レイノサの朝、8時過ぎにホテルを出発です。気温はかなり低くて肌寒い。今日は土曜日だからか、街はまだ眠ったように静かです。
今日は土曜日だからか、街はまだ眠ったように静かです。線路を渡り、レイノサの街を出て、まずは東にあるエブロ貯水池をめざして走ります。
すぐに、牧草の広がる丘陵地に出ててきました。道はちょっとがたぼこしているものの、一応舗装路です。
右手を見ると、蛇行するエブロ川の向こうにレイノサの街が見えます。今日は、このエブロ川とくっついたり離れたりしながら走ることになります。
道は細かいアップダウンを繰り返しつつ、牧草地や森の中を走っています。
丘を越えるとオルナ・デ・エブロの村があり、エブロ川にかかるオルナ橋に出ました。アーチがいくつも続く石橋です。川には何やら赤い水草が生えています。
オルナ橋を渡って南側の対岸へ。エブロ川の先には、大きなエブロ貯水池が広がっています。
橋から400mほどで幹線のCA-730に入りました。この道路はエブロ貯水池に沿って南岸を通っています。
道路は緩やかな上りで、しばらくすると幅を広げたエブロ川、あるいはエブロ貯水池が左手に見えてきました。
エブロ貯水池は、1921年から1945年にかけて、この先のアロヨの東、エブロ川が東から南へ方向を変えるところにダムが建設されてつくられました。この貯水池は、カンタブリア山脈から流れる川の雪解け水を集め、春から夏にかけて、エブロ川下流のリオハやナバラ、アラゴンといった地方の灌漑用水として農地を潤しています。
私たちは、アロヨの手前でエブロ川より一足先に南へ折れ、CA-735に入ります。
CA-735は、しばらくするとエブロ川沿いを走るようになります。緑の草木に覆われた涼しげなエブロ川の最上流では、川幅は狭いものの流れはかなり速い。(TOP写真)
車はほとんど通らず、静かな道をエブロ川沿いに走っていくと、ときどき釣りをしているおじさんたちを見かけました。何が釣れるのかな?
CA-735に入って6kmのところで、最初の村ブスタスル(Bustasur)に着きました。道路の右手にはサン・ホアン教会があります。この教会は1112年の建設のロマネスク様式だそうです。残念ながら教会の扉は閉ざされ、中には入れませんでした。
ここからCA-735は高度を上げてエブロ川に注ぐいくつかの川を回り込み、丘の上の小さな村をつないでいます。ブスタスルからは上り坂で、エブロ川がどんどん下になっていきます。
道路はエブロ川からは80mほど標高が高いところまで上り、そのまま南下するエブロ川かからちょっと寄り道。
ここからの丘の上の村巡りは、ハヒハヒの激坂上り下りが続くことになるのです。
エブロ川から別れた道路は、いったん下りとなってクエスタジョモ川に沿って北東に向かっていきます。上り終わったね〜、と嬉しげに進むサリーナですが。。
川を渡るとまた上り。位置エネルギーを使い果たし、へろへろと上るサイダー。
谷底から120mほど上ると、丘の上に牧草地が開けてきました。
このあたりでは牛たちが自由に草を食み、カラコロとカウベルが響いています。青空に丘が連なる景色は何だか心が晴れ晴れしますね。
とはいえ上り。ハヒハヒ、と上ったところはマタラハ(Matalaja)という丘の上の村。教会の脇を通り抜けるとすぐに終わるくらいの、ほんの数軒の小さな村です。
ここから別の小さな川に向かって少し下り、またしても上りです。
ハヒハヒ、と上ったところはブスティドニョ(Bustidono)。村の真ん中の広場からさらに進もうとすると、広場にいたおじさんたちが「そっちは行けないよ!」と声をかけてくれました。
CA-735はこの村の入口で終わりです。「じゃあ、次の村メディアドロ(Mediadoro)に行くには?」と尋ねると、「ほら、あっちに見える村がそうで、この道を左に行って…」と丁寧に教えてくれました。
この行程もまた、丘からいったん下って小さな川を越え、再び丘を上るルート。三度目なのであまり驚かないものの、足はかなりガクガクしています。
周囲には、頂上が1000mをちょっと越えるくらいの丘が連なっています。そんな広い景色を見ながら丘を上れば、青空が広がって次第に暑くなってきました。
道路脇では、自由放牧の牛さんたちとときどき遭遇します。ごめんね、驚かせて。
メディアドロでは、村は道路からさらに上にあるので村には寄らず、そのまま前進します。そして村を越えたところでついに本格的な下りに入りました。ヤッター!
また谷を下り、小さなアルベルケ川を渡って川沿いにさらに下ります。アルベルケ川がエブロ川と合流するところにアルデア・デ・エブロという村があります。一気に150mほど下ってきました。
念願の下りで元気を取り戻したサリーナです。道路もきれいな舗装になり、ルンルン飛ばします。
ほどなく、エブロ川を渡ります。「久しぶりに出会えたね〜」とにっこりのサリーナ。でも、このすぐ後に寄り道ルートとなり、エブロ川とはまたまたお別れ。そして、川を渡るということは。。
またまた上り、また上り。失った位置エネルギーを取り戻すため、またもどんどん上ります。暑くてへろへろなんですけど!
