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ガイランゲルフィヨルド

ノルウェイ 7

開催日 2017年08月08日(火)曇り
参加者 サリーナ/サイダー
総合評価 ★★★
難易度 ▲▲
ハイク距離 6km
累積高度 700m

ガイランゲルフィヨルド
ガイランゲルフィヨルド

コース紹介

世界遺産のガイランゲルフィヨルドを、『七姉妹』や『求婚者』などの美しい滝を眺めながらスンニルフィヨルドまでボートクルーズし、山岳農場のスカーゲフラへハイキング。まるで時が止まったような神秘的なフィヨルドを眺める。

動画(07'56" 音声:一部にあり)

地図:GoogleマップgpxファイルGARMIN ConnectGPSies

発着地 累積距離 発着時刻  ルート   備考
Homlong
35m
START 発07:30 徒歩 Fjorden Campinghytter
朝食:部屋
Geiranger
0m
(3km) 着08:15
発08:45
ボート クルーズ:1.5h,250NOK/ハイキング
08:45/09:30/11:00/12:00/14:30/17:00
Skagehola
0m
START
(0km)
着09:45
発10:00
ハイク 滝:七姉妹(Dei Sju Systrene)/花嫁のベール(Brudesløret)/求婚者(Friaren)
Skageflå
240m
(1km) 着10:45
発11:00
ハイク Fjord Farm
フィヨルドの向かいに『七姉妹』
peak
550m
(2.5km) 着11:55
発12:00
ハイク 『七姉妹』方面の眺望
Homlongsætra
540m
(3km) 着12:25
発12:35
ハイク 草屋根の小屋(夏の小屋)
前に若干のスペース
ビューポイント
260m
(5km) 着13:35
発13:45
ハイク ガイランゲル方面の眺望
Homlong
35m
(6km)
START
着14:05
発18:00
一般道 昼食:自炊
Fossevandring
10m
2km
(0km)
着18:10
発18:10
散策 滝の横に鉄骨階段の遊歩道
Norsk Fjordsenter 50m (0.6km)
START
着18:30
発18:40
一般道 120NOK/滝フィヨルドの生活と自然の紹介
滝沿いの遊歩道/往復40分
Geiranger
10m
(1.2km) 着18:50
発19:15
一般道 スーパーJorker09:00-22:00
Homlong
35m
5km 着19:25
泊:Fjorden Campinghytter/589NOK/K付
夕食:自炊
為替レート:1NOK=15円/Kayak:2h-6h,525-1600NOK950NOK
ハイクSkageflå--ボートタクシー 500NOK/カヤック+ハイク 1600NOK/
:Geiranger→Hellesylt:8本/日、260(往復360)+bike100NOK

ホムロンからガイランゲルを見るホムロンからガイランゲルを見る

朝のホムロン(Homlong)は曇り。気温10°C。フィヨルドにはいつの間にか大型客船が入っている。

今日は自転車休養日で、世界遺産ガイランゲルフィヨルド(Geirangerfjord)のクルーズとハイキングだ。晴れれば最高だが、今回の旅は雨でなければ良しとしているので、まあいいだろう。このあたりの気候は晴れの日が少なく、降水日がかなりあるのだから。

キャンプ場のコテージで朝食。オレンジジュース、野菜スープ、ハム・チーズ・葉っぱ・トマトのサンドイッチ。朝はこれがほほ私たちの定番だ。

クルーズ船クルーズ船

私たちの宿からクルーズ船の出るガイランゲル(Geiranger)までは2.5km。7時半、少し早いが徒歩でぶらぶら向かうことにする。牧草地に放たれたヤギを眺め、野花を観察し、滝を眺め、クルーズ船乗場に到着。

出航30分前だが、私たちが乗船する船の前には、すでに人の列ができている。クルーズには60分と90分の二種類あるが、私たちは90分コースの後半にスカーゲホラ(Skagehola)で下船し、ハイキングに入る。朝一便だ。

大型客船大型客船

周辺をぶらついていると乗船時刻になったようで、列が動き出す。切符はレシートが兼ねていて、iphoneらしきもので非接触で読み取られる。ハイテクなのにちょっとびっくりだ。

