今日は3日間滞在したオヘドを離れ、いよいよ峠越えです。
朝の気温は14度。スペインのこの時間帯はまだ『早朝』、ようやく青くなってきた空にそびえる山々には朝もやがかかっています。出発した朝8時は青空が広がっていますが、かなり涼しい。宿のおじさんに見送られてまずは南へ。
南に行くには幹線道路がありますが、途中までは脇道もあるということでそちらを選択。幹線道路より高い山側にあるため、まずは激坂上りで最初からへろへろ。。でも振り返るとオヘドからポテス、そしてピコス・デ・エウロパが見渡せました。
オヘドから2.5kmほどの小さな村フラマで川を渡り、教会の脇を抜けます。
脇道は丘の中腹を通り、牧草地を抜けていきます。景色も広がっていい感じ。
フラマから2kmほどで脇道はおしまい。ここからは幹線CA-184の一本道です。後ろには、頂が少し雲に隠れたピコス・デ・エウロパ。
幹線道路といっても車は少なく、ブリョン川沿いの谷間の静かな道です。カベソン・デ・リエバナの集落を抜けると、しばらく村はありません。
道路はごく緩い上り坂で、ところどころで背後にピコスが雄大な姿を現します。
回りを見渡すと丘の中腹に小さな集落があり、中には小さな教会もみられます。
このあたりはほぼ平坦な道が続いています。
オヘドから7kmほどのあたりから、前方に岩山が見え始め、少しずつ上り坂になってきました。
ペサゲーロを過ぎると、ピークまで道路沿いに集落はありません。いよいよ峠道に入りました。
山の中腹を削ってつくられた道をもくもくと上ります。
勾配は7〜8%ほど。地形に沿ってくねくねと曲がる道を進みます。
高度が上がるにつれて、周辺の岩山が荒々しい姿を見せ始めました。
そして視界の開けたところからは、緑の山と谷が広がる絶景が見えました。後方は雲に隠れていますが、晴れていればはるか彼方にピコス・デ・エウロパが望めたはず。
ゆっくりゆっくり上ってきましたが、ず〜っと上りでかなり疲れてきた。
つづら折れを繰り返し、足が売り切れ寸前になったところのタイミングで1軒のバル「ベンタ・ペピン」が現れました。よかった〜
標高は1,170m、ピークの少し手前ですが、ここで少し飲み物休憩です。時刻は11時半、周辺には集落もみえないのにバルには数人の常連のおじさんたちが。
さて出発しようと準備していると、バルの前のベンチに座っていたおじさんたちが「こんな自転車は見たことないねえ。モーターがついてるのかい?」だって。「この足がモーターですよ〜」と答え、低速モーターで再び走り出します。
ほどなく、カスティーリャ・イ・レオンの看板が現れました。この道をまっすぐ行くとカンタブリア地方を離れ、カスティーリャ・イ・レオン地方のパレンシア方面につながっています。
私たちは、カスティーリャ・イ・レオン地方に入って500mほどでヘアピンカーブの脇道をもう少し上り、標高1,250mのピークに到達です。
ところで、カスティーリャ・イ・レオン地方に入ったとたん、路面がかなり傷んだ舗装に変わりました。
ここからずっとこんなボコボコの道なの?とちょっと不安になったのですが、再びカンタブリア地方に入るときれいな路面舗装に。地方道は日本でも県境で整備状況が変わったりするけど、スペインでもそうなんだ…と妙に納得。
峠を上り終えて、ここからはずっと下りです。カンタブリア地方の快適な道路を下っていくとすぐにEl Jabaliという展望台があります。
リエバナの緑の山と谷が眼下に広がるすばらしい眺めを堪能。峠に見晴し台があると、疲れも癒されますね。その向こうにピコス・デ・エウロパが見えるはずですが、残念ながらやっぱり雲に隠れています。
それでも、緑深い森とその上に突き出た岩山が印象的な景色です。
谷間には小さな集落も見えて、しばらくこの眺めを楽しみました。
