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オンダルスネス〜トロールの梯子〜ヴァルダール

ノルウェイ 5

開催日 2017年08月06日(日)曇り
参加者 サリーナ/サイダー
総合評価 ★★★
難易度 ▲▲
走行距離 56km
累積高度 1,100m

トロールの梯子
トロールの梯子

コース紹介

ロムスダール・フィヨルドのオンダールスネスから、絶景ルートの "the Golden Route" を。11連続カーブの『トロールの梯子』をひたすら上り、梯子滝と氷河湖を眺め、苺をつまみながらノールダルス・フィヨルドのヴァルダールまでダウンヒル。

動画(07'43" 音声:一部にあり)

地図:GoogleマップgpxファイルGARMIN ConnectGPSies

発着地 累積距離 発着時刻  ルート 備考
Åndalsnes
オンダルスネス 50m
START 発07:55 Gryttenvegen
63
朝食:部屋 バス:2h,08:20,18:00
the Golden Route絶景ルート
キャンプ場
50m
10km 着08:35
発08:40
63 売店、トロールがたくさんいる
上り開始
50m
11km 着08:45
発08:45
63 11連続カーブの『トロールの梯子 (Trollstigen)』
Stigfossen(滝)
Trollstigen Café
700m
20km 着10:45
発12:00
63 Trollstigen を一望、昼食:ランチボックス
氷河湖Bispevatnetハイク1.5h
peak
875m
22km 着12:30
発12:35
63 ピーク:カフェから2km地点
Øvstestøl
530m
30km 着13:00
発13:10
63 橋、周辺に小さな家々
Gudbrandsjuvet
220m
40km 着13:40
発14:10
63 渓谷、滝、近くにJuvet Hotel
分岐
120m
45km 着14:30
発14:30
Fv95 下りなので見逃さないよう注意
Valldal
ヴァルダール 10m
56km 着15:20 苺の産地、夕食:Fjellro Kafe
泊:Valldal Fjordhotell/1,435NOK/朝付
為替レート:1NOK=14円/Visit Andalsnes

朝のオンダルスネス朝のオンダルスネス

ノルウェイのフィヨルド地方、オンダルスネス(Åndalsnes)の朝は雲間からちらちらっと陽の光が射している。昨日の午後から降り出した雨は今朝方上がったようだ。気温は13°C。

さて、いよいよここからフィヨルド地方の旅が始まる。フィヨルド地方は入り組んだフィヨルドのおかげでアップダウンが激しい。フィヨルドから次のフィヨルドに行くには、1,000m近い上りをこなさないと行けない。今日のルートには、11連続カーブの『トロールの梯子(Trollstigen)』という厳しい坂が待ち構えている。

ラウマ川ラウマ川

オンダルスネスの街中を出て、昨日下ってきたラウマ川(Rauma)の左岸を遡り、Rv63に入る。

この道はノルウェイの『18の景観ルート』の一つで、"the Golden Route" とも呼ばれる。

前方にうっすらと岩山前方にうっすらと岩山

しばらくRv63は谷底を進む。

先にうっすらと岩山が見えてきた。あの岩山は谷の西側に壁状に連続して続いていく。

姿を現した岩山姿を現した岩山

雲なのか霧なのか、そこら中を覆っていた白いものが動いていき、岩山の上部が顔を出した。

昨日見た『トロールの壁』あたりのものと良く似ている。高さというものはなかなか把握し難いもので、ここから見るとあまり高さを感じないが、あれはこの道から1,000m以上も高い。

キャンプ場のトロールキャンプ場のトロール

10kmほど走ると右手に比較的大きなキャンプ場が現れた。

その入口にはトロールが立っている。良く見ると、その先にも、後ろにもいる。トロールはノルウェーの伝承に登場する妖精だが、この写真のように大抵醜い姿をしている。ここにトロールがいるのは、もちろんこのすぐ先に『トロールの梯子』があるからだろう。

岩山の横を行く岩山の横を行く

ここまでの道は若干のアップダウンはあるが、大きな目で見れば平らと言って良い。

しかしキャンプ場を過ぎるとすぐに上りが始まる。

10%の標識10%の標識

いきなり10%だ。

イストラ川イストラ川

直線の道を上って行くと、突き当たりをV字ターンで折り返し、さらに上って行く。ここが11あるという『トロールの梯子』のヘアピンカーブの最初のものだが、その案内板などはない。