出航時刻ぴったりの08:45、船はゆっくり動き出し、港のすぐ先に停泊している大型客船を廻り込むようにして進んで行く。

私たちのキャンプ場私たちのキャンプ場

すぐに船は左手に見えていた私たちが宿泊したキャンプ場の前を通過する。

フェンス滝フェンス滝

右手に昨日下ってきたジグザグの『鷲の道(Ørnesvingen)』が現れ、その先にフェンス滝(Gjerdefossen) が落ちている。

このフェンス滝がガイランゲル側を出発して最初に見える滝だ。水量はあまりないが、スーッと落ちる姿は清々しい。

ガイランゲルフィヨルドに乗り出すガイランゲルフィヨルドに乗り出す

少し進むと、正面にはデンと座った岩山。その下にこちらに向かってくる船が見える。あれはガイランゲルフィヨルドの先にあるスンニルフィヨルド(Sunnylvsfjorden)の奥のヘルシルト(Hellesylt)からやってきた定期船だろう。

その右には白い滝が見える。

持参滝持参滝

持参滝(Bringefossen)だ。

この滝はガイランゲルからは見えず、フェンス滝の向こう側なのであまり存在感はないが、うねって流れる姿は特徴がある。

クルーズ船のサリーナクルーズ船のサリーナ

ガイランゲルフィヨルドは左に大きなカーブを描いている。

このカーブに差し掛かると、持参滝の先に、このフィヨルドでもっとも有名な『七姉妹(Dei Sju Systrene)』と呼ばれる滝が見え出す。あの滝がこのフィヨルドの主役といっても良い。

近付く『七姉妹』近付く『七姉妹』

『七姉妹』が近付いてきた。その先でフィヨルドは右にカーブし、先に雪をまだらに残した山が見える。

目を凝らすと、『七姉妹』の手前の崖の上に家が見える。あれは17世紀からあった二つの農場だが、上部の岩壁が崩落する危険があるため、放棄されたという。

『七姉妹』とサリーナ『七姉妹』とサリーナ

『七姉妹』は一本の滝ではなく、細い幾筋もの滝から成る。『七姉妹』だからその数はきっと七本なのだろう。

『七姉妹』『七姉妹』

この滝の落差は250mから300mほどだそうだ。

日光の華厳の滝が100mだから、その三倍近くあることになる。

『七姉妹』とサイダー『七姉妹』とサイダー

豪快さはないが、幾筋もの流れが独特の雰囲気を作っている。

弧を描くガイランゲルフィヨルド弧を描くガイランゲルフィヨルド

『七姉妹』の向かいには『求婚者(Friaren) 』という滝があるが、これは帰りに。

ガイランゲルフィヨルドは今度は右にカーブしていく。

舳先のサイダー舳先のサイダー

真っ白な雲が少し開いて、青空が顔を見せた。陽の光を受けた斜面が輝いて見える。

ベールの元ベールの元

さて、『七姉妹』の先には『花嫁のベール(Brudesløret)』という、美しい名の滝があることになっているが、実はこの滝は水量が多い時期しか現れない。残念ながらこの時は見られなかった。

しかしそれがどんなものかを予想させる一筋の流れがあった。極めて細く水量が少ない流れは、斜面から空気中に勢い良く飛び出して、ほとんど霧のようになって落ちていく。こうした流れがそこら中に発生して、全体がベールのように見えるらしい。

