今日はエブロ川がつくりあげた渓谷、カニョン・デ・エブロのハイキングです。昨夜、宿のおじさんからいろいろと情報を仕入れていざ出発。
ハイキングコースの入口は、川を渡った村と反対側にあるので、まず橋を渡ります。このエブロ川にかかる橋は、ペスケーラ・デ・エブロの名前が初めて文献に記された941年にはその文章に出てくるということですから、相当古いものですね。
車1台が通れるくらいの幅です。当時は馬車かな。
エブロ川を渡り、しばらくは幹線道路を歩きます。右手には、エブロ川の向こうにペスケーラの集落の屋根とサン・セバスチャン教会が見えます。
道路の左手はエブロ川に削り取られた台地の壁が、荒々しい姿を見せています。
石橋から1kmほど幹線道路を歩いたところで、右手にハイキングコースの入口がありました。いよいよエブロ渓谷に出発!
ホテルを出るとき、宿のお母さんが「白と黄色の目印に沿って歩くのよ」と教えてくれました。看板があることもありますが、大抵の場合は木の幹や石にペンキで記されています。ここは木の幹ですね。
このコースは途中まで、エブロ川全体を最上流から河口まで歩くルートと同じ行程です。そんなわけで、白とえび茶色のサインもあります。
振り返れば、エブロ川とその周囲の森、そして台地の断崖がみえます。そんな森の中を少しずつ上っていきます。
少し森が開けたところに出てきました。周辺の台地と、その裂け目がよく見えます。壮大な台地の連なりを見渡し、ごきげんなサリーナ。
ところで、先ほどからほのかないい香りが漂っています。よく見ると、野生のラベンダーが咲いているのでした。
ルートは草むらの中の小道になりました。こんなところも、枝に小さな木の実がなっているのを見つけたりして楽しいものです。
そして道の両側が石垣になり、建物の屋根が見えました。このルートの最初のスポットです。
そこはコルティゲラという名前の村で、教会の建物がありますが崩れかけ、木に覆われています。家もありますが誰も住んでいない様子。
誰もいない廃村なのかと思ったら、人に出会いました。どうやら建物の修復作業をしているようです。
この村には、16〜18世紀の建てられた壁に立派な紋章をはめ込んだ家がいくつかあります。ここは何十年もの間、人が住まず放置されていたのですが、今は何人かの人が住んで少しずつ建物の修復が行われているようです。
コルティゲラで少し休憩し、再び歩き始めます。道は草むらの中を通り、いろいろな木の実や野いちごがなっています。赤い実がおいしそうだけど、食べられるのかな?
コルティゲラからは緩やかな上り坂が続きます。道の両側は草木に覆われていますが、ときどき右手側に視界が開け、エブロ川を挟んで対岸の台地が見えてきました。
お天気は上々で青空が広がって、日向はちょっと暑い。でも、コースは木々に覆われて快適なハイキングを続けます。
木々の間から見えるのは、エブロ川の対岸にある台地の崖。地層の段状になってずっと続いています。
ちょうど両側の渓谷とエブロ川を見渡せる場所がありました。いい眺め〜 と記念写真。
道は草木の間を抜けて、周りが畑になって開けているところに出てきました。ここからコースは断崖の渓谷を離れていくことになりますが、「展望台→」という小さな看板を見つけました。
その矢印の方に進んでみると、いきなりど〜ん、とゴージャスな景色が目に飛び込んできました。
ここは台地の縁。そこから対岸の舌状の台地とその周りをU字型に流れるエブロ川が一望に見渡せるのです。そして、遠くには川に切り取られた台地が連なる。
この素晴らしい景観は、エブロ渓谷ハイキングコースのハイライトです。小さな看板がなければ危うく素通りするところでした。
しかし、この展望台は特に柵などもない崖の縁。周りを見て、あんな崖っぷちに立っているんだと思うとちょっと怖いですね。。
さて、景色を堪能した後、改めてハイキングコースに戻ります。渓谷の反対側は赤っぽい土の平地が広がっています。牧草地の草を刈り取ったあとでしょうか。
足下には石灰岩がゴロゴロ。そんな道は林の中に入っていきます。
そして林を抜けたところには急な下り道が待っていました。ゴロゴロ石の道は右に左に折れながら、エブロ川の支流の小さな川までの急坂を180mほど下っていきます。下り道の間も、壮大な渓谷の景色が楽しめます。(TOP写真)
川を挟んだ向かいのテーブル状の台地の上に、小さな家か家畜小屋らしきものを発見してびっくり。どうやってあそこに上るのでしょうか? それとも、家をつくったあとに周りが崩れて取り残されたとか?