この第一のカーブのところには、滝のような川が流れている。ラウマ川に流れ込むイストラ川(Istra)だ。

正面の壁に『トロールの梯子』正面の壁に『トロールの梯子』

すぐに第二のヘアピンカーブが現れる。その後はやや長めの直線基調の道を行く。

すると右手に駐車場が現れ、その先の正面にちょっとした壁が現れた。この壁の両側には滝が流れ落ちている。

『トロールの梯子』『トロールの梯子』

壁を良く見ると、Z字を描いて道が上って行くのが見える。

『トロールの梯子』の名はこの壁から付けられたに違いない。

『トロールの梯子』を上る『トロールの梯子』を上る

この駐車場にある案内板によると、『トロールの梯子』は1936年に開通している。当時のノルウェイがどのような状況にあったのかはわからないが、鶴嘴を持った人夫の写真がある。この道は人の手によって8年掛けて、こつこつと造られたようだ。

その坂道をえっちらおっちらと上って行く。

梯子滝梯子滝

右手の梯子滝(Stigfossen)が落ちて川になっていくところに出会う。この滝が第一のカーブで見たイストラ川になるのだ。

見上げれば梯子滝の上の方を石橋が跨いでいるのが見える。

地形に沿って棚引く雲地形に沿って棚引く雲

振り返れば滝からイストラ川となった流れに沿って雲が棚引いている。

その雲は谷の地形に沿って穏やかな弧を描いて下りていっている。何か魔法のようだ。あっ、トロールの魔法かも。

梯子滝へ向かう梯子滝へ向かう

ヘアピンカーブを廻りながらZ坂を上って行く。

トロール滝とサリーナトロール滝とサリーナ

左手に見えたトロール滝(Trollfossen )まで上ってきた。

トロール滝トロール滝

この滝は細くて爽やかだ。

上るサイダー上るサイダー

トロール滝を過ぎるとやや長い直線区間だ。横をあの雲が通っている。

『トロールの梯子』の勾配は下の標識のところからほとんど変わらないままだ。あへあへが続く。

やってきた道やってきた道

やや長い直線区間を折り返し、もう一回折り返す。ここで下を見ると、やってきた道が蛇のようにのたくっているのが見える。

だがまだ、『トロールの梯子』の半分しか上っていないのだ。この道、結構きつい。

石橋と梯子滝石橋と梯子滝

梯子滝の石橋までやってきた。ここから後半の部が始まる。

この先で道は直角に曲がり、さらに上っていく。下から正面に見えたZ字の一番上はこの石橋で、その先は正面の壁ではなく横の壁に道が続いていたのだ。

直線の上り直線の上り

梯子滝からの上りはこんなだ。

細いトロール滝細いトロール滝

谷の向こうにはトロール滝が見えている。細くてきれいだ。

それを渡る道と白い滝が織りなす景色は、何か幻想的だ。

ヘアピンカーブヘアピンカーブ

後半の部も梯子滝へ行ったり来たりを繰り返す。

ヘアピンカーブの先に梯子滝の頂部が見えてきた。

さらに上に続く滝さらに上に続く滝

と思ったら、さらにその上にもこの滝は続いていた。

梯子を飛ぶサリーナ梯子を飛ぶサリーナ

この坂道をトロールが駆け抜けていく。

私たちはのろのろだが、気分だけは飛べる。

梯子滝最上部梯子滝最上部

これが梯子としては最後の梯子滝への接近だ。

次に梯子滝に出会うのは梯子を上り終えたあとだ。

最後の上り最後の上り

梯子滝から長い直線を上ると、最後のヘアピンカーブが見えてきた。

やってきた谷やってきた谷

そのヘアピンカーブからやってきた谷を覗いて見る。

ここから見ると、この谷がはっきりとU字形をしているのがわかる。氷河が流れた跡だ。

トロール滝頂部トロール滝頂部

最後のヘアピンカーブを廻っても勾配は穏やかにならず、しばらく上り続けなければならない。

左手にはトロール滝の頂部が見え、その上に細い川が続いているのがわかる。

梯子の上のカーブ梯子の上のカーブ

この最後のヘアピンカーブのあとが長い。実際、Z坂に入ってからはこの区間が一番長いのだ。