ユースール滝ユースール滝

左手に、ガイランゲルフィヨルドの主要な滝としては最後の、ユースール滝(Ljosurfossen)が現れた。

滝を見るベストシーズンは、6月から7月上旬の雪解け水が多い季節だろう。この時はすでにそれがほとんどない時期になっているので、全体的に水量は乏しく感じられる。

フィヨルドの出合い近くフィヨルドの出合い近く

ガイランゲルフィヨルドはさらに右にカーブしていく。

突き当たりに山が見えてきた。あの山はガイランゲルフィヨルドとスンニルフィヨルドの出合いにある。

ガイランゲルフィヨルド入口ガイランゲルフィヨルド入口

ガイランゲルフィヨルドの入口までやってきた。

先ほどから見えていた山がぐっと大きくなってくる。

民家民家

右手に建物が現れた。どうやら廃屋のようだ。これもおそらく農場だったのだろう。

『七姉妹』の上の農場を見ても感じたことだが、こんなところにどうやってアクセスするのか不思議だ。どこかに道があるのだろうか。まさか船だけってことはないだろう。

ヘルシルト方面ヘルシルト方面

ガイランゲルフィヨルドとスンニルフィヨルドが出合うと、船はヘルシルト方面に舵を切る。

スンニルフィヨルドの奥にちらっと見える集落がヘルシルトだ。

スンニルフィヨルドからガイランゲルフィヨルドを見るスンニルフィヨルドからガイランゲルフィヨルドを見る

ガイランゲルとヘルシルトを結ぶフェリーもあるが、私たちのクルーズ船はここでUターンしてガイランゲルへ戻る。

スンニルフィヨルドからガイランゲルフィヨルドを見ると、幾重にも重なる岩山が美しい。

ノッケニッバノッケニッバ

ガイランゲルフィヨルドの南西端にある山はノッケニッバ(Nokkenibba)。

このあたりの山はみんなそうだが、ゴツゴツした岩山で、山頂付近が凸凹だ。あそこに上るとさぞ素晴らしいフィヨルドの景色が見られるだろう。

『七姉妹』と『求婚者』『七姉妹』と『求婚者』

ガイランゲルが近付いてきた。

『七姉妹』とその向かいの『求婚者』が対になって見える。『求婚者』は『七姉妹』にプロポーズしたのだが、あえなく『七姉妹』に断られたそうだ。

『求婚者』『求婚者』

『求婚者』は高さはないが水量が豊富で、下部が末広がりになっていて見応えがある。

スカーゲホラの下船場スカーゲホラの下船場

『求婚者』のすぐ先で、船は岸に近付く。ここが私たちのハイキングのスタート地点のスカーゲホラだ。

着いてみてびっくりなのは、そこには桟橋も何もなく、ただ岸辺の岩に梯子が置かれているだけだったことだ。船はゆっくりゆっくり岸に寄って行き、係員が梯子を引き上げて船に渡した。

私たちの船私たちの船

7〜8人の乗客がここで下船し、恐る恐る梯子を渡り上陸した。

私たちを降ろすとすぐ、船はガイランゲルへ向かって行った。

スカーゲホラから見たフィヨルドスカーゲホラから見たフィヨルド

梯子の先はほんの数人が溜まれるだけの小さなスペースがあるだけで、先に降りた乗客が動き出すのを待つ。

ここでフィヨルドを振り返ると、船から見たのとはまた違った味わいがある。

いきなり上りいきなり上り

下船場からはいきなり上りが始まる。

下に見える小さな空間が先ほど私たちが船を降りたところだ。

階段状の岩場階段状の岩場

この上りはすぐに岩場になり、そこに設えられた岩の階段をよじ登るようにして進んで行く。

静けさを感じるフィヨルド静けさを感じるフィヨルド

上って行くにつれ、フィヨルドの表情は変わっていく。

クルーズは動的に変化するフィヨルドの景色が楽しめるが、このハイクは静的な美しさを堪能できる。

崖を上る崖を上る

だがそのためには、こんなもの凄いところを行かなければならない。

このコースは私たちにとってはかなり難易度が高い。

ヘルシルトからの船ヘルシルトからの船

『七姉妹』を私たちが乗った船より大型の船が通り過ぎていく。あれはおそらく、ガイランゲルとヘルシルトを結ぶフェリーだろう。

雲の合間から差し込む陽の光で、フィヨルドの水の色が微妙に変化している。

ターコイズ・グリーンのフィヨルドターコイズ・グリーンのフィヨルド

持参滝が見えてきた。

その前のフィヨルドはターコイズ・グリーンとでもいうべき色に変わっている。

『七姉妹』方面『七姉妹』方面

『七姉妹』方面はどの高さから見ても魅力的だ。

スカーゲフラスカーゲフラ

上に建物が見えてきた。スカーゲフラ(Skageflå)に着いたようだ。

ここはかつて山羊を中心飼っていた農場だったが、裏山の崩落などにより1916年に放棄されたそうだ。どうしてこんなところに農場?と思うが、ここは豊かな牧草地で、大麦も栽培していたらしい。そもそもフィヨルドに平坦な場所はない。そこで生活していくには、どんな小さなところでも動物が飼えれば、それは農業に適した場所となったのだろう。

