昨夜の強い雨でどうなるかと心配されたお天気ですが、朝には青空が広がっていました。よかったね!と予定通り8時半にスタート。
まずは目の前の咸徳犀牛峰海岸にある太鼓橋『雲橋』へ。
少し残っていた雲も次第になくなってきました。雲橋には他の観光客も散策に来ています。
雲橋から西を眺めると、砂の白と海の薄青、空の青が何とも美しい。爽やかで快適な空気が広がり、空と海が溶け合っているようです。
今日は済州島の最終日。一週間前に走り始めた旧済州まではあと20km少々、『もう少しで島一周の完成だ!』とみんな気合い十分です。
『さあ、出発!』とサイダーが引く。港には照明をぶら下げた漁船が停泊中。イカ釣り漁船かな?
しばらくすると畑のはるか向こう、進行方向のやや左手寄りに漢拏山の姿が現れました。
そんな景色を眺めながら、のどかなオルレ道を行くジオポタ。畑で栽培しているのはにんにくのようです。
朝の爽やかな光を浴びて軽快に走るサリーナ、クッキー、キルピコンナとジーク。オルレ道は車道から離れて小さな岬を巡ります。
海沿いには、ところどころに黒い覆いのかぶさった建物が見られます。海水を取り入れては放出しているので養殖施設のようですが、何を養殖しているのかな。アワビでしょうか?
後ろには小山のようなオルムの山影がいくつも並んでいます。
美しい砂浜に小休止していると、そこにいたのはオルレのマークの馬さん。リボンや『K』マークのような標識、そしてこんな馬さんもいるのです。『今日はスタンプをゲットできるかなあ』と、オルレ達人の域に達しつつあるキルピコンナがつぶやく。
岬の先端への道は青空と海に向かって延びていきます。『海にダイブしちゃいそう〜!』とはクッキー。
そして、もう少しで先端というところでお決まりのサイダー道となりました。昨夜の雨でややぬかるみ、自転車を押して灯台へと向かいます。
岬を巡った後、西岸ルートの正面にはちょうど漢拏山がそびえています。漢拏山めがけて出発です。
とにかく青い空、青く雄大な漢拏山。
そして白い砂を映し出して薄青に輝く海。
そんな景色を満喫しているうちに、コースは海辺の漁村集落に入っていきますが、何とその行く手の道全面を海藻が埋め尽くしています。しかも、今まさにどんどん海藻を撒いているところ。
こ、これはどこを進めばいいのか? とりあえず、なるべく踏まないように端っこを押していきますが、我々に気づいたお母さんたちが『ケンチャナヨ〜、ケンチャナヨ〜』と笑っています。『大丈夫大丈夫、踏んで行っていいよ』と言ってくれているようです。
海藻エリアを過ぎた直後、今度は海に突き出た岩礁をつなぐ細いコンクリート道となりました。コンクリート部分が狭くて押すのも一苦労。『今日は障害物走ですかあ〜』とクッキー。
細いコンクリート道の両側は海。おっこちたら大変と、さすがのジークも押しです。実はこの道でチュッ島に渡り済州島に戻ってきているのですが、ともかく細い道をたどるのに必死の面々。
そして島から戻り、集落を抜けると新村港でトドメの階段橋です。自転車を抱えて上って下りて、下りたところは一面の漁網!
