今日の目玉はなんといっても城山日出峰(성산일출봉 ソンサン・イルチュルボン)です。そこから見る日の出は大変美しいといいます。
日の出は05:44。しかし天気予報では明け方は曇りで、徐々に晴れに変わるとのこと。朝起きてみれば、予報の通りで、さらに霧がかかっていてあたりは真っ白。そこで、日の出を眺めるのは諦めて、ちょっと遅めの06:00に宿を出発。
城山日出峰の日の出
城山日出峰は済州島の東端から海に突き出した、ほとんど島と言っていいようなところにある岩山です。
その登り口に到着すると、これまで真っ白だった霧がスーッと引いていきます。海辺に近づけば、徐々にぼんやりと岩陰が見え出し、さらにその向こうの海が輝きだしました。
城山日出峰
その輝きが一気に増し、一筋の光の帯となります。ちょうど霧が晴れ、朝日が現れたのです。
頂上から日が昇るところは見られませんでしたが、この登り口の朝霧の日の出も、とても幻想的です。
いつまでもここで日が昇るのを眺めていたいと思わせるほど、ここは印象的ですが、刻々と太陽は昇っています。あまり日が高くならないうちに、頂上にたどり着かなければなりません。
ということで、ほどほどでここを切り上げ、城山日出峰の頂上へ向かいます。
先ほどまではボーッとした岩陰でしかなかった城山日出峰の岩肌が、陽の光を受けて輝きだしました。
この山は10万年ほど前の海底噴火によりできたオルム(側火山)で、海抜180mの頂上までは階段が続いています。
その階段を上って行くと、絶景!
右端にかすかに写っているのが、昨日渡った牛島。
ちょっと変わった塔のような岩の間をすり抜けて上って行けば、西にはこんな景色が。
たくさん見えるポコポコとした小高い山がオルムで、これらはいうならば漢拏山(한라산 ハルラサン)の子分。済州島にはこうしたオルムがなんと、360ほどもあるそうです。
つまり、あの山々の一つ一つに、噴火口があるのですね。
20分ほど上ると、城山日出峰の頂上です。
陽はだいぶ高くなっており、噴火口の外周にそそり立つギザギザの岩峰が、シルエットで浮かんでいます。
直径600mほどのこの噴火口の内部は現在はきれいな草原になっていますが、残念ながらそこには立ち入れないようです。
頂上でこの緑の噴火口を眺めながら時を過ごしていると、周囲の霧も雲も、すっかり晴れて、西にはあのオルムが並ぶきれいな景色が広がっていました。(TOP写真)
さて、上ったら下りなければなりません。上りはほとんどが石の階段でしたが、下りはこんな木造の階段です。
上から見ると、海に転げ落ちそうで怖いくらい。
この階段を下って最初に日の出を眺めた地点まで戻ってくると、そこの景色はすっかり変わっていました。
もちろん霧はもう影も形もなく、海の先に昨日渡った牛島がくっきり見えています。
そして登った城山日出峰を振り返れば、こんなふう。
足下を見れば、チョランマル(済州馬)が。そうそう、ここでは乗馬も楽しめるようでした。
さて、本日のメインイベントはこれにて終了。城山日出峰を後にし、いったん宿に引き上げます。
湾の先に頭を斜めにカットされたようなチミ峰が見えてきました。今日はまず、あのチミ峰をぐるっと廻って進んで行きます。
宿で荷物をまとめ、始興港に向かいます。そこにある『海女の家』のお粥で朝食。済州島でお粥といえば鮑粥が有名ですが、ここには他に貝粥とトコブシ粥がメニューにあります。何度か鮑粥は試したのと、この時トコブシ粥はなかったのとで、ここは貝粥にしてみました。貝といってもいろいろあるわけですが、どんな貝なのかは良く分かりません。これは濃厚な海の味で、鮑粥とはかなり違った印象です。
さて、朝食が済んだら、本日第二部の始まりです。
