今日はポテスの周辺をのんびり観光です。オヘドのホテル・トスカーナを出たのは9時半。ホテルの花々と青い看板が青空に映えています。
オヘドはこの地域の中心のポテスから1kmほど離れた静かな住宅地で、レストランはほとんどないけれどゆっくり滞在するのにはもってこいだと思います。オヘドからポテスの方向へと自転車を進めます。
今朝は快晴で、周辺の山々がよく見えそうです。オヘドからポテスの間にもホテルがあります。
ポテスの街に入ると建物が道の両側から迫り、『街』の様相を見せ始めます。
石造りの街並みを眺めながらポテスの街を通り過ぎる。今日はあとで街を観光する予定ですが、まずは郊外にあるサント・トリビオ修道院へ向かいます。
ポテスの街をあとにすると、すぐに前方に美しいピコス・デ・エウロパが姿を見せてきました。ポテスから500mほどのところで分かれ道を左に入ります。
青空に白い岩肌が映えるピコス・デ・エウロパの山並みを正面に堪能しながら、しばらく緩い上りを走っていきます。
カーブを曲がると一気に勾配が上がりました。右手にキャンプ場があり、ジョギングしているキャンプの若者たちと一緒に坂を上ります。
その先のカーブのあとはさらに勾配がきつくなり、道路には私たちだけ。わっせわっせと上っていく。周辺の山並みは美しいのですが、その頂上に何やら建物の姿があり、あの頂上が目的地なのか?と不安がよぎります。
サント・トリビオ修道院は山の頂上ではなく中腹にあり、とりあえずホッ。10時過ぎに到着すると、まだほとんど観光客の姿はなく、広い駐車場の先に修道院がありました。
建物の左側が正面の入口です。この修道院の起源はキリスト教徒によるレコンキスタの時期の8世紀半ばと言われていますが、当初はサン・マルティン・デ・トゥリエノに捧げられた修道院で、12世紀になって初めてサント・トリビオの名の下での記録がみられます。
開館は10時と書いてあるのですが、ちょっと遅れて10時半頃に中に入ることができました。鐘のある塔をくぐると回廊と中庭です。
中庭には、噴水を囲んでバラやあじさいが咲いています。回廊にはこの修道院や有名な修道士に関する説明パネルが展示されています。
さらに奥は、教会の入口です。観光客が数組到着してきて、一緒に教会に入りました。
修道院の歴史は古いものの後年に修復や建て替えが行われており、当初の建物としてはこのゴシック様式の教会のみが残されているそうです。この教会は1256年に建設が始まり、その後何度も改修されています。高い位置の窓から差し込む光と陰に、静けさと荘厳さを感じる教会です。
さて、教会を見学しているところに神父様とおぼしき方が現れて、教会脇のバロックのチャペルに至る柵の鍵を開け、人々を呼び寄せます。そして、このチャペルの説明をしてくださったのですが、ここには巡礼者を惹きつけるすごいものがあったのでした。それは『キリストが磔にされた十字架の一部を使ってつくった十字架』!
ほんとか?という人のために神父様が解説。「学者が調べたところ、この木材は古い時代のエルサレム周辺の木であることが証明された」とのことです。この貴重な十字架をガラスケースから取り出し、何と、その木の一部を私たちに触れさせてくださったのでした。
サント・トリビオ修道院は、16世紀にローマ法王によって、ローマ、サンティアゴ・デ・コンポステーラなどと並ぶカトリック教徒の重要な巡礼地の一つとされ、巡礼者が訪れる地となっています。そして、その周辺にはいくつかのエルミータがあったので、散策がてら訪ねてみました。
最初に訪ねたのは、サント・トリビオ修道院前の道路をそのまま直進したところにあるエルミータ・デ・サン・ミゲルです。ここに至る道路脇の岩肌には斜めに捩れた地層がみられ、かつて激しい地殻変動があったことを想像させます。
サント・トリビオ修道院から400mほど歩くと、周囲の景色が眼前に広がりました。右手方向の東側には、出発地点のポテスの街の背後にリエバナの山々がどっしりと構えています。
その道の先端にあるのが、エルミータ・デ・サン・ミゲルです。とても小さなエルミータですが、その周辺の眺めはすばらしい。
北西方面をみれば手前にトゥリエノの村、そして奥にはアルグエバネス、その背後にピコス・デ・エウロパの山々の頂がそびえ立っています。
ピコス・デ・エウロパを背景に、観光に来ていた人たちと写真を撮り合いました。絶景かな、絶景かな!