えっちらおっちらと最後の力を振り絞ってゆっくり上り詰めて行くと、梯子滝の轟音が近付き、緩いカーブになる。ここでようやく勾配が緩む。

トロルスティーゲン・カフェトロルスティーゲン・カフェ

このカーブを廻り切ると、先に洒落た建物が見えてくる。トロルスティーゲン・カフェだ。あそこが『トロールの梯子』の終点だ。

周辺の山にはまだいくらか雪が残っている。あの雪は次の冬まで持つだろうか。

遊歩道遊歩道

カフェの周辺には池と遊歩道が設えられている。

この遊歩道を行くと、梯子滝と『トロールの梯子』を上から見ることが出来る。

梯子滝頂部梯子滝頂部

これが梯子滝の頂部だ。

下では豪快だったが、上から流れ落ちる様は想像よりずっとおとなしいものだった。

カフェ周辺の池カフェ周辺の池

梯子滝はカフェの池の水が流れ落ちているものだ。

まさかそんな、と思ったがこれは本当だ。というより、カフェの周りの池は単なる池ではなく、自然の川の流れを利用したものなのだ。

展望台展望台

遊歩道をどんどん行くと、洒落た展望台がある。

この展望台、崖の上に張り出す姿がかっこいいぞ。

上から見る『トロールの梯子』上から見る『トロールの梯子』

そこから谷を覗くと、これまでえっちらおっちらしてきた『トロールの梯子』が一望にできる。

これは圧巻だ!(TOP写真)

梯子滝となる川梯子滝となる川

谷を上から眺め終えたら、カフェの前のテーブルで昼食にする。ノルウェイのレストランでの飲食はとても高額になるので、私たちは今朝作ったサンドイッチの弁当だ。

さて、午後の部の開始だ。気温は16°Cで、動いていないと少し寒い。トロルスティーゲン・カフェのすぐ近くには、梯子滝となる川の流れがある。

上るサリーナ上るサリーナ

『トロールの梯子』は上り終えたが、上りはそれで終わりではなかった。

トロルスティーゲン・カフェからもしばらくは上らなければならない。

ピークからアルネス湖を見るピークからアルネス湖を見る

えっこらよっこらを2kmほど続けると、ようやくこのルートのピークに到着した。

ここから下には、梯子滝の源流のアルネス湖(Alnesvatnet)が見える。

U字谷を下るU字谷を下る

さて、いよいよ下りだ。このピークからヴァルダールまでは30km、その間ずっと下りのはずだ。

氷河由来の谷は、今度はノールダルス・フィヨルド(Norddalsfjorden)に向かって延びていく。

U字谷を下るその2U字谷を下るその2

この谷の上部は狭く、Uの字がはっきり見えるほどだ。

周囲には滝や湖があり、とても美しい。

アヴストストーレンアヴストストーレン

ぐわ〜んと下って行くと、古い小屋がいくつか集まっているところを通る。

ここはアヴストストーレン(Øvstestølen)といい、厩舎を中心に30ほどの建物が集まっている。写真の小屋はだいぶ年代もののようで、入口の上に保存建物かなにかを示すらしい標識票が貼られている。

緑の谷緑の谷

高度を下げていくに従い、周囲に緑が多くなってくる。よく見かける赤紫の花も咲き出した。

ヴァルドゥラ川ヴァルドゥラ川

この谷を流れるのはヴァルドゥラ川(Valldøla)だ。

ここはザワザワと半分滝のようだ。

グッドブランシューヴァ付近のヴァルドゥラ川グッドブランシューヴァ付近のヴァルドゥラ川

グッドブランシューヴァ(Gudbrandsjuvet)に着いた。

ざわついていたヴァルドゥラ川はここで突然おとなしくなる。嵐の前の静けさ・・・

いちご売りいちご売り

グッドブランシューヴァの駐車場に、苺売りが出ていた。このあたりは苺の産地なのだ。

苺は日本では主に冬から春先にかけてが季節だが、気温が低いノルウェイでは今が旬だ。一パック買って(40NOK=600円)いただくと、これがなかなかおいしい。日本の苺に酸味はほとんどなくなってしまったが、こちらのものにはそれが残っている。苺のほかにラズベリーも売られている。