漁村の生活感溢れるルートでした。ちなみにここは公式『オルレ道』のルートにはなっておらず、『純粋サイダー道』のようです。
続いて、集落内部を網の目のようにつなぐ道を通ります。『オルレ』とは、そもそも「通りから家の門に通じる狭い道」という意味であり、このあたりはまさにどれも『オルレ』。
石垣に囲まれた敷地の間を縫う路地をたどれば、庭の様子が垣間見えたり野菜が干してあったりと楽しい。
新村港から岬をぐるっと回り込んだところに見晴し台がありました。見晴し台があることからもわかりますが、ここはちょっとした上りです。
その後、しばらく海沿いに道は続いていないので、少し内陸の畑に囲まれた道を通ります。低い石垣に囲まれ、パッチワークのように小振りな畑を通り抜けるのもまた楽しい。
そして少し大きな通りに出ると、通りの両側に車が連なり、何だかすごい人出です。今日は日曜日、どうやらこの近くの運動場でフリーマーケットか何かをやっているようです。
その脇をさーっと下り、到着したのは三陽コムンモレ海岸。こちらは黒い砂の海岸で、神経痛や肥満に良いとされているそうな。夏には砂風呂が人気だそうです。ここでまた『オルレスタンプ』を発見し、ご満悦のキルピコンナです。
朝の青空は次第に雲に覆われてきました。ここで、海から大きな霧笛が聞こえました。目を凝らしてみれば、沖の方に巨大な豪華客船が航行しています。
すごい船だったね〜、どこに行くのかな、などとおしゃべりしつつ、集落と畑を抜けていきます。
再び海岸沿いに戻ってきました。空には少し霞がかかってきたようです。先に二つの小高い山が見えてきました。
奥にあるのが、旧済州の郊外にあって眺めが良いという沙羅峰です。
手前の山の南に廻り込むようにして進めば、島一周道路R1132に出て川を渡ります。すると周囲の景色がうんと変わり、都市が現れます。
歩道に沿って少し進むと、右前方に大きな建物が見えてきました。
この建物は、国立済州博物館です。先史時代から朝鮮時代までの多くの文化財を展示し、済州島の歴史と文化を学べる充実した博物館だということですが、今日は時間も限られるため、残念ながらまたの機会ということにします。
国立済州博物館から北へ、向かったのは沙羅峰公園です。旧済州の郊外にあるこの公園からは、広大な海と漢拏山、そして済州市一帯が一望できるといいます。
ところが公園に入ったあたりから突然霧が立ちこめ、パラパラと雨が降ってきました。自転車は途中まで、そこから徒歩で上っていきます。雨はやんだもののつづら折れの道はかなりの勾配で、ヘロヘロしながら上っていきます。
意外に厳しい道のりで、やっとたどり着いた頂上には八角形の『望洋亭』という見晴し台があります。しかし頂上には霧が立ちこめ、海や漢拏山どころか、2m先も見えません。ありゃりゃ。
この公園は市民が森林浴やウォーキングなど健康のためによく利用しているようで、『眺望ないの〜』などと言いつつヘロヘロする我々をよそに、スタスタと歩を進める地元の人たちの姿がありました。公園に設置してある運動器具で柔軟な体を披露する人たちに圧倒されつつ、ヘロヘロと下っていくジオポタです。
さて、気を取り直して自転車で進めば、そこはもう済州市の中です。市街地も意外にアップダウンがあり、上ったり下りたりして済州島民俗自然博物館に到着しました。
入口には、これまで見た中で最も大きなトルハルバンが。思わずみんなで記念撮影です。
この済州島民俗自然博物館では、韓国本土とは異なる済州島の独特の民俗や自然がわかりやすく展示されています。
自然史展示は済州島に住む海洋生物や昆虫の展示、民俗展示は海女さんや農家の暮らしなど、済州島の人々の伝統的な生活様式を蝋人形などでリアルに展示しています。
続いて、博物館のすぐ近くにある三姓穴(サムソンヒョル)を訪ねました。ここは、済州島のルーツとなる耽羅の国を創始した三神人が最初に現れたとされる聖地です。
こちらの門を入ったところで、係の女性に『まず右手の建物で説明の映画を見てください』と言われ、そちらに向かいます。
