Birdyのシートチューブ破損・再生方法
初期型Birdy(r&m BD-1、PEUGEOT PACIFIC-18など)のシートチューブのシートクランプ部付近は亀裂が入り破損しやすい。 その箇所の簡単な再生方法を紹介します。by GEO POTTERING
Birdyのシートチューブ破損の例
BD-2.1の破損部分
Birdyの初期のモデルは、シートクランプ部付近が繰り返し応力による金属疲労でシートチューブに亀裂が入り破損することがある。
この問題が発生するのはシートチューブにクランプ台座を直付け溶接しているタイプで、発生確率はかなり高く、ジオポタ内ですでに4件ある。
この破損はアルミフレーム本体の破損なので、一般的には再生が極めてむずかしい。
しかし高価な自転車、なんとかならないものか、ということで、完全・完璧ではないものの安上がりな再生方法を紹介する。
再生に必要なもの
・ 現行Birdyのシートクランプ(千円程度)
・ 金属用ノコギリ
・ 金属用ヤスリ
・ 金属用ドリル
・ ステンレス丸鋼2or3mmφ、L30mm程度
(又はプラスチック板10x10x2~3mm程度)
・ 金属がくっつく接着剤
・ 粘着性の高いしっかりしたシート
・ ステンレスピン(必要に応じて)
再生方法
現行BD-1のシートクランプ
Birdyのシートクランプ部は数回設計変更が行われており、現行品(2011年)はシートチューブの外側から締める、後付けリング締め方式である。
再生の基本方針はこのシートクランプを流用し、現行Birdyと同じ留め方にする。 手順の概略は、
1. シートチューブに溶接されているクランプの台座をノコギリで落とす
2. 1のあとをヤスリで平滑にする
3. シートチューブ前面頂部の溶接部分を、シートクランプのリングが掛かるようにヤスリでわずかに落とす
4. シートクランプのリングの一部をシートチューブに嵌るように加工する
5. シートチューブの亀裂部分を接着剤でくっつける
6. シートチューブにシートを貼る
1. 亀裂が拡大しないように注意しつつ、クランプの台座をノコギリで落とす
できるだけシートチューブに近いところを落とすと後の2の作業が楽。
2. 1のあとをヤスリで平滑にする
3. シートチューブ前面頂部の溶接部分を、シートクランプのリングが掛かるようにヤスリでわずかに落とす(溶接強度に問題がない程度に)
ここの掛かり代は大きいほどいいが、最低2mm程度あればいいだろう。 シートチューブがトップチューブから充分上に突き出ていればこの作業は省略可。
4. シートクランプのリングの一部をシートチューブに嵌るように加工する
A部:リング上端の折り返し部をシートチューブが当たらないようにヤスリで削り落とす
B部:リング上端の折り返し部に4-2のステンレス丸鋼挿入用の溝を作る。
4-2. 上記B部にステンレス丸鋼2mmφor3mmφを挿入し、シートピラーを入れてシートクランプを締め、調整する。
ステンレス丸鋼の径は原則シートチューブの厚みであるべきだが、ガタがなくぴったり嵌る径を採用する。(写真は3mmφ) このステンレス丸鋼はクランプリングがズッコケルのを防止するためのものであり、3の掛かり代が十分な場合は省略可。 また美観を重視するなら丸鋼の代わりに、プラスチックの板などを加工してクランプリング内に接着するといいだろう。
シートを貼ったシートチューブ
5. シートクランプを一旦外し、シートチューブの亀裂部分を接着剤でくっつける --この接着強度は期待できずいずれ割れてしまうだろうけれど、6の補助として。
6. シートチューブにシートを貼る
このシートの目的は、破損部分が完全分離してなくなってしまわないようにするためと、美観のため。
軽症の場合は以上で終了。 以下に重傷例を参考までにあげる。
重傷の例
BD-1の重傷例
この例は亀裂が大きくシートチューブの一部が完全にちぎれてしまったものである。 ちぎれた部材がなくなってしまう心配をしなければ上記までの方法でも大丈夫かもしれないが、
・ちぎれた部材をステンレスピンと接着剤でシートクランプのリングに固定する
とよりいいだろう。 この場合、シートクランプは通常の向きにセットできず、ちぎれた部材とシートクランプのリングをステンレスピンで接合しやすい向きとなるだろう。
ライナー挿入方式の例
本件では様々な事情から、破損したシートチューブの補強を兼ねるライナーをシートチューブの中に挿入し、そのライナーを締め付けることでシートピラーを固定する方法を採用した。
この場合、シートピラーはオリジナルより細いタイプ(27.2mmφを使用)に交換することになり、折畳んだ時にシートピラーを押し下げて自立させることはできなくなる。
シートチューブのクランプの台座を落としあとを平滑にするまでは上記同様。
1. シートチューブの上端をシートチューブ軸に直角に切り落とす
2. シートチューブの後ろの割れ目をジュラルミンで塞ぎ、ちぎれた部分と一体に接合(シートチューブに割れ目がないので後ろ姿がスッキリ綺麗に見える)
3. ライナーの製作 35mmφパイプ(オリジナルのシートピラーを利用)を締め付け用割れ目加工し、27.2mmφ用シートピラーシムと接合
4. 出来あがったライナーに適合する径(35mmφ)用の市販のシートクランプを取付ける
5. 4をシートチューブに取り付け、完成
ライナー挿入方式の裏面
5の取り付けには一工夫いる。 シートチューブに割れ目を作っていないので、ライナーの挿入部の下三分の二は硬質エポキシ接着剤+ステンレスピン打ち込みとし固定強度を高め、上三分の一は弾性エポキシ接着剤とし締め付けの変形に追従するようにする。
ちなみにこの方式では、シートクランプがシートチューブ上端に載ることになり、シートピラーに掛かった鉛直荷重はそこから直接シートチューブに伝わるため、ライナーとシートチューブの接合部はこの鉛直加重を負担する必要が無く、回転を止める働きだけでよい。
--以上の工作はデュエルン工房ならびにレナール工房による--
以上の例は私たちがとった解決法として紹介するもので、これらの方法を勧めるものではありません。 同様の問題で悩んでいる方の参考になれば幸いですが、これらの方法を採用する場合は当然ながら自己責任で。