建物の前の空間建物の前の空間

ここには道らしい道はない。人や動物の移動はもちろんだが、ここで作られた乳製品はいったいどうやって運んでいたのか。

ちなみにSkageflåのSkageは『突き出した岬』を意味し、flåは『山側のフィールド』という意味だという。

スカーゲフラから見るフィヨルドスカーゲフラから見るフィヨルド

『突き出した岬』から見たフィヨルドだ。

こんなところで生活するのは、やはり自然への挑戦と言うほかないだろう。

建物内部建物内部

ここはとうの昔に放棄されたが、建物は残され、おそらく観光客のために維持されているようだ。

草屋根の小屋草屋根の小屋

屋根はもちろん伝統的な草屋根だ。

持参滝側持参滝側

こうして見ると、ここには若干の平場があると言えようか。

後ろのかつて崩落した岩壁後ろのかつて崩落した岩壁

建物の後ろの岩壁は恐ろしいほどに切り立っている。

その上から小さな『花嫁のベール』が被る。

スカーゲフラの花スカーゲフラの花

足元には可憐な花が咲いている。

森を行く森を行く

スカーゲフラからは少し平地が出てきて、森の中を進んで行く。

崖を行く崖を行く

しかしその平地もすぐになくなり、こんな崖を行くことになる。

時が止まったようなガイランゲルフィヨルド時が止まったようなガイランゲルフィヨルド

振り返れば、時が完全に停止したようなガイランゲルフィヨルドだ。

エメラルド・ブルーのフィヨルドと持参滝エメラルド・ブルーのフィヨルドと持参滝

深いエメラルド・ブルーのフィヨルド。そこに落ちる一筋の滝は持参滝だ。

岩場を行くサリーナ岩場を行くサリーナ

難所に差し掛かった。また強烈な岩場が現れる。

崖横の細道を行く崖横の細道を行く

この岩場を上り終えると崖に細道が続く。

ここは僅かな間だが、平坦。

ツリガネソウツリガネソウ

崖の岩から薄い青紫色のツリガネソウのような花がたくさん生えている。

森の中の岩場森の中の岩場

崖の斜面が少し緩むと、今度は森の中になるが、足元は岩でかなり歩き難く、何度もコケそうになる。

持参滝とサイダー持参滝とサイダー

いつしかこの森の中の道は下りになった。どうやらピークを越えたらしい。

道が分岐していたので、フィヨルド側の枝道に入ってみると、再び持参滝が見えてきた。フィヨルド側はこれまで急斜面の崖だったが、ここはフィヨルドとの間にスペースがあり、不安感がない。

持参滝アップ持参滝アップ

持参滝は何段にもなっており、途中で広くなっているところがあるのが特徴だ。

薮漕ぎ薮漕ぎ

この持参滝が見えるポイントから正規のルートに引き返せば良かったのだが、先にも行けそうな道が続いていたので行ってみた。

すると途中からその道は怪しくなり、ほとんどなくなってしまった。僅かに感じられる先人が通った跡を行くが、最後は薮漕ぎに。ありゃりゃ。

ホムローンセートラホムローンセートラ

なんとか正規ルートに戻ると、そこに古い小屋が現れた。

ホムローンセートラ(Homlongsætra )というところで、ここはかつて夏の間の牧場として使われたらしい。

ホムローンセートラからの下りホムローンセートラからの下り

ホムローンセートラからは下りが顕著になる。

だが足元はご覧の通りで、慎重に下って行く。

ガイランゲルの大型客船ガイランゲルの大型客船

ホムローンセートラから2kmほど下ると、ようやくガイランゲルが見えた。フィヨルドにはまた別の大型客船が入っている。

このガイランゲル眺望ポイントの先は、大きな一枚岩だ。

ガイランゲルへ向かうガイランゲルへ向かう

この岩を滑り落ちるようにして下ると、私たちが宿泊しているホムロンのキャンプ場に辿り着く。

遅めの昼食を済ませ、一休みして、夕方に買い物と滝を見るため、ガイランゲルに出かける。

ガイランゲルの川滝ガイランゲルの川滝

ガイランゲルの街中には一本の川が流れている。その川は滝のようになっていて、横に遊歩道が設えられている。

激しく流れ落ちる川激しく流れ落ちる川

自転車を停めて、鉄骨でできた階段の遊歩道を上って行く。

すぐ横を流れる川は怒濤の流れで、結構迫力がある。

落ち口落ち口

階段は全部で327段あるそうだ。その階段を上り切ると、一番上には滝の落ち口があった。

水しぶきを上げて激しい音をたてながら流れ落ちる水。

滝の上部から見るフィヨルド滝の上部から見るフィヨルド

その落ち口の横に立って振り返ると、下にガイランゲルの街とフィヨルドが見える。

いつの間にかこんなに上っていた。

ノルウェイ・フィヨルドセンターノルウェイ・フィヨルドセンター

滝の上にはノルウェイ・フィヨルドセンター(Norsk Fjordsenter)が建っている。

この時はすでに閉まっていたが、ここはフィヨルド地方の歴史や文化についての展示がなされているようだ。

続く川の流れ続く川の流れ

ノルウェイ・フィヨルドセンターの先にも川の流れは続いている。良く見れば、それは先の山合いから流れ出ている。あの流れは私たちのキャンプ場から見えていたものだ。

ガイランゲルフィヨルドは世界遺産の名に恥じぬ素晴らしいものだ。クルーズも良かったけれど、スカーゲホラからのハイキングは予想以上の素晴らしさだった。しかしこのハイキングが意外ときつくて、休養日のはずが、かなり体力を使ってしまった。

明日はこのガイランゲルフィヨルドを高みから見下ろす展望台に上る。ダルスニッバ(Dalsnibba)海抜1,500mだ。果たして上り切れるか。

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