山道を200mほど上ると、少し大きめの道に合流しました。ようやく上りは終わりのようでホッ。
ここらあたりは南斜面となって左手に視界が広がり、牧草地と森が見渡せます。
道路沿いに現れた小さな村はバルエロ(Barruelo)。石造りの教会と窓辺を花で飾った家並みなど、とてもいい雰囲気です。この教会は11〜12世紀に建設されたロマネスクのもので、観光客の人たちの姿も少し見受けられます。
バルエロの少し先で線路を越えると、その先にはロス・カラベオス駅がありました。この駅のある村はアロジャル(Arroyal)。30戸くらいの村ですがこのあたりでは比較的大きく、地域の役場がありホテルもあります。
この周辺にはホテルやバル・レストランはほとんどないので、貴重なバル・レストランのポサーダ・ロス・カラベオスでとりあえず飲み物休憩です。
歴史ある邸宅がホテルになっているようで、見晴らしのよいベランダ側にバルがありました。お昼にはまだ早いので、お店のお兄さんにこれから先にあるレストランを尋ねると、「ぼくはこの辺の人間じゃないから、お客さんに聞いてみるね」とバルにいたおじさんたちに聞いてくれました。そうしたら「ビジャヌエバにはレストランがある。エル・カサドールはお勧め」と、地図にレストランの名前を書いてくれました。
飲み物といい雰囲気で元気回復。目指す昼食レストランの場所もわかったので、元気にアロジャルの町を出発です。
アロジャルからはすぐに幹線のCA-272に入り、ずっと緩やかな下りが続き、どんどん飛ばします。
バルセナ・デ・エブロで再びエブロ川と合流しました。ここからはエブロ川とともに南下します。
しばらくすると、CA-272はクビージョ・デ・エブロで三叉路にぶつかります。エブロ川は東に方向を変えますが、私たちは昼食をとるため、いったん支流に沿って西のビジャヌエバ・デ・ラ・ニアへ。
立派な並木道を西に向かっていると、黒い雲が空を覆い、ちょっとポツポツしてきました。お昼のレストランまでちょっと待って〜
雨は本降りにはならず、三叉路から1kmも行かないうちにビジャヌエバ・デ・ラ・ニアに着きました。町をまっすぐ進むと赤いパラソルといすが見えて、ここが教えてもらったレストランの「エル・カサドール」でした。
午後2時ちょっと前なので、昼食にちょうどよし。といっても、まだ誰もいなくて私たちが一番乗りです。
「エル・カサドール」とは、狩猟者のこと。つまり、おいしい山の幸が食べられそうです。日替わり定食メヌー・デル・ディアの第一の皿は、コシード・モンタニェス(山の煮込み)で、豆とチョリソ、モルシージャ、豚肉などがじっくり煮込まれて山盛りです。
第一の皿のもう一品は野菜の煮込み。こちらはにんじん、いんげん、ブロッコリー、カリフラワーなどが山盛りで、豚肉とともに煮込まれていました。
そして第二の皿は、豚の手の煮込み、生ハムと目玉焼きです。豚の手は、赤ワインで柔らかく煮込まれ、ゼラチンたっぷり。
デザートも食べて満腹でビジャヌエバを後にします。このあたりは特に観光地というわけではないので、昼食レストランがあるかどうか不安だったのですが、ちょうどいい所にあって助かりました。
先ほどの三叉路からエブロ川に沿って東へ進みます。大きく蛇行するエブロ川に沿った道路は、ごく緩やかな下り基調。車も少なくどんどん行きます。
三叉路から4kmほどのところのバスコネス・デ・エブロ(Bascones de Ebro)でエブロ川を渡る石橋があったので、ちょっと寄り道。
緑に囲まれたエブロ川がありました。エブロ貯水池から出たあたりと比べると、少し川幅が広がり流れは穏やかです。周囲の景色はちょっと乾燥してきた感じでしょうか。
バスコネス・デ・エブロをあとに、再び走り出します。このあたりは、ずっと走ってきたカンタブリア州がカスティーリャ・イ・レオン州と接するちょうど境界で、バスコネス・デ・エブロはカスティーリャ・イ・レオン州側。
道路はすぐにまた州境を越え、カンタブリア州へ。周辺にはとうもろこし畑が広がっています。
エブロ川は大きな蛇行を繰り返し、道路は川沿いを走ったりちょっと離れたりしながら東へと続いています。
ラ・プエンテ・デル・バジェという村の手前から、道路はエブロ川にぐっと近づきました。そして次のカーブではまた離れる。
そんな繰り返しの中、ずっと緩い下りを飛ばしていると、ついに今日の目的地、ポリエンテスの町に入りました。
町の東端の道路脇に、本日のホテル、サンパティエルがありました。到着は16時と、結構早く着きました。よかった〜
1階はバル・レストランになっています。自転車は倉庫に入れてくれました。
ポリエンテスはこの辺りでは比較的大きな町で、中央の広場に面して教会や役場、そしてバル・レストラン、ホテルもいくつかあります。
広場に面したバルでは、家族連れが集まって小さい子どもを遊ばせながらおしゃべりしています。私たちもバルでしばらくまったり。
夕食は、ホテルの1階のバルでボケローネス(ちっちゃいイワシの酢漬け)などのつまみを食べることにしました。バルには近所のおじさんたちが集まって一杯やっています。
今日は、前半の村めぐりはアップダウンでどうなることかと思いましたが、後半は下り基調の楽なコースで助かりました。さて明日からは、ポリエンテスの東、蛇行するエブロ川がつくりあげた渓谷の旅が始まります。