あずみ野やまびこ自転車道
新宿から高速バスに乗ると、八王子を過ぎたあたりから徐々に山がちな景色が現れ始め、甲府を過ぎると南アルプスが、小淵沢からは八ヶ岳が望めるようになります。右手に諏訪湖が突然姿を現すと松本インターチェンジはもうすぐです。
今日は宿泊地の乗鞍高原まで走るという案もあったのですが、途中には長~いトンネルがいくつもあって怖いので、安曇野を散策して途中からバスという行程にしました。
高速道に沿って北へ4kmほど行った梓川から分岐した小川・拾ヶ堰から『あずみ野やまびこ自転車道』がはじまっているようなので、まずそこへ向かいました。最初の入り口がちょっと見つけにくく、その後も少しうろうろしましたがしばらくすると小川のほとりの快適な道になりました。この道をず~っと西へ山の麓近くまで進みます。周辺は刈り取られたばかりの田んぼで、中には飼料用なのか稲藁?がまん丸くこしらえてある田んぼもありました。今日は曇っていて見ることができませんでしたが、晴れていれば真っ正面に槍ヶ岳や穂高の山々が見えたことでしょう。
果樹畑の大きなりんご
山の麓近くで『あずみ野やまびこ自転車道』は北へ向かいますが、私たちはここから自転車道を離れ、南に進路を取り安曇野ワイナリーを目指します。山に沿ってその麓をぐるっとまわるように進む道は緩いだらだらとした上りとも言えないような上りになりました。周辺は大規模な果樹畑で大きなりんごがたくさん実を付けています。
『とってもおいしそ~、どれもみんな大きいわね~』 とは生っている姿をあまり見たことのないサリーナ。
こんもりした室山アグリパークの麓をかすめ、黒沢川の赤沢橋を渡ると安曇野ワイナリーに到着です。このワイン工場は誰でも自由に見学出来、ワインの試飲が出来るようです。ジュースもありますから安心ですね。(笑)
梓川の土手と虹
さてお天気の話、今日の予報は『晴れのち曇り時々雨』というわけで実際とっても不思議な天気でした。太陽が照っているのに雨が降って来た! ワイナリーからさらに南下し梓川に出ると川沿いの土手はダートです。後ろに虹が出てきた中、松本電鉄上高地線の終着駅『新島々駅』に急ぎます。なんとか予定時刻ぴったりに新島々駅に到着しました。
新島々駅からは路線バスにて輪行です。高速バスタイプの車体だったので胴体の荷物室に自転車を入れてもらえたのでらくちんでした。そしてトンネルは? やっぱりバスにしてよかった~!
1時間ほどで乗鞍高原の宿に到着した私たちはのんびり温泉に浸かり、夕食ではすばらしいごちそうにありついて大満足。それで明日の天気は? 『晴れときどき雨!』 ?? え~、どういうこっちゃ…
2日目 乗鞍アタック?
地図:Googleマップ/gpxファイル/GARMIN Connect/Ride With GPS
発着地 | 累積距離 | 発着時刻 | ルート | 備考 |
---|---|---|---|---|
乗鞍高原 | START | 発08:15 | r84 乗鞍岳線 | |
三本滝 | 8km | 着09:30 発11:00 |
r84 乗鞍岳線 | レストハウス先のゲートは閉まっていた |
乗鞍高原 | 17km | 着11:20 |
乗鞍高原を出発
一夜明けた早朝の天気は晴れですが、明け方まで雨だったようです。標高約1,400mと高地だからかかなり肌寒い。今日はここから標高2,700mの畳平まで自転車で上り、そこから乗鞍岳山頂へハイキングの予定です。朝食を済ませ、いざ乗鞍アタ~ック!と出発の段になると、なぜか晴れているのに雨が…
宿のご主人 『昨日からの天気だと山頂付近には積雪があるかもしれませんね。通行止めになるかもしれませんから、途中で状況を聞いてみてください。』
私たち 『… え~、なんのこっちゃろ?』 と訳が解らないまま出発することに。
雨の中、『上りだからすぐに暑くなるよね~』と半袖で飛び出したミワプッチはやる気満々!
