朝から快晴。今日は済州島観光の目玉の一つ、離島の牛島(ウド)を巡るとあって、みんなウキウキ、ペンションの庭にあったハンモックではしゃぐ面々です。
8時にペンションを出発。道路では、とれたてのワカメが歩道一杯に広げられ、干されていました。踏まないように気をつけて通ります。
ペンションのすぐ近くに表善灯台があります。これは韓国ドラマ『アイリス』のロケ地だとか。
『ここは "LOVE" でしょう!』とキルピコンナがハートマーク!
表善灯台の横にはヘビチホテルがあり、そのさらに横に『済州民俗村』があります。
ここは広い敷地内に、1890年代の伝統家屋100棟以上が復元された野外博物館です。実際に済州島の人々が暮らしていた山村や漁村の家屋に生活用具や農具、家具などが復元展示され、工芸なども体験することができます。
こちらは農業や牧畜を中心とする生活をしていた山村の住居。とうもろこしが干してありました。庭では豚を飼っていたといいます。
ここは台所です。かまどがあり、什器も置かれています。
『チャングム』にも時々こうした台所が登場しますね。
この住まいは母屋、離れ、納屋などで構成されたコの字型です。庭の作物や草木もきちんと手入れされ、まるで実際のお宅を訪ねているようです。
こちらは菜の花に囲まれた住まいです。ここからさらに、宗家の長孫が住んでいた家や漁村、市場などもあり、さまざまな映画やドラマのロケ地にもなっているのですが、すべて見て回るには時間が全く足りません。ほんの一部を楽しんだだけで、残念ながら出発となりました。
なお、私たちが滞在した時間帯は早かったからか、体験施設などはまだ開いていませんでしたが、工芸や行事を体験したり踊りなどの演芸を鑑賞したりもできるそうです。
済州民俗村を出ると、すぐに白い砂浜の表善ヘビチ海岸に出ます。青い空と白い砂浜を横目に『潜りたい〜』と叫ぶクッキーですが、あっさり通過。
今日はお昼に牛島に渡るフェリーに乗らなければならないため、北東に向かってどんどん飛ばします。道路沿いにはきれいな黄色い花が咲いています。マツバギクかな?
今度は紫がかったピンクの花が、海辺の光を受けて輝いていました。ダイコンの花に似ています。
花に覆われた海辺の道を満喫するクッキーとキルピコンナです。
海辺の道にはこんなものも。大ぶりなイカがずらりと干してありました。干し方には2種類あって、どうやら最初に全体を干し、その後この写真のように2つ折りで干しているようです。
こちらは石が山のケルンのように積んであります。済州島ではどこでも溶岩の黒い岩が民家や畑の石垣として使われていますが、こんな光景もよく見られ、石を積むのがとても好きみたいですね。
海を眺める休憩スペースがあったので、ちょっと一休み。石の彫刻もよく見かけますが、海女さんの像に加えてこちらはアシカでしょうか?