済州島の干物といえば赤甘鯛(オクトム)が有名です。赤甘鯛は腰ほどの高さの平場に干されますが、このあたりの道路際で良く見かけるのはその赤甘鯛ではなく、イカです。洗濯物を干すようにして、イカが何十mもに渡って並ぶ姿は壮観。
刺身にするヤリイカは6月にならないと水揚げがないというので、これは別のイカでしょうか。皮ははいで干されています。
穏やかな海岸線を進み、山下浦付近になると、海の先の牛島がぐっと近くなります。
『今日はお天気良すぎで、あつぅ〜』 と、顔を隠したムスリム状態でクッキーが飛ばす。
このあたりの海の色はエメラルド・ブルー。
チミ峰の北に廻り込み、橋を渡ると、小さなビーチが現れました。まだ午前の早い時間帯なので、爽やかで清々しい。
済州島の海沿いの道はほとんど平らです。ま、そうは言っても、ちょっとしたアップダウンはあるのですが。
こうした海沿いの道にはあちこちに石の彫刻が置かれています。
これらは置かれているというより、そこにあった石に近くにある石を積み上げて、造形物になったといったようなものでしょうか。
もう一つ面白いのが、この海藻干し。海女さんが採ってきた海草をそこらじゅう、ところかまわず並べて干すのです。
まあ、もちろん交通量の多い車道には干さないのですが、歩道は格好の干場となります。
済州島のサイクリングはある程度人気があるようです。今回の旅では何組かのサイクリスト達とすれ違いました。
ここではマウンテンバイクに乗る親子のサイクリストと遭遇。
今日は城山日出峰以外の見どころとしては万丈窟(만장굴 マンジャングル)があるのですが、その前に海女博物館に立ち寄ってみることにしました。
海女博物館はその名のとおり、済州島の海女の歴史や生活をわかりやすく展示した博物館で、かつて『出稼ぎ海女』として日本にもやってきていたことなどもわかり、たいへん興味深いものがあります。
盛岡では冷麺が有名だそうですが、これは出稼ぎで東北にやってきた海女と関係があるのかもしれませんね。
済州島海女は1970年には14,000人ほどいたそうですが、年々減少し、すでに5,000人を切っているとのこと。
過酷な労働条件の下ではこれは避けられないことで、日本では『あまちゃん』で注目を集めたものの絶滅危惧種で、2,000人ほどしかいないそうです。
海女博物館からは再び海岸線を北上します。今日の海はとてもきれいだ。
済州島の海沿いの道がほぼ平坦なことはすでに言いましたが、ともすると平坦な道というのは変化に乏しく、飽きてしまいがちです。しかしこうしたきれいな海の色を眺めながらならば、そうした心配も入りません。
安源というあたりになると、風力発電のおおきなプロペラがいくつも見えるようになります。済州島はあまり大きくない島なので、特にその海岸部の風は強く、あちこちで風力発電が行われています。
その安源風力発電団地というところの先で、海に突き出した公園があったのでちょっと寄り道。
ここの海は遠浅で深度が浅く、エメラルドグリーンでなく、もっと白っぽい翡翠色とでもいうのでしょうか。
月汀里(월정리 ウォルジョンリ)のビーチが近づいてきました。そのビーチはこのあたりでは一番の規模で、ちょっとした観光名所になっています。そこでお昼をと思っていたのですが、ビーチに着く直前にしゃれた食堂があったので入ってみました。
表の看板のジャージャー麺に惹かれたからです。ジャージャー麺はもちろん中国の麺料理ですが、現代ものの韓国ドラマには必ず登場するといっていいほど、韓国ではポピュラーな食べ物のようだから、一度食べてみたかったのです。
出てきたジャージャー麺はまさにドラマのそれのように真っ黒。日本で食べるジャージャー麺とはまず出てきたときの印象からして違うのですが、食べてみると味もだいぶ違います。 しかしこれがなんと、うまい!
