ラニーの入口に到着したようです。大きな建物が見えてきました。

蒸留所の塀蒸留所の塀

この砦かお城のような建物は、歴史ある大きな農家の建物群を蒸留所として活用しているもので、ここを過ぎるとラニーの村に入ります。

カフェは休みカフェは休み

休みなしで走ってきて、おなかもぺこぺこ。村で最初に目についたカフェに入ろうとしたのですが、ドアには鍵。今日は休みのようです。向かいの家の方に、近くにレストランはあるかと尋ねると、『選択肢は3つ。お勧めは蒸留所にあるレストランだよ』と親切に教えてくれました。

ビエルセ蒸留所ビエルセ蒸留所

そこで来た道を戻り蒸留所へ。このビエルセ蒸留所(Distillerie de Biercée)は1946年に創設され、2000年にこの16世紀の農家の建物に移ってきたそうです。りんご、チェリー、レモンなどのフルーツブランデーやリキュールを生産しています。

フルーツを活かしたビール2種フルーツを活かしたビール2種

ビールもあります。写真左はこの蒸留所のレモンリキュールとSilly Breweryのビールのコラボで生まれたレモンの香り爽やかなヴィレ(Villee)。右はチェリー味でほんのり甘酸っぱいビールです。

ビエルセ蒸留所のレストランビエルセ蒸留所のレストラン

農家の建物を改修したレストランは煉瓦のヴォールトが連なり、広いスペースに落ち着いた雰囲気を醸し出しています。観光拠点の一つにもなっているようで、お昼時にはお客さんもたくさん訪れていました。

さまざまなアルコール飲料の看板さまざまなアルコール飲料の看板

壁面には、リキュールやビールその他さまざまなアルコール飲料の看板が飾ってありました。歴史を感じさせる楽しい装飾です。

ポタージュとカルボナードの昼食ポタージュとカルボナードの昼食

私たちのベルギーの旅も終わりが近づいてきたので、まだ試していないベルギー名物を食べようと『カルボナード』を注文。牛肉をビールで柔らかく煮込んだ逸品でした。もちろん山盛りフリッツ付き。手前は野菜のポタージュです。

古い蒸留装置古い蒸留装置

建物内外には蒸留のための装置や備品が飾られています。4月〜9月は毎日15時から蒸留所の1時間のガイドツアーもあるそうです。

蒸留所の建物エントランス蒸留所の建物エントランス

昼食を終え、蒸留所を出発してラニーの村見物に向かいます。

ラニーの中心部へラニーの中心部へ

『美しい村24』の一つであるラニー (Ragnies)は、南はリュイスル森、北はアゲーズ森に囲まれた、自然豊かで温和な村です。

石と煉瓦の家石と煉瓦の家

村には石と煉瓦でつくられた伝統的な家が立ち並び、窓辺は美しい花で飾られています。

教会の塔が見える教会の塔が見える

にわとりが駆け回る緑の庭の向こうに教会の塔が見えてきました。

サンマルタン教会サンマルタン教会

村の中心にはロマネスク様式とゴシック様式の混在するサンマルタン教会があり、広場の大きな木や周囲の家並みと一体になって絵のような景色を見せてくれます。とても静かな、美しい村でした。

雨の中を走る雨の中を走る

さて、次の目的地に向かおうとラニーを出たところで、いきなり黒い雲が広がり、やばい!と思う間もなく大粒の雨が降ってきました。あわてて道ばたの一軒の家の軒先を借り、雨装備を整えます。ベルギー自転車最終日もやはりお天気は晴れ・曇り・雨でした。

南の道路から見上げるトゥアンの街並み南の道路から見上げるトゥアンの街並み

北へ5kmほど走ると、右手の丘の上にトゥアンの街並みが見えてきました。つまり、あそこまで上るわけですね。本日唯一のアップアップが始まりました。

トゥアンの鐘楼トゥアンの鐘楼

雨の中、石畳の道をわっせわっせと上っていくと、中世の雰囲気を残す街並みの中にある巨大な鐘楼に到達。

広場からみた鐘楼広場からみた鐘楼

シャピトル広場から見た鐘楼です。1639年に建設されたこの鐘楼は、シャルルロワやモンスなどのものと合わせた鐘楼群として、ユネスコ世界遺産に登録されています。

サンブル川沿いの街サンブル川沿いの街

広場から丘の北側を眺めると、サンブル川に沿って下の街の家々の屋根が連なり、その回りに森が広がっています。丘の北側にはこの眺めを楽しめる遊歩道が設けられています。

鐘の機械仕掛け鐘の機械仕掛け

それでは鐘楼に上ってみましょう。『まあ、日本から!日本語はないのよ〜 ごめんなさいね』というわけで、受付の女性から英語のオーディオガイドを借りて、鐘の機械仕掛けやカリヨンの回りをぐるぐると鉄骨階段を上っていきます。

鐘

ちょうど鐘の横を通ったところで午後3時になり、ガアアア〜ンゴオオオ〜ンと大音響が響き渡りビックリ!

鐘楼最上階の窓からの眺め鐘楼最上階の窓からの眺め

到達した最上部の部屋では、四方に設置された1mほどの急勾配の階段をよじ上ると窓からこんな景色を見ることができます。

トゥアンの鐘楼トゥアンの鐘楼

鐘楼から下りてみると、何と晴れていました。これがベルギーだ!

さてここからは鐘楼をあとに、丘を下って北側のサンブル川沿いを走ります。

下の街下の街

丘をがーっと下り終えてトゥアンの煉瓦の街並みを抜けると、サンブル川に架かる橋に出ました。

サンブル川の橋から見た鐘楼サンブル川の橋から見た鐘楼

橋からは丘の上にすっくと立つ鐘楼が臨めます。

サンブル川沿いの自転車道サンブル川沿いの自転車道

ここからは、サンブル川沿いにシャルルロワまで自転車道のRAVel3が続いています。緑の森に囲まれた川沿いを走っていると、前方から一群の集団が。

乗馬の人々乗馬の人々

それは乗馬を楽しむ人たちでした。そうそう、自転車と馬とは一緒の道でしたね。

運河の水門脇を走るサイダー運河の水門脇を走るサイダー

この川は運河で、自転車道は引船道としてつくられたものを利用しているようです。運河にはところどころに水門が設けられており、ここは水門No.6。川沿いの平坦な自転車道はまだまだ続きます。

運河から見たオールン修道院運河から見たオールン修道院

トゥアンから自転車道を7kmほど走ったところで、川の向こうに大きなシルエットが見えてきました。オールン修道院です。

跳ね橋跳ね橋

サンブル川からオールン修道院への入口はここ、車1台がやっと通れる幅の水門No.8の跳ね橋です。

オールン修道院オールン修道院

伝説では637年に創設されたというオールン修道院は、12世紀頃からシトー会の修道院として教会やさまざまな建物が整備されてきましたが、フランス革命後の1794年にフランス軍などによって大きく破壊されてしまいます。

古い教会のエントランス古い教会のエントランス

入口を入ると、左手には破壊された教会のエントランス部分が残っています。

サンジョゼ教会サンジョゼ教会

そして正面にあるのは、18世紀末の修道院破壊後、1873年に建てられたサンジョゼ教会です。

醸造所のレストランで結婚パーティ醸造所のレストランで結婚パーティ

その右手にはビール醸造所とレストランがあります。オールン修道院でも中世からビールの醸造が行われていたのですが、18世紀に起こった火災や修道院の破壊に伴い、1850年にはビール醸造が途絶えてしまいます。しかし、その150年後の2000年から同じ建物で再び修道院のビール Abbaye d'Aulne が生産されるようになり、建物内のレストランで味わえるようになりました。

さて、この日はここで結婚式とパーティが行われていました。写真をとっていると若い男性に日本語で話しかけられビックリ。パーティのDJとしてブリュッセルから来た彼は、実はチョコレート職人でもあり、『お店に日本人もよく来るし、日本にも行ったことがあるので少し日本語できます』とのこと。いやいや、お上手でした。

回廊の跡回廊の跡

教会跡から裏手に回ります。修道士たちの修練の場や回廊も廃墟となり、一部の壁だけが残されています。

教会の壁教会の壁

教会に残された高い壁面はゴシック様式のアーチで支えられ、細く高い窓が設けられています。13世紀に建設され、16世紀に大きく改修されたという教会は、さぞ壮麗で見事なものだったのでしょう。

食堂の建物食堂の建物

ここは修道院の食堂です。修道院には複数の食堂があったようですが、1740年から1753年にかけて建設された大きい食堂の建物が現在も残っています。

結婚記念撮影中のカップル結婚記念撮影中のカップル

この印象的な修道院での結婚式や記念撮影はとても人気のようですね。この陽気なカップルは、スーパーマンスーツをチラ見せしてくれました。お幸せに!

自転車道に戻る自転車道に戻る

オールン修道院をあとに、再び運河沿いの自転車道 RAVel 3 に戻ります。

鉄道路線の脇を通る鉄道路線の脇を通る

運河沿いの自転車道は、ときどき鉄道路線と並行しながらシャルルロワまで続いています。

工場の敷地を通る工場の敷地を通る

そして、自転車道は突然現れた工場の白い巨大な建物脇を通過。運河を使って砂利や砂などの資材を運んでいるようです。

釣りを楽しむ人々釣りを楽しむ人々

シャルルロワに近づき、川では釣りを楽しむ家族連れなども多く見かけるようになりました。そして正面には巨大な円錐形の建造物が。発電所でしょうか?

工場群の中を走る工場群の中を走る

シャルルロワはかつて炭坑で栄え、今でも鉄鋼、ガラス、化学、電気などの産業の拠点となっている都市で、その郊外にさしかかると景色は一変し、赤錆色の工場群や煙突が建ち並ぶ世界となりました。

シャルルロワ南駅に到着!シャルルロワ南駅に到着!

そして工場群を抜けると本日の自転車終点、シャルルロワ南駅に到着しました。ここが私たちのベルギー自転車旅の終点です。

3週間にわたるアップダウンの繰り返しと日に一度は降る雨で、足はヨレヨレ、自転車は泥まみれですが、美しい森や川、丘の連続する景色に歓声をあげ、かわいらしい村をたくさん訪れ、おいしいベルギービールを充分に堪能することができました。自転車で巡るベルギー南部、アルデンヌ地方は本当にすばらしい旅でした。

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