北上していくと、はるか前方に台地のような城山日出峰(ソンサン・イルチュルボン)の影が見えてきました。その手前には、低く長い岬が突き出ています。渉地岬(ソプチコジ)です。
これから漁に出かける海女さんたちに出会いました。浮き、網、そしてフィンや銛を持った姿、カッコイイですね。
青空と陽の光を受けてエメラルド色に輝く海、そして白い砂浜のソプチコジ海岸と城山日出峰。思わず立ち止まっては記念撮影です。『自撮り棒』での撮影もずいぶんうまくなってきましたね。
海岸をぐるっと回って渉地岬(ソプチコジ)に入ります。広い道を軽快に飛ばしていたのですが、しばらくしてソプチコジの先端に着くと、そこは観光バスや車と人で溢れていました。
この岬の先端は絶壁となり、その上には草原が広がっています。ここは韓国ドラマ『オールイン』のロケ地として有名なところです。
ドラマではいつも強風が吹いている印象がありましたが、今日はとても穏やか。絶壁と奇岩を眺めながら遊歩道を上っていきます。『ここにイナの家があって、スヨンが海に花を投げて…』とドラマの風景に浸るのは、韓国ドラマ好きのキルピコンナとサリーナ。
ところで、ドラマで修道院として使われた建物は2003年の台風で全壊し、その後ドラマの記念館として修道院をイメージした『オールインハウス』が2005年にオープンしたそうですが、現在は子ども向けの『お菓子の家』のような施設になっていてちょっと残念でした。
遊歩道は灯台に登る人たちで溢れていたので、灯台はパスすることにして遊歩道を駆け下ります。『それ〜!』と豪快に下るはキルピコンナ。
こちらの北側にはあまり観光客もおらずに、広々とした草原が美しく気持ちよいところです。後ろには、龍王の息子が仙女と結婚できず悲しみのあまり立ったまま岩になったという伝説のある立岩が見えます。
薄紫の花に囲まれた遊歩道は北東に向かって延びています。前方にある建物は、安藤忠雄氏の設計したレストラン『グラス・ハウス』と瞑想空間『ゲニウス・ロキ』です。
そして岬の北岸に回ると、目の前に城山日出峰(ソンサン・イルチュルボン)が大きく現れました。城山日出峰は10万年前に海底噴火によってできた噴火口です。
『すばらしい景色でサイコー!』とクッキーが笑顔で走ります。
リゾートホテルなどは皆南側を向いているためか、ソプチコジの北側ではほとんど人や車を見かけませんでした。城山日出峰などの景色をゆっくり楽しみながら、ソプチコジをぐるっと一周です。
さて、ここからは城山浦港まで一直線。牛島へのフェリーに乗るためです。その途中の道路沿いに菜の花が咲き乱れるエリアを発見。観光客が写真撮影に夢中です。
撮影用の備品なのか、ブランコのほか、大きなハートマークが置かれているのがちょっと韓国ドラマっぽいですね。
港まで一直線!のはずが、すばらしい景色についつい立ち止まってしまいます。城山日出峰が本当に間近に見えるようになってきました。
ともかくバタバタっと城山浦港に到着したのが12時20分。サイダーと本日の会計係クッキーが切符購入に挑み、無事、5人+自転車5台分の往復切符を購入。13時発のフェリーに乗れることになりました。
港にはフェリーが頻繁に出たり入ったりしています。こちらが牛島行きのフェリー。
自転車を車スペースの横っちょに置き、フェリーの上階に上って海の旅を楽しみます。ほんの10分ほどの行程ですが、遠ざかる城山日出峰と目の前に迫ってくる牛島峰を眺め、ワクワク感いっぱいのジオポタです。船旅もいいですね〜
牛島の天津港に到着。
済州島から渡った牛島の日差しはさらに強く、空気が白く輝いているようです。観光客も多く、島の足としてレンタルモーターバイク(二輪や写真のような三輪車)、そしてこれまであまり見かけなかった自転車もたくさん走っています。そういえば、カップルが自転車に乗るっていうのも韓国ドラマの定番ですね。
13時を回っているので、まずは昼食です。港から2kmほど北上した珊瑚海水浴場(サンホヘスヨクジャン)にある食堂へ。
牛島には牛島八景なるものがあります。昼間明月、夜航漁帆、天津観山、地頭青沙、前浦望島、後海石壁、東岸鯨窟、西浜白沙で、珊瑚でできた真っ白な砂浜が印象的なここは、第八景の西浜白沙(ソビンベクサ)です。
珊瑚海水浴場の向かいの食堂で頼んだのは、まずいわゆる『ビビン麺』。冷たい麺に刺身と野菜の乗った大皿が登場し、お店のオンニがそこに真っ赤なタレをビューっとかけ、去っていきます。後にはビニール手袋とハサミが。『これは自分でやるってことですね!』とキルピコンナが手袋で麺を混ぜ、ハサミで切って皆に取り分けてくれました。
このタレ、酸味と辛みが絶妙に調和しています。刺身や野菜と麺がさっぱりとして美味〜!