サント・トリビオ修道院まで戻り、次に向かったのは、エルミータ・デ・サンタ・カタリーナです。修道院の西側から小道を少し上ります。
ハイキングコースのようなワイルドな道を上ると、300mほどでエルミータ・デ・サンタ・カタリーナに到着。
ここにはこの周辺のエルミータに関する展示などがありますが、周辺の景色はさっきのエルミータ・デ・サン・ミゲルの方がよかったかな。
サント・トリビオ修道院まで戻ると、多くの観光客が訪れていました。早めに来てよかった。私たちはこれからポテスに戻ります。
修道院を出発すると、しばらくずっと気持ちのいい下りです。上りはきつかったよなあ〜と思い出しつつ、爽快に下り続けます。
あっという間にポテスに到着。これからポテスの街の観光に出発です。まずは古いサン・ビセンテ教会の建物の中にある観光案内所で地図をもらいました。
最初はポテスのシンボル、エル・インファンタードの塔です。15世紀の建築とされる塔の屋上からはポテスの街を一望に見渡せるほか、各階には街の歴史に関する工夫を凝らせた展示がありました。
エル・インファンタードの塔の屋上から東を見れば、デバ川に沿って街並みが続いています。
一方、西を見れば遠くに壁のような白いピコス・デ・エウロパがそびえ立っています。そして南にはポテスの中心街が広がっています(TOP写真)。
自転車を置き、ここからは徒歩で街めぐりです。
ポテスの街は、デバ川とキビエサ川が合流する谷に構成され、下の川沿いの遊歩道と上の斜面地の街並みがとても楽しい。まずはデバ川沿いの遊歩道を散策。
しばらく東に歩いて川から上ったところには、コンベント・デ・サン・ライムンドがあります。1603年建築の歴史ある修道院ですが、今は修道院ではなく保育園があったり普通に使われていました。回廊と中庭があり、入口には由緒ありそうな紋章がみられました。
ここからは、街の南側の斜面地を西へと探索します。オビスポ通りの入口には、通りの形そのままの曲線を描いた建物があり、ちょっとワクワクします。
3階建ての邸宅、サン・ペドロの塔が見えてきました。これ以降、観光地図にトーレ(塔)と書かれている3階建ての邸宅が、狭い路地のところどころにいくつか見られます。
そんな邸宅の壁には立派な紋章がはめ込まれていました。
坂を上っていくと、昨夜食事をした気持ちのよいテラスのレストランに出ました。今日もテラスでは、近所の人たちが集まってにぎやかにお茶しています。
さらに上っていくにつれ道は細い路地となり、両側の家が張り出してきます。迷路のような坂道を上りつつ振り返れば、赤い屋根のはるか先にはピコス・デ・エウロパが現れました。
建ち並ぶ古い民家はスペイン瓦の赤い屋根と白い壁、木のテラスには花が飾られています。
このあたりはソラナ地区と呼ばれ、傾斜地の細い路地に小さな広場、そこに軒を連ねる家々など、散策するのにとても楽しいところです。
曲線を描く路地と家並み。そして、その間から白い山並みがちらりと見えます。
ポテスの街を構成する斜面の最も高いところに出たようです。ここからはピコス・デ・エウロパの雄大な姿もよく見えます。
再び街の中心をめざして下っていくと、路地脇の階段の下に小さな泉がありました。洗面器のような容器が置いてあって、今でも日常的に利用されているようです。
下りきったところはキビエサ川。そこにかかるのは中世のアーチの石橋、カジェタノ橋です。
橋の横には貴族の館でしょうか、大きな敷地に邸宅と水車小屋、納屋などが建ち並んでいます。
川沿いには、高低差を利用して4階建てのように見える大きな建物が並んでいます。キビエサ川沿いに東に歩けば、出発地点のインファンタードの塔に戻り、ぐるっとポテス観光終了です。
ちょうどお昼時、今日はちょっとゴージャスに、ポテスの街で一番有名な「アサドール・ジョレンテ」というレストランに行くことにしました。
お勧め料理は骨付き肉ステーキ1kg! 2人で分けていいよ、とのことでホッ。柔らかい厚切りの肉がジューシイで、赤ワインとよく合います。
サリーナがデザートにアイスクリームを頼むと、「お好みでこれをかけて」とスコッチウイスキーを瓶ごと置いてくれました。デザートには関心なさそうだったサイダーの目が輝き、「これはいいねえ〜」と身を乗り出して注ぐのでした。
満腹満足のお昼を終えて、ホテルのあるオヘドに戻ります。幹線道路ではなく、デバ川沿いの小道を抜けて川の反対側にある裏道を行くことにしました。
ここはダートですが締まった道で、ほとんど誰も通らず快適です。右手にデバ川、左には牧場が広がっています。
爽快な道を飛ばすと、すぐにオヘドに着きました。ホテルの部屋でしばらく休憩したあとは、下のバルで一杯。
快適な3日間の滞在で、ピコス・デ・エウロパやポテスの街を満喫した私たち。しかし、明日からはこの旅唯一にして最大の難所、山越えのあるルートに突入します。