ジャージャー麺のあとすぐに、月汀里のビーチに到着。
なるほどここは噂のとおり、白い砂浜が広がる気持ちのいいビーチで、家族連れが大勢遊んでいました。そしてビーチの向かいにはテラス付のカフェがずらり。
このビーチを眺めたら内陸へ進み、万丈窟を目指します。
内陸部は海辺ではあまり見かけない、畑が広がっています。このあたりは海から内陸へ穏やかな勾配の坂道が続いているため、畑は火山岩の石垣の中にあります。
写真の畑の作物はネギのようでしたが、日本のそれと違って畝状ではなく、ほぼ畑一面に植えられています。
しばらく行くと道は針葉樹の林の中になり、ちょっと地道も出てきたりします。万丈窟はそうした林の中にあります。
万丈窟は漢拏山や城山日出峰とともにユネスコの世界自然遺産に登録されており、世界最長の溶岩洞窟だそうです。
全長は13kmもあるそうですが、そのうち1kmほどが公開されています。写真の赤いところは何かがライトアップされたところですが、その何かは良く分からなかった。。
これは固まりつつあるトンネルの中を溶岩が流れた痕。くっきりと筋目が見えます。
見どころとしては70cmほどの溶岩石筍や『亀石』があるのですが、暗くて、、、
そうしたものを眺めつつ1kmほど進むと見学可能なゾーンの終点に辿り着きます。そこにあるのがこの溶岩タワーで、これはトンネルの天井部分が崩落し、そこから新たな溶岩が流れ落ちたもの。
大失敗連続自撮りのうちの一枚。
万丈窟からは再び海岸線に戻ります。気持ちいいカントリーロードの先にはまたしても風力発電のプロペラが。済州島は本当に風力発電が多い。
今日いくつめのビーチになるのか、金寧海水浴場(김녕해수욕장 キムニョンヘスヨクジャン)に到着。
ここもなかなかきれいなビーチです。
済州島は石文化が発達したところで、トルハルバン(石爺さん)や海女の像が至る所に立っています。
そんなわけで現代的なアートにも石のものが多く、こうしたものが道端のあちこちにあります。
民家もその例外ではなく、屋敷を取り囲む塀はたいてい石が積まれたもので、外壁も石でできています。
かつて屋根は草葺きでしたが、少し新しいものはトタン葺きに置き換わっています。
済州島の観光アクテヴィティーで有名なのがウォーキングで、オルレという島を一周できるウォーキングルートがあります。
オルレという言葉は、元々は『通りから民家に至る小径』を意味していたようですが、現在はこのウォーキングルートを指します。この中には適当な道がない場合は一般的な車の道を行くところもありますが、たいていはこうした畑の中や山の中を行きます。
こんなところはジオポタではサイダー道と呼ばれ嫌われるのですが、ここ済州島では、『ここからオルレ道を行くよ。』と言えば、みんな喜ぶから不思議なものですね。
気持ちのいいオルレ道を抜けると、再び海岸道を行きます。
ルンルンのジオポタ!
帽子がトレードマークのキルピコンナはこの日もオルレスタンプをGETすることに邁進。見つからなかったこともあったけれど、それでもいくつか押すことができたので、満足満足。
しんがりを努めるジークは、愛用の一眼カメラで写真を撮りまくり。この日も遅れがちでサイダーの目玉を食らう。
今日は明け方からの出動とあり、少々疲れが出てきました。今日の終着地の咸徳まではもう少しなのでカフェを探しますが、なかなか見つかりません。ようやく見つけたカフェは本日休みだったのですが、疲れている我々を見てオーナーご夫婦が親切に開けてくれました。
しかしここで事件が。突然強風が吹き、パラソルが飛ばされてジークの頭をゴツン。ジークはこのあと、たん瘤を抱えて走ることになるのでした。お陰でお茶代がタダに。
一服したら少し内陸にあるトルハルバン公園に向かいます。
するとここにも青々とした畑が。
すぐにトルハルバン公園の標識が出てきますが、入口がわからず通り越してしまいました。この入口は道脇にひっそりとあり、なんと入園時刻を5分過ぎていたので閉まっていたのです。
Ozzz... あのパラソル事件がなければ入れたのですが。。
まあ、このトルハルバン公園は余裕があったら入る程度に考えていたので、入れないものは仕方ないと記念撮影だけして、さっさと咸徳に向かうことにします。
下り基調の道を進むと間もなく、咸徳犀牛峰海岸に到着です。
ビーチの東には小高い山があり、その足下からビーチにアプローチします。この山の名がきっと犀牛峰(ソウボン)なのでしょう。ここにある道は遊歩道のようで、まずインターロッキングの舗装から始まり、やがてそれは芝生の中の地道になります。
その地道が途絶え、砂浜に突入。エッコラヨッコラと自転車を押して進みます。
海の中に埠頭のように飛び出しているのは黒い玄武岩で、その上には雲橋という太鼓橋が架かっています。
宿に荷を解き、夕食に向かおうとすると、それまで晴れていた空がにわかに暗くなり、強い雨が。明日は済州島一周サイクリングの最終日です。明日の天気はどうかな。
◆ひとこと by クッキー
7日目のこの日は霧の中からの早朝スタートでしたが、城山日出峰を登っている途中から晴れ、素晴らしい朝日に海女博物館、万丈窟の洞窟に...と、いつも通り、サイクリング以外の ”GEO POTTERING散策” も大満喫^ ^ 実は元々 «島フリーク » で、ここ十数年小笠原など諸々の島に行っているのですが、済州の海の美しさには驚き… というより、こんな身近にあったことに少しショックでした(笑)。そんな海を傍らに毎日素敵な仲間と走って歩いて… 最高な旅になりました♪