ここからは、待ちに待った長い下りです。緑の山並みの景色の中を爽快に下っていきます。
下り最初の集落のペハンダを通りかかると、道沿いにバル・レストランがありました。時刻は13時半、スペインにしてはちょっと早いですが、この時間ならお昼を食べられるでしょう。
ここでも日替わり定食メヌー・デル・ディアです。赤ワインとともに、ハモン・セラーノ(生ハム)やチョリソと卵、羊肉の煮込みなど、山の料理に舌鼓。
食事を終えて外に出ると、空には怪しげな雲が広がっていました。一本道のCA-281をどんどん下ります。
しばらく行くと、道路の右手のナンサ川が川幅を増してきました。この先にダムがあるようです。
ダム近辺で道は狭くなり、勾配を増しています。
ダム湖の水位は低く、岩肌が見えています。空には怪しげな雲、ちょっとポツポツきました。
このコイーリャ・ダムは1950年の建造と、かなり古いダムです。周辺の川の流れをナンサ川に集める渓谷につくられています。
この急峻な地形につくられたダムに降り立ってみると、その高低差に驚きます。すごい谷間につくられたんですね〜
私たちの前に一人のイギリス女性サイクリストがいたので、記念写真を撮ってもらいました。
深い谷につくられたダムの下流側をのぞくと足がすくむ。こえ〜。。
ダムの回りには石灰岩の荒々しい岩がそそり立っています。
ダムを眺めているうちに、ついに雨が降り出しました。雨装備を整えてダムを出発です。
岩をくりぬいたトンネルを抜けると、
谷底へ一気に下るつづら折れの細い道となります。
雨の路面を滑らないよう慎重に下る。
すぐにダムを上に仰ぎ見えるようになります。そそり立つ壁のような岩からは、細い滝がナンサ川へと流れ込んでいます。
つづら折れのあとは、勾配が緩やかな下りとなります。「凄い景色だったね〜」と満足げなサイダー。
さらに、CA-281はナンサ川に沿って下っていきます。
ナンサ川の谷を通る道からは、丘の中腹のところどころに赤い屋根の集まる集落が見えます。
谷間の道を北に向かってどんどん下ります。雨は少し小やみになったよう。
道路はずっとナンサ川に沿って続き、ナンサ川には周辺のせせらぎから水が集まってきます。
どんどん下って目的地まであと8kmほどのところで、雨脚がにわかに強くなり、あわてて道沿いにあった屋根のあるバス停に避難。サンタ・アゲダというところのようですが、とにかくバス停があって助かった〜
20分ほどで雨は通り過ぎ、再び走り始めます。
そのうち青空も出てきました。目的地はもうすぐです。
ついに、今日の宿泊地のプエンテナンサに到着。意外に早く17時に着きました。プエンテナンサの名前は、ナンサ川にかかる橋(プエンテ)に由来します。
ここは小さな村ですが、私たちが走ってきたCA-281とCA-182、そしてCA-282が交差する交通拠点でもあります。CA-282を西に行けば、ポテスの前に立ち寄ったラ・エルミーダにつながっています。
というわけで、ここにはホテルとバルが3軒ほどあります。ホテルの部屋でしばらく休憩したあと、夕食がてらバルの探索に向かいました。
まずは泊まっているホテルのバル。静かな渋い雰囲気で、食事は出さず飲み物だけです。集まっているのはおじさん&おじいさんばかり。バルの一角では、数人がカードゲームに興じています。
とりあえず一杯と、隣のおじさんが飲んでいるロゼワインを私たちもいただきます。え、2杯で1ユーロ? 激安!
次に訪れたのは食事ができるバル・レストラン。夜に食事ができるのはここだけなのか、夜10時を過ぎているというのにどんどん家族連れや若者グループが入ってきて、ワイワイとにぎやかです。テレビのモニターでビーチバレーを見ながら、イカのフライをつまみ、夜はふけていきました。