虹に向かう
『あ~、にじぃ~~』 ミワプッチの指差す先を見れば朝にもかかわらず確かに虹が。まあ虹って出る時間が決まっている訳ではないのでしょうが、気象条件が整うのが日中が多いからか、はたまた朝寝坊だからか、朝の虹というのはあまり見かけないような気がします。
晴れていればこの虹の先に乗鞍山頂が見えるところですが、今日は霧に隠れてまったく何も見えません。
渓流と紅葉
徐々に高度を上げ、下に渓流が流れるところに差し掛かりました。紅葉はまだまだこれからといった感じですが徐々に『山』を感じだします。雨は大したことはないものの止む気配もなく、上りとは言えとても半袖で走れるような気温ではありません。ミワプッチとサイダーは途中でカッパを着込みました。
白樺の中を上る
10m、20mとゆっくり高度を上げつつ進む私たちです。ここまで斜度はさほどきつい所はなくせいぜい7~8%止まりといったところでしょうか。白樺の白さが印象的ですね。
三本滝レストハウス、通行止め!
標高1,800m地点、三本滝レストハウスに到着しました。少々先行して着いたサイダーがミワプッチとサリーナを待ちつつレストハウスの軒先で雨宿りしていると、自転車ライダーらしい人が声を掛けてきました。
『ゲートが開くのを待っているんですか?』
『えっ、ゲートって?』
『えっ、あっ、ほらあそこ。雪でここからは通行止めなんですよ! 僕たちも待っているんですが、今日はダメそうですよ。』
『ひょえ~~!』
このゲート、道路がややカーブしているのでレストハウスに入ってしまうとその存在がわからないのです。ちょうどそこに到着したミワプッチとサリーナも、
『え~~、そ、そんなぁ~』と残念がります。
とりあえず休憩しながらしばらく様子を見ることにしましたが、1時間ほど経過した時点で駐車場の係の方に状況を聞いてみてもはっきりしません。体が冷えてきて、アタックの意気込みもだんだん薄れてきてしまいました。ここはいったん宿へ引き返し作戦を立て直すことにします。
宿は運良く一部屋空いているということなので、今日泊まって、明日は状況次第で乗鞍再アタックということにしました。
森の中をハイキング
再び温泉に浸かり、まったりとした午後を過ごし、むっくり起き上がったのは15:30。
昼食の時に見つけた小径を散歩することにしました。この道はすぐに森の中へと消え、すばらしいハイキングコースとなっていました。
残照の渓流
沢が現れ、ちらほらとした紅葉の中を進むとスーパー林道に出ました。
『明日ゲートが開かなかったら、こっちを行って白樺峠を越えてもいいね。』
ということで、明日のバックアッププランも決まりました。天気予報では明日は快晴のようです。しかし今日は全国的に荒れた天気だったようで、隣の穂高でも遭難者があったとか。さて明日はどうなるかな?
3日目 乗鞍再アタックならず!
地図:Googleマップ/gpxファイル/GARMIN Connect/Ride With GPS
発着地 | 累積距離 | 発着時刻 | ルート | 備考 |
---|---|---|---|---|
乗鞍高原 | START | 発08:20 | スーパー林道 | |
白樺峠 | 12km | 着09:50 発10:10 |
スーパー林道 | 鷹の渡りが見られることで有名 |
黒沢渡 | 22km | 着10:40 発10:50 |
r26 奈川木祖線 | |
野麦峠スキー場入り口 | 28km | 着11:50 発12:40 |
r26 奈川木祖線 | 昼食:蕎麦屋 |
境峠 | 32km | 着13:10 発13:20 |
r26 奈川木祖線 | |
藪原 | 44km | 着14:00 発14:00 |
田舎道+峠道 | |
鳥居峠 | 50km | 着15:00 発15:00 |
峠道 | 一休み |
奈良井宿 | 54km | 着15:50 | 電車/奈良井16:57→塩尻→20:20新宿 |
冠雪の乗鞍岳へと向かう
すばらしいお天気だ! 昨日はまったく見えなかった乗鞍山頂がくっきりと見えている。
『今日こそは乗鞍アタ~ック!』 と昨日同様に半袖で飛び出したミワプッチ。今日は半袖でもよさそうですね。
しかし乗鞍高原の出口にある大駐車場脇の観光センターで道路状況を確認すると、今日も通行止めは解除されないとのこと。あ~~、残念!
