元町を出る
早朝、2等客室のごろ寝で岡田港に到着した私たち。
『さあ2年前のリベンジだ!』 と意気込むサイダーだが、一方のミワプッチ 『隣の宴会組みのおかげで一睡もできなかった~あ。』と前回同様に虚ろな顔。さて、ミワプッチのリベンジはなるのか?
宿に荷を解き、大島一周道路を今回は反時計廻りに走り出します。 『わ~、海がみえた~』とはしゃぐのは大島は初めてのマーコンとマリー。椿もちらほらと咲いています。
バームクーヘンのような地層切断面
海を右手に企て人アンドレが飛ばすと、なにやらバームクーヘンのようなめずらしい地層が幾重もあるところへ出た。
『ほ~、これが地層切断面てやつね~』 良く見ると結構面白い。層が突然途切れて別の層が入り込んでいるかと思うと、黒い筋がところどころにある。
『黒い筋は噴火したところかな~…』
前方に三原山
地層切断面では、フェリーで寝足りなかったのか、みんな歩道に大の字になって寛ぐのでした。風邪ひいちゃうよ~
さて、まだまだ寝足りないのですが地層切断面を後にすれば、前方に三原山が突如姿を現します。
『今日はあそこをぐるっと廻るんだね~』 そしてこのあたり、右手には伊豆諸島がならんだならんだ。
波浮港
しばらく行くと『クダッチ』という妙な名前の交差点に出ました。『クダッチってな~に?』
海沿いを進むとそこにひっそりとした波浮港が現われました。
ここはかつては火山の火口湖でしたが、大津波の際に海とつながりその後、港口を広げたものだそうです。その後、遠洋漁業の中継港としてたいへんな賑わいがあったそうで、現在もその雰囲気が少しだけ味わえます。
波浮を散策
自転車を置いて町歩き。昔ながらの雑貨屋さんやなにやら、とにかくなつかしい雰囲気。
旧港屋旅館は『踊り子の里資料館』として、『伊豆の踊り子』のモデルとなった大島旅芸人がその芸を披露している様子などを再現しています。
旧甚の丸邸への長い階段を登り出すと黒猫が道案内してくれました。とにかくのんびりとした時間が流れます。
波浮港を見下ろす
『おなかすいた~』 ということで一軒だけある寿司やに駆け込みました。実は営業時間前だったのですが、快く迎え入れてくれました。ここの地魚を使った『島ずし』は一貫づつ種類が違い絶品。くいしんぼうたちは、『まぐろのコロッケ』や巨大な『まぐろの目玉』も賞味、どれもすばらしい!
しかし、ここからは登り。そんなに食べて登れるの?
よれよれと坂を登ると波浮港が一望できる場所に辿り着きます。『波浮の港見晴し台』。
小さく見える筆島
見晴らしを楽しんだあと、別の視界が開けたと思うと、筆島海岸に到着です。
海の中からぽつんと突き立った岩が飛び出しているのが筆島。
近くにはほんのちょっとですが、海岸線に沿った自転車道がありました。海が近くて気持ちよさそ~。
いよいよ登り
さて、いよいよここから登りが始まります。
右手に筆島を眺めつつ正面を見ると、そこには行く手を阻むように山が立ちはだかっています。『あれ~道ないじゃない~』 と思わせるような山の接近です。
大きくUターンすると…
アンドレ、マリー、マーコン
正面に海が見えて景色はとってもいいのですが…
きました、5~8%の登りです。アンドレ先頭にジオポタ美女軍団、マリー、マーコン、ミワプッチと続く。
さらにUターンすると海は後方へ去り、山へと向かいます。『どこまでのぼるの~』とマリーが騒ぐ。『あそこのカーブを曲がったら下りじゃないかな~』 とはいつも適当なサイダー。しかしやっぱり登りは続くのでした。5kmほどはずぅーと登りなのです。
『あれ~、ミワプッチがいない!』 寝不足でクラクラのミワプッチは遅れ気味で、ヨロヨロとみんなを追います。東の海が見え出すとほぼ登りは終わり、しばらく平坦になります。途中、ちらっと裏砂漠が見えたり、『大砂漠』という名のちっちゃい砂漠(火山の砂?だから黒い!)があったり、ちらほら椿が咲いていたり。
大島公園
三原山が後方になると、そこから豪快な下りです。晴れていた空にはいつしか雲がかかり、寒い寒い!
あじさいレインボーラインを過ぎ、すごい坂を下るとそこが『大島公園』。椿祭りの最中とあって、あんこ椿姿の美女が私たちを出迎えてくれます。
公園内の椿のゾーンには幾種類もの椿が植えられていて、多くが満開、見ごろでした。
サンセットパームライン
公園では温室も探索して椿の香りに酔いました。
一周道路をさらに下り、岡田港付近からは内陸へ進路を取ると、途中に牧場が。めずらしいふさふさ毛の牛さんと戯れます。
さらに西へ向かうと海岸へ出ました。これがサンセットパームライン。水平線のあたりがオレンジに輝きとても幻想的です。
三原山を後ろに
丘を駆け上がると海には、利島、新島、そして真正面には明日アタックする三原山がドドーン!
『これにて2年前のリベンジ、大島一周達成!』
と喜びのメンバーは左より新人マーコン、女性に囲まれウシシのアンドレ、まだねむい~のミワプッチ、超元気印マリー、へぼカメラはいつものサイダー。
このあと温泉でゆったりと汗を流し、極楽極楽! ところがふと外を見ればなんと雪が舞っているではないか! さて明日の三原山アタックは成るのか…
感想 by アンドレ
伊豆大島は伊豆半島の東沖に位置し都心からわずか100キロしか離れていないところにある活火山の島である。86年の三原山の大噴火は記憶に新しい。
島を走りたいと思ったのはもうかなり前のことだが、何分泊りがけになるので(最近はジェット船での日帰りも可能だが)なかなか実現できず今に至っていた。先の恋瀬川ポタで昼食の際にメンバーに大島の話をしてみると、皆賛成してくれるので直ちに計画した。
夜行の客船はほぼ満席だったが、島に着いてみると椿の季節だというのに観光客はまばらで少し意外だった。初日は島内を一周し、波浮港の繁栄の記憶と筆島周辺の荒々しい風景が強く印象に残った。
二日目は三原山を上った。途中すばらしい椿の森を抜けるとやがて風景は一変し、荒涼とした火山の姿が現れた。山頂はかなり広く溶岩の固まった跡が延々と広がる風景が不気味で異様だった。帰りの船に乗る際に高校生バイトのあんこ椿が見送ってくれたが、彼女らもやがて島を出て行くのだろうと思うと複雑な気分になった。
何はともあれ大きなトラブルもなく大自然を堪能した二泊三日の旅となった。帰ってから「伊豆の踊り子」を何十年かぶりに読んだのは言うまでもない。いつかまたきっと訪れることになるだろう。