続いては海鮮鍋。こちらの名物らしく、回りの人たちは皆頼んでいます。アワビ、サザエ、エビ、そして名前はわかりませんが巨大な貝が豪華に盛られています。
夢中で食べて半分くらいになったところに、お店のオンニがやってきて生きたタコを鍋に放り込んだ! うわ〜! といいつつ、おいしくいただくジオポタでした。
海の幸を堪能したあとは、牛島一周に出発です。反時計回りに一周するので、いったんフェリーで到着した天津港方面へ。その向こうに見える山は牛島で最も高い牛島峰(132m)です。
そうそう、牛島八景の第三景、天津観山(チョンジングァンサン)は天津港がある東天津洞から眺めた漢拏山のことで、そこからの漢拏山がもっとも美しいそうです。
天津港からは内陸に向かって緩やかな上りです。周辺には小ぶりな区画の畑が連なっています。
そして牛島で最も高い牛島峰(ウドボン)のふもとにやってきました。牛島の名物ピーナッツを売るお店もあります。
この牛島の人口は1,800人ほど。島は一つの溶岩台地で形成されており、横になって眠る牛の姿に似ていることから『牛島』と名付けられたそうです。
観光客もたくさん上っています。南を見ると海を隔てて城山日出峰がきれいに見えます。
すぐに乗れない勾配になり、草原のすばらしい景色を楽しみつつ自転車を押していきます。
牛島には、朝鮮時代の1697年に馬の飼育場が設置されて以来、人が定住するようになったといいます。そのためかどうか、この牛島峰の草原など乗馬体験できるところがいくつもあります。それにしても、次第に勾配がきつくなってきた。
遊歩道の分岐点に出てきました。『南側の海を眺められる道がいいね』とサイダーが舗装路でない道を選ぶ。何しろサイダーですから。。
そしてその道は勾配を増し、増し続け、ついにはこんな勾配に(写真)!。みんなアヘアヘと喘ぎ、『もうダメ〜』と小休止。
振り返ってみれば、牛島の景色が一望に開け、対岸にはいくつものオルムが姿を見せています。『オルム』とは、済州の言葉で火山活動によりできた小山のような地形(側火山)のことで、済州島には360個あまりのオルムがあるということです。
海と草原、そして火山地帯の地形の雄大な景観に、疲れを忘れて写真撮影に夢中のクッキーでした。
牛島八景の第四景、地頭靑莎(ジドゥチョンサ)とはまさにここ。牛の頭から見る、青い空と海に緑の芝生。
『もう少しで頂上だから』とのサイダーに従ってようやく頂上に着いたと思いきや、その道は何と柵で閉ざされています。すぐ横にあるというのに、こちらの遊歩道からは頂上の牛島灯台には行けないのです。がああ〜ん!
牛島一周をするためには、灯台から東側に下りなければいけません。『えええ〜!』という全員のブーイングを全く無視し、遊歩道の分かれ道まで下るサイダー。今度は舗装路を再び上り直しです。ヘロヘロと、やっとのことで押し上った灯台からは牛島全域が見渡せました。
灯台から牛島峰の東側の遊歩道に入ると、牛島の東側の集落や畑の景色がパッチワークのように広がっています。美しい景観に、またまた疲れを忘れるジオポタでした。
島では強風のため、民家の高さは低く、石積みの塀が目につきます。またカラフルな民家の屋根ですが、親族別に屋根の色を変えて建てられたという説があるそうです。
東側の遊歩道は緩い勾配で、自転車に乗って下っていきます。『どうじゃ、この景色は見なきゃいけないじゃろう!』とサイダー。
『うーん、まいりました〜』と笑顔で駆け抜けるジーク。
『ほんとにいいコースですね!』と笑顔のクッキー。
しかし、そう簡単に褒めてはいけません。このあと、下の後海石壁(フヘソッピョッ)に下りるためには、自転車を抱えて長い階段を下りなければならないのでした。ヘロヘロ。。
牛島峰から下った東側にあるのがここ、後海石壁です。これは強い風波に打ち砕かれてできた絶壁です。『後海石壁』という名前そのものですね。牛島八景の第六景。