どんどん下りて行く途中、家族連れやカップル3組ほどとすれ違いました。彼らは上りだから大変です。
すばらしい景観のハイキングコースですが、ほとんど人に出会わないのは不思議。
下っていくと、先ほどいた崖の縁が上に見えてきます。地層の段々がくっきり見えます。
独創的な形の岩に白や薄いオレンジの地層が模様をつくり、青空に美しく映えています。
下りてきた麓はバルデラテハの村です。エブロ川の支流のルドロン川の両側に村が構成されています。
ハイキングの拠点として宿泊施設もあり、対岸にはレストランもあるのですが、宿のおじさんの情報によれば、今日は月曜日でレストランは休み。そんなわけで対岸には渡らず、教会の前庭のテーブルといすに陣取り、持ってきたパンとチーズ、トマトでサンドイッチの昼食です。
屋外での爽やかランチを終え、今度は川沿いとなったコースを再び歩き始めます。
ルドロン川はすぐにエブロ川と合流し、エブロ川沿いをてくてく歩いていきます。
この道のりは、さきほど台地の上からみた下の景色を歩いていることになります。「多分、あのへんがさっきの展望台じゃないかなあ」とサリーナが指差す。
左手には、展望台から見えた舌状台地がそびえ立っています。エブロ川はコースより少し下。緑に覆われ、あまりよくは見えません。
緩やかな下りの道を次第にエブロ川岸に近づいていきます。
林の緑の中に入り、ようやく左手にエブロ川の流れが見えるようになりました。
そして、川が2つ目の大きな蛇行に入ったところに小さな橋がありました。周囲は深い緑に囲まれています。
木々に覆われ、エブロ川はゆったりと流れているように見えます。橋を渡ると、私たちの白と黄色の渓谷コースは右へ、白とえび茶色のエブロ川全コースは左へと進路を変えました。
エブロ渓谷を周回する白と黄色コースは、エブロ川に沿ってちょっとワイルドな雰囲気になってきました。林の中をずんずん歩いていくと、
エブロ川は場所によって流れを速め、渦を巻きながら流れています。
ゴーゴーと流れていくエブロ川。根元が水につかった川岸の木々は斜めに傾いでいます。
ハイキングコースは、その川のすぐ脇を通っています。きらきら光って踊る川面を真横に眺めながら歩く。
足下はエブロ川が集めた砂地っぽくなっています。林の中を歩いたり、川のすぐ脇を歩いたりが続きます。
川の周囲には、断崖の台地が続いています。
橋から3kmほどのところで、このまままっすぐエブロ川沿いを行くコースと、丘を上ってペスケーラ・デ・エブロに近道するコースの二手に分かれました。
時刻は午後3時過ぎ。サンドイッチの昼食はとったもののお腹もすいてきました。というわけで、私たちはペスケーラへの近道を行きます。坂道を少しだけ上ると、赤茶けた平地に出てきました。
エブロ川沿いとは打って変わって暑い! 太陽の光にじりじりと焼けこげそうです。ほどなく、進行方向に赤い屋根の集落が見えてきました。
そして畑の横の細い道を行くと、ペスケーラ・デ・エブロの中心、サン・セバスチャン教会の裏手に出てきました。お疲れさま〜 約15kmのハイキングでした。
すばらしい景観と川沿いのハイキングは楽しい行程でしたが、ちょっとへろへろ。ホテルでシャワーを浴びてレストランに行くと、もう16時なので昼食時間は終わり、夕食時間は21時以降だとのこと。
とにかく冷たい飲み物とつまみを、と近所のバルに向かいました。まずビール大!
次はきりっと冷えた白ワイン。このバルは、ちょっとしたつまみが充実していました。これはオリーブ、アンチョビ、青唐辛子、ペピニージョ(ちっちゃいきゅうりのピクルス)のつまみ。
こちらは「レングア」、豚の舌が山盛り出てきました。味がぎゅっと詰まっている感じでなかなか美味です。
こうしてバルでテレビのスポーツチャンネルなどを見ながらまったり過ごし、さらに部屋に戻ってゴロゴロ休憩して、やっと21時になりました。ホテルのお母さん手作りの夕食は、なすの天ぷらマリネ、グーラ(うなぎの稚魚)のサラダ、パプリカの小エビ詰め、鶏肉ソテーと、こちらも充実メニューでした。
そろそろ旅もほぼ最終盤、明日はカスティーリャ・イ・レオン州北部の中核都市、メディナ・デ・ポマールを目指します。