展示館ではまず映写室に誘導され、三姓穴の神話の概要を15分ほどのアニメ映画で見せてくれます。門のところの係員から連絡が入ったようで、日本語版が上映されました。
敷地内には多くの大木が生い茂り、静かな聖地の雰囲気を感じさせてくれます。
展示館を出て木々の間を巡っていくと、三聖門に出ます。奥にある三聖堂は1698年に建立されたそうです。
さらに足を進めると、4000年以上前に三神人が現れたという三姓穴に着きました。囲いの中に三つの穴があるといいますが、正面の柵からはよく見えません。
横に回って石垣の上から覗くと、確かに三姓穴、三つの穴が見えました。ここから現れた三神人は、狩りをして暮らしていましたが、その後、海から五穀の種を持ってやってきた三王女と結婚し、農業が盛んになり耽羅の国に発展していったといいます。
木々の緑が深く美しく、神話の世界を包み込むような雰囲気の場所でした。
三姓穴をあとに北上し、初日に通った東門在来市場にある食堂に向かいます。
初日は果物や魚などの生鮮もののゾーンを見ましたが、このあたりは服や靴といった衣料品の店が集まっています。
済州島最後の食事は、この商店街の脇の路地にある小さなお店でキジ料理をいただきます。キジ肉は、済州島では豚肉とともに名物だそうです。
キジ焼き、1皿どのくらいの量かなあ?と悩みつつ「3つ」と注文してみると、出てきたのはこの大皿。骨付き肉にショウガがたっぷりかかっています。『これで3つ分だよねえ。。』と顔を見合わせますが、当然そんなことはありません。このあとさらに2皿出てきます。
お店のお母さんが鉄板で焼いてくれるキジ肉は、柔らかくも筋肉質で食べやすく、大量と思われた3皿も平らげてしまうジオポタです。
キジ焼きとともに頼んだのは、キジそばカルグクス。3人前を注文したら、5人分の器に分けて持ってきてくれました。キジ肉のだしとそばの溶け込んだスープに太めの手打ち麺が入っています。
おなかいっぱい、おいしかった〜とお店を出ました。もう旅はほぼ終わりですが、済州島で思い残すものはないでしょうか。あ、まだ名物のハルラボン(デコポン)を食べていません。
というわけで再び市場に戻り、ハルラボンを物色するサリーナ。大きなハルラボン3つ(1kg)で8,000ウォンと高価なものでしたが、さすがにジューシィでメチャおいしい。ウェドルゲで食べた金柑がおいしかったのを思い出し、金柑も。
さあ、これで本当に済州島一周の旅はおしまい。初日に通った山地川沿いを下り、荷物を預けてあるホテルに向かいます。
この日は日曜日とあって、川沿いの遊歩道ではおじさんたちが集まってくつろいでいます。
あれやこれやで15時近く、初日に泊まったホテルにたどり着き、預けていたスーツケースや輪行袋、パッキング用品を受け取って自転車の帰り支度を行います。あたふたと1時間ほどで何とか準備を終えて、タクシーで空港に向かいました。
16時過ぎに済州国際空港に到着し、みんな無事チェックイン完了。成田空港行きの4人は18時発で、関西空港行きのジークより1時間ほど早く出発です。『じゃあまた次の旅で会おうね、ジーク!』
美しいもの、おいしいもの、楽しいこと、盛りたくさんの済州島の魅力に触れ、笑顔満載の8日間でした。
◆ひとこと by サリーナ
ついに済州島の最終日です。
始まりは青空の下、漢拏山を眺めながら走り、海と山の美しさにまたまた感動。
集落で海藻をよけながらの探検も面白く、後半は済州島の自然や文化を学んで、これまでの旅で見たことがいろいろ腑に落ちました。 そして済州島で食べたかったものも食べ尽くし、何の悔いもない満足な旅となりました。ああ、食べた〜
と思っていたのでありますが。。
帰国してからも済州島モードが抜けず、つい辛い海鮮丼を食べてみたくなる。お店で思わず『パンチャン、ト・ジュセヨ〜』(おかず、お代わりください!)と叫びそうになる。
帰ってきた早々また行きたくなっている。どうやら済州島はクセになる!