ス-パー林道を行く
やむなく昨日検討したバックアッププランを発動。スーパー林道で白樺峠に向かいます。
さすがにスーパーと付くだけあり、一般の道と変わらぬ広さできちんと舗装された、そして車があまり通らない快適な道です。
乗鞍岳を後ろに
雪のため乗鞍アタックができなかったのは残念だけれど、おかげで冠雪のすばらしい乗鞍岳を眺められることになったとはちょっと皮肉ですね。
美しい乗鞍岳と美女2人!
白樺峠から乗鞍岳を後ろに
さて徐々に道は上りとなりますが勾配は5%強でしょうか、大したことはありません。あっという間に白樺峠に到着です。
ここには乗鞍岳から奥穂高岳までのすばらしい眺望があります。我らがバードウォッチャーのルビオによればこの峠は、鷹の渡りが見られる名所だそうで、昨日9月22日には約2500羽以上のサシバ、ノスリ等が渡っていったそうです。でも今日は渡りはないようです。
林道の下り
上ったあとはやっぱり下りでしょう! ちらっ、ちらっ、と紅葉が見え隠れする林の中を豪快に下ると寒い寒い。あっという間に奈川の黒川渡まで一気に下り切りました。
黒川渡
ここからは特にルートを決めていませんでしたが、考えられるのは3つです。
・ 北東に進路を取り松本に出る---簡単
・ 南に進路を取り境峠から藪原に出る---まずまずか
・ 南から西に進路を取り野麦峠を越え、高山か木曽福島に抜ける---超級
私たちは2番目の境峠から藪原に抜けることにしました。松本に抜けるのはあまり面白くないし、野麦峠を越えてもそのあとが大変そうだからです。藪原ならば時間があればそれから権兵衛峠を越えることができるかもしれないし、鳥居峠を越えて奈良井に抜けることも考えられます。
鳥居峠への山道を上り出す
境峠のある奈川木祖線はわりかし単調で勾配も5%強といったところなのであまり面白みのない峠ですが、木曽駒ヶ岳を正面に見ながらの高速ダウンヒルが楽しめました。
そして藪原まではあっという間だったので鳥居峠を越えて奈良井を終着地にすることにしました。鳥居峠は普通の峠とはずいぶん趣が異なります。この峠は旧木曽街道(中山道)の奈良井宿と薮原宿を結ぶ6kmの山道にありますが、広い大きな道が近くに通ったのでその姿を大きく変えることなく、現在まで細い道が山の中に残っているのです。
鳥居峠の頂上付近
そんな鳥居峠の道には、おそらくかつての本来の街道の峠道だったであろう遊歩道と、砂利道ながらもなんとか車が通れる車道とがあります。さすがに遊歩道の上りは『担ぎ』になってしまうので、私たちは車道を進みました。車道とは言っても本当に車が通ったらとてもすれ違えないような幅の道です。
緑の中を押しでアヘアヘ
峠を越えると再び遊歩道と車道に分岐しますが、なんと車道は以前の豪雨の影響で通行止め! やむなく遊歩道へ入ると、案の定こちらでは押しと担ぎの繰り返しとなりました。
爽やかな秋の緑が午後の陽射しに美しく輝く中を、『うりゃぁ~~』 とかけ声を掛けて自転車を押し上げるのは、ミワプッチとサリーナでした。
へいへいしながら最後の石畳を滑らないように用心して降りると、そこは鎮神社。奈良井宿の外れです。重要伝統的建造物群保存地区に指定されている旧中山道のこの宿場町は約1kmほどに渡りかつての街並みが保存されています。峠側の街の入り口には湧水汲み場があり、まずそこで乾いた喉を潤します。
奈良井宿の喫茶店
ぶらりと奈良井宿を散策してたどり着いた線路際の喫茶店は、ちょっとした雰囲気のあるところで昔風のライスカレーなどがありました。黄金の液体が体に染み渡ります。
今回は乗鞍アタックは結局果たせませんでしたが、その見返りは素晴らしい乗鞍から穂高へかけての山並みと、御岳山、木曽駒ヶ岳の勇姿、そして歴史を感じさせる鳥居峠と奈良井宿の街並と、満足のゆく旅となったのでした。