グッドブランシューヴァグッドブランシューヴァ

さて、グッドブランシューヴァだが、これは渓谷の名だ。渓谷というより滝と言った方が良いかもしれない。

泡泡の滝泡泡の滝

ヴァルドゥラ川はここで幅5mほどに狭まり、25mほど落ちていく。

その様は写真ではうまく捉えられないが、怒濤というか、もみくちゃというか、、、 とにかくもの凄い勢いで、目が回る。

滝壺滝壺

川の水は真っ白な飛沫となって飛び散るが、不思議なことにその泡が消えると、水の色はターコイズ・ブルーだ。

牧草地牧草地

U字谷はどこまでも続いている。

谷間が少し広がったのか、上部では見られなかった牧草地が出てくるようになる。

ジャガイモと苺の畑ジャガイモと苺の畑

ヴァルダールが近付くと、一本道だったRv63の川向こうに、もう一本道が通るようになる。

その道を行くと、ジャガイモ畑や苺畑、ラズベリー畑などが現れる。

ヴァルダールヴァルダール

再びRv63に戻って、ヴァルダールに到着。

小さな白い教会が現れると、そのすぐ先がフィヨルドだ。

ノールダルス・フィヨルドノールダルス・フィヨルド

ストール・フィヨルド(Storfjorden)から枝分かれしたノールダルス・フィヨルドに出ると、フェリーと小さなバイキング船が停泊している。

かつてこことガイランゲル(Geiranger)とを結ぶ航路があったが、今はそれは廃止になって、ここにはどんな航路もないはずだ。このフェリーの前には『ガイランゲルはあっち』の立て札があり、これがガイランゲル行でないことを示している。どうやらこのフェリーは一時的にここに停泊しているだけのようだ。

ノールダルス・フィヨルドとサイダーノールダルス・フィヨルドとサイダー

今日の宿はフィヨルド沿いのちょっと贅沢なホテルだ。早々にチェックインし、一休みしてからそのへんをぶらぶら。

さて、今日は日曜日。スーパーで酒が買えない日だ。ノルウェイは酒については扱いが厳しく、平日は20時まで、土曜日は18時までしか売らない。日曜日は終日売らないのだ。ということで飲むにはレストランに行くしかない。

小さなカフェ小さなカフェ

まずは我らが宿のレストランだが、6,500円と8,000円のコースしかない。ぶらぶらついでに入ったカフェはアルコールなし。ピザとハンバーガーの店は遠慮させてもらい、最後に見つけたのが教会の裏手にあるここ。

まずレストランのメニューを見てみると、メインが5,000円近くする。ちょっと驚いていると、カフェの文字が目に入った。ここにはホテルとレストランとカフェがある。カフェで食事ができるなら安上がりだろう。

鮭のグリルとヘラジカのハンバーグ鮭のグリルとヘラジカのハンバーグ

カフェに入って、ビールがあるかと聞くと、あるという。ここに決めた。ビールはハンザ(Hansa)の生400lmが80NOK(1,200円)と、これはまずまず安い方だ。

料理は、まず定番のノルウェイ・サーモンのグリル(229NOK=3,400円)。サーモンは基本的に日本で食べるのとおんなじだ。本場だからといって特別おいしいとも感じないし、まずいとも感じない。安心して食べられる味だ。

もう一皿はヘラジカのパテ(190NOK=2,800円)。これはハンバーグのようなものだった。ヘラジカはこれまで食べたことはないが、くせがないというか、もちろん牛や豚や鶏とは違う味だが、かなり淡白だ。

ノルウェイの主食はジャガイモなので、茹でたものか焼いたものが付くが、パンは付かない。野菜は一応付いてくるが、サラダか何かを追加したいところだ。できればスープもだが、そうすると財布が空っぽになって旅が続けられなくなりそうだ。

今日は観光名所にもなっている『トロールの梯子』をこなしたが、これは素晴らしかった。二本の滝と下に広がるU字谷が、上るにつれ刻々とその姿を変えて行く。上から見下ろす梯子とU字谷は感動ものだが、これは自転車で上った者にとってはその価値が倍増する。ここの成功の鍵は、朝早く上ったので車が少なかったことだろう。そしてその後の下り、これまた美しい景色だった。

さて、明日は世界遺産のガイランゲル・フィヨルド(Geirangerfjord)へ向かう。展望台からターコイズ・ブルーのフィヨルドを眺め、11連続カーブの『鷲の道(Ørnesvingen)』で豪快にそのフィヨルドへ落っこちていくのだ。

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