後海石壁の北は黒い砂浜のコンモルレ海水浴場で、よく見ればその砂浜と後海石壁の間の海面付近には洞窟があります。これが昔大きなクジラが住んでいたという言い伝えがある、牛島八景の第七景、東岸鯨窟(ドンアンギョングル)。
このあたりには牛島八景の第一景である晝間明月(ジュガンミョンウォル)、『昼間の明るい月』という、昼間でも月が見える洞窟もあるそうで、こうしたものを巡るボートもあります。
さて、ここからはほぼ平地となり、牛島の東側を北上していきます。岩浜に沿ってゴキゲンな走りはキルピコンナ。
牛島の北東にはさらに小さな島『飛揚島』があり、牛島とは橋でつながっています。ここでも乗馬体験がありました。先ほど上った牛島峰の灯台が見えます。
牛島に戻る途中、海辺に海女さんたちが集まり、収穫した海藻だか貝だかを男衆が小型のクレーン車で引き上げていました。
さらに北上すると、下古水洞(ハゴスドン)海水浴場に出ました。白い砂浜とエメラルドの海が広がっています。
ぐるりと島の北側を回り、西側に入ります。傾き始めた西日を受けながら、ハウモットン港を過ぎて昼食をとった珊瑚海水浴場近くまでやってきました。
珊瑚海水浴場を過ぎると、ようやくフェリー乗り場の天津港が見えてきました。17時40分にその天津港に到着です。
自転車を押しての山登りと島一周を終え、おやつが欲しくなった女子たち。『アイス食べた〜い!』と大合唱が始まりました。18時の出航にはまだ時間があるので、サイダーを残してアイスクリームを買いに出かけた女子たち&ジーク。
ところが戻ってみるとサイダーと自転車がいない。『フェリーに早く自転車を乗せろって言われて、一人で乗せたんだよ〜』と、へとへとサイダーでした。いやーお疲れさまでした。サイダーの分もアイス買ったからね。。
牛島に渡った時同様にこのフェリーに10分も乗れば、城山浦港に戻ります。そうそう、牛島八景の第二景は夜航漁帆(ヤハンオボム)、第五景を前浦望島(ジョンポマンド)といい、それぞれ、夏の夜の漁火の美しさと、済州から渡る船からみえる牛島を表したものだそうです。
本日の宿は港から3kmほどのところです。18時半に無事ホテルに到着。ちょうど夕陽が沈む時刻でした。
さて、夕食です。ホテルの女性は日本語が堪能で、食べたいものは何かと問われ『蒸し豚』と言うと、それならと紹介してくれたのがこちらのお店。厚切りの蒸し豚を、レタスやワカメ、キムチなどで巻いて、みそ、辛いみそ、しょうゆなど好みのタレにつけて食べます。柔らかいお肉と一緒にいろいろな味が楽しめます。
ところで、頼んだのは『蒸し豚コース』。例によってこのメインの蒸し豚のほか、サバ焼き、海鮮鍋なども付いており、またまた豪華な食事となったのでした。
◆ひとこと by ジーク
この日は3日間続いた雨も上がって朝から晴天!
雨天ではコンパクトデジカメの片手操作のところ、この日は一眼レフの再登場です! 8:30の開門と同時に入場した『済州民俗村』では、2日目の『財岩民俗村』より規模も大きい分、輪をかけて楽しい時間を過ごし、サイダー隊長の「おいジーク!行くぞ!!」の声に何度も追い立てられたのでした。
この日特筆すべきはフェリーで渡った「牛島」でのこと。 何と「牛島灯台」の建っている「牛島峰」を自転車同伴で越えることになったのです! 頂上近くの上り勾配は驚異の3/10=1/3.333…、歩行の限界勾配が1/4とされるのに、1/3.333…を、しかも自転車を押して上り、峰越えの後は自転車を抱えて階段を下る! こんなのは ”GEO POTTERING” 史上でも初の快挙ではないでしょうか! この時の5人は、あたかも『アレキサイダー大王と忠実な従者たち』のようでした!
8日間のうち一眼レフが活躍できたのが5日間もあり、雨天の3日間も瑞々しい新緑が美しくてそれなりに楽しく、一人では不可能な海外での自転車旅行を満喫させていただきました。”GEO POTTERING” には感謝の気持ちでいっぱいです。 という訳で、もう海外へ行かない!は撤回し、本年末にはパスポートを更新して、次のジオポタ